家族のひとりに取り憑いた[病]を巡る数十年間の葛藤の物語。
[病]が、その存在が、家族そのものと家族のひとりひとりにどのような影を落としたかを、どこまでも個的であり同時にきわめて普遍的である問題を、緻密に上手く描いている(形になるまでにとてつもない試行錯誤があったはずだ)。
つまりこれは、世界の空間的などこででも、ヒトが経験した時間のどの瞬間であっても、読む者の心に鋭く刺さる。
とにかくこれは、本当に凄い作品だ。
フォーマットはフランスのBD(ベデ)だが、それなりに経験を積んだ日本のマンガ読みなら、複雑に表現された比喩や暗喩や隠喩や換喩を必ず読み解けるだろう。
マンガとしては高い本なので、地元の図書館に蔵書があればまずは予約して借りてみるのがいい。
だが、4000円だかを出していきなり購入しても、損をしたとは決して思わないはずだ。
これを自分の手元に置き、折に触れて読み返さなければならない(そうでないと[楽]にはなれない)と直観的に知ってしまう読者の潜在的な数は多いはずで、だからこそこのマンガは日本語版刊行時点で12ケ国語に翻訳されている。
(2016年時点でその言語はどれだけ増えているだろう?)
ちなみに日本語版監修者のフレデリック・ボアレ氏は日本に住んでいたことがあり、高浜寛先生との共作がある(まり子・パラード:絶版)。
著者ダビッド・ベーのキャラクターは、例えば[トゥー・エスプレッソ]のベンジャミン(バンジャマン)にどんな影響を与えているのだろう?とも思う。
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大発作 単行本 – 2007/7/24
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- 本の長さ378ページ
- 言語日本語
- 出版社明石書店
- 発売日2007/7/24
- ISBN-104750325902
- ISBN-13978-4750325903
登録情報
- 出版社 : 明石書店 (2007/7/24)
- 発売日 : 2007/7/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 378ページ
- ISBN-10 : 4750325902
- ISBN-13 : 978-4750325903
- Amazon 売れ筋ランキング: - 961,982位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,707位漫画・アニメ・BL(イラスト集・オフィシャルブック)
- - 158,883位文学・評論 (本)
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2016年10月9日に日本でレビュー済み
2007年9月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フランス・バンドデシネの旗手が世に放つ、ほぼ自伝史。
家族の苦悩・自身の内面が明ら様で、読み切るのにはかなりのエネルギーが必要。
ある日兄を晴天の霹靂のごとく不意に襲ったてんかん発作は、他者の好奇の目に晒される珍しき不幸として扱われつつも、幼少時から成人・中年期に至るまで抜き差しならず続く、家族に対する愛憎という人間の普遍を語る一役者とみなされる。
自身の力に対する過信(幼少時)・無力さの自覚(青年期)を経て、唯一無二の兄への存在肯定=自分自身の肯定(成熟)へと至るこの作品は、読後、吹きすさぶ嵐とその後の好天を思わせます。
家族の苦悩・自身の内面が明ら様で、読み切るのにはかなりのエネルギーが必要。
ある日兄を晴天の霹靂のごとく不意に襲ったてんかん発作は、他者の好奇の目に晒される珍しき不幸として扱われつつも、幼少時から成人・中年期に至るまで抜き差しならず続く、家族に対する愛憎という人間の普遍を語る一役者とみなされる。
自身の力に対する過信(幼少時)・無力さの自覚(青年期)を経て、唯一無二の兄への存在肯定=自分自身の肯定(成熟)へと至るこの作品は、読後、吹きすさぶ嵐とその後の好天を思わせます。
2007年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
兄、「僕」、父、母、妹の三十年近い苦しい道のりをたどっている。作品の中で作者は、兄のてんかん発作を山登り(あるいはロッククライミング?)になぞらえているが、読者も、あたかも険しい山道を登っているかのような感覚を味わうことだろう。ただ、苦しみのみを描く感傷的な作品ではない。良い医者に恵まれなかったためにあやしげな療法にすがる父母を冷静に見つめる「僕」の視線、同性の兄弟同士のある種のライバル意識なども描かれており、リアリティを感じさせる。また、作者の内面が言葉でなく独特の幻想的な画で描かれていることも、センチメンタルさを感じさせない理由のひとつなのかもしれない。感傷を排した、良質なヒューマンドラマである。
2008年7月13日に日本でレビュー済み
日本のマンガ文化は今や海外へと進出し、新しいポップカルチャーになりつつあるが、その反面、日本人は海外のコミック文化に対して全くと言って良いほど無関心です。
確かに日本のマンガの多様性には目を見張るものがありますが、しかし、最近は特定の傾向に作品が偏り、マンガ表現として当たり障りの無い、作品性のないものばかりになってしまった印象が否めないのも事実。
この本は、そんな日本人に海外にも日本に劣らぬ優れたマンガ文化があることをまざまざと思い知らせてくれます。
バンド・デシネと呼ばれるヨーロッパ圏の作家の作品ですが、近年これほど素晴らしいマンガ作品を読んだ事がありません。
癲癇を患った兄と、それに翻弄される家族、そしてどんどん自分の世界に引きこもっていく弟である作者の数十年にわたる個人史なのですが、凄まじい内容をこれでもかと言うイマジネーションと独特の筆致で見事に描き切ってます。
「作品性」や「作家性」と言うのはこう言う作品の事を言うのでは無いでしょうか。
慣れないと少し読みにくいですが、それを差し引いても読む価値のある作品だと思います。
確かに日本のマンガの多様性には目を見張るものがありますが、しかし、最近は特定の傾向に作品が偏り、マンガ表現として当たり障りの無い、作品性のないものばかりになってしまった印象が否めないのも事実。
この本は、そんな日本人に海外にも日本に劣らぬ優れたマンガ文化があることをまざまざと思い知らせてくれます。
バンド・デシネと呼ばれるヨーロッパ圏の作家の作品ですが、近年これほど素晴らしいマンガ作品を読んだ事がありません。
癲癇を患った兄と、それに翻弄される家族、そしてどんどん自分の世界に引きこもっていく弟である作者の数十年にわたる個人史なのですが、凄まじい内容をこれでもかと言うイマジネーションと独特の筆致で見事に描き切ってます。
「作品性」や「作家性」と言うのはこう言う作品の事を言うのでは無いでしょうか。
慣れないと少し読みにくいですが、それを差し引いても読む価値のある作品だと思います。