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災害がほんとうに襲った時――阪神淡路大震災50日間の記録 単行本(ソフトカバー) – 2011/4/21
中井 久夫
(著)
東日本大震災発生後の今、何が必要なのか。「神戸」の経験に学び、考える。精神科医の50日におよぶ関与観察の記録を新編集。
- 本の長さ144ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2011/4/21
- 寸法13 x 1.2 x 18.9 cm
- ISBN-104622076144
- ISBN-13978-4622076148
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商品の説明
出版社からのコメント
家屋の倒壊、近親者の死、長びく避難所生活・・・・・・
阪神大震災は被災者たちに、計り知れない心の傷を負わせた。
「なにかやらなくては」―みずからも被災者である
神戸在住の精神科医とナースがまず立ち上がった。
つぎに全国から駆けつけた医療ボランティアたちが。
彼らが疲れてくると、さらには援助者を支える援助者もやってきた。
1995年1月17日から50日間。被災地では何が起こり、何が必要だったのか。
1995年3月に刊行した『1995年1月・神戸―「阪神大震災」下の精神科医たち』から、
編者・中井久夫が記した「災害がほんとうに襲った時」を再編集する。
阪神大震災は被災者たちに、計り知れない心の傷を負わせた。
「なにかやらなくては」―みずからも被災者である
神戸在住の精神科医とナースがまず立ち上がった。
つぎに全国から駆けつけた医療ボランティアたちが。
彼らが疲れてくると、さらには援助者を支える援助者もやってきた。
1995年1月17日から50日間。被災地では何が起こり、何が必要だったのか。
1995年3月に刊行した『1995年1月・神戸―「阪神大震災」下の精神科医たち』から、
編者・中井久夫が記した「災害がほんとうに襲った時」を再編集する。
著者について
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。著書に『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社)『分裂病と人類』(東京大学出版会)他、『記憶の肖像』(1992)『『アリアドネからの糸』(1997)『最終講義――分裂病私見』(1998)『清陰星雨』(2002)『徴候・記憶・外傷』(2004)『樹をみつめて』(2006)『臨床瑣談』正・続(2008-2009)等多くのエッセイ、『統合失調症』全2巻(2010、以上みすず書房)が。また、阪神大震災時の共編著『1995年1月・神戸――阪神大震災下の精神科医たち』(1995)『昨日のごとく』(1996、共にみすず書房)は多くの読者に読まれている。訳書にサリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』、ハーマン『心的外傷と回復』、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)、クッファー他編『DSM-V研究行動計画』(共訳)など多数。さらにヴァレリー『若きパルク/魅惑』『コロナ/コロニラ』も。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2011/4/21)
- 発売日 : 2011/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 144ページ
- ISBN-10 : 4622076144
- ISBN-13 : 978-4622076148
- 寸法 : 13 x 1.2 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 405,234位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 51,484位社会・政治 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1934年生まれ。1959年、京都大学医学部卒業。はじめウイルス研究者。東大分院において精神科医となる。神戸大学名誉教授。1985年、芸術療法学会賞、1989年、読売文学賞(翻訳研究賞)、1991年、ギリシャ国文学翻訳賞、1996年、毎日出版文化賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ヴァレリー詩集 コロナ/コロニラ (ISBN-13: 978-4622075455 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大きな災害の度に、思い出し、必要に駆られて読み返していました。
2016年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
阪神淡路大震災が起きたのが1995年1月17日。今から約21年前の出来事である。その後、新潟県中越地震(2004.10)、東日本大震災(2011.3)、熊本地震(2016.4)と大きな災害が続く。
本書は著名な精神科医である筆者が直接、体験した50日間のドキュメント(記録)である。精神科医の視点は示唆に富んでいた。今後も予想される大規模災害への貴重な提言を含んでいると思った。
本書は著名な精神科医である筆者が直接、体験した50日間のドキュメント(記録)である。精神科医の視点は示唆に富んでいた。今後も予想される大規模災害への貴重な提言を含んでいると思った。
2011年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
阪神淡路大震災の時の精神科医の著者の記録です。
書いてある内容もさることながら、行間にたくさんの情報が詰め込まれています。
体験した人した人から学ぶことは多い。
東日本大震災についても書かれています。
今も復興作業が続いています。
このことは言葉にしようともうまくできません。
日本は地震大国。
いつどこに地震が起きるかわからない。
自分が住んでいる地域のために何ができるのか。
そのために今、何をすればいいのか。
読書後そんなことを考えて続けています。
書いてある内容もさることながら、行間にたくさんの情報が詰め込まれています。
体験した人した人から学ぶことは多い。
東日本大震災についても書かれています。
今も復興作業が続いています。
このことは言葉にしようともうまくできません。
日本は地震大国。
いつどこに地震が起きるかわからない。
自分が住んでいる地域のために何ができるのか。
そのために今、何をすればいいのか。
読書後そんなことを考えて続けています。
2011年5月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
精神科医が関与観察した阪神淡路大震災の50日間。
あのとき、
医者たちは、自分たちで考えながら有機的なネットワークを形成していった。
混乱の中で、
情報や人の波とたたかっていた。
必死だった。
看護師やボランティアの力なくして、
その現場を支えることはできず、
多くの人の機転なくして、
成り立たなかった。
今回の東日本大震災のことも記載されており、
考えさせられることは多い。
人の体力がもつ期間は限られている。
援助する側、援助される側、どちらも日本人は不慣れなのかもしれない。
”行政当局が外部の応援を断ったのには接待や宿泊の世話が大変だという本音があった。日本人はかねがね「援助下手」であったが「援助され下手」でもあった。”
あのとき、
医者たちは、自分たちで考えながら有機的なネットワークを形成していった。
混乱の中で、
情報や人の波とたたかっていた。
必死だった。
看護師やボランティアの力なくして、
その現場を支えることはできず、
多くの人の機転なくして、
成り立たなかった。
今回の東日本大震災のことも記載されており、
考えさせられることは多い。
人の体力がもつ期間は限られている。
援助する側、援助される側、どちらも日本人は不慣れなのかもしれない。
”行政当局が外部の応援を断ったのには接待や宿泊の世話が大変だという本音があった。日本人はかねがね「援助下手」であったが「援助され下手」でもあった。”
2019年7月1日に日本でレビュー済み
精神科医の大御所、中井久夫先生による阪神淡路大震災の被災記録で、それに東日本大震災に対する所感を追加したもの。
いかにも中井先生らしい文章で、被災当時のことが綴られている。それに加えて、神戸という街への愛情というか、優しい眼差しというか、そういうものも感じられる。
こうしたことはともかくとして、「中井先生は躁うつ病的だ」というのは恩師の言葉である。本書の中で中井先生が自身の常用薬としてリーマス400mgを挙げられていたのには驚いた。リーマスは主に躁うつ病の治療薬なのだ。おー、恩師の推測は当たっていたようだ。ちなみに、躁うつ病的な中井先生に対して、「神田橋先生は統合失調症的だ」とのこと。
しかも、就寝前にはデパス3mgとあったので、なかなかの向精神薬の飲みっぷりである。
精神科医がみた大震災なので、外傷や遺体の話はほとんどなく、そういう話が苦手な人には読みやすいだろう。また、精神科専門の話もほとんど出ないので、医療関係者でなくても興味深く読めると思う。
いかにも中井先生らしい文章で、被災当時のことが綴られている。それに加えて、神戸という街への愛情というか、優しい眼差しというか、そういうものも感じられる。
こうしたことはともかくとして、「中井先生は躁うつ病的だ」というのは恩師の言葉である。本書の中で中井先生が自身の常用薬としてリーマス400mgを挙げられていたのには驚いた。リーマスは主に躁うつ病の治療薬なのだ。おー、恩師の推測は当たっていたようだ。ちなみに、躁うつ病的な中井先生に対して、「神田橋先生は統合失調症的だ」とのこと。
しかも、就寝前にはデパス3mgとあったので、なかなかの向精神薬の飲みっぷりである。
精神科医がみた大震災なので、外傷や遺体の話はほとんどなく、そういう話が苦手な人には読みやすいだろう。また、精神科専門の話もほとんど出ないので、医療関係者でなくても興味深く読めると思う。
2011年4月26日に日本でレビュー済み
東日本大震災からまもなく五十日を迎えようとしている。第一次世界大戦の時の記録によると、戦争のプロでも四〇〜五〇日たつと、戦闘消耗と呼ばれる状況に陥り、武器を投げ捨てて、わざと弾に当たろうとするような行動に出るものが現れたという。そろそろ新たなステージに入るべき時が、来ているのかもしれない。
本書は阪神淡路大震災の時に神戸大学で精神科医を務めていた中井 久夫氏による五十日間の記録がベースである。ことは今回の震災の際、ノンフィクションライター最相 葉月さんが自宅にて落下してきた本の中に『1995年1月・神戸』を見つけ、著者にネット上での全文公開を要請したことに端を発した。そこに、今回の震災の記録を追記して生まれた一冊が、本書である。
◆本書の目次
東日本巨大災害のテレビをみつつ 2011年3月11日ー3月28日
災害がほんとうに襲った時 付・私の日程表 1995年1月17日ー3月2日
二つの記録は、一つは被災に対しての外部としての立場、もう一つは内部としての立場である。しかし、いずれの立場においても共通しているのは、著者による俯瞰の目線であり、背景を観察する能力である。著者自身、被災後に病院へ出向きすぐに行ったことは、医局の整理、電話番、ルートマップの作成だった。そして、その後も、隙間を埋めること、盲点に気づくこと、連絡のつくところにいることの三点にに徹し、自身の役割を「隙間産業」と定義したそうである。だからこそ、次の災害にも活かされるアーカイヴを残すことができたのであろう。
このような視点は、著者が精神科医であることによるものが大きいのではないかと感じる。目に見える患者の症状そのものに着目するのではなく、その背景にある要因や環境を観察しなければ、真の解決は望めない。被災という悲惨な現状に直面しても、その視点は同様である。神戸という街や、日本そのものが持つ精神を踏まえて行った数々の指摘には、ハッとさせられるものが実に多い。
その一つに「デブリーフィング」というものが挙げられている。ブリーフィングが任務内容説明であるのに対し、デブリ―フィングとはその解除のことである。これを解除宣言として行うのではなく、緊張をほどいてゆき、心理的に肯定し、達成を認めるという儀式が必要なのである。重要な任務についた人たちに、デブリーフィングを行わずに家に返すと、不和の原因になりかねないそうだ。
本書が最も読まれるべきなのは、今回の震災において外部でも内部でもなかった、首都圏に住むような人たちであるだろう。直接的に被災を受けているわけ ではなく、どこか申し訳なく思いながら、さまざまな不安やストレスを抱えている人も多い。そういった人たちこそが、お互いをデブリーフィングしあう必要があるのではないだろうか。本当の戦いは、これからである。
本書は阪神淡路大震災の時に神戸大学で精神科医を務めていた中井 久夫氏による五十日間の記録がベースである。ことは今回の震災の際、ノンフィクションライター最相 葉月さんが自宅にて落下してきた本の中に『1995年1月・神戸』を見つけ、著者にネット上での全文公開を要請したことに端を発した。そこに、今回の震災の記録を追記して生まれた一冊が、本書である。
◆本書の目次
東日本巨大災害のテレビをみつつ 2011年3月11日ー3月28日
災害がほんとうに襲った時 付・私の日程表 1995年1月17日ー3月2日
二つの記録は、一つは被災に対しての外部としての立場、もう一つは内部としての立場である。しかし、いずれの立場においても共通しているのは、著者による俯瞰の目線であり、背景を観察する能力である。著者自身、被災後に病院へ出向きすぐに行ったことは、医局の整理、電話番、ルートマップの作成だった。そして、その後も、隙間を埋めること、盲点に気づくこと、連絡のつくところにいることの三点にに徹し、自身の役割を「隙間産業」と定義したそうである。だからこそ、次の災害にも活かされるアーカイヴを残すことができたのであろう。
このような視点は、著者が精神科医であることによるものが大きいのではないかと感じる。目に見える患者の症状そのものに着目するのではなく、その背景にある要因や環境を観察しなければ、真の解決は望めない。被災という悲惨な現状に直面しても、その視点は同様である。神戸という街や、日本そのものが持つ精神を踏まえて行った数々の指摘には、ハッとさせられるものが実に多い。
その一つに「デブリーフィング」というものが挙げられている。ブリーフィングが任務内容説明であるのに対し、デブリ―フィングとはその解除のことである。これを解除宣言として行うのではなく、緊張をほどいてゆき、心理的に肯定し、達成を認めるという儀式が必要なのである。重要な任務についた人たちに、デブリーフィングを行わずに家に返すと、不和の原因になりかねないそうだ。
本書が最も読まれるべきなのは、今回の震災において外部でも内部でもなかった、首都圏に住むような人たちであるだろう。直接的に被災を受けているわけ ではなく、どこか申し訳なく思いながら、さまざまな不安やストレスを抱えている人も多い。そういった人たちこそが、お互いをデブリーフィングしあう必要があるのではないだろうか。本当の戦いは、これからである。
2011年4月21日に日本でレビュー済み
「有効なことをなしえたものは、すべて、自分でその時点で最良と思う行動を自己の責任において行ったものであった。指示を待った者は何ごともなしえなかった。統制、調整、一元化を要求した者は現場の足をしばしば引っ張った」というあたりが特に印象に残っています。
これとも関係するんですが、面白いなと思ったのが、日本人のリーダーシップのあり方。
ドイツの精神医学全書の「捕虜の精神医学」の項に、シベリアにおけるドイツ軍捕虜に比して日本軍捕虜を恥ずかしくなるほど称えた文献の引用があるんだそうです。いわく、ソ連軍が日本軍捕虜の指揮官を拘引するとただちに次のリーダーが現れた、と。彼を拘引すると次が。将校全員を拘引すると下士官、兵がリーダーとなった、と。こうして日本軍においてはついに組織が崩壊することがなかったがドイツ軍は指揮官を失うと組織は崩壊した、と。
「日本の組織は軍でなくとも、たとえば私の医局でも私がいない時は誰、その次は誰と代行の順序がわざわざいわなくとも決まっている。これは日本の組織の有機性という大きなすぐれた特徴であると思う」とまとめていますが、今回の東日本大震災でも、各地でこうしたリーダーが活躍しているんじゃないかと思っています。
これとも関係するんですが、面白いなと思ったのが、日本人のリーダーシップのあり方。
ドイツの精神医学全書の「捕虜の精神医学」の項に、シベリアにおけるドイツ軍捕虜に比して日本軍捕虜を恥ずかしくなるほど称えた文献の引用があるんだそうです。いわく、ソ連軍が日本軍捕虜の指揮官を拘引するとただちに次のリーダーが現れた、と。彼を拘引すると次が。将校全員を拘引すると下士官、兵がリーダーとなった、と。こうして日本軍においてはついに組織が崩壊することがなかったがドイツ軍は指揮官を失うと組織は崩壊した、と。
「日本の組織は軍でなくとも、たとえば私の医局でも私がいない時は誰、その次は誰と代行の順序がわざわざいわなくとも決まっている。これは日本の組織の有機性という大きなすぐれた特徴であると思う」とまとめていますが、今回の東日本大震災でも、各地でこうしたリーダーが活躍しているんじゃないかと思っています。
2011年9月16日に日本でレビュー済み
精神科医というのは記録魔であるのだと思う。それは、記憶が変化するものだという前提に立っているからかもしれない。
なるべくフレッシュな状態で書かれた記録である点で、本書は非常に興味深い。
同時に、この本では、2011年3月11日直後の著者の文章も併録されており、17年後の想起ともなっている。
阪神淡路の経験者が東日本の災害の大きさに目を見張る。そのことが、今回の災害の大きさを読み手に改めて思い知らせる。福島の話ばかりが続いて、あの日のインパクトを忘れがちになっていたことに気付かされる。
経験者の多様な知見は、今後も役立つこととして蓄積、普及されていくことが望ましい。私はそう思った。
なるべくフレッシュな状態で書かれた記録である点で、本書は非常に興味深い。
同時に、この本では、2011年3月11日直後の著者の文章も併録されており、17年後の想起ともなっている。
阪神淡路の経験者が東日本の災害の大きさに目を見張る。そのことが、今回の災害の大きさを読み手に改めて思い知らせる。福島の話ばかりが続いて、あの日のインパクトを忘れがちになっていたことに気付かされる。
経験者の多様な知見は、今後も役立つこととして蓄積、普及されていくことが望ましい。私はそう思った。