本作は、言うまでもなく、現在WOWOWで放映されている、滝沢秀明(タッキー)主演のドラマ「孤高のメス」の原作である。ストーリーを最も簡単に言うと、「肝移植をめぐる外科医、当麻鉄彦の物語」である。
さて、評者は、一介の手術室勤務経験のある看護師だが、本作を、主人公を含む医療関係者たちの人間ドラマとして読破した。そして、登場人物たちの人間性(人間臭さを含む)が、実に、明確に描かれていることに感動したのである。さらに、手術の手順やレントゲン写真の読影を表現した文脈においては、著者が、現役の外科医ということもあり、そのリアリティが直に伝わってきて、身震いしたものだ。これらの文脈を回りくどいだとか冗長すぎるのでは??という感想を抱かれる読者諸兄もおられるだろうが、個人的には、教材としても拝読でき、実に満足のいく点である。
ただ、残念なことに、これら生々しい表記の中に、いくつかの誤字・脱字があり、それらがストーリー上重要だと思われるところに目立ったのが、読む気を削がれる原因のひとつであった。
しかし、繰り返すが、本作から学ぶべきところは、実に多く、これからの臨床に役立てるぞと誓ったのも事実である。
以上、脳死臨調最終答申が提出された日のレビューでした。ご一読をおススメします。
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孤高のメス 上: 外科医当麻鉄彦 単行本 – 2005/1/1
大鐘 稔彦
(著)
- 本の長さ632ページ
- 言語日本語
- 出版社栄光出版社
- 発売日2005/1/1
- ISBN-104754100670
- ISBN-13978-4754100674
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登録情報
- 出版社 : 栄光出版社 (2005/1/1)
- 発売日 : 2005/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 632ページ
- ISBN-10 : 4754100670
- ISBN-13 : 978-4754100674
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,591,304位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 415,070位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年2月8日に日本でレビュー済み
600ページ超ですが、面白いのでそんなに長く感じません。外科医の生々しい世界が垣間見えます。私はサラリーマンですが、組織の中にいて、仕事への「取組みの姿勢」、「こだわり」、「責任感」などが人それぞれに大きく違うことを常々感じています。資料でも、なぜもっと単語のひとつ、センテンスのひとつにこだわった作りこみをしないのだろうと同僚の仕事に納得いかないこともよくあります。しかし、現実の医療現場も同じことがこの本を読んでよくわかります。腕の良い外科医と、並程度の外科医と、下手くそな外科医がいるのは間違いない現実ですが、一方で、ひた向きに真面目に仕事に取り組む医師と感情の波が激しく、いい加減な手技で納得する医師もいる。これも残念ながら現実でしょう。この小説は、医師である著者が当麻鉄彦という天才外科医を通じて、現実の医療界にある出来事を小説として見せてくれるものです。
この本を読むと、病院に自分の体を預けるのは少し怖くなりますが、600ページはあっという間に読了できると思います。
この本を読むと、病院に自分の体を預けるのは少し怖くなりますが、600ページはあっという間に読了できると思います。
2006年8月3日に日本でレビュー済み
題名の通り主人公は外科医の当麻鉄彦だ。
兄と恋人を若くして失った主人公は、天才的な外科の技量を持ち、将来を嘱望されるが、大学や研究機関には残らず民間の病院に勤めて、一般の人々の命を救うことを選択するところから話は始まる。
本書の魅力は以下の3点だ。
・作者が外科医だけあって、手術の描写がリアルで迫力がある。人体を切り裂くところを描いているにもかかわらず、主人公の見事なメスさばきは実に気持ちがいい。
・外部からは通常見えない大学病院や、そこから医者を派遣されている大病院の内情が詳しく描かれている。これを読むと日本の外科医の多くが手術経験の乏しい人たちで、医療事故が後を絶たない理由がよくわかる。
・日本のマスコミ(国民全体かも知れないが)のレベルの低さ(興味本位、狭量、ヒステリック、無神経)を改めて思わされる。本書は日本初の肝移植に挑む医師達の物語でもあるのだが、それを阻んでいるのがマスコミであるのがよくわかる。これは実話ではないが、実際にこのようなことは間違いなく起きると思われる。
とにかく、面白いし、日本の医療について考えさせられる作品なので、おすすめできます。少なくとも自分の体にメスを入れる場合には、その医師の技量をよく調べておかないと命に関わることが実感できると思います。
兄と恋人を若くして失った主人公は、天才的な外科の技量を持ち、将来を嘱望されるが、大学や研究機関には残らず民間の病院に勤めて、一般の人々の命を救うことを選択するところから話は始まる。
本書の魅力は以下の3点だ。
・作者が外科医だけあって、手術の描写がリアルで迫力がある。人体を切り裂くところを描いているにもかかわらず、主人公の見事なメスさばきは実に気持ちがいい。
・外部からは通常見えない大学病院や、そこから医者を派遣されている大病院の内情が詳しく描かれている。これを読むと日本の外科医の多くが手術経験の乏しい人たちで、医療事故が後を絶たない理由がよくわかる。
・日本のマスコミ(国民全体かも知れないが)のレベルの低さ(興味本位、狭量、ヒステリック、無神経)を改めて思わされる。本書は日本初の肝移植に挑む医師達の物語でもあるのだが、それを阻んでいるのがマスコミであるのがよくわかる。これは実話ではないが、実際にこのようなことは間違いなく起きると思われる。
とにかく、面白いし、日本の医療について考えさせられる作品なので、おすすめできます。少なくとも自分の体にメスを入れる場合には、その医師の技量をよく調べておかないと命に関わることが実感できると思います。