神聖ローマ帝国を扱った書籍というと、大体が帝国後期というべきハプスブルク以降を扱っていて、帝国前期をメインに扱った書籍は、日本では非常に少ない。講談社現代新書の菊池良生「神聖ローマ帝国」は、カロリング朝末期から、1806年までの滅亡を、全時代まんべんなく扱った珍しい書籍だが、この本を読んで、この帝国に興味をもち、もう少し詳しく知ろうと思った読者にとって、962年からルクセンブルク朝に至る前期を扱った書籍がなかなか見つからないのが現状ではないか。
「皇帝と帝国」は、そのようなニーズに充分に応えてくれる。通史では名前が触れられる程度の初代国王コンラート1世やハインリヒ1世はじめ、カロリング朝末期の情勢にも触れていて、通史では満足できなかった「そこが知りたかった」という点を随所で満たしてくれる。
本書の前半は帝国の称号や領域、後半は皇帝と教皇を軸に、ともに時代を追う記載となっている。一見似たような内容の繰り返しとさえ思えるが、もし本書1巻全体で、時代順の記載がなされていたら、途中で倦んでしまう読者もでるかもしれない。帝国と皇帝と分けることで、同じテーマの書籍を2冊読むような感覚に陥り、退屈しない。
単純に「皇帝」と日本語で記述していても、当時ラテン語、ドイツ語でどのように記載されていたのか。例えば「皇帝」を菊池良生では「皇帝アウグストゥス」と訳し、本書では「崇高なる皇帝」と訳す。一体本当の称号はなんだったのか。実は原語では「imperator augsutus」どちらも正しいのである。そーだったのか。本書のあちこちで、知的得心が得られると思う。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
西欧中世史事典 2 (MINERVA西洋史ライブラリー 69) 単行本 – 2005/12/1
皇帝と帝国
- 本の長さ295ページ
- 言語日本語
- 出版社ミネルヴァ書房
- 発売日2005/12/1
- ISBN-104623039307
- ISBN-13978-4623039302
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : ミネルヴァ書房 (2005/12/1)
- 発売日 : 2005/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 295ページ
- ISBN-10 : 4623039307
- ISBN-13 : 978-4623039302
- Amazon 売れ筋ランキング: - 906,275位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,419位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
1グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ