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大学のエスノグラフィティ 単行本 – 2005/4/1

4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

商品の説明

出版社からのコメント

「大学」特有の学び・研究のありようとは何だろう?――東大駒場で長年にわたり「儀礼・演劇・スポーツ」(強化合宿あり)ゼミ,通称「船曳ゼミ」を運営している著者が,大学という場で行われている研究者・学生の日常的な営みを,リアルに描き出す。『書斎の窓』に好評連載されたエッセイ「ゼミの風景から」(本書第1章)に大幅に書き下ろしを加えた。研究者・教育者・組織人……多面的な「大学人」の生態を著者の経験から解き明かす。いま大学とは何かを考える際必読の書。

抜粋

はじめに
 いまは大学にとって過渡期かも知れません。かも知れません、と確信がないのは、変化していることは感じられても、どこに行くのかが分からないので、過渡期ではなく、たんなる大学の消滅期である可能性もあるからです。これは大げさではなく、大学の形骸はあってもその実質が失われて、たんなる研究所の集合体、かつ各種学校の集合体として残るだけのような不気味さも感じています。少なくとも「これまでの大学」の消滅は十分あり得ます。
 しかし、大学が便利な考え、効果のある道具、を作り出すだけのところではなく、その先まで突き詰めて考えるところであり、そのことによって生まれる「原理」が現実から乖離しているように見えても、それは現実事象が正しくとらえられていないから、それは現実世界の方が追いついていないから、と主張するひた向きな人たちで作られている限り、その中身は、今後も変わらないと思います。つまり、そうした人間たちが構成する大学には、第1章「ゼミの風景から」で明らかにした学ぶ行為と師弟関係があり、第2章「大学教授の一日と半生」で描いた生活があり、第3章「大学の快楽と憂鬱」で表した喜びと苦しさがあり、第4章「大学人の二足のわらじ」で示した課題が残りゆく、と考えるからです。
 その意味では、この本は現在を書いて、大学というものの常のあり方を見てみようというところがあります。その時、私がある大学のある研究をしている一人の個人であることは、描く大学像に不足やゆがみをもたらさないか、という問題が出て来ます。それはもとより認めるところです。個人の一視点から大学がどのように見えるか、その中に、どのような大学の本質といえるようなものがかいま見えるか、が狙っているところですから。また、読者の中には私が属している東京大学は特別の大学で、そこは平均的でもなく、一般的でもなく「大学」全般をとらえるには不適当と思う読者もいらっしゃるかも知れません。しかし東大が真の意味で「ユニーク」なほどには日本の教育界に多様性はありません。良くも悪くも東大は、日本の大学の典型だと考えます。
 ただ、大学がいま過渡期にあるとしたら、私の描く大学が、過去に長く続いた大学の姿と、現在変わりつつあるもののあいだを揺れることになります。実際、この本にはそうしたところがあり、どちらが大学の真の姿なのか、という疑問を読者が持つかも知れません。しかし、むしろそうであるからこそ、大学のいまの姿を、その二つの違いの間で「動いているもの」として表現することになるかも知れないと考えています。
 本の題名にある「エスノグラフィティ」は、私の畏友落合一泰氏が、その著書のタイトル『ラテンアメリカン・エスノグラフィティ』に使われた造語を借りました。私の研究している文化人類学では、ある集団や社会の全体を記述したものを「エスノグラフィ」とよんでいます。しかし、この本は大学の生活を書いたものですが、そうした「全体」を描こうという構想はもとより無く、私の視点から切り取ったいくつかの大学についての「走り描き」を重ねたものになっていると感じられたので、こう名付けるのがふさわしいと考えたのです。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 有斐閣 (2005/4/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2005/4/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 203ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4641076987
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4641076983
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

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船曳 建夫
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上位レビュー、対象国: 日本

2018年5月21日に日本でレビュー済み
 新聞の書評欄にひかれて読んでみた。著者は文化人類学を専門とする東大教授だが、本書では堅苦しい学問的な話は殆どない。著者の東大における体験を基に、大学人の生態をエッセイ風に綴ったおもしろい読み物である。全体の構成は、第一章がゼミの話、第二章が大学教授の話、第三章が大学という組織の話、そして終章が大学人の2足のわらじという話である。

 新聞の書評にあったように、どの章も「よくぞここまで書いたな」という気がする。例えば、第一章ではゼミ内のストーカー騒ぎ、第二章では著者の体験的大学教授の日常、第三章では教授会での暇つぶし、終章では博士論文の認定騒ぎなどなど。どれもこれも実際に起こった話であり、自分ならどう対処しただろうかと少し考えさせられる。ストーカーの他にも、アカハラやセクハラ、ゲイなどといった今日的話題も扱われており、まさにエスノグラフィティ(この言葉自体は造語に近いが)。しかしそんな風に著者の生々しい体験が散りばめられてはいるものの、この種の本によくある下品な暴露ものには堕していない。この辺は流石に東大教授の知性である。

 本書の白眉は第一章と第二章であろう。文章にも力がこもっており、若い学生や同業者である大学の教員に対するそこはかとない愛が感じられる。終章の古参教授による博士論文提出事件もエピソードとしてはおもしろかった。詳細は本書をお読みいただきたいが、心ならずも賛成〔反対〕票を投じ、後で色々と言い訳をする教員の様は、丁度昨今の郵政民営化論議と重なって「ああ、どこでも同じか」と思う。著者の大学教授(という人種)に対する諦観は明らかだが、また全く失望もしていない、というところに一抹の救いを見た。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2005年5月12日に日本でレビュー済み
~淡々と大学教師の生態を書いているのだが、読んでいると、こんなこと書いていいの、と思ってしまう。大学の憂鬱、教授の一日、教授会の生態、セクハラ、と知っているようで知らないことばかりで面白い。前半の「ゼミの風景」は、ハウツーっぽいところもあるし、ちょっと泣かせる。あっという間に読んでいた。読み終わって、他の大学教師が読むとオレもこうい~~うこと書きたかったんだと思うんだろうな、と思った。大学関係者の感想やコメントを聞いてみたい。~
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2005年8月5日に日本でレビュー済み
 著者が主催するゼミは希望者が多く、入りたくても入れない学生のリストがあるそうです。本書では、まず、この伝説の船曳ゼミをどのように主催し運用しているかを語ります。
 ゼミでは教師と学生が対面的に出会う関係に入りますから、良くも悪くも「全人教育」の要素が入ってしまいます。その人間臭さを極力排除する教授もいますが、著者は違います。
 お互いに良い関係を結ぶためにも、著者は、ゼミ希望者に2度面接してから決める、という手順を踏みます。その面接での質問のしかた、学生を選ぶ視点、ゼミ幹事・師範代のあり方などの具体的手順を明かすと同時に、手加減を忘れて学生を泣かせてしまった苦い経験や、セクハラ、逆縁(年下の学生が教授や親より先に死んでしまうこと)など、深刻な問題も淡々と記述しています。
 第2章「大学教授の1日と半生」では、文字通り、著者の典型的な1日の過ごしかたを示して、いかに雑用と闘いながら本来の「仕事」(研究のこと)をする時間をひねり出そうとしているかを明かします。また、学生から大学院、助手、講師などを経て、どのようにキョウジュとなるか、について出世魚に例えて、具体的な生態を示します。これから学問の世界で身を立てようとする人には常識なのでしょうが、なかなか面白いです。
 興味深かったのは、大学教授の最大資質として著者が挙げているのが、「反撃的意思」と「情報収集力」ということです。
 ものを考えるのが好き、というだけではダメ。ものを考えたなら、それを人に知らせたい、そのことについて誤った考えがあれば正したい、という攻撃性――穏やかに言えば積極性――が必須とのこと。そのためには、相手を論駁するだけの情報を収集し、準備し、組み立てる能力も欠かせません。
 こういう、しつこいキャラクターでなければ、途中で挫折してしまうそうですので、良い子はマネをしないでおきましょう。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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