近年の研究に基づいた共和国側から書かれた本である
どういうことかというと、今まではフランコ体制やそこから民主化した体制で
内戦の時の古傷を掘り起こすから、という面もあったという
しかし、畑を開墾すれば女子ども含め人骨がザクザクという地域もあり
フランコ側の虐殺などに対して解明が進んでいったのである
つうか、スペインっていっちゃ割りけど国家としては低レベルであり
国民国家としての意識も低いし、産業の隆盛もそれに伴う労働者へのお裾分けもない
田舎の糞地主は、農業労働者の賃金を切り下げることしか関心は無く
地元の農民が高い賃金を要求した場合に耕作を放棄するという選択肢もあり
他の地域から出稼ぎ人をかき集めてこき使うことしかしなかった
結果として、各地域には飢え死に寸前の農業労働者と
労働力を買いたたかれてボロボロになる出稼ぎ者しかいない
これに対して左翼政権は、自治体の中で失業者がいるなら他の地域から労働者を呼べない法律とか
あるいは、耕作放棄を禁じる法律を作ってなんとか救済しようとした
それが糞地主とかヤクザとかを怒らせてしまったのである
またカトリックの教会も誰得な旧体制に執拗に執着をして
左翼政権に対しての根拠のない憎悪をあおり立てた
軍人もアフリカの植民地での過酷な戦闘を経験した強硬派と
国内の年功序列を守る守旧派に分かれて揉めていたのである
左には飢え死にしそうな人民がいて、右には同朋を市民とは思わない鬼畜が現れた
結果として右も左も穏健派は過激派を押さえることが出来ず
また王様を追い出したので調停者もいない、という最悪な状況になる
そして内戦は始まってしまった
追い詰められて訓練もなしで戦う羽目になった市民と
アフリカからえげつない外人傭兵を引き連れてくるフランコ派
フランコ派は女子どもまで反乱を起こした地域の農民を虐殺するし
共和国派の跳ねっ返りは地主どころか教会まで焼き討ちして司祭を虐殺する
共和国派には当初はソ連の支援があって共産党系の力も強かった
イギリスやフランスはフランコ派のえげつなさには顔をしかめていたが
ソ連の影響力が伸びるくらいなら放置、ということになり
イタリアや独逸の支援を受けたフランコ派が優勢となったわけである
本来は西欧民主主義という最適解があるはずだったが
左右の無能やそこに至れなかったスペインの後進性が根っ子にある
そして共和国派も軍事的素人であり、内ゲバも激しく
イタリアからの援軍ですら使い捨てにするくらいのフランコには勝てなかったのだ
ぐう畜VSぐう無能の内戦に国民は逃げ場なしでげっそりする本だった
よく考えればPIIGS諸国ってぐう畜VSぐう無能問題って対戦直前以降に経験してるんじゃね
ポルトガルはサラザール体制で迷走して革命でひっくり返ってるし
アイルランドは戦前のぐう無能カトリック体制を経験してるし
ギリシアは大戦後にぐう無能軍事政権が無能過ぎてひっくり返ってる
イタリアはまあ・・・・まだこの枠に入れるほどではないだろう
とかく調整者も調整する枠組みのないので
どんな政策でも効果が極端に出てしまい感はあるわね
というか宗教のしがらみを近代以前に苦労して断ち切った英独仏が
とかく他の国よりもうまくやってる、という面はあろう
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スペイン内戦――包囲された共和国1936-1939 (世界歴史叢書) 単行本 – 2009/9/1
イギリスのスペイン現代史研究の第一人者によるスペイン内戦史。「民主主義かファシズムか」「共産主義かアナキズムか」、イデオロギー対立に基づくセクト主義的歴史解釈をしりぞけ、徹底した学問的面密さによって内戦の複雑な様相を描き出した最良の入門書。
- 本の長さ410ページ
- 言語日本語
- 出版社明石書店
- 発売日2009/9/1
- ISBN-104750330418
- ISBN-13978-4750330419
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商品の説明
著者について
ポール・プレストン (プレストン,ポール)
ポール・プレストンは一九四六年イングランド、リヴァプールに生まれ、カトリックとして育てられた(とはいえこの生い立ちは、内戦中のスペイン共和国に対するスペインおよび世界のカトリック界の態度への彼の鋭い批判をいささかも妨げてはいない)。オックスフォード大学卒業。レディング大学講師、ロンドン大学クイーン・メアリー・カレッジの教授などを経て、一九九一年現職【注:ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクス教授】。一九九四年イギリス学士院会員。「スペイン内戦をその実際の体験者よりも良く知っている人物」(『デーリー・テレグラフ』紙)、「その著作が専門家からも一般読者からも歓迎されている、もっとも著名なスペイン内戦史研究者」(歴史家ロナルド・ヒルトン)と言われ、英米だけでなく当のスペインにおいても、その業績は高く評価されている。二〇〇五年にはスペインの権威ある学術賞、ラモン・リュル国際賞を受賞した。イギリス、スペイン両国のメディアでスペイン問題の解説者としても活躍。
(「訳者あとがき」より、【 】内は補足)
宮下 嶺夫 (みやした・みねお)
1934年京都市生まれ。慶應義塾大学文学部卒。主な翻訳書に、H・ファースト『市民トム・ペイン』、N・フエンテス『ヘミングウェイ キューバの日々』(以上、晶文社)、G・ジャクソン『図説スペイン内戦』(彩流社)、A・ドルフマン『ピノチェト将軍の信じがたく終わりなき裁判』(現代企画室)、W・ロード『真珠湾攻撃』(小学館)、J・G・ナイハルト『ブラック・エルクは語る』(めるくまーる)、L・アリグザンダー『ウェストマーク戦記』三部作(評論社)など
ポール・プレストンは一九四六年イングランド、リヴァプールに生まれ、カトリックとして育てられた(とはいえこの生い立ちは、内戦中のスペイン共和国に対するスペインおよび世界のカトリック界の態度への彼の鋭い批判をいささかも妨げてはいない)。オックスフォード大学卒業。レディング大学講師、ロンドン大学クイーン・メアリー・カレッジの教授などを経て、一九九一年現職【注:ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクス教授】。一九九四年イギリス学士院会員。「スペイン内戦をその実際の体験者よりも良く知っている人物」(『デーリー・テレグラフ』紙)、「その著作が専門家からも一般読者からも歓迎されている、もっとも著名なスペイン内戦史研究者」(歴史家ロナルド・ヒルトン)と言われ、英米だけでなく当のスペインにおいても、その業績は高く評価されている。二〇〇五年にはスペインの権威ある学術賞、ラモン・リュル国際賞を受賞した。イギリス、スペイン両国のメディアでスペイン問題の解説者としても活躍。
(「訳者あとがき」より、【 】内は補足)
宮下 嶺夫 (みやした・みねお)
1934年京都市生まれ。慶應義塾大学文学部卒。主な翻訳書に、H・ファースト『市民トム・ペイン』、N・フエンテス『ヘミングウェイ キューバの日々』(以上、晶文社)、G・ジャクソン『図説スペイン内戦』(彩流社)、A・ドルフマン『ピノチェト将軍の信じがたく終わりなき裁判』(現代企画室)、W・ロード『真珠湾攻撃』(小学館)、J・G・ナイハルト『ブラック・エルクは語る』(めるくまーる)、L・アリグザンダー『ウェストマーク戦記』三部作(評論社)など
登録情報
- 出版社 : 明石書店 (2009/9/1)
- 発売日 : 2009/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 410ページ
- ISBN-10 : 4750330418
- ISBN-13 : 978-4750330419
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,156,314位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 16,371位世界史 (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年12月4日に日本でレビュー済み
(英語で読ませていただきました)スペイン内戦の歴史書で、まず最初に読むべき基本的良書である。このほんは、しばしば、「共和国側の立場で書かれている」といわれているが、実は、そうではなく、この著者はスペイン現代史の第一人者であり、記載は極めて中立的である。そもそも、「フランコ側と共和国側の中間をとって中立的」ということがばかげているのであって、スペイン内戦は、典型的な「悪が栄えたためし」であることに留意する必要があるのである。
また、スペイン内戦の影響は現在も続いているのであって、カタロニアやバスク地方の独立問題はその例であり、現在でも継続してスペインをむしばむ経済的後進性もその起源は、この内戦にあるのである。
なお、先進国の一国主義や社会主義国(スペイン内の左翼を含む)の腐敗が原因で敗れたこの内戦やハンガリー動乱を眼前に見た後でさえ、戦前戦後の日本の最高峰に属する知識人たちが、社会主義を正しく評価できなかったことは、驚くべきことである。
また、スペイン内戦の影響は現在も続いているのであって、カタロニアやバスク地方の独立問題はその例であり、現在でも継続してスペインをむしばむ経済的後進性もその起源は、この内戦にあるのである。
なお、先進国の一国主義や社会主義国(スペイン内の左翼を含む)の腐敗が原因で敗れたこの内戦やハンガリー動乱を眼前に見た後でさえ、戦前戦後の日本の最高峰に属する知識人たちが、社会主義を正しく評価できなかったことは、驚くべきことである。