この事件は、いつも「人肉を食べた」ことばかりがクローズアップされがちですが、、私が、この事件を振り返るたび、繰り返し胸を突かれるのは、人肉を食べただけでは、彼らは決して救われることはなかった、、、という点です。
私が最も驚愕したのは、墜落から60日目、あの極寒の4300mの雪山の中、装備なしで仲間のもとを出発し、「自力での脱出しかない」という現実に立ち向かったパラード氏の勇気にあります。しかも、それは2〜3日の行程ではなく、3日目にやっとのことで山頂に辿り着いて見たら、どこまでも山また山の景色、そこで脱出の不可能性を思い知るところは、他の読み物や体験談では決して味わえないものではないかと思います。そこで、「自分たちは全員、必ずこの山中で死ぬ」という思いに打ちのめされそうになりながら、それでもパラード氏は、「死よりも強いものの存在」に気付かされ、「必ず父の元へ帰る。」という愛の力が漲ってくるところが最も印象的です。彼らは全員カトリックで、神の存在に対する対し方もそれぞれ違っていますが、、雪崩で亡くなった信心深いラグビー部のキャプテンの信仰が、困難を前にして意外に脆かったところも印象的でした。信仰と、神様の存在についても、考えさせられます。
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アンデスの奇蹟 単行本 – 2009/3/13
ナンド・パラード+ヴィンス・ラウス
(著),
海津正彦
(翻訳)
1972年にアンデス山中に墜落した飛行機の乗客が救助されるまでの72日間を、生還者みずから語るノンフィクション。この事件は、「死体を食べる」ことがクローズアップされて話題になりましたが、本著は、墜落機のある雪山から人の住む放牧地まで救助を求めて脱出した本人が生還までのディテールを記し、そのときの心情も交えて叙述した作品です。興味本位のカニバリズムだけではなく、生存者本人が語る生への意志と宗教観が描かれたノンフィクションとして、アメリカだけでなく世界二十数カ国でベストセラーの邦訳。
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社山と溪谷社
- 発売日2009/3/13
- ISBN-104635178188
- ISBN-13978-4635178181
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登録情報
- 出版社 : 山と溪谷社 (2009/3/13)
- 発売日 : 2009/3/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4635178188
- ISBN-13 : 978-4635178181
- Amazon 売れ筋ランキング: - 203,300位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 26位事故関連
- - 57位災害
- - 758位登山・ハイキング (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
余りにも感動的で、二日間で二回続けて読んでしまいました。そして数年ぶりにまた読み返して新たな感動がありました。
一緒に遭難して一緒に山を降りてきました。
死んだ方が楽だという考えを遠ざけたり、
普段着でも山に登るんだという気力を、失うどころかメラメラと燃えたぎらせ続けられたのは、
『父さんにもう一度会いたいという愛』であるということが様々な場面で伝わってきて感じ入ります。
やっぱり愛は強くて偉大である、と改めて思う事でした。
山越えして戻ってきた2人はもちろん生存者16名全員が、いわゆる心的外傷トラウマなく、その後の人生においてそれなりにあるいは、ものすごく幸せになっている事も非常に興味深い事でした。
手元にこの本をおいて、また一緒にアンデスを経験したいと思っています。
一緒に遭難して一緒に山を降りてきました。
死んだ方が楽だという考えを遠ざけたり、
普段着でも山に登るんだという気力を、失うどころかメラメラと燃えたぎらせ続けられたのは、
『父さんにもう一度会いたいという愛』であるということが様々な場面で伝わってきて感じ入ります。
やっぱり愛は強くて偉大である、と改めて思う事でした。
山越えして戻ってきた2人はもちろん生存者16名全員が、いわゆる心的外傷トラウマなく、その後の人生においてそれなりにあるいは、ものすごく幸せになっている事も非常に興味深い事でした。
手元にこの本をおいて、また一緒にアンデスを経験したいと思っています。
2014年9月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうなんでしょう?字が小さすぎて読みにくい(ろうがんだから)ま、本が好きな人なら読んでみるといいかもね?
最初から本ではなくDVDにしとけば良かった。
最初から本ではなくDVDにしとけば良かった。
2011年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「生存者」を読みました。私は、全く、事故のことを知らなかったです。こちらは、事故で助かったナンド・パラードの回想録?なのですね。アンデスの高い山に墜落して、亡くなった方もいて、救助されるまでの70日の間に亡くなった方もいて、それでも自力で山を降り、助けを呼ぼうとしたのには、ただただ驚きです。私のような意気地の無い人間は、こんなことになって生きているよりも、早く天に召されたいと、メソメソするのが関の山。しかも救助される間、利用できる物など、ほとんど何も無いのに、そこにある物を利用して、みんながそれぞれ役割を果たしていることには、感動を覚えました。70日の間、何を食糧にしていたかということについては、一瞬躊躇しましたが、生きて、生かされている人たちの、生きようとする力に引き寄せられました。ただ、私にはそうした「どうでも生きよう、生き抜くんだ」という気持ちがありません。だから、パラードの書いた文章を読んで、彼から少しでも、生きるための…なんといえばいいのか…何かがつかめたら…と思います。どちらから読んでもいいと思いますが、まずは「生存者」を読んで、全体を知ると良いように思います。
2022年1月25日に日本でレビュー済み
ウルグアイ空軍機571便墜落事故に巻き込まれ、奇跡の生還を果たした生存者16人だが、生還に至るまでの軌跡は16人で異なる。
体験が異なれば、そこから得られる教訓も異なる。
従兄弟が全員生還したフィト・ストラウチは、これは神が起こした奇跡だと考えた。
ナンド・パラードは神はなぜ自分を生かし母や妹を死なせたのかという問いに、納得できる答えを見つけることが出来なかった。
「生存者」では描かれなかった、生還できなかった青年アルトゥロ・ノゲイラとの極限環境下での、神に関する異端的な問答は、それだけでも読む価値がある。
この本にはロベルト・カネッサでも、フィト・ストラウチでもない、ナンド・パラード個人のアンデスの記憶と、そこから得られた教訓が記されている。
体験が異なれば、そこから得られる教訓も異なる。
従兄弟が全員生還したフィト・ストラウチは、これは神が起こした奇跡だと考えた。
ナンド・パラードは神はなぜ自分を生かし母や妹を死なせたのかという問いに、納得できる答えを見つけることが出来なかった。
「生存者」では描かれなかった、生還できなかった青年アルトゥロ・ノゲイラとの極限環境下での、神に関する異端的な問答は、それだけでも読む価値がある。
この本にはロベルト・カネッサでも、フィト・ストラウチでもない、ナンド・パラード個人のアンデスの記憶と、そこから得られた教訓が記されている。
2009年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1972年、アンデス山脈に航空機が墜落、70日以上も経たあとに45名中最終的には16名が奇蹟的に生還した事故は記憶の片隅にあった。
生存者は飢餓極まり、亡くなった仲間の死肉を口にしたという衝撃的事実だけがクローズアップされたが、これは生存者の中でもアンデス山脈を越え、チリに救援を求めるために仲間のひとりと強行軍を実行したナンド・パラード氏のいわば回顧録。
読んで驚嘆、「ありえない!!」。極寒のアンデス山脈、飢餓、渇きとの戦い、仲間の遺体を口にする決断の過程などが生々しい。たびたび出てくるのが死を容認するまで追いつめられたときに感じる神の存在と生きる意志と意味について。個々人でそのとらえ方が違うのが興味深い。
5000m近い天を突くアンデス山脈を装備もないまま縦走する10日間。驚愕の意志の力だ。どのような状況にあってもあきらめるなということか。
生存者は飢餓極まり、亡くなった仲間の死肉を口にしたという衝撃的事実だけがクローズアップされたが、これは生存者の中でもアンデス山脈を越え、チリに救援を求めるために仲間のひとりと強行軍を実行したナンド・パラード氏のいわば回顧録。
読んで驚嘆、「ありえない!!」。極寒のアンデス山脈、飢餓、渇きとの戦い、仲間の遺体を口にする決断の過程などが生々しい。たびたび出てくるのが死を容認するまで追いつめられたときに感じる神の存在と生きる意志と意味について。個々人でそのとらえ方が違うのが興味深い。
5000m近い天を突くアンデス山脈を装備もないまま縦走する10日間。驚愕の意志の力だ。どのような状況にあってもあきらめるなということか。
2014年5月7日に日本でレビュー済み
「事実は小説より奇なり」の真骨頂とも言える
'72年の「アンデス山脈での飛行機事故」の当事者が
'06年に書き、'09年に日本語に翻訳された本です。
筆者は、墜落現場を離れ救助を求めて5,000mの山を登ったその人です。
この事故は当時知っていました。
しかし彼らが死んだ仲間を食べて生き延びた事が生々しく、
詳しく知りたいとは思いませんでした。
しかし40年以上過ぎたので事実を知りたくて読みました。
極限状態でのリーダーの資質や、勇気、知恵なんかも含め感じる所が
たくさんありました。
ただ文字では書ききれない所もたくさんあるでしょうから、
映画も観たいと思いました。
'72年の「アンデス山脈での飛行機事故」の当事者が
'06年に書き、'09年に日本語に翻訳された本です。
筆者は、墜落現場を離れ救助を求めて5,000mの山を登ったその人です。
この事故は当時知っていました。
しかし彼らが死んだ仲間を食べて生き延びた事が生々しく、
詳しく知りたいとは思いませんでした。
しかし40年以上過ぎたので事実を知りたくて読みました。
極限状態でのリーダーの資質や、勇気、知恵なんかも含め感じる所が
たくさんありました。
ただ文字では書ききれない所もたくさんあるでしょうから、
映画も観たいと思いました。
2009年5月12日に日本でレビュー済み
実は救出直後に生存者16人を個別に詳しくインタビューして書かれたベストセラーノンフィクションの「生存者」(ピアズ・ポール・リード著)の存在を本書を読んで初めて知った次第。
その「生存者」とは異なる視点を意識して、今度はアンデスから歩き通しで脱出したナンド・バラード一人の視座を中心に据えて書かれた本書。
なるほど、ナンドの事故直後の昏倒から覚醒した後の心理の変化はよくわかりますが、あくまで視点はナンド。「生存者」は未読なのですが、こういうモノローグで読んでも映画「生きてこそ」の感動には及ばないような気がしたのは映像と文章のギャップだけが理由では無いような気がします。
誰か一人のヒーローの大活躍によりこの奇蹟が実現したのではなく、生存者全員の意志力が生還へと導いた・・・。やはり「生存者」のほうを読んでみたくなりました。
その「生存者」とは異なる視点を意識して、今度はアンデスから歩き通しで脱出したナンド・バラード一人の視座を中心に据えて書かれた本書。
なるほど、ナンドの事故直後の昏倒から覚醒した後の心理の変化はよくわかりますが、あくまで視点はナンド。「生存者」は未読なのですが、こういうモノローグで読んでも映画「生きてこそ」の感動には及ばないような気がしたのは映像と文章のギャップだけが理由では無いような気がします。
誰か一人のヒーローの大活躍によりこの奇蹟が実現したのではなく、生存者全員の意志力が生還へと導いた・・・。やはり「生存者」のほうを読んでみたくなりました。