本書は「かなしみ」「魂」「肌」「夢」「旅」「自然」「孤独」「苦悩」「祈り」など身近な言葉をめぐる随想録です。語られる言葉はどれも私たちの日常に深く根付いた言葉であり、奇抜な表現は決してありません。そのかわり、どの言葉も、実際に著者を危機から救い出した「生活と人生に裏打ちされた言葉」です。「言葉が知る対象ではなく、めぐり逢う何ものかであると感じられるとき、私たちはそこに、ほとんど本能的に一つの「生命」を感じる」と述べているように、著者は本書において「生ける言葉」との「めぐり逢い」の物語を紡ぎだしているのです。
悲しみの底にあるとき、光となったのは「かなしみ」という言葉だった。「かなしみ」を生きながら、「かなしみ」とは何であるかを知らない、そう感じたとき人生の扉が少し開いた。
「光の場所」と題する一編の中の一節です。本書に収められた二十数編には、それぞれの言葉へと結晶するにいたった著者の経験が回想されており、読者は、著者の語るすべての言葉の背後には語られざる「来歴」があることを実感するでしょう。一見ありふれた身近な言葉が、言葉にならない人生の暗闇のなかで新たな相貌をもって回帰してくる、そんなとき私たちは、すでに「会っていた」はずの言葉と、まったく新しいかたちで「出逢い」なおすと言うのです。
人生の海にいると方向が分からなくなることがある。地図を持たない旅人のようになる。そうしたとき、私たちを助けてくれるのが言葉だ。言葉が、人生の羅針盤になる。
あとがきの中で著者は人生を航海にたとえてこう述べています。試練においてめぐり逢われた言葉は「羅針盤」となって人生の意味を指し示す。ただしここで示されるのは特定の目的地ではありません。むしろ、人生という旅について「旅とは、物理的にどんなに遠くに行ったとしても、自らの内なる原点に還っていこうとする人生の営みのようにも感じられる」と語られているように、言葉では語り得ない本来の自己の姿です。言葉の羅針盤はつねに、私たちの内なる大海を指し示しているのです。
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言葉の羅針盤 単行本 – 2017/8/11
若松 英輔
(著)
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手紙、夢、仕事、幸福、魂、旅……。
見えないものの中から大切な光を汲み取る、静かな励ましに満ちたエッセイ集。
「人は地図を持たない旅人のようになる。
人生の海にいると方角が分からなくなることがある。
そうしたとき、私たちを助けてくれるのが言葉だ」
(あとがきより)
【目次】
言葉の羅針盤
人生の報酬
文字の深秘
手紙の効用
光の場所
内なる医者
たましいの水
塵埃の彼方
見えない導師
島への便り
肌にふれる
記憶されない夢
新生のとき
苦手な国語
言葉の光
迫真の力
一語に出会う
失せものの聖人
旅のはじまり
かなしみの記憶
彼方からの誘い
めぐり逢いのとき
失敗という名の教師
孤独を生きる
青い鳥
【書評・メディア情報】
やくしん(10月号)/短評
WEEK! (11月号)/書評(諸橋武司氏・本の店英進堂代表取締役)
読売新聞(10月29日)/短評
2018年
朝日新聞デジタル(3月5日)/ほんやのほん(八木寧子氏)
2020年
YWCA(6月号 No.756)/紹介
見えないものの中から大切な光を汲み取る、静かな励ましに満ちたエッセイ集。
「人は地図を持たない旅人のようになる。
人生の海にいると方角が分からなくなることがある。
そうしたとき、私たちを助けてくれるのが言葉だ」
(あとがきより)
【目次】
言葉の羅針盤
人生の報酬
文字の深秘
手紙の効用
光の場所
内なる医者
たましいの水
塵埃の彼方
見えない導師
島への便り
肌にふれる
記憶されない夢
新生のとき
苦手な国語
言葉の光
迫真の力
一語に出会う
失せものの聖人
旅のはじまり
かなしみの記憶
彼方からの誘い
めぐり逢いのとき
失敗という名の教師
孤独を生きる
青い鳥
【書評・メディア情報】
やくしん(10月号)/短評
WEEK! (11月号)/書評(諸橋武司氏・本の店英進堂代表取締役)
読売新聞(10月29日)/短評
2018年
朝日新聞デジタル(3月5日)/ほんやのほん(八木寧子氏)
2020年
YWCA(6月号 No.756)/紹介
- 本の長さ158ページ
- 言語日本語
- 出版社亜紀書房
- 発売日2017/8/11
- 寸法11.7 x 1.5 x 18.1 cm
- ISBN-104750515175
- ISBN-13978-4750515175
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商品の説明
著者について
批評家・随筆家。一九六八年生まれ、慶應義塾大学文学部仏文科卒業。二〇〇七年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて三田文学新人賞、二〇一六年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』にて西脇順三郎学術賞を受賞。 著書に『イエス伝』(中央公論新社)、『魂にふれる 大震災と、生きている死者』(トランスビュー)、『生きる哲学』(文春新書)、『霊性の哲学』(角川選書)、『悲しみの秘義』(ナナロク社)、『生きていくうえで、かけがえのないこと』『言葉の贈り物』『詩集 見えない涙』(以上、亜紀書房)、志村ふくみとの共著『緋の舟』(求龍堂)など多数。
登録情報
- 出版社 : 亜紀書房 (2017/8/11)
- 発売日 : 2017/8/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 158ページ
- ISBN-10 : 4750515175
- ISBN-13 : 978-4750515175
- 寸法 : 11.7 x 1.5 x 18.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 318,485位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 755位ロシア・東欧文学研究
- - 4,946位日本文学研究
- - 5,864位日本のエッセー・随筆
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。
2007 年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14 回三田文学新人賞受賞。
2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』にて第2回西脇順三郎学術賞受賞。
2018年詩集『見えない涙』で第33回詩歌文学館賞を受賞。
2018年、『小林秀雄 美しい花』で角川財団学芸賞を受賞。
2019年、『小林秀雄 美しい花』で蓮如賞を受賞。
著書に『井筒俊彦 叡知の哲学』(慶応義塾大学出版会)、『生きる哲学』(文春新書)、『霊性の哲学』(角川選書)、『悲しみの秘義』(ナナロク社)、『イエス伝』(中央公論新社)『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)『言葉の贈り物』『弱さのちから』(亜紀書房)など。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年10月17日に日本でレビュー済み
雨降る土曜の夜でした。「お届けしたいものがあります。今からお訪ねします」。こんな時間に何だろうと思っていたら、「さきほどまで若松さんの講演会があって、そこで買ってきました」と言って渡してくださったのが、この本でした。
大事なことは、思いがけない時にやって来る。その通りでした。
「遭うためにもっとも大切なのは待つことだ。待つことにこそ、意味がある。どんなに会いたいと思う人であっても、無理をして会わない方がよい。意図的に会おうとすると、逢うことができなくなる。さらにいえば、会いたいと思う強い気持ちが、めぐり逢うことから私たちを遠ざけることもある」(p.123)。
喪失に近いふたつの病みごとを抱えていたぼくにとっては、この言葉は予期せぬ、しかし、時に適った慰めでした。
会うと逢うの違い。若松さんは、定義によってではなく、「深いところに丁寧に折りたたまれている裂地(きれじ)をゆっくりと広げるように」(p.125)言葉をつづることで、それを言い表しています。ぼくは、まさに、あの週末に、この本と「めぐり逢った」のでした。
じつは、若松さんの本を贈ったのは、ぼくが先でした。おつれあいが天国に帰る準備をしているときでした。「悲しみの秘儀」。同じくエッセイ集。
あまりにも直接的過ぎると恐れましたが、彼はていねいに読んでくださり、深く共感してくださいました。そして、今度は、ぼくの悲しみを知ってか知らずか、この「言葉の羅針盤」をご恵贈くださったのです。
若松さんには井上洋治神父とのめぐり逢いがありました。井上神父は遠藤周作さんの師とも言われています。彼らは、西洋から輸入されたキリスト教を、日本の地に土着化させようとしました。日本人になじむものにしようとしたのです。遠藤の小説群はその実績に他なりません。
若松さんの今回のエッセイ集にもそれに通じるものを感じました。もっとも、遠藤周作の小説のようにキリスト教そのものを素材にしているわけではありません。けれども、本著の二十余の随想では、文学、心理学、神学の専門用語が使われることなく、いやほとんど言及されることさえなく、それでいて、それらが慕い求めた「目に見えないなにか」が、やさしく・・・平易なだけでなく、慈しみ深く・・・言い表されているのです。
目に見えないなにか。それは、目に見えないのですから、ぼくたちの感覚を超越しているのですが、「なにか」ですから、たしかにそこにあり、触れることのできるものではないでしょうか。
「言葉」「羅針盤」「悲しみ」「秘儀」。これらの言葉も、目に見えないなにか、あるいは、それへの通路を、本の頁になじませようとしてきた足跡だと思うのです。
大事なことは、思いがけない時にやって来る。その通りでした。
「遭うためにもっとも大切なのは待つことだ。待つことにこそ、意味がある。どんなに会いたいと思う人であっても、無理をして会わない方がよい。意図的に会おうとすると、逢うことができなくなる。さらにいえば、会いたいと思う強い気持ちが、めぐり逢うことから私たちを遠ざけることもある」(p.123)。
喪失に近いふたつの病みごとを抱えていたぼくにとっては、この言葉は予期せぬ、しかし、時に適った慰めでした。
会うと逢うの違い。若松さんは、定義によってではなく、「深いところに丁寧に折りたたまれている裂地(きれじ)をゆっくりと広げるように」(p.125)言葉をつづることで、それを言い表しています。ぼくは、まさに、あの週末に、この本と「めぐり逢った」のでした。
じつは、若松さんの本を贈ったのは、ぼくが先でした。おつれあいが天国に帰る準備をしているときでした。「悲しみの秘儀」。同じくエッセイ集。
あまりにも直接的過ぎると恐れましたが、彼はていねいに読んでくださり、深く共感してくださいました。そして、今度は、ぼくの悲しみを知ってか知らずか、この「言葉の羅針盤」をご恵贈くださったのです。
若松さんには井上洋治神父とのめぐり逢いがありました。井上神父は遠藤周作さんの師とも言われています。彼らは、西洋から輸入されたキリスト教を、日本の地に土着化させようとしました。日本人になじむものにしようとしたのです。遠藤の小説群はその実績に他なりません。
若松さんの今回のエッセイ集にもそれに通じるものを感じました。もっとも、遠藤周作の小説のようにキリスト教そのものを素材にしているわけではありません。けれども、本著の二十余の随想では、文学、心理学、神学の専門用語が使われることなく、いやほとんど言及されることさえなく、それでいて、それらが慕い求めた「目に見えないなにか」が、やさしく・・・平易なだけでなく、慈しみ深く・・・言い表されているのです。
目に見えないなにか。それは、目に見えないのですから、ぼくたちの感覚を超越しているのですが、「なにか」ですから、たしかにそこにあり、触れることのできるものではないでしょうか。
「言葉」「羅針盤」「悲しみ」「秘儀」。これらの言葉も、目に見えないなにか、あるいは、それへの通路を、本の頁になじませようとしてきた足跡だと思うのです。
2017年9月13日に日本でレビュー済み
文章も装丁もとても美しいです。
読みながら感じたことは、これまでの人生で、いかに自分自身と静かに会話をしてこなかったか、ということ。
若松さんの文章には深みがある。
陳腐な言い方かもしれないが、きっと誠実に自分自身と向き合ってきたからだと感じる。
こんな文章がありました。
「生きる意味が何であるかは、なかなか明言できない。それは語り得ないが、いつからかそれは、外にではなく、自らのうちにすでにあるように感じるようになった。」
「新しいものを求めているとき人は、自分に与えられているものを顧みない。わが身に宿しているものが何であるかを熟慮する前に、新しい何かを探そうとしてしまう。」
今からでも間に合う、そんな気持ちになり、希望を持てました。
個人的には『肌にふれる』が好きです。
「皮膚に触る」「肌にふれる」の違い、「心は体のなかにあるのではなく、心が体を包んでいる」、そして与謝野晶子の和歌、すべてが美しく心に沁みました。
読みながら感じたことは、これまでの人生で、いかに自分自身と静かに会話をしてこなかったか、ということ。
若松さんの文章には深みがある。
陳腐な言い方かもしれないが、きっと誠実に自分自身と向き合ってきたからだと感じる。
こんな文章がありました。
「生きる意味が何であるかは、なかなか明言できない。それは語り得ないが、いつからかそれは、外にではなく、自らのうちにすでにあるように感じるようになった。」
「新しいものを求めているとき人は、自分に与えられているものを顧みない。わが身に宿しているものが何であるかを熟慮する前に、新しい何かを探そうとしてしまう。」
今からでも間に合う、そんな気持ちになり、希望を持てました。
個人的には『肌にふれる』が好きです。
「皮膚に触る」「肌にふれる」の違い、「心は体のなかにあるのではなく、心が体を包んでいる」、そして与謝野晶子の和歌、すべてが美しく心に沁みました。