1789年のバスチーユ監獄襲撃、92年のチュイルリー宮襲撃、翌年のルイ16世とマリー・アントワネットが処刑。フランス革命といえば大体そんなイメージでした。本書では87年〜95年までの10の騒動・暴動を分析し、動機と力学のダイナミズムを解明しています。
面白いエピソードとしてはバスチーユ襲撃の動機は一般に考えられているように政治囚の開放ではなく、砲台のある監獄に持ち込まれた火薬の捜索と奪取でありました。その火薬が民衆の虐殺に使われると思われたからです。
群集は革命を構成する騒動と暴動に「参加」したと同時に「扇動」されました。食料の窮乏あるいは急騰が動機となることもありましたが、デマによる扇動、そして民衆のパニック行動が騒動を推し進めました。民衆は旧体制に雇われた囚人やならず者集団の襲撃があるというデマを吹き込まれることによって武装化をそそのかされ、自身は必ずしも意図しなかった全く別の騒動に動員されていったのです。民衆の扇動には太鼓とスローガンが用いられました。現代の祭りやイベントに使われる大衆動員技術のさきがけですね。因みに92年には囚人1000人〜1400人が民衆によって虐殺される9月事件が発生しています。
フランス革命と言えば自由・平等を掲げた市民革命のイメージがありますが、フランス革命は決して民衆起源の革命ではありませんでした。支配階級内部の対立と分裂がもたらした権力闘争に群集が合流したというのが実相のようです。騒動=革命の進展に伴いパリの各地区には自発的な市民集会が発生しますが、リーダーたちは間もなくコルドリエ・クラブやジャコバン・クラブなどの政治集団に吸収され、ブルジョワジー内部の政治対立の線に沿って組織化されていきました。群集を構成する労働者・細民層は社会階級の実態としては甚だ曖昧なものであり、自発的に高度な組織化はなしえないというのは現代に通じる真理といえます。
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フランス革命と群衆 新装版 (MINERVA西洋史ライブラリー 18) 単行本 – 1996/7/1
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社ミネルヴァ書房
- 発売日1996/7/1
- ISBN-10462302668X
- ISBN-13978-4623026685
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
フランス市民革命において、「群衆」とはどのような人々によって構成されていたのか。その「群衆」を衝き動かした動機とは何か。パリの警察記録その他の資料から、革命前後におけるパリの「革命的群衆」とその実像を活写する。
登録情報
- 出版社 : ミネルヴァ書房 (1996/7/1)
- 発売日 : 1996/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 352ページ
- ISBN-10 : 462302668X
- ISBN-13 : 978-4623026685
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,382,186位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 682位フランス史
- - 3,768位ヨーロッパ史一般の本
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