テレビ番組で、平将門や崇徳院ほか、怨霊やその祟りについて取り上げられているのをよく見るが、そういう恐ろしい伝説(というか怪異)は聞いて知っていても、なぜ、どうして、彼らは怨霊になってしまったのか、伝えられている祟りというものはどの程度、信憑性があるのか、というと、私はあまり知らない。
「怨霊になった天皇(崇徳院)」を読んでみて、日本で怨霊として名の知られる人たちのことを、もっと知りたいと思い、タイトルにもひかれて、この本を手にした。
著者は、説明によると、人類学(人類史)の研究もしていらっしゃる方のようで、その時代の古い文献からも文章を引用し、当時の人々(や僧侶など)が怨霊・祟りといったものをどう捉えていたのか、ということも書いている。
それらは、現代に生きる者に、理解しやすくする手がかりともなるように思える。
怨霊とされた人たちのことばかりでなく、その後起こったこと、自然災害のような現象さえ、庶民たちには恐ろしく、しいたげられた魂を鎮めることでの平穏を祈る気持ちにも頷けた。
おもしろおかしく怨霊やその祟りというものを書くのでなく、人の情けや慈悲が、「怨霊と化した(とされる)人たちを鎮魂し」、現代になっても忘れられずに手を合わせられる存在であることにも、感情が揺さぶられた。
それぞれ、祀られている神社なども写真とともに場所が記されているから、人間の世界の安寧のために、訪れてみるのもいいだろう。
著者は、はじめに、「魂はあると思えばある、ないと思えばない」と書いているが、怨霊や祟りも怖ろしいと思えばそうだろうし、学問の神としての力を借りたいと祈ればまた違う存在になるということを教わった気がする。
読んで損のない一冊だと思います。
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跋扈する怨霊―祟りと鎮魂の日本史 (歴史文化ライブラリー) (歴史文化ライブラリー 237) 単行本 – 2007/7/21
山田 雄司
(著)
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- ISBN-104642056378
- ISBN-13978-4642056373
- 出版社吉川弘文館
- 発売日2007/7/21
- 言語日本語
- 本の長さ199ページ
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商品の説明
レビュー
政敵だった藤原四兄弟が相次いで疫病に斃れたことから、怨霊が意識される嚆矢となった長屋王。実兄・桓武天皇を怖気立たせ、ついには平安京遷都を決意させるに至らしめた早良親王。雷神として天変地異の原因と怖れられながら、のちに崇敬の対象へと華麗な転身を遂げた菅原道真。『太平記』や『雨月物語』に描かれ、近代にまでその怨恨を及ぼした日本最大の怨霊、崇徳院。政争に敗れ、あるいは無実の罪を着せられ非業の死を遂げた人物は、災異や疫病をもたらす怨霊として人びとに怖れられました。それらは物語や説話を通してうかがい知ることができますが、少なからず誇張して描かれ、虚実の程は明らかではありません。本書は、怨霊の祟りに怯え、その鎮魂に躍起になる為政者たちの生々しい姿を浮かび上がらせます。そしてまた、時を経るなかで霊魂観が移りゆくさまを描き出しています。目には見えないもうひとつの世界へ。さあ、怨霊たちが手招きしています。(恠) --担当編集者より
登録情報
- 出版社 : 吉川弘文館 (2007/7/21)
- 発売日 : 2007/7/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 199ページ
- ISBN-10 : 4642056378
- ISBN-13 : 978-4642056373
- Amazon 売れ筋ランキング: - 392,384位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,297位日本史一般の本
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年11月9日に日本でレビュー済み
山田雄司先生の本です。
怨霊の発生から、怨霊の大衆化、崇徳院や平家の呪い、南北朝期の後醍醐天皇の怨霊まで、
日本の「怨霊史」を、わかりやすくまとめた本という感じでした。
敗者ゆえの晴れぬ想いを、残された人々が「怨霊」として再生していく営みの「歴史」が明らかにされています。
それにしても、日本史には「敗者」は多いわけで、でも、多くの敗者は忘れられていってしまう。
それをつなぎ止めるため、思い起こさせるために、「怨霊」という装置があるのだと思いました。
勉強になりました。
怨霊の発生から、怨霊の大衆化、崇徳院や平家の呪い、南北朝期の後醍醐天皇の怨霊まで、
日本の「怨霊史」を、わかりやすくまとめた本という感じでした。
敗者ゆえの晴れぬ想いを、残された人々が「怨霊」として再生していく営みの「歴史」が明らかにされています。
それにしても、日本史には「敗者」は多いわけで、でも、多くの敗者は忘れられていってしまう。
それをつなぎ止めるため、思い起こさせるために、「怨霊」という装置があるのだと思いました。
勉強になりました。
2012年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
専門の研究者による「怨霊伝説」入門書。
「この一冊があれば怨霊の全てが解る」…という程ではないが、少なくとも日本に存在する怨霊伝説の概要は殆ど網羅されていると言っても良いであろう。
非常にコンパクトながら、よく纏まった著書である。
本書は先ず、日本の歴史の中で怨霊が初めて登場する時代まで遡り、次いで怨霊伝説の変遷、そして怨霊の終息に至るまでを丁寧に辿り、謂わば「怨霊通史」を展開している。
こうした中で、如何にして怨霊というものが形成されていったのかという事を冷静に分析し、日本史の中での「怨霊史」が極めて重要な位置付けにある事を指し示しているのだ。
勿論、具体的な伝説を個々に取り上げているので読み物としても面白い。
文章も解りやすく引用も適切であった。
但し、残念ながら若干物足りない部分もあった。
特に、私は同氏が上梓した崇徳院の怨霊に関する研究書を先に読んでしまっていたので、こうした著書に比べてしまうと、本書はやや簡単に纏めてしまっている印象が無くはない。
怨霊伝説等に詳しい方達にとっては、全体的にインパクトには欠けてしまうかもしれない。
とは言え、欠点はそれだけで、総体的には満足出来る内容である。
著者が指摘する通り「怨霊伝説」というのは「敗者の歴史」である。
即ち、一般的には取り上げられない「裏の日本史」である訳だが、そこには表舞台から去って行った人達の無念が渦巻いている。
本書を通して、「怨霊伝説」というものを決して軽んじてはならないという事を考えさせられる読者も多いのではなかろうか。
「この一冊があれば怨霊の全てが解る」…という程ではないが、少なくとも日本に存在する怨霊伝説の概要は殆ど網羅されていると言っても良いであろう。
非常にコンパクトながら、よく纏まった著書である。
本書は先ず、日本の歴史の中で怨霊が初めて登場する時代まで遡り、次いで怨霊伝説の変遷、そして怨霊の終息に至るまでを丁寧に辿り、謂わば「怨霊通史」を展開している。
こうした中で、如何にして怨霊というものが形成されていったのかという事を冷静に分析し、日本史の中での「怨霊史」が極めて重要な位置付けにある事を指し示しているのだ。
勿論、具体的な伝説を個々に取り上げているので読み物としても面白い。
文章も解りやすく引用も適切であった。
但し、残念ながら若干物足りない部分もあった。
特に、私は同氏が上梓した崇徳院の怨霊に関する研究書を先に読んでしまっていたので、こうした著書に比べてしまうと、本書はやや簡単に纏めてしまっている印象が無くはない。
怨霊伝説等に詳しい方達にとっては、全体的にインパクトには欠けてしまうかもしれない。
とは言え、欠点はそれだけで、総体的には満足出来る内容である。
著者が指摘する通り「怨霊伝説」というのは「敗者の歴史」である。
即ち、一般的には取り上げられない「裏の日本史」である訳だが、そこには表舞台から去って行った人達の無念が渦巻いている。
本書を通して、「怨霊伝説」というものを決して軽んじてはならないという事を考えさせられる読者も多いのではなかろうか。
2007年7月24日に日本でレビュー済み
オカルトじみたそのタイトルに反して、とても真っ当な本。
古くは梅原猛『隠された十字架』から井沢元彦『逆説の日本史』シリーズまで、「怨霊」を切り口として新たな日本史像を提示する本はいろいろとあった。
だが、それらはあくまで歴史読み物的な扱いであり、日本史研究の本流では「怨霊」はキワモノ扱いされてきたといってよい(菅原道真=天神信仰についての研究が数少ない例外)。井沢氏が繰り返し批判する「日本史研究者の宗教的側面の軽視」は決して言いがかりとはいえない。本書の著者は、「怨霊」を正面から研究する数少ない日本史研究者のひとりなのだろう。
食い足りない面もある。霊魂観の変遷を描く、というメインテーマはあるにしても、怨霊の創出と鎮魂の羅列に過ぎないという批判はありえよう。よって井沢氏らの奔放な想像力が生み出す大胆な仮説とも縁遠い。だが、本書のような実証的な研究もまた貴重であろう。
怨霊信仰をテーマとし、オカルトに堕することなく論じてみせた一般向けの本は、実は今まであまりなかったのではないか。
点はやや甘いが、怨霊研究のパイオニアとしての評価をこめて。
古くは梅原猛『隠された十字架』から井沢元彦『逆説の日本史』シリーズまで、「怨霊」を切り口として新たな日本史像を提示する本はいろいろとあった。
だが、それらはあくまで歴史読み物的な扱いであり、日本史研究の本流では「怨霊」はキワモノ扱いされてきたといってよい(菅原道真=天神信仰についての研究が数少ない例外)。井沢氏が繰り返し批判する「日本史研究者の宗教的側面の軽視」は決して言いがかりとはいえない。本書の著者は、「怨霊」を正面から研究する数少ない日本史研究者のひとりなのだろう。
食い足りない面もある。霊魂観の変遷を描く、というメインテーマはあるにしても、怨霊の創出と鎮魂の羅列に過ぎないという批判はありえよう。よって井沢氏らの奔放な想像力が生み出す大胆な仮説とも縁遠い。だが、本書のような実証的な研究もまた貴重であろう。
怨霊信仰をテーマとし、オカルトに堕することなく論じてみせた一般向けの本は、実は今まであまりなかったのではないか。
点はやや甘いが、怨霊研究のパイオニアとしての評価をこめて。
2007年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オカルト好きな方にはお勧めしない。
なぜなら、
怪異や驚異はどの社会にいつの時代にも存在し、
本著は、それらを歴史的視点で捉え、
日本の精神世界を読み解く一助としているからである。
著者曰く、祟りや鎮魂は歴史の本流ではないが、
時代々々には雰囲気があり、祟りと鎮魂がそれら雰囲気を醸造したとすれば
歴史の本流となろうが、
残念ながら現在の史学研究はそこまで言及していない。
よってオカルトを期待した人は専門的に感じる一方、
歴史として読めば、流れを概説したものではないので、
これまた、とまどう一冊である。
歴史学を希望し、
宗教を研究対象としようとする人の入門書としては
実証的なので◎。
なぜなら、
怪異や驚異はどの社会にいつの時代にも存在し、
本著は、それらを歴史的視点で捉え、
日本の精神世界を読み解く一助としているからである。
著者曰く、祟りや鎮魂は歴史の本流ではないが、
時代々々には雰囲気があり、祟りと鎮魂がそれら雰囲気を醸造したとすれば
歴史の本流となろうが、
残念ながら現在の史学研究はそこまで言及していない。
よってオカルトを期待した人は専門的に感じる一方、
歴史として読めば、流れを概説したものではないので、
これまた、とまどう一冊である。
歴史学を希望し、
宗教を研究対象としようとする人の入門書としては
実証的なので◎。