「定年」を扱って人気だったのは加藤仁さんで、日本人男性の定年後・老後の人生をルポし続けて、時代によって定年後の人生模様が違うことを描いて読ませました。
早川さんも、定年後の日常生活を描いて人気でした。
大人のダンディズムを感じさせ、こういう風な定年後人生もいいなと思わせます。
大勝8年に東京麻布で生まれ育った東京人です。
若くしてロンドンで留学を目ざしますが、語学力が低レベルで聴講生として遊学に終わりました。
帰国後は、徴兵で満州へ渡り、病気で除隊します。
戦後は経団連に務める平サラリーマンとして定年まで努めます。
ロンドン時代に覚えたパイプにまつわる私家版エッセイ「ぱいぷのけむり」が、出版社の目に止まり出版し、日本エッセイスト・クラブ大賞を受賞します。
以降、随筆家として数冊の本を出しました。
のっけから定年後の男の最大の敵は女房だと言い切ります。
給料を持ってこない粗大ごみ化した定年後の男たちの悲哀を、面白おかしく描きます。
趣味のパイプをふかすため馴染みの銀座のパイプ屋に通い、同好の士でおしゃべりの日々です。
私も若い頃、パイプでネイビーカットを楽しんでいましたのでパイプのうんちくは楽しく読めます。
愛煙家が禁煙家にかけている迷惑は、肉体的なものだが、禁煙家は愛煙家に精神的な迷惑をかけている、と憤慨します。
戦前、あるいは戦後の東京の風俗の描写が、なんとも嬉しくなります。
六本木は、第一、二連隊の軍隊の街だった。
ロイド、キートン、チャプリンは三種の神器のようだった。
千疋屋のフルーツポンチは格別の味だった。
銀座のブラジルの珈琲は10銭、10本入りのチェリーは10銭、市電は7銭。
昔も今も通勤電車の乗客の顔は、暗く疲れている。
出勤簿にハンコを押さなくなったのはいつ頃からだろうか。
化粧品の匂いは心を和らげます。
サラリーマン勤めは気ぜわしく仕事をしているが、退屈を感じる。
サラリーマンの服装で昔と変わったのは、Mボタンがジッパーになったこと。
定年後の銀ブラで、どこのデパート、店のトイレが綺麗で心地よいか熟知するようになった。
早川さんは吉田健一さんの大ファンです。
なるほどと、合点がいきました。
デビュー作の「ぱいぷのけむり」を読みたいのですが、古書で5500円です。
チョット手が出ません。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この商品には新版があります:
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
