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零度のエクリチュール 新版 単行本 – 2008/4/19

3.9 5つ星のうち3.9 11個の評価

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エクリチュールとは、言語芸術を成立させる核としての文章の“書き方"を意味する。
人間精神が自然認識に向っていた百科事典的なラブレーの時代、
ブルジョワ・イデオロギーの上に、コトバが秩序正しい社会の流通体として機能した快楽にみちたラシーヌやバルザックの古典主義時代、
フローベール以降の古典主義崩壊時代とエクリチュールの変遷を大別することができよう。
フローベールとともにコトバは作家の地平に現れ、ある文章体を選択することが作家の責任となる時代がはじまった。
ゾラやモーパッサン、マラルメやランボーと、エクリチュールは古典主義の解体を跡づける受難の歴史を歩んだ後、
ついに、言語の自律性と社会的道具性の中点(零点)にたつ乾いたエクリチュールがカミュとともに生れた、
とバルトは言う。
ヌーボー・ロマンの歴史的背景へのみごとな分析となっている。

付載した同著者の『記号学の原理』は、コトバ、音、広告、さらにはモードまで、
人間に意味あるものとして作用する記号に構造言語学上の成果を敷衍して言語学の体系を設定する大胆なアプローチ。
大著『モードの体系』を導く重要な論文である。

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商品の説明

著者について

ロラン・バルト
Roland Barthes
1915年生まれ。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。 1975年に彼自身が分類した位相によれば、(1)サルトル、マルクス、ブレヒトの読解をつうじて生まれた演劇論、『現代社会の神話(ミトロジー)』(2)ソシュールの読解をつうじて生まれた『記号学の原理』『モードの体系』(3)ソレルス、クリテヴァ、デリダ、ラカンの読解をつうじて生まれた『S/Z』『サド、フーリエ、ロヨラ』『記号の国』(4)ニーチェの読解をつうじて生まれた『テクストの快楽』『彼自身によるロラン・バルト』などの著作がある。そして『恋愛のディスクール・断章』『明るい部屋』を出版したが、その直後、1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった。上記を含むバルトの著作はすべて、単行本、『ロラン・バルト著作集』全10巻として、みすず書房刊。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ みすず書房; 新版 (2008/4/19)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/4/19
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 159ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4622073803
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4622073802
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 11個の評価

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ロラン・バルト
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上位レビュー、対象国: 日本

2015年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1953年に刊行された、ロラン・バルトの初めての単行本。以下の10の章から成る。

「エクリチュールとは何か」――言語とは、社会参加の場ではなく、選択の余地のない反射運動である。文体とは、文学の慣習の私的な部分であり、作家の神話的な内奥から伸びあがって、作家の責任のおよばないところへと広がってゆくものである。作家は言語と文体のどちらも選びとりはしない。言語と文体のあいだには、もうひとつの形式的実体=エクリチュールが存在する余地がある。

「政治的なエクリチュール」――フランス革命的なエクリチュールとは、演劇的な誇張のある形式である。マルクス主義的エクリチュールとは、ひかえめに表現することでかえって印象を強めようとする修辞法である、緩叙法的なものである。それぞれの政治体制が自分のエクリチュールを持っている。

「小説のエクリチュール」――単純過去とは、「文芸」の安全装置の一部を成している明示された虚偽。三人称とは、信じられるけれど偽りであると絶えず明示されている作り話の安心感を消費者に与える。「小説」の単純過去と三人称とは、作家が自分のつけている仮面を指さすという避けがたい身ぶり。

「詩的エクリチュールは存在するか」――現代詩において、「詩」は、文飾をほどこされたり自由を抑えられたりした「散文」ではなくなる。還元不可能で、継承できないひとつの質となる。それは、言語の諸関係を破壊し、言説を語の自生地へと連れ戻す。

「ブルジョア的エクリチュールの勝利と破綻」――ブルジョア的イデオロギーが征服し支配していたあいだずっと、フランス社会が意のままにしていたのは、まさに道具的かつ装飾的な単一のエクリチュールであった。

「文体の職人」――ゴーチエやフロベール、ヴァレリー、ジッドといった作家たちは、「フランス文芸」の職人組合のようなものを形成しており、形式に苦労をすることが組合のしるしであり、特性にもなっている。

「エクリチュールと革命」――フランスの社会主義リアリズムは、ブルジョア的写実主義のエクリチュールを取り入れて、その書き方における恣意的な記号すべてを臆面もなく自動装置化したのだった。

「エクリチュールと沈黙」――零度のエクリチュールとは結局のところ、直説法的な―あるいは非‐法的なと言ってもよい―エクリチュールである。ジャーナリストのエクリチュールだと言えば正しいだろうか。カミュの「異邦人」に始まったこの透明な言葉は、文体の理想的な不在に近い、不在の文体をなしとげている。

「エクリチュールと言葉」――話し言葉を復元することは、はじめは奇抜さを面白がる模倣のかたちで考え出されたのだが、ついには社会矛盾の全容を表現するようになった。

「言語のユートピア」――今日の作家たちにとって、非‐文体や口述文体、あるいは零度や口語度のエクリチュールの探求は、ようするに社会の完全に均質な状態の先取りなのである。

以上、言葉使いは難解だが、文章全体としては、論旨明晰。それは、この書物自体が〈零度のエクリチュール〉で書かれていることによるのだろう。訳者の石川美子はその点に配慮して、画期的に分かりやすい訳を成し遂げている。訳註も親切。この本においてバルトは、サルトルからの強い影響の下、文学の社会的実践を提唱していると見て良い。ただし、内容面ではなく形式面における実践というところが、サルトルとの違い。後年にも引き継がれるバルトの基本的立場を知る上で、必読の一冊。
18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2014年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の方のレビューに「読みやすい」「名訳」とあったので、それを信じてアマゾンで注文。
届いて比較的ページ数も少なく、「こりゃ、楽勝」と思いきや、ふと表紙の解説の一文を見て汗が出てきました。

「『零度のエクリチュール』はバルトの著作の中でももっとも読みにくい本である」

半分まではがんばって読みましたが、また読み直し。
とにかく修行のような読書でした。
なんかゴム草履のような分厚いビフテキを食べているようでまったく歯が立ちませんでした。

読んでいてなんとなくわかったのは「話されることばと書きことば」「一人称と三人称」「散文と詩」「古典主義の詩と現代詩」といった概念の2項対立があるといったくらい。それらも一般的なものと個別的なものの対立と考えてよいのでしょう。またエクリチュールとはその時代の作家たちが使う傾向のある表現形式のことなんでしょう。

本書はフランス文学の素人が読んでもよくわからないと思います。
まあ、こういう難解きわまりない本も読んで、作者の考えを読解、解読することも頭を鍛えるためには重要でしょう。
くやしいからそう思っておきましょう。

ひとつ言えることは、他のバルトの著作を読んでから、本書を読んだほうがいいです。
じゃないとバルト嫌いになること間違えナシ。
21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全体的に難解というより、文章として成立していないと言わざるを得ません。
もしも原文で読めばわかるのだとしたら翻訳者の責任ですが、多分原文もこんな感じなんだろうなあ。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年11月14日に日本でレビュー済み
 わたしは学生時代からずっとロラン・バルトを読んできて、ほぼ全ての彼の著書を読みました。この本はバルトのいわば処女作となります。翻訳としては、わたしが知る限り、既に二つ存在します。わたしはそれらを読んで、バルトの『零度のエクリチュール』を完全とはいいませんが、理解したつもりでいました。しかし、この(つまり石川美子訳)を読んで、しっかりと理解していなかったと痛感しました。つまりこの新訳は、それほどすばらしく、明晰で、注も必要にして十分です。また、解説(バルトがどのようにして登場したのか、つまりフランス文学界にどのようなかたちでデビューしてきたのか、その資料)もきちんと盛り込まれています。
 まあ、唯一残念なことをのべるならば、みすず書房から出版されていた以前の『零度のエクリチュール』には付録(だがこちらの方がページ数が多い)として、バルトを記号学の先駆者ならしめた『記号学の原理』が、存在しません。
 このことに関しては、是非、石川美子訳で単独で、『記号学の原理』がみすず書房より出版されてほしいものです。
 記号学(記号論)はも早時代遅れのものと思われている人もいられるかと思いますが、少なくともわたしは、(竹田氏が、「現象学は思考の原理」と申されているように)、「記号学は世界を読み解く人間の原理」であると思われます。
 戻りますが、本書は誠に名訳です。新旧を読み比べてみるのも何かの役に立つのでは。
56人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年9月13日に日本でレビュー済み
絶対にわからないだろうと笑いを噛み殺しつつ、ある1枚の紙を手にした真剣なバルトの姿が見える。
Introduction から全力で臨むバルトが繰り出す技、そのセンスに唸りながらも笑いが込み上げる。これはすごい。
この訳は全くそれがわかっていない。おまけに1行目からもう既に誤訳というより訳がでたらめ。

とはいえ他の訳でも原書を読んでも、全くわからないだろう。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ロラン・バルト(1915-1980)は1953年
最初の本『零度のエクリチュール』を、パリの
スイユ社から上梓しました。邦訳は、例えば
1971年、みすず書房(渡辺淳・沢村昂一訳)
から出ています。大層、前のことになりますが
あるきっかけ(後で述べます)から、バルトに
興味を持った私は、この邦訳を読みました。
難解で、正直、よく分からなかったものです。
最近になって、たまたま、同じみすず書房から
邦訳の新版(石川美子訳)が出ていると知って
今回、読み直しました。旧版に比べますと
飛躍的に読みやすくなっているので驚きました。
バルトへの理解も深まり、大いに有益な本です。

若かりし頃、数学や物理を勉強していました。
第二外国語でフランス語(仏語)を選択したのは
思想の「構造主義」が、数学の公理主義や構造の
理解に役立つかもしれない、と思ったからです。
後で分かったことですが、「講読」担当の先生は
ロラン・バルトの著作の翻訳をなさっており、
「文法」の先生はミッシェル・フーコーの翻訳、
「実習」の先生は日本の作家・開高健の仏語への
翻訳をなさっていたのでした。しかし教室では
3人とも翻訳の話など、ひとこともなさらずに
アナトール・フランスを(指導教官から読めと
言われて)読んだものだ、などと煙に巻いていた
ものです(矜持だったのでしょうか)。

ある日、本屋で、バルトの邦訳を手に取って漠然
とページを繰っていたところ、「翻訳者は仏語の
先生と同姓同名だな」と気づきました。「ためし
に読んでみるか」と買って帰り、下宿で読み始め
たのが私の「バルト事初め」です(同姓同名では
なくて本人だったと後で知ったわけです)。
『明るい部屋』『恋愛のディスクール・断章』
『彼自身によるロラン・バルト』…は読みやすく
繰り返し読んできました。後年、心理学の先生と
話をしていたら『明るい部屋』がマイ・ブームだ
との由で、共感したのを覚えています。

しかし『零度のエクリチュール』は難解でした。
新版である本書には
①詳しい訳注
②分かりやすい解説(「バルトの登場」ーー新聞
論文から一冊の本へ)
③付録(『コンバ』紙発表の論文)
…が付いていますので、こなれた日本語になって
いる訳文とあいまって、理解が深まります。
『零度のエクリチュール』はバルトの最初の本で
あり、訳者が言うように、気負いもあれば、概念
の浮動(不動にあらず)や変遷もあることが
難解になっているひとつの理由です。

もうひとつの理由は、この本が8篇の新聞論文を
もとに、切り貼り(プロセッシング)したり、
再編成して完成した、という経緯にあります。
混同しやすいのですが、バルトは1947年、新聞
『コンバ』紙上に「零度のエクリチュール」なる
タイトルの論文を発表します。それから6年、
単行本『零度のエクリチュール』が出ますが、
同名の新聞論文は3分の2が削除され、残りが
本の中の2つの章に、部分的に組み込まれている
由です。有り体に申し上げるならば、新聞論文と
単行本ではあまり関係がない(少ししかない)と
言えるようです。この最初の論文も含め、8本の
新聞論文と本の各章がどのように対応しているか
それを図示したものが本書に載っています。この
対応図を見たのは初めてです。成り立ちからして
『零度のエクリチュール』が難解であることが
納得できたと思いました。

『ル・デグレ・ゼロ・ド・レクリチュール』と
原題をカタカナで近似することができます。
直訳すれば「記述のゼロ度」とでもなります。
仏語においても「おや、何の意味だろう?」と
注意を引く表現であったので、新聞で使った論文
のタイトルを、6年後に本のタイトルにも使った
のであろうと憶測しています(著者も、編集者も
出版者も)。
「エクリチュール」について感想を述べます。
解説によりますと「言語」と「文体」の間に位置
する概念です。動詞「エクリール」から派生した
名詞ですが、つまりはバルトが新しい意味を与え
かつその概念も年代とともに変化して行ったこと
が分かります。その詳細は本書に譲りますが、
一言で言えば「書く」に尽きるように感じます。

『零度の』について感想を述べます。不幸にも
日本語では「零」より「ゼロ」が定着してしまい
「零度」と言うと、圧倒的に温度としての零度を
連想する人が多いようです。従って「凍った」と
いうイメージを持ってしまう人が圧倒的に多いの
ではないかと思います。セ氏零度は水が凍る温度
ですし、絶対零度は気体の分子の運動がやんで、
液体ヘリウムは超流動などの現象を起こします。
バルトが意図した「零度」は温度ではなくて、
「中性的な」ものです。プラスの概念と、それに
反するマイナスの概念が定義されていて、その
どちらでもないという意味での「ゼロ」です。
寒暖計や体温計(今ではもうありませんが)の
ような棒状のイメージではなくて、むしろ
方位を示すコンパスあるいは風向を示す風向計の
ような、回転するイメージのほうが、近いかも
しれません。右でも左でもなく、東でも西でなく、
常に北を向いている針のようなイメージです。
この一定の範囲で右に左に回転する針のイメージ
ならば「角度」で測定できますので「デグレ」の
イメージを生かすことになります。
もちろん直線状の「数直線」上で、プラスと、
マイナスをイメージしてもいいのですが、それ
ならば思い切って「記述のゼロ座標」あるいは
「記述の座標ゼロ」と訳してもいいかもしれない
と思います(あくまで私見です)。

最後に「ハ長調」の音楽について述べます。
解説によりますと、亡くなる直前(2日前)、
コレージュ・ド・フランスの講義の締めくくりで
バルトは、シェーンベルクの言葉を引用しながら
「今なお、ハ長調の音楽を書くことは可能であり
私が作品において欲するのは、ハ長調の音楽を
書くことであろう」(主旨)と述べた由です。
ハ長調の音楽=零度のエクリチュール
と考えるならば、たいへんすっきりします。
シェーンベルクは「無調」音楽・「12音」音楽
を唱えた現代音楽の祖の一人です。それでもなお
シェーンベルク以後の時代にあっても、古典的な
ハ長調(C Major C-dur)は「原点」なのだと
バルトは感じていたのでしょう。

例えば、モーツアルトならば、
・ピアノソナタ 第15番 K.545(ソナチネ)
・ピアノ協奏曲 第21番 K.467
・交響曲 第41番 K.551(ジュピター)
がハ長調です。ベートーヴェンならば
・交響曲 第5番 op.67(運命)の第4楽章
がハ長調です(第1楽章はハ短調で、
冒頭のフレーズは万人が知っているくらい
有名です)。
・ラヴェルのボレロもハ長調
…だったと思います。ハ長調の特長は
①明るく、②真っ白で、③開放的、
と言われています。本書を読んで
バルトの理想もそこにあったのだと
あらためて理解が深まりました。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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