大江匡衡は、平安時代中期・藤原道長が栄華を誇った頃に生涯を送った人物。大江氏は、菅原氏と並び称されるほど学者一族としての認知が高かったため、その家の当主たる自負心と矜恃が匡衡を学問の道へ進ませた(当時の大江氏は、匡衡の「本家」よりも「分家」のほうが優れた文人官僚を輩出していたという)。ちなみに彼の妻は、『栄華物語』の作者に擬されることもある歌人・赤染衛門である。
しかし本書は、「文人」としての匡衡を評価するだけでなく、俗物根性丸出しの「官僚」としての匡衡像を描き出している点がおもしろい。むしろ、歌人としては二流だとする同時代の証言を織り込み、出世欲に燃える俗人としての側面が強調されている。
あまり家柄の高くない匡衡は、高位高官に就くことができなかった。今で言えば、国家公務員2種・一般職といったところだろうか。よりよい待遇を求めるために、匡衡は権勢を誇る道長や皇族のもとへ足繁く通い、自らの文才を誇示して私的な関係を築こうと画策する。政治家と密な関係を作ろうと奔走する、現代の官僚顔負けの貪欲さだ。
おまけに、神に捧げる祭文までコピペして使い回すなどという、とんでもない暴挙にも出る。本来の仕事に怠惰で、利権だけを追求する姿は、いつの時代の官僚にも当てはまる。
そういった観点からすると、自らの生涯を回顧した漢詩などは、出世に明け暮れた我が身を美化し正当化する自伝のようなものに思えてくる。けれど、決して憎めない。
本書は、平安時代を生きた人間を、卑近かつ生々しく描いた好著だと言える。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,980¥1,980 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,980¥1,980 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥1,096¥1,096 税込
配送料 ¥250 6月11日-12日にお届け
発送元: may books【適格請求書発行事業者/東京都公安委員会古物営業許可店】防水梱包で発送致します。 販売者: may books【適格請求書発行事業者/東京都公安委員会古物営業許可店】防水梱包で発送致します。
¥1,096¥1,096 税込
配送料 ¥250 6月11日-12日にお届け
発送元: may books【適格請求書発行事業者/東京都公安委員会古物営業許可店】防水梱包で発送致します。
販売者: may books【適格請求書発行事業者/東京都公安委員会古物営業許可店】防水梱包で発送致します。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
大江匡衡 (人物叢書 新装版 242) 単行本 – 2006/3/1
後藤 昭雄
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,980","priceAmount":1980.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,980","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"6rQ37vVTLaNy241aZJVQsnVYul4OJCdPrevwuTYh9boBmxvtQO2foIaI92AftXqIdzNJn2iZxQ5R1Hl6QTo9f82SBaflWdVp%2BdnB9zLMu3%2FY2swWTda9uXSkfmqJJbfT","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,096","priceAmount":1096.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,096","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"6rQ37vVTLaNy241aZJVQsnVYul4OJCdPKUks4chxI2Io1hcIfbxv8pChzS9ECBm9bZHbPB38og140uRbHm1YzWUNvVgy2TPRA40WrZr310%2BhxZKCsaIZWlbH9JvdfbC5gBjp6LSGF8AdP%2BbNqGdST%2B9Dve0ZLx0jh1bcfUPyD6KRiRH0Avyp%2FOs9SN3kX535","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社吉川弘文館
- 発売日2006/3/1
- ISBN-104642052356
- ISBN-13978-4642052351
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 吉川弘文館 (2006/3/1)
- 発売日 : 2006/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 228ページ
- ISBN-10 : 4642052356
- ISBN-13 : 978-4642052351
- Amazon 売れ筋ランキング: - 573,623位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 188位奈良・平安時代
- - 7,862位日本史一般の本
- - 96,686位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
3グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2006年4月21日に日本でレビュー済み
平安時代で有名な歌人赤染衛門を妻とした文章博士。漢詩文では大きな足跡を残しているが、日本文学史では目立たない存在であるかもしれない。平安朝における正当な文学「漢詩文」の世界に大きな足跡を残しているのだから、記憶にとどめなければならない文学者であろう。
漢詩が上位で和歌が下位という位置関係は、本来的な正式の文字として真名と呼ばれた漢字と、仮の文字としての仮名との関係と同じである。
平安朝の漢文の名篇を選録した『本朝文粋』には、匡衡は作者別では最も多い数の作品が収められていて、文人として重要な位置にあったことを示している。
個人漢詩集で現存するものは少ないが、匡衡には『江吏部集』があり、130首余りの詩と29首の詩序が収められている。
本書は大江匡衡の伝記である。千年前の漢詩人の生涯を丹念にたどっている。少年期、大学での修学、官途に就く、尾張赴任、京へ帰任、丹波守への遷任、そして死は1012年(6'T歳)であった。赤染衛門は多くの追悼歌を詠んでいる。一首を挙げておこう。
君とこそ春来ることを待たれしか梅も桜もたれとかは見ん
一般には『赤染衛門集』の方で亡夫として偲ばれていると言えるかもしれない(雅)
漢詩が上位で和歌が下位という位置関係は、本来的な正式の文字として真名と呼ばれた漢字と、仮の文字としての仮名との関係と同じである。
平安朝の漢文の名篇を選録した『本朝文粋』には、匡衡は作者別では最も多い数の作品が収められていて、文人として重要な位置にあったことを示している。
個人漢詩集で現存するものは少ないが、匡衡には『江吏部集』があり、130首余りの詩と29首の詩序が収められている。
本書は大江匡衡の伝記である。千年前の漢詩人の生涯を丹念にたどっている。少年期、大学での修学、官途に就く、尾張赴任、京へ帰任、丹波守への遷任、そして死は1012年(6'T歳)であった。赤染衛門は多くの追悼歌を詠んでいる。一首を挙げておこう。
君とこそ春来ることを待たれしか梅も桜もたれとかは見ん
一般には『赤染衛門集』の方で亡夫として偲ばれていると言えるかもしれない(雅)