ソ連をはじめとする社会主義諸国が崩壊してから、はや17年が経つ。
自分にとってマルクス主義とは、これらの現実に存在した社会主義諸国と
切っても切り離せないものだった。最大の関心事は「マルクス主義の理念、理想
あるいは史的唯物論の想定したものが、これら現実の社会主義諸国の状況と
いかにかい離しているか。また、どうしてこのような結果に行き着いてしまったのか」
ということだった。しかし、従来のマルクス(主義)学者の本をいろいろ探してみても、
そのような視点で書かれた本は、実に少ないのである。(特に日本では)
多少、取り上げられることがあっても「当時のロシアは、まだ社会主義革命が起きる
段階には達していなかった」とか「未熟で家産的な社会がマルクス主義を歪曲し、
スターリン型全体主義を生みだしたのだ」等の一言で片付けてしまうのである。
実に、無責任な態度だと言わざるを得ない。
そのような興味から、60年代から現代に至るまで一貫してマルクスを研究してきた
著者の自伝+思想書ということで、読んでみたいと思ったわけである。
少年時、青年時の話はおもしろく、共感するところが多々あった。大学の内実も
興味深い話である。しかし、副題にある「みずみずしい思想を追う」という
みずみずしさの説明が、ほとんどないので読み手に伝わってこない。これは
「経済学哲学草稿」など、マルクスの著作を読んでみないとわからないということか。
結局のところ、上記の問題に取り組んでいると思えるようなところは何もなかった。
というか、関心のあり方が全く逆なのである。理想の通りにならなかった現実には
無関心であり、理想が実現される可能性がある現在から未来へと向けられている。
一見、ポジティブで積極的に思えるけれど、反省の少なさは気になるところである。
マルクス学者とは、このように無反省なのだと再確認した次第である。革命論から
未来社会論への言及がほとんどないのもそのためであろう。
著者は共産主義思想とユダヤ教の関連などを強調しているが、マルクスはユダヤ性や
宗教的救済思想を意識的に排斥しているはずであり、著者の思想は、「的場共産主義
思想」とでもいうべきものではないだろうか。
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マルクスに誘われて: みずみずしい思想を追う 単行本 – 2006/2/10
的場 昭弘
(著)
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『資本論』がちんぷんかんぷんでも、マルクスは十分に面白い。気鋭のマルクス学者が自分の過去を振り返りながら、「なぜマルクスを学ぶ魅力があるのか」を語る。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社亜紀書房
- 発売日2006/2/10
- ISBN-104750506028
- ISBN-13978-4750506029
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商品の説明
出版社からのコメント
なかなかテーマがテーマだけに、著者は書きづらかったようです。「あとがき」には、出版を断念しようとも思った、ともお書きです。ですが、いまマルクスを新鮮に語るには、マルクスにのめり込んだ著者の思いを書いてもらうのがベストだと思い、そういうお原稿をお願いした次第です。とにかく面白い本が出来上がりましたので、読者には喜んでいただけるように思います。
著者について
1952年宮崎市生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。一橋大学社会科学古典資料センター助手、東京造形大学助教授を経て、現在、神奈川大学経済学部教授。神奈川大学図書館長。著作に『トリーアの社会史』(未来社)、『パリの中のマルクス』『フランスの中のドイツ人』『ポスト現代のマルクス』(以上、御茶の水書房)、『マルクスを再読する』(五月書房)、『マルクスだったらこう考える』(光文社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 亜紀書房 (2006/2/10)
- 発売日 : 2006/2/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4750506028
- ISBN-13 : 978-4750506029
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,339,304位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,052位経済思想・経済学説 (本)
- - 1,194位ドイツ・オーストリアの思想
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年2月21日に日本でレビュー済み
著者自身のマルクス研究に至までの過程を書いています。所謂、マルクスを紹介しつつも、自分自身のマルクス研究への道のりを書いた作品としては読み応えあります。色々とマルクスに関する本がぼつぼつ売れてきている昨今、改めて、マルクスを読んでみるのも良いと思います。
2007年9月29日に日本でレビュー済み
マルクスに魅了された作者が、自身のマルクス研究の歩みと私生活史を重ねて書いた本です。いわゆる全共闘世代の知的環境が感じられます。また、改革に追われる大学の現場のことも生々しく描かれている部分もあります。
学生時代からのマルクス学との関わりがメインなので、マルクス研究あるいは研究史の入門書としても手軽に読めます。
学生時代からのマルクス学との関わりがメインなので、マルクス研究あるいは研究史の入門書としても手軽に読めます。
2006年12月6日に日本でレビュー済み
「ポスト現代」にあって過去のもの扱いされがちなマルクスの、いまなおみずみずしく生きた希望の思想を語らせれば、まちがいなくもっとも明快でわかりやすい著者の自伝+思想論。一読して、「現代に立ち向かう」マルクスの歴史的位置が、ほんとうによくわかってきた気がする。亡命生活をつづけたマルクス、ユダヤ教的発想をその根底に隠し持っていたマルクスの姿を、マルクスが実際に住んだ街、生きた時代に置き直して追体験しつつ、あらゆる教条主義から自由に、肉体をもった自分の先達としてとらえなおす態度が、ひごろ「歴史」を見失いがちなわれわれの目を、ちょっぴり覚ましてくれる。たとえば1840年代のパリ。「ドイツ人が得意とする靴屋、仕立屋、家具屋に関しては、パリで半分以上のシェアをドイツ職人が占めていた。彼らなしでは何もできなかったわけであるが、その後フランスは外国人を減らそうとする。1848年革命は、ドイツ人労働者が本国に帰るのを支援したのだが、これは、ドイツにおける三月革命を支援するという臨時政府の目論見と同時に、フランスにおける失業を減らす目的も兼ねていた。」は〜、なるほど! 無知きわまりない読者としては、こうしてはたと膝をうつことの連続だった。ちょっと誤植が多くて、「キュビスム」が「キュービニズム」になったり、「ネグリ」の名が「ネグり」になったりするのは校正の不注意。それで、星3つにしましたが、悪しからず。「万国の労働者よ、団結せよ」というスローガンがいかに単なる誤訳であるかを教えてもらっただけでも(そのころは「国」の枠組で考えていたわけではない)感謝。そしてマキャヴェルリやスピノザという、25年前の夏休み以来の宿題を思い出させてくれたことにも感謝!