高校の教科書などにも一部載っている夏目漱石の小説「こころ」。
これはその登場人物である親友である先生とK、先生の奥さんとなった娘さんの視点から
改めて物語を考えていくというものだ。
小説は主人公の青年と、彼が先生が書いた手紙を受け取って読むことで進行していくのだが、
それを別の角度から見ていくと新しい発見があり新鮮な気持ちで「こころ」を回想することができた。
他の方も書いているが終盤にやや飛躍ではないかという部分もあり、個人的には「こころ」を読み
自分の解釈を得た上で読むほうが良いと思われる。
「こころ」を読んで得た自分の解釈と、この本の内容を照らし合わせながら改めて「こころ」という
小説と向き合う。そうした時に片方を読んだだけでは出来ない体験が得られるという珍しい本だった。
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『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室) 単行本(ソフトカバー) – 2005/7/9
石原 千秋
(著)
大人になることは、かつては親を超えることでした。ところが、その機会を奪われたのが、ほかならぬ「先生」です。そこに不幸の始まりがありました。「先生」が果たせなかった〈父親殺し〉の問題を詳細に追究します。さらに、「先生」「K」「私」をめぐって幾重にも仕掛けられた、驚くべき謎を読み解きます。最新の漱石入門
- ISBN-10462208306X
- ISBN-13978-4622083061
- 出版社みすず書房
- 発売日2005/7/9
- 言語日本語
- 本の長さ155ページ
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登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2005/7/9)
- 発売日 : 2005/7/9
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 155ページ
- ISBN-10 : 462208306X
- ISBN-13 : 978-4622083061
- Amazon 売れ筋ランキング: - 749,503位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あなたを含めて「こころ」を読んだことのある人はたくさんいるだろうが、
この本を読んだ人はずっとずっと少ないはずだ。
しかし、この本を読めば、今まで気づかなかった「こころ」にかくされたしかけに驚嘆し、「こころ」の持つ本当の面白さに目覚めると思う。
私は、文学に関しては、全くの門外漢であるが、文学することの知的興奮とはこんなものだろうかと一人納得している。
筆者独自の視点から、先生、主人公の青年、奥さんの「静」の3人についてそれぞれ、「こころ」に隠された謎が明かされているが、
特に、先生の奥さん「静」と主人公の青年との間に子供がいることが暗示されているという説があることにはびっくり!!
この本を読む前と後では「こころ」に対する印象が大きく変わるはずである。
そして、この本を知らないみんなに知的優越感がもてる事請け合いである。
ぜひ、読んでほしい。おもしろいから。
この本を読んだ人はずっとずっと少ないはずだ。
しかし、この本を読めば、今まで気づかなかった「こころ」にかくされたしかけに驚嘆し、「こころ」の持つ本当の面白さに目覚めると思う。
私は、文学に関しては、全くの門外漢であるが、文学することの知的興奮とはこんなものだろうかと一人納得している。
筆者独自の視点から、先生、主人公の青年、奥さんの「静」の3人についてそれぞれ、「こころ」に隠された謎が明かされているが、
特に、先生の奥さん「静」と主人公の青年との間に子供がいることが暗示されているという説があることにはびっくり!!
この本を読む前と後では「こころ」に対する印象が大きく変わるはずである。
そして、この本を知らないみんなに知的優越感がもてる事請け合いである。
ぜひ、読んでほしい。おもしろいから。
2011年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
友人Kと先生の奥さん(=静)の行動、心理描写について丁寧に解説されています。
『こころ』を読んでいるときには気がつかなかった・重要視していなかった箇所が、
実は、登場人物たちを深堀りする上で非常に重要であったことに気づかれました。
・先生も、Kも、時に傷つき、時に勇み立ち、時代を生きている。
共に「超・純粋」な青年であることを再認識。
・彼らの純粋さに、対極する存在かのように描かれている若かりしころの「静」
この二つの発見・新たな視点の獲得だけでも、
私にとっては読んでよかったと思いました。
後半の静に関する著者の「推理」については、若干飛躍しすぎでは・・・?と
個人的に思っております。
しかし、夏目漱石先生は、偉大な作家なのですね。。。
本書を読了後、改めて『こころ』を読み、そのすごさを実感です。
『こころ』を読んでいるときには気がつかなかった・重要視していなかった箇所が、
実は、登場人物たちを深堀りする上で非常に重要であったことに気づかれました。
・先生も、Kも、時に傷つき、時に勇み立ち、時代を生きている。
共に「超・純粋」な青年であることを再認識。
・彼らの純粋さに、対極する存在かのように描かれている若かりしころの「静」
この二つの発見・新たな視点の獲得だけでも、
私にとっては読んでよかったと思いました。
後半の静に関する著者の「推理」については、若干飛躍しすぎでは・・・?と
個人的に思っております。
しかし、夏目漱石先生は、偉大な作家なのですね。。。
本書を読了後、改めて『こころ』を読み、そのすごさを実感です。
2007年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本で展開される論理は即ち、
先生は親殺しできなかった→大人になれなかった
ということだけです。
フロイト的に解釈すれば確かにそうだが、そんな解釈をすることに一体どんな意味があるのでしょうか?
先生が「子供」のままだったとしたら、彼の遺書など読むに値しない自己弁護の文章ということになりますから、従って『こころ』も無価値な小説に成り下がります。
この著者は自分の解釈に都合の良い部分だけを抜き出して正当化しているだけです。
漱石が先生という人物をそんな意図で造形したわけがない。『こころ』を普通にきちんと読んだ人ならわかるはずです。
この本は読む値しない噴飯ものです。
先生は親殺しできなかった→大人になれなかった
ということだけです。
フロイト的に解釈すれば確かにそうだが、そんな解釈をすることに一体どんな意味があるのでしょうか?
先生が「子供」のままだったとしたら、彼の遺書など読むに値しない自己弁護の文章ということになりますから、従って『こころ』も無価値な小説に成り下がります。
この著者は自分の解釈に都合の良い部分だけを抜き出して正当化しているだけです。
漱石が先生という人物をそんな意図で造形したわけがない。『こころ』を普通にきちんと読んだ人ならわかるはずです。
この本は読む値しない噴飯ものです。
2005年8月18日に日本でレビュー済み
多感な高校時代に現代文で「こころ」と出会ったときは、「三角関係!自殺!ああ、漱石ったら大胆!」と物語の表面的部分に衝撃を受けただけにすぎなかった。それが、10年経った今、恋愛や社会生活の世知辛さや不条理を(少し)経験した私が、「こころ」を再読すると、そこにはもっと複雑な人間関係や画策があることを発見するのである。そこで手に取ったのが本書「「こころ」大人になれなかった先生」。本書では、漱石の文章が持つ絶妙なニュアンスに仕掛けられたトリックやヒント(日本語ってすばらしい!)、登場人物の心理状態、人間関係での葛藤、策略、エゴに関する著者の考察が、平易な言葉で明快に紹介・解説されている。特に、脇役である、奥さん(静)と友人Kに対する考察が秀逸で、本書を読めば、この両者に対する見方が変わることうけあい(実は、私が「こころ」を再読して一番印象深いのも、奥さんのキャラクターだった)。静の分析だけで1章分あることから見ても、登場回数の少ない彼女が、実はただ者でないことを物語っている。本書は、推理小説の謎解きをするかのように、私達を名作の奥深さ、文豪の実力に導いてくれる。
2006年9月8日に日本でレビュー済み
今までよく読まれていた「こころ」が、まるで見知らぬ構造を持って蘇ってきた面白さは、たとえようが無い。推理、推論、仮定、仮説、そして、恋の鞘当ても友情も三角関係も然り…、そういった事柄がアナグラムのように、時と場所を移して、置き換えられ読み替えられていく妙を味わうことができた。
「先生(私)」の在り方は昔から論議されていたところではあるが、「青年(私)」「お嬢さん(奥さん・静)」の在り方は斬新で、妙に納得させられるリアルなドラマ感があった。要は人間は目の前に見えている通りであるはずが無く、その中には他人に知られないような自分を、意識するしないを別にして隠し持っているのであり、この小説の構造・か枯れ方もそうなのだということを改めて認識させてくれた。
「親殺し(先生殺し)」「父を乗り越えて大人になる物語(大人ごっこをしている子供たちの物語」という切り口には、ただただ唸らされてしまう。教科書の「こころ(先生)像」のイメージを払拭するこの本は、人間というものの捉え方(小説の読み方)に、新しい光を当ててくれるものだ。
「先生(私)」の在り方は昔から論議されていたところではあるが、「青年(私)」「お嬢さん(奥さん・静)」の在り方は斬新で、妙に納得させられるリアルなドラマ感があった。要は人間は目の前に見えている通りであるはずが無く、その中には他人に知られないような自分を、意識するしないを別にして隠し持っているのであり、この小説の構造・か枯れ方もそうなのだということを改めて認識させてくれた。
「親殺し(先生殺し)」「父を乗り越えて大人になる物語(大人ごっこをしている子供たちの物語」という切り口には、ただただ唸らされてしまう。教科書の「こころ(先生)像」のイメージを払拭するこの本は、人間というものの捉え方(小説の読み方)に、新しい光を当ててくれるものだ。
2007年8月2日に日本でレビュー済み
高校時代の教科書で読んだ「こころ」と"大人"になってから再読する「こころ」。読者の中でのその大きな違いは、「奥さん」=「静」に対する評価ではないだろうか。本書では、「静=全てを知っていた策略家」の可能性について、論理的かつスリリングに言及されている。さらに、テクストには、先生の死後に青年と奥さんが一緒に生きていくことが示唆されているともしているが、私は本書で青年と静の歳の差が2〜3歳である可能性が高いことを初めて知りとても驚かされた。
タイトルにあるように、「大人になれなかった先生」という切り口でのこころ論が展開されている。しかし、本書の真骨頂はやはり静をめぐる考察ではないだろうか。概ね大変面白く読めたが、欲を言えば、当時の女性が生きていくためにはある程度の策略が必要であった背景についての考察があればもっとよかったように思う。
タイトルにあるように、「大人になれなかった先生」という切り口でのこころ論が展開されている。しかし、本書の真骨頂はやはり静をめぐる考察ではないだろうか。概ね大変面白く読めたが、欲を言えば、当時の女性が生きていくためにはある程度の策略が必要であった背景についての考察があればもっとよかったように思う。
2007年1月24日に日本でレビュー済み
テクスト論という視点から、馴染みの作品を論じられると、今まで考えてみもしなかった読みを提示され面食らうことがままあります。「こころ」という、その大部分を語りによる物語を、やれ後期三部作だ、エゴイズムだのと(例えば、教材として教えるために身勝手に)捉えてきた自分のようなものにとって本書は、思わず赤面し猛省を促されるばかりの肩身の狭い思いをさせられた作品です。内容についてのなんの説明にもなりませんが、長い時間をかけて「こころ」という作品に接してきた人にはぜひ読んでいただきたい一冊です。