昨年度まで私が使っていた携帯用六法の中で最良だと思われたのは、
三省堂のコンサイス判例六法だった。
小型六法の王者であるポケット六法の欠点（判例が付いていない）と、中型六法の王者
である模範六法の欠点（重くて持ち運びにくい）を見事に克服していたからだ。
その点、昨年度版までの有斐閣の判例六法は、大きさも中途半端（小型でも中型でもない）
で、ターゲットも学生なのか実務家なのかがはっきりしない、極めて中途半端な代物だった。
しかし、今年度版の有斐閣の判例六法は、昨年度版までの弱点を見事に克服し、
コンサイス判例六法を超えて、これ以上ないくらい使い勝手の良い六法に生まれ変わった。
まさに、法学系のトップブランドである有斐閣の革命である。
今年度版の有斐閣の六法は、明らかに三省堂の六法への対抗意識が見てうかがえる。
実務家用の中型六法の分野では、三省堂の模範六法に対して判例六法プロフェッショナルを。
学生向けの小型六法の分野では、三省堂のコンサイス判例六法に対してこの判例六法を。
ともに、価格面でも三省堂の六法よりも少し安く抑えられている。
（判例六法プロフェッショナルが5000円＋税、判例六法が2500円＋税）
それでは、今年度版の有斐閣の判例六法は一体何が違うのか。
まずは、大きさが小型六法並みに小さくなり、持ち運びに便利になったことである。
確かに、収録判例数は減ってしまったかもしれないが、学生が使う分にはほとんど問題ない。
そして、条文と判例が一目で区別できるように二色刷りになっていることである。
判例の部分は青く表示されているから、条文だけを参照したいときは、
その青い部分を飛ばして探せば良いので、これはかなりありがたいことである。
また、昨年度までのものよりも価格が1000円以上安くなっていることである。
つまり、法学部生や法科大学院生等にとっては非常に購入しやすくなったということである。
さらに、有斐閣の判例六法がこれまで有していた利点、例えばカナカナ表記の条文が
ひらがな表記に直されていたり（手形・小切手法など）、有斐閣だからできる判例百選や
重判との対応もきちんと記載されている。これは他社では決してできないことである。
しかも、判例の事件名索引が付いているのは、最低の基礎知識くらいはある学生にとっては
本当にありがたい。（例えば、判決の年月日までは覚えていなくても、マクリーン事件や
宇奈月温泉事件などの事件名なら知っているという人が調べるのには非常に好都合）
そんなわけで、今年度版の六法で何を買おうか悩んでいる人は、実務家でもない限り、
この有斐閣の判例六法が最も使いやすく、内容も充実していて、是非オススメしたい。
実際に購入して他社の六法と比べてみれば分かるが、現在これ以上の携帯用六法はない。
特に法学部生や法科大学院生等は、選択が税法等でもない限り、この六法が一番良いと思う。
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