焼肉の特徴としてP3「朝鮮の焼肉料理に起源がある。」
日本と韓国の焼肉の共通点としてP162「肉は薄く切って、下味をつけてから焼くのを基本とする。」
著者にとっての焼肉の前提条件が書かれている。
著者の佐々木氏がイメージしている“焼肉”は微妙に日本人がイメージしているものと違うのではないか？日本の焼肉店の焼肉はもちろんタレに漬け込んであるものもあるがこれは韓国式焼肉を真似たもののようで、日本では通常“生肉”ではないのか？食する客には知られていないだけで、あの生肉にはすでに下味処理がされているのか？
ところが韓国での焼肉の発展としてP152には日本式焼肉店の出現について『その焼肉は「下味をつけない生肉を炭火で焼いて、各種のソースを付けて食べる」』とある。著者はすでに日本の焼肉が下味のついていない生肉だと知っているのではないか？
そしてツケダレにしても韓国焼肉にもツケダレはあったとしてP170「料理を醤油などで調味して食べるのは東アジアに共通する文化で、焼肉のツケダレもそうした料理文化の一翼を担ったものといえる。ツケダレ式が日本の焼肉の特徴というのは事実では無いのである。」とまとめてあるのだが、そのツケダレの原材料が何かが問題なのであって日本固有の“醤油・みりん”がメインのツケダレならばそれは日本の焼肉の特徴なのではないか？このような誤認は「日本文化を知らない日本人」の思考と言わざるを得ない。
拉麺は中国発祥であるが、現在世界で人気を得ている“ラーメン”は日本文化から発祥した「日本の」ラーメンである。韓国に焼肉があってもかまわないが今後世界に広まった“日本式焼肉”が「韓国の」焼肉だと言われるようであれば腹立たしい。P174のおわりにでは「組み替えをし、考え直し、調べ直す作業を何度も繰り返したが、こうしてやっと納得のいくストーリーにたどり着くことができた。」と書かれている本書の内容は歪んだ部分がかなりあるように思う。
韓国にも「韓国式」焼肉があり、「塩もみ式」「タレもみ式」「盛り合わせ式」など内容により専門店に分かれて日本のように一皿にいろいろな肉を注文しない／韓国では女給が肉を焼いて客はそれを食べる。日本のように自分で焼かないというような知識は初めて知って驚いた。
2011年3月25日に初版発行とある。様々な本を参考資料に用いている著者の努力は評価したい。
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