大学の一般教養の講義で使われたりするのだと思うが、
それだけではもったいないくらいの良書だと思う。
本書は、「Ⅰ政治学の基礎概念」、「Ⅱ自由民主主義の理念」、
「Ⅲ自由民主主義の制度・政策」、「Ⅳ現代政治の諸問題」、「Ⅴ政治の省察」の
５章からなり、そのそれぞれの章において、鍵になるようないくつかの概念を
取り上げて、政治学の古典や名著からその概念を学ぶような構成になっている。
例えば、「Ⅱ自由民主主義の理念」においては、「自由」について
バーリンの『自由論』を、「デモクラシー」についてルソーの『社会契約論』と
シュンペーターの『資本主義・社会主義・民主主義』を、「平等」について
ロールズの『正義論』とドゥーキオンの『平等とは何か』を、
「ナショナリズム」についてミラーの『ナショナリティについて』といった具合である。
いずれも冗長にならないように名著のエッセンスを紹介しつつ、
読み手に対して考えさせたり、問題提起をしたりして、学びの端緒を与えてくれる。
「自由」、「平等」、「立憲主義」など、日常的によく耳にして、
理解しているような気になっている、政治学のキーとなる概念を学べるだけでなく、
様々な問題意識を持つきっかけともなり、古典の名著の道案内をもしてくれる良書。
大学で一般教養を学ぶ学生だけでなく、社会人が教養として読んだり、
学び直しで読んだりする際にも非常に有益だと感じた。
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