古代社会における歴史や時間などの観念が論じられる本です。古代人の宇宙観や時間感覚などが、該博な知識と豊富な具体例で論じられています。M・エリアーデはルーマニア出身の宗教学者ですが、この本の副題に「歴史哲学序説」の名を与えたい(p.1)と述べています。そういうことも手伝って、この本の内容は、宗教学だけでなく哲学を学ぶ読者にとっても有益なものだと思います。
「第一章・祖型と反復」では、通常「単純文化」と呼ばれる世界と、古代文明で繰り返される営為が論じられます。神々や祖先や英雄がかつて行った行為が模倣されたり、英雄が真似るべき模範として神格化されたりする営みなどが語られます。
「第二章・時間の再生」では、古代世界における時間の終わりと始まりが論じられます。不断に過ぎ去るのではなく創造の瞬間へと回帰する時間モデルが提示されます。
「第三章・不幸と歴史」では、歴史の中で起こる災いを人々がどのように耐え忍んだのかが論じられます。無意味に思える苦しみに意味付けする宗教の役割や、災いを刻印しながら終末へと直進するキリスト教の時間モデルなどが解説されます。
「第四章・歴史の恐怖」では、古代の歴史観と近現代の歴史観が、対比されつつ論じられています。新奇なものを好み、歴史と進歩に取り憑かれた近現代人にとっての絶望とキリスト教信仰の在り方が描かれます。
永遠回帰はエリアーデだけでなくニーチェが用いる術語としても知られていますが、この本ではニーチェに関してはあまり(というかほとんど)言及されていません。したがって、この本で論じられる祖型や始源への回帰とニーチェの永遠回帰思想の関係については、読み終えても曖昧な点が残りました。この本自体は神話や歴史を解釈する際に有益な文献だと思います。
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永遠回帰の神話 - 祖型と反復 単行本 – 1963/1/1
ミルチャ・エリアーデ
(著),
堀 一郎
(翻訳)
歴史時代以前の古代伝承社会における基本的観念を「偉大なりし始源の時代」への周期的回帰の観念のもとにとらえ、歴史哲学的側面より古代心性を明らかにする。
目次
はしがき
第一章 祖型と反復
問題
地域・寺院・都市の天空的祖型
中心のシンボリズム
宇宙創造の反復
儀礼の神的モデル
俗的活動の祖型
神話と歴史
第二章 時間の再生
年、正月、宇宙開闢
天地創造の周期性
時間の継続的再生
第三章 不幸と歴史
苦悩の正常性
神の示現としてみられる歴史
宇宙の周期と歴史
運命と歴史
第四章 歴史の恐怖
永遠回帰神話の残存
歴史主義の難点
自由と歴史
絶望か信仰か
訳者あとがき
用語解説
参考文献
索引
目次
はしがき
第一章 祖型と反復
問題
地域・寺院・都市の天空的祖型
中心のシンボリズム
宇宙創造の反復
儀礼の神的モデル
俗的活動の祖型
神話と歴史
第二章 時間の再生
年、正月、宇宙開闢
天地創造の周期性
時間の継続的再生
第三章 不幸と歴史
苦悩の正常性
神の示現としてみられる歴史
宇宙の周期と歴史
運命と歴史
第四章 歴史の恐怖
永遠回帰神話の残存
歴史主義の難点
自由と歴史
絶望か信仰か
訳者あとがき
用語解説
参考文献
索引
- 本の長さ278ページ
- 言語日本語
- 出版社未来社
- 発売日1963/1/1
- ISBN-104624100026
- ISBN-13978-4624100025
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登録情報
- 出版社 : 未来社 (1963/1/1)
- 発売日 : 1963/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 278ページ
- ISBN-10 : 4624100026
- ISBN-13 : 978-4624100025
- Amazon 売れ筋ランキング: - 378,725位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,255位宗教 (本)
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