イランが好きです。イラン映画よく見ます。イラン史の本も色々読みました。イランも旅行しました。そんなわけで、表紙を見ているだけでは、「旅行ガイドと在住記をまとめたような本なんじゃないの?」とちょっとなめてかかっていたのですが、実際に本屋でぱらぱらとめくってみて、各章のタイトルを見て「おや」と思いました。
予想通り、生活していれば誰でも書けるようなトピックである「生活・政治(宗教)・経済・芸術(映画)」に加えて、予想に反して、言語・文学、歴史、宗教(ゾロアスター教)などが掘り下げられて記載されていました。イランの民話とアレクサンドロス伝説やシンデレラ物語、ゾロアスター教とイスラム教と犬と猫の関係からペルシャ語史、現代方言など、通常の書籍では得られなかった知見が多く、非常に参考になりました。サッファール朝とブワイフ朝の武人想像図なんて、日本で出ている歴史書にも載ってないものにお目にかかれるとは!
生活や宗教についても、ただものではない。例えば暦の項目では、わざわざイラン民族がイラン高原に来る前の暦・来たあとの暦、アケメネス朝時代の暦・イスラム時代の暦・現代暦と、それぞれちゃんと語る徹底ぶりしかも2〜3頁とコンパクトなので読みやすい。
こうした密度の濃さは、日本のイラン研究者を総動員したのでは?と思える55人にも及ぶ執筆陣に支えられている。各人各様、イランへの愛に満ちていることがよくわかる。しかも関連記述はちゃんと章番号が転記してあり、執筆陣が多いながらちゃんとまとまっている。お買い得です。
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イランを知るための65章 エリア・スタディーズ 単行本 – 2004/9/28
- 本の長さ392ページ
- 言語日本語
- 出版社明石書店
- 発売日2004/9/28
- ISBN-104750319805
- ISBN-13978-4750319803
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登録情報
- 出版社 : 明石書店 (2004/9/28)
- 発売日 : 2004/9/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 392ページ
- ISBN-10 : 4750319805
- ISBN-13 : 978-4750319803
- Amazon 売れ筋ランキング: - 369,755位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 33位中近東の地理・地域研究
- - 6,920位社会学概論
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年7月16日に日本でレビュー済み
「エリア・スタディーズ」の他の巻に比べて、この巻の際立った特色と思えるのは、「文学・言語」「芸術」という、他の巻ではどちらかと言えば「脇役」にされがちな事項が最初に掲載され、しかも全体の3分の1近くというボリュームである事。その反面、「歴史」「地理」「政治・経済」に関しては、意外な程にスペースが割かれていない。この点は、読者のニーズによって評価が分かれるポイントにはなりうる。元々10年以上前で、まだハタミ政権だった2004年に上梓されたものなので、「現代イラン情勢」を語るには情報が古くなっている。1979年のイスラム革命以降、イラン・イラク戦争、アフマディーネジャード大統領時代の欧米との極度の関係悪化、現在のロウハニ大統領になってからの経緯等々を知りたい読者には物足りなく感じられるとは思う。
個人的には、なぜこの国が少数派と言える「シーア派」の大国となったのか、という点に関してもっと深く掘り下げて欲しかったという思いは残る。ただ、全体としては面白い記事が多く、イランの人々の気質や日常生活が垣間見えるエピソードが色々と掲載されているので、アラブ諸国に関心のある方にはお薦めしたい。この国に関して日本に入って来る情報の多くは、例の「悪の枢軸」に象徴される、アメリカのご都合主義に基づいた一面的なものであるのは残念だ。本書に接して、この国の奥深さを多くの読者に感じて頂きたい。
個人的には、なぜこの国が少数派と言える「シーア派」の大国となったのか、という点に関してもっと深く掘り下げて欲しかったという思いは残る。ただ、全体としては面白い記事が多く、イランの人々の気質や日常生活が垣間見えるエピソードが色々と掲載されているので、アラブ諸国に関心のある方にはお薦めしたい。この国に関して日本に入って来る情報の多くは、例の「悪の枢軸」に象徴される、アメリカのご都合主義に基づいた一面的なものであるのは残念だ。本書に接して、この国の奥深さを多くの読者に感じて頂きたい。
2014年5月20日に日本でレビュー済み
日本にはまだまだ馴染みの薄いイランについて、歴史、国土、民族、宗教、言語、政治や文化といった多角的な観点から、様々な専門家の方々が解説した「決定版」である。
イランにおけるイヌネコの社会的地位、価格競争に熱を上げるイラン人など、「小ネタ」のようなものまで掲載されているので、肩の力を抜いて読める。
さて、本書が出版されて10年が経った。
そろそろ改訂版が欲しい所だが、その時は歴史的経緯を弁えず、尖閣諸島は日本の領土ではないと主張したあの防衛大学教授とデモクラシーを「国民主権体制」と記載した無教養の偽専門家には御退場戴ければ、と願っております。
イランにおけるイヌネコの社会的地位、価格競争に熱を上げるイラン人など、「小ネタ」のようなものまで掲載されているので、肩の力を抜いて読める。
さて、本書が出版されて10年が経った。
そろそろ改訂版が欲しい所だが、その時は歴史的経緯を弁えず、尖閣諸島は日本の領土ではないと主張したあの防衛大学教授とデモクラシーを「国民主権体制」と記載した無教養の偽専門家には御退場戴ければ、と願っております。