一つ一つの掌編がユーモアあったり、意外性があったりで楽しめる。後半になるに従って著者の世界にいつの間にか馴染まされていた
2007年版で古さはあるが、それが内容とマッチしていて日焼けも味に感じるようになる
著者の意図にはまってしまうかのよう
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猫風船 単行本 – 2007/6/16
松山 巖
(著)
林立する超高層ビル群の下、都心の日常はなんだかおかしい。路地には乳房そっくりの花を咲かせた「ヒトデナシ」(?)。カレーの匂いが漂うやたちまち姿を現し駆け抜けてゆく「消防団」。平均年齢75・56歳、パジャマ姿の老人ばかりが憩う「ホホエミ食堂」。東京ウォールの汐留シオサイト一帯は、色あざやかな熱帯植物に覆われて、ビルも人もくにゃくにゃ曲がり出す。そのほか背丈20センチ足らずの凶暴ゴジラ、用途不明のロボット、飛べない酒好きのデブ天使も続々と登場。ちょっとウツな「私」の前に春夏秋冬、四季おりおりに開き出される異界の時空間。いや、ついには季節そのものも乱れ始めて「私」は・・・。
月刊「みすず」の好評連載「路地奇譚」を構成一新のうえ大幅加筆、『乱歩と東京』『闇のなかの石』『群衆』『日光』の著者が放つ異色の連作掌篇小説全41篇。ユーモアたっぷりブラック満載、これは内田百閒『冥途』21世紀版ともいうべき「東京奇譚集」です。
月刊「みすず」の好評連載「路地奇譚」を構成一新のうえ大幅加筆、『乱歩と東京』『闇のなかの石』『群衆』『日光』の著者が放つ異色の連作掌篇小説全41篇。ユーモアたっぷりブラック満載、これは内田百閒『冥途』21世紀版ともいうべき「東京奇譚集」です。
- 本の長さ167ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2007/6/16
- ISBN-104622073064
- ISBN-13978-4622073062
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登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2007/6/16)
- 発売日 : 2007/6/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 167ページ
- ISBN-10 : 4622073064
- ISBN-13 : 978-4622073062
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,060,455位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24,368位日本文学
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2008年4月11日に日本でレビュー済み
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松山巖さんの『猫風船』(みすず書房)は、実に、怪しい。
よく出来た掌編小説から、導入部とオチの部分を削って、
そのままポーンと投げつけると、
「こんなふうに、なりました」という感じ。
不安定で不気味で不可解で、あるとき不愉快で不快な感じ、
と、「不○○」としか表現のしようのない、不思議な作品集です。
均整の取れた美に飽き足らなくなった方には、
オススメです。
よく出来た作品しか書けない わたくしには、
実にためになりました。
本当は、書き手は、この小説のように書きたいのだけれど、
こんなふうに書くと、マーケットから拒絶されるので書けないのです。
泣く泣く、導入部とオチをつけてしまうのです。
松山さんに、勇気をもらいました。
こんなふうに、書いていいのか。
いいのだね。
よく出来た掌編小説から、導入部とオチの部分を削って、
そのままポーンと投げつけると、
「こんなふうに、なりました」という感じ。
不安定で不気味で不可解で、あるとき不愉快で不快な感じ、
と、「不○○」としか表現のしようのない、不思議な作品集です。
均整の取れた美に飽き足らなくなった方には、
オススメです。
よく出来た作品しか書けない わたくしには、
実にためになりました。
本当は、書き手は、この小説のように書きたいのだけれど、
こんなふうに書くと、マーケットから拒絶されるので書けないのです。
泣く泣く、導入部とオチをつけてしまうのです。
松山さんに、勇気をもらいました。
こんなふうに、書いていいのか。
いいのだね。
2007年8月14日に日本でレビュー済み
俺もホホエミ食堂で昼間っから呑んでいたいなぁ。このシュルレアリスムなショートショート集は、陳腐な言い方だけど「なごむ」。「烏たち」って短編があるんだけど、松山巌の世界って「鳥」に対する「烏」みたいな感じ。よくよく見ると微妙に形が違ってる。この関係性って「現実」に対する「夢、理想」って垂直方向の二元論とは違っていて、どっちかって言うと「現実」に隣接するパラレル・ワールドなんだよなぁ。目に見えている「現実」だけが唯一の世界って閉塞感からの開放。「現実」からシームレスにつながっている異世界があるってことの希望。やっぱ、「現実」と「理想」、「実績」と「予算」、そんなものばっか突きつけられて生きていたら窮屈ですもん。本だって「実用書」と「ファンタジー」の棚しか無かったら味気ないですから。しかも松山巌はノスタルジーに安易に逃げないしね。携帯電話や超高層ビルもしっかりその世界観に取り込んでいるし。松山巌の方法論をちょっと垣間見た気がするのが「風邪はひけない」。「誰が」「どこで」「誰と共に」「どのような状況で」「なにが原因で」「いつ死ぬのか」をサイコロの目でランダムに組み合わせる遊びが出てくるんだけど、ディティールのひとつひとつは「フツー」なものも、組み合わせると「ヘン」って言う。まぁ実際は、この組み合わせもランダムじゃなくって作者の意図が働いているから、そこが難しいところ、才能によるところなんだろうけど。読むほうとしては、この本を読んだあと街に出て、「もしかしてどっかに穴が開いてないかなぁ」って空想出来りゃそれだけで楽しい訳で。実際、「ああ、こんなとこにつながってたのか」ってことが人生にはある訳だし。
ちょっと気が早いけど、次の作品集の刊行が楽しみだなぁ。
ちょっと気が早いけど、次の作品集の刊行が楽しみだなぁ。
2008年4月16日に日本でレビュー済み
一読して内田百間の小説を連想しました。不気味さやなんとなく一人だけ取り残されたような読後感は内田百間の方が強いのですが、この作品集ではかなり共感出来ることもあり、百間との違いを感じます。ともあれ、その発想力は素晴らしく突飛な状況設定にもかかわらず作品に入っていけるところにこの作者の凄味があります。「小さなゴジラ」では確かに大迷惑なのだけれども登場する小さなゴジラのなすがままになる主人公の思いと完全に一致するし、「天使のくせに」は可愛らしくてドンくさい、そしてどことなく哀愁のある変な天使に共感します。
これらは、作者・松山巌が普段目にする風景を鋭く観察して、且つ普通人がなんとも思わない事柄にヒントを得て作り出した、現実の世界のすぐ隣にある光景なのだと思います。いずれにしても奇妙な味わいのある作品集で、読めば少なくとも2〜3篇はお気に入りが見つかると思います。奇妙に強くお奨めします。
これらは、作者・松山巌が普段目にする風景を鋭く観察して、且つ普通人がなんとも思わない事柄にヒントを得て作り出した、現実の世界のすぐ隣にある光景なのだと思います。いずれにしても奇妙な味わいのある作品集で、読めば少なくとも2〜3篇はお気に入りが見つかると思います。奇妙に強くお奨めします。