著者は最終章で、コンピュータを「ブラックボックス」ではなく「何か人の延長のようなもの」として「理解してもらいたかったんだ」と言っています。
それを踏まえて言うと、コンピュータのことを人間に「わかるような形」に書き直した本です。
ほかの方のレビューにもある、「比喩」「人間にたとえる」「擬人化」というキーワードもまさに我々の言語のレトリックであり、読みながらだんだんいろいろなレトリック(コード?)が読者にプログラミングされて、読み終わったときにはコンピュータの肉体・身体感覚から歴史、各部の名称、ネットワーク、インターネットのことなどが、ざっと内面化したような感さえあります。実際には、えっとあれ何だったけ?とまた読み返したりもしますが、それもまた楽しいです。
本書全体が、人間がコンピュータにプログラミングすることのメタファーのようで、そう思ってみると目次の番号の配列などもそれらしいです。
また、「言語っていうのは、意味の空間をことばで切り分けること」など、細部に、コンピュータを通じてことばや人間を考えるドアのような文章がちりばめられています。
個人的に、タイプライター以降のキーボードの変化や天才の友人とのエピソードは楽しく何度も読み返しました。賢くてちょっと生意気な男の子が機械やコンピュータに夢中になった、肉体的な記憶、対話などが輝いています。
その地点から全体を眺めると、本書は著者のコンピュータに関するありとあらゆる体験を読者に少しでも「共有」して、理解を深めてもらおうとしているようで、やっぱりこれはメタ作品じゃないかと深読みしそうになります。
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新教養としてのパソコン入門 (アスキー新書 020) 新書 – 2007/7/10
山形 浩生
(著)
マニュアル不要の「パソコン術」はオタクに学べ!
パソコン・オタクの方々が、なぜにマニュアルも読まずにパソコンが使えてしまうのか?
それは「コンピュータのきもち」がわかるから。
本書は、ふつうの人々に「コンピュータのきもち」を説くことで、
マニュアル不要のパソコン術を伝授する”超”パソコン入門書。
パソコン・オタクの方々が、なぜにマニュアルも読まずにパソコンが使えてしまうのか?
それは「コンピュータのきもち」がわかるから。
本書は、ふつうの人々に「コンピュータのきもち」を説くことで、
マニュアル不要のパソコン術を伝授する”超”パソコン入門書。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社アスキー
- 発売日2007/7/10
- ISBN-104756149529
- ISBN-13978-4756149527
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商品の説明
著者について
山形 浩生(やまがた ひろお)
1964年東京生まれ。東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学大学院修了。大手シンクタンク勤務。
小説、経済、コンピュータなど、広範な分野にて翻訳と執筆を手がけ、翻訳本、著書多数。
ウィリアム・S・バロウズの紹介、オープンソース・ムーブメントの原点ともいえるエリック・レイモンドの「伽藍とバザール」の翻訳、コピーレフト運動の中心として著作を発表するローレンス・レッシグの「CODE」他、一連の著作の翻訳など、その評価は高い。
雑誌連載やブログでのエッセイは、歯に衣を着せぬ筆致で痛快。
多くの山形ファンとアンチ山形ファンを生んでいる。
1964年東京生まれ。東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学大学院修了。大手シンクタンク勤務。
小説、経済、コンピュータなど、広範な分野にて翻訳と執筆を手がけ、翻訳本、著書多数。
ウィリアム・S・バロウズの紹介、オープンソース・ムーブメントの原点ともいえるエリック・レイモンドの「伽藍とバザール」の翻訳、コピーレフト運動の中心として著作を発表するローレンス・レッシグの「CODE」他、一連の著作の翻訳など、その評価は高い。
雑誌連載やブログでのエッセイは、歯に衣を着せぬ筆致で痛快。
多くの山形ファンとアンチ山形ファンを生んでいる。
登録情報
- 出版社 : アスキー (2007/7/10)
- 発売日 : 2007/7/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4756149529
- ISBN-13 : 978-4756149527
- Amazon 売れ筋ランキング: - 478,844位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年生まれ。小学校1年生の秋から約1年半、父親の海外勤務でアメリカに居住。麻布中学校・高等学校卒業後、東京大学理科Ⅰ類入学。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て、某調査会社所員となる。1993年からマサチューセッツ工科大学に留学し、マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程を修了。1998年、プロジェクト杉田玄白を創設。
某調査会社で開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや、前衛文学、経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私はパソコンには詳しいとはいえないけれど、まあ平均くらいには知っているだろう。初めて聞いたという話はまったくなかった。でも「そんなこともう知っているよ」という退屈な本かと言うと、それもまったく違う。「なるほど、こういうふうに説明するのか!」と楽しく一気に読んでしまった。
この「なるほど」の意味は二つある。一つは、著者が読者を楽しませようと心を砕いていること。実のところ、本書の内容は厳密で詳細な解説ではない。ほとんどの説明が比喩にたよっている。しかし、それは必ずしも悪いことではなくて、本書はむしろ比喩の力を実感させてくれる。「なるほどこの説明は楽しい」と思えるものに仕上がっているのだ。(実は、「コンピュータのきもち」じゃなくて、単なる事実の紹介になってしまっている部分もある。それは残念。)
もう一つの「なるほど」は、コンピュータの原理を説明をしながら、常にそれを越える洞察を引き出そうとする方向へと論述が進むことだ。「コンピュータのきもち」を解説するふうを装って、著者が本当に考えたい/分かりたいのは、人間のこころのほうだというのが伝わってくる。「なるほど、そう話が繋がるのね」
もちろん、コンピュータと人間の心との関係という問題は、ある意味で王道の問題設定であって、著者の独創的な問題意識なんかではない。でもコンピュータと人間の心という組み合わせだと、ふつう問題になるのはコンピュータや人間の「知性」(intelligence)。それに対して、本書が気にしているのは「きもち」(feeling?)。 いずれにしても、「パソコン入門」と銘打ちながら、そういう「心の哲学」にまで読者を誘ってしまおうとしているところに、教養人の著者らしさが出ている。だから、どちらも中途半端だと言いたい気がしないでもないが、入門書はやっぱり楽しくてなんぼ。とても良い。(追記:そう言えば、名著『 思考する機械:コンピュータ 』が文庫になりましたね。こちらもどうぞ。)
この「なるほど」の意味は二つある。一つは、著者が読者を楽しませようと心を砕いていること。実のところ、本書の内容は厳密で詳細な解説ではない。ほとんどの説明が比喩にたよっている。しかし、それは必ずしも悪いことではなくて、本書はむしろ比喩の力を実感させてくれる。「なるほどこの説明は楽しい」と思えるものに仕上がっているのだ。(実は、「コンピュータのきもち」じゃなくて、単なる事実の紹介になってしまっている部分もある。それは残念。)
もう一つの「なるほど」は、コンピュータの原理を説明をしながら、常にそれを越える洞察を引き出そうとする方向へと論述が進むことだ。「コンピュータのきもち」を解説するふうを装って、著者が本当に考えたい/分かりたいのは、人間のこころのほうだというのが伝わってくる。「なるほど、そう話が繋がるのね」
もちろん、コンピュータと人間の心との関係という問題は、ある意味で王道の問題設定であって、著者の独創的な問題意識なんかではない。でもコンピュータと人間の心という組み合わせだと、ふつう問題になるのはコンピュータや人間の「知性」(intelligence)。それに対して、本書が気にしているのは「きもち」(feeling?)。 いずれにしても、「パソコン入門」と銘打ちながら、そういう「心の哲学」にまで読者を誘ってしまおうとしているところに、教養人の著者らしさが出ている。だから、どちらも中途半端だと言いたい気がしないでもないが、入門書はやっぱり楽しくてなんぼ。とても良い。(追記:そう言えば、名著『 思考する機械:コンピュータ 』が文庫になりましたね。こちらもどうぞ。)
2022年10月31日に日本でレビュー済み
なんというか…
こんなに面白い本にはなかなか巡り会えないような気がする…。当時は書店で手に取りどハマりした。じゃなきゃネットで買う気なんて起こらないド真面目なタイトルw。15年ぶりくらいに読み返してみて改めて『面白い!』そう感じました。色褪せないね〜
こんなに面白い本にはなかなか巡り会えないような気がする…。当時は書店で手に取りどハマりした。じゃなきゃネットで買う気なんて起こらないド真面目なタイトルw。15年ぶりくらいに読み返してみて改めて『面白い!』そう感じました。色褪せないね〜
2012年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『コンピュータのきもち』が、新書になっていたんですね。
再読してみましたが、擬人化したたとえが非常にわかりやすく、
また、根幹の部分を説いているので古びてもいないので、
なんとなくコンピュータを使ってきた人が理解を深めるのに、
最適だと思います。
再読してみましたが、擬人化したたとえが非常にわかりやすく、
また、根幹の部分を説いているので古びてもいないので、
なんとなくコンピュータを使ってきた人が理解を深めるのに、
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2012年12月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容が面白そうな本なので、読むのが楽しみです。ただ、単行本のみの項目もあり、判断は価格と相談かも知れません。
2008年3月14日に日本でレビュー済み
“ものすごく”、ないし“ある程度”パソコンに馴染んでいる人が「そうそう!」「そうなんだよ、そういうことなんだよ」「そういうことだったんだよね」と大いに共感できる、とても気持ちが良い本。そして、次なる重要なポイントは“多くの人は共感できない”と気づくこと。教養だと思っていたことが、実は、教養ではなく、馴染みのない事柄であるということに気づく。そうすると、初心者の気持ちがわかる。
気持ちよく読んで、相互理解にとても役立つ、貴重な本です。
気持ちよく読んで、相互理解にとても役立つ、貴重な本です。