生存に必要な関係を維持するために、裏切りに目をつぶる心理が主題です。そうした心理が発揮される代表的例は、児童虐待やDV。一般に、危機に際しては、fight or flightで対処しますが、生活を依存している関係内で生じた被害だと、fight or flightでは、さらなる関係悪化や関係喪失を招き、デメリットしかない。
そこで、自分の体験した被害をなかったことにする、つまり知らないことにする。しかし、これ以上の被害を防ぐには、よく知っておく必要がある。そのため、知っているけど知らない、という二重見当識が生じる。
中核については、おおよそ以上のようなところです。興味深いのですが、全般に冗長で、エピーソドが多すぎます。組織や社会全体への応用も語られますが、説得力が増すよりも、拡散して印象が薄まる効果のほうが優ります。
どう対応したら良いのかという、関心を惹かれる11章～14章（後半３分の１）ですが、内容希薄なので読まなくてもよいと思います。
著者のフレイドは認知心理学者ですが、児童虐待のサバイバーで、成人後に親を訴えています。「記憶戦争」でよく話題に挙がる、虚偽記憶症候群基金（FMSF）は、フレイドの両親が設立したもののようです。
そのため、単なる学術研究の紹介というわけにはゆかないところがあるわけですが、読み手からすると、認知心理学範疇の研究紹介＋１章分個人的状況を含めた「記憶戦争」くらいのほうが良かったように思います。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
