この本は、アダルトビデオにおける深刻化している人権侵害、性被害について詳細に解説している本で、こんなにヒドイ話が実際に日本で起きているんだと考えさせられた一冊です。
まず著者は、アダルトビデオによって引き起こされる被害を、製作時に起きる人権侵害、消費時におきる人権侵害、そして女性が集団として受ける被害があると分類しています。
そして製作被害については2003年から2004年に「バッキー・ビジュアルプランニング」というアダルトビデオ製作会社が、出演被害者を騙し、集団で殴る蹴るなどの虐待、スタンガンや水責めを用いた拷問行為を撮影を何度も行っていた者たちが起訴され、懲役10年以上の、実刑判決が行われた事件について書かれています。
そして、被害者が訴えられない理由として、暴力被害そのものにあると書かれています。つまり、被害者が怖くて告訴できないようになるまで虐待を加えることが実際に行われ、加害者たちは、こんな事をすれば被害者が「廃人」となることをわかりながら、単なる性的な娯楽として、楽しむ映像作品でとして、未だに販売されているる実態がかかれています。
この本を読んでいって、日本で、これほどまでのヒドイ性虐待、拷問行為が起きている実態があることがわかるかと思います。また、児童ポルノについても、同様にヒドイ撮影が行われている実態があるとの事です。
これらの実態から、法的な問題点について、米国で行われた「反ポルノグラフィー公民権条例」というモデル条例を取り上げ、アダルトビデオにおける人権侵害を無くす運動が行われた経緯について記されています。
米国では、こういった問題が盛んに行われていたのに、日本において考えると、あまりにもアダルトビデオが氾濫している実態、そして、一度製作したアダルトビデオは、映像表現として法的にも保護され、被害者が生涯にわたって苦しめられている実態があるということ。
そして著者は最後に、性的自由の権利と基本的人権が同じ位置にあるこということから、従来の「わいせつ」という考え方に問題があると指摘しています。
最後まで読み終えて、わたしたちは、このような人権侵害を見逃すことなんて、絶対許さない!なんとかしなきゃ!
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ポルノグラフィと性暴力: 新たな法規制を求めて (福島大学叢書新シリーズ 5) 単行本 – 2007/4/1
中里見 博
(著)
- 本の長さ241ページ
- 言語日本語
- 出版社明石書店
- 発売日2007/4/1
- ISBN-104750325244
- ISBN-13978-4750325248
登録情報
- 出版社 : 明石書店 (2007/4/1)
- 発売日 : 2007/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 241ページ
- ISBN-10 : 4750325244
- ISBN-13 : 978-4750325248
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,236,067位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年11月7日に日本でレビュー済み
著者は憲法・ジェンダー法が専門の法学者で、本書ではポルノと性暴力の問題について法的観点から詳しく説明・考察しています。
ポルノと性暴力の問題を、権力関係の問題として的確に捉え、分析している点が特に優れています。
AV女優を騙して残虐な集団暴行を行い、それを撮影して流通させ金儲けするという犯罪手法は『女犯』で確立したこと、そして当時、『女犯』の製作者(バクシーシ山下)を支持し、礼賛していた社会学者(宮台真司)やライター、メディア(朝日新聞社AERA)の、認識の甘さと愚かさが批判されています。
近年の「二つの凶悪事件」の一つとして、バッキービジュアルプランニング事件が取り上げられています(実行犯のスタッフやプロデューサー、社長らに懲役10〜18年の実刑判決が出た事例)。しかし、これは氷山の一角とのことです。
暴力AVの確信犯たちは、被害者が告訴しないよう脅迫したり、怖くて告訴できなくなるまで徹底的に虐待を加えるという行為を行っており、また、それらの映像が娯楽商品として広く流通していることも、被害者をさらに孤立させ苦しめる原因になっているそうです。
また、視聴者がインターネットの書き込みを通じて、製作者にもっと過激な暴行を煽るという、ユーザーとメーカーが一体化して暴力をエスカレートさせる、ネット時代特有の問題も指摘されています。
後半では、アメリカとカナダの判例が詳しく紹介されており、最後は「性的人格権の復位」として、「性=雇用労働」論と「性=自営業」論の問題点が指摘され、「性的人格権の復位」に向けての理論的考察がなされています。
冷静な分析と熱い正義感が両立している力作だと思います。
ポルノと性暴力の問題を、権力関係の問題として的確に捉え、分析している点が特に優れています。
AV女優を騙して残虐な集団暴行を行い、それを撮影して流通させ金儲けするという犯罪手法は『女犯』で確立したこと、そして当時、『女犯』の製作者(バクシーシ山下)を支持し、礼賛していた社会学者(宮台真司)やライター、メディア(朝日新聞社AERA)の、認識の甘さと愚かさが批判されています。
近年の「二つの凶悪事件」の一つとして、バッキービジュアルプランニング事件が取り上げられています(実行犯のスタッフやプロデューサー、社長らに懲役10〜18年の実刑判決が出た事例)。しかし、これは氷山の一角とのことです。
暴力AVの確信犯たちは、被害者が告訴しないよう脅迫したり、怖くて告訴できなくなるまで徹底的に虐待を加えるという行為を行っており、また、それらの映像が娯楽商品として広く流通していることも、被害者をさらに孤立させ苦しめる原因になっているそうです。
また、視聴者がインターネットの書き込みを通じて、製作者にもっと過激な暴行を煽るという、ユーザーとメーカーが一体化して暴力をエスカレートさせる、ネット時代特有の問題も指摘されています。
後半では、アメリカとカナダの判例が詳しく紹介されており、最後は「性的人格権の復位」として、「性=雇用労働」論と「性=自営業」論の問題点が指摘され、「性的人格権の復位」に向けての理論的考察がなされています。
冷静な分析と熱い正義感が両立している力作だと思います。