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甦るチューリング: コンピュータ科学に残された夢 単行本 – 2002/9/1
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社エヌティティ出版
- 発売日2002/9/1
- ISBN-104757100795
- ISBN-13978-4757100794
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商品の説明
商品説明
本書はアラン・チューリングの業績と生涯を記したものだ。チューリングは当時大きな課題を抱えていた数学の分野に興味をもち、独自の発想で解決に臨んだ。そのとき、彼が仮想したものが、計算する機械と計算する手法を備えたチューリングマシンである。本書では当時の数学の課題やチューリングマシンの動作、オートマトンの解説を行うとともに、チューリングの示したコンピュータの原理的限界も説明している。この部分はプログラマーならば知っておくべき内容であり、数学的な問題ではあるが直感的な解説もなされているので理解することは容易だ。
さらに本書では、チューリングの主要な仕事であるドイツ軍の暗号破り、人工知能を判ずるチューリングテスト、そしてノイマン型・チューリング型コンピュータのアーキテクチャについてもかなり詳細に解説しており、歴史に興味のある人やSFに詳しい人にとっては非常に興味のある内容が満載されている。もちろん、彼が生命に関して行った考察をはじめ、チューリングが行った仕事はすべて取り扱っているので、アラン・チューリングの仕事と生涯を知るのに十分な内容である。単純にチューリングの功績を述べるのではなく、その仕事のもつ意味を示すことに意識が払われているため、われわれが普段何気なく使っているコンピュータの本質がありありと見えてくるのが大きな魅力だ。
どのような分野でもそうであるが、先駆者の仕事はよく理解しておかないとおのずと知見が狭くなり、浅い仕事しかできなくなる。コンピュータ・人工知能など広範な領域に偉大な足跡を残したチューリングの業績を理解することは、まがりなりにもコンピュータをなりわいとしている人間にとって必要不可欠だろう。コンピュータの原点を知る意味でも、ぜひ読んでみたい1冊である。(斎藤牧人)
メディア掲載レビューほか
天才科学者の業績を多面的にとらえる
アラン・チューリングという科学者を知らない人はいるだろう。しかし日経パソコンの読者なら、いや現代人ならチューリングの恩恵を被っていない人はいない。20世紀イギリスに現れて計算機科学の礎となるさまざまな業績を上げた。「チューリング・テスト」に代表される華やかな業績、第二次世界大戦の成り行きに重要な影響を与えた暗号解読機「ボンベ」の開発、そして私生活の面では同性愛、42歳の若さで謎の死――チューリングの一生は極端なまでの栄光と悲運とに彩られている。
自らもコンピューター科学の研究者である著者は、イギリス取材をも踏まえて、チューリングの人生と業績を追っていく。扱う内容は決して手抜きされておらず高度だが、ていねいにかみ砕かれているので分かりやすい。特に詳細に解説された「ボンベ」の動作原理は圧巻である。巧みなアナログ回路で、現在のコンピューターと同等以上の機能を実現しているのだ。また、これまであまり知られていなかったチューリング最晩年の業績――生命の形態形成をコンピューターでシミュレーションする――も興味深い。後の複雑系やニューラル・ネットといった研究につながる指摘を行っているのである。
著者は「チューリングは二十一世紀に甦る」と書く。その業績を踏まえないとコンピューター科学の進歩は望めず、ひいては「チューリング・テスト」の核心である「自意識とはなにか」という難問に答えられないというのだ。
天才の劇的な生涯を描いた伝記としても面白いし、その業績を知られざる側面をも含めて包括的に解説した科学ノンフィクションとしても秀逸である。日経パソコン読者必読の一冊だ。
(ノンフィクションライター 松浦晋也)
(日経パソコン 2002/11/25 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
著者からのコメント
本書は、二十世紀の天才的数学者であり自然哲学者であったアラン・チューリングの人生、彼が先駆的に行ったコンピュータ・生命研究と、その哲学を語るエッセイである。単なる伝記ではなく、チューリングが提唱し、未解決に終わっている課題を、気楽な読み物として解説している。たとえば、脳はコンピュータなのか、知能・生命はコンピュータによって実現できるのか、アナログ回路で暗号を解読できるか、遺伝ではなく発生によって決まる生物の構造とは、バーチャル社会はイミテーション・ゲームで解釈できるのか、というような課題について語っている。さらに、チューリングの残した言葉を敷衍して、著者は、進化するハードウェアの可能性、生きている自意識はコピーできるのか、デカルト劇場と呼ばれる自意識の深い謎へと議論を広げ、気楽な対話という形式を採用して、独自の見解を述べている。
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : エヌティティ出版 (2002/9/1)
- 発売日 : 2002/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 236ページ
- ISBN-10 : 4757100795
- ISBN-13 : 978-4757100794
- Amazon 売れ筋ランキング: - 696,117位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 35,975位歴史・地理 (本)
- - 93,557位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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現在、日本語で読めて最も分かりやすい資料はサイモン・シン「 暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで 」です。
この本でも相当に詳しく書いてあるのですが、非常に誤解しやすいので自分の備忘録の為にも書いておこうと思います。
まず、基礎的な事で構わないので群論の知識が必要です。
<サイモン・シン「暗号解読」>
スクランブラーの解読については、非常に詳細に書いてくれています。
この本よりも分かりやすいです。
ですが、プラグ配線についての記述があまりにもあっさりとしているのが残念です。
<甦るチューリング>
「暗号解読」の欠点である、プラグ配線についての解読方法を事細かに語っています。
残念な事にさらっと読むと「暗号解読」との違いが分からないので面食らってしまいます。
「暗号解読」ではスクランブラーの解読、「甦るチューリング」ではプラグ配線の解読が詳細に載っていますから
まず群論の置換群・対称群を勉強してから、両方の本を熟読してください!!
根気さえあればきっと理解できると思います。
コンピュータ言語が書ける人は、両方の本に書いてある内容をコーディングしてみてください。
そうすると、分かりやすいと思います。
残るは対角結線ですが、これは自分で模型を組むなり組紐理論をかじったりしてみてください。
ずっと考えていればある日突然分かる類の問題です。
2013/2/1
ゆっくりですが、エニグマ解読の資料を書き始めています。
この本の内容も徐々に追加していきますので参考にしてください。
https://docs.google.com/document/d/1BPFYD7xCgjf1tUDb7H29MybLrnzr7UsIQ_KonHVMa5c/edit?usp=sharing
当然、月刊アスキーに掲載された元になった連載もよんでました。
大学時代「好きな数学者は誰か」と聞かれてチューリングと即答しなかったのをいまだに悔やんでいます。(~_~メ)
私なんぞがリスペクトするだけでもおこがましい気がしたのです。
一般にはチューリングはあまり知られてないかもしれない。
暗号解読者であり、コンピュータの基礎理論、ひいては人工知能を数学的な面から突き進めていった人です。
これを行ったのが工学者ではなく、純粋数学者ということが重要。
現代科学はいまだチューリングの手の中にあるというのがチューリング贔屓の著者の主張。
もともとは、2000年に月刊アスキーで連載されていたのを、一札の本にまとめたもの。連載されてた当時から、面白く読んでいたけど、今回読んだら、やっぱりすごく面白い。
チューリングって日本じゃあまり知られてないけど、ニール・スティーブンスンの『クリプトノミコン』で取り上げられてから、すごく興味を持ってた。特に暗号解読に果たした彼の役割、コンピュータの基礎をつくったことなど、この本でも、チューリングに対して、とても温かく、かつ、客観的な視線で、描かれている。
とってもいい本だ。でも、内容を完ぺきに理解できたかは疑問だけど...
伝記に関しては著者はホッジス氏の書物の存在からか、ほとんど詳しい説明をしていません。年代やチューリングの年が、出てきたり出てこなかったして、非常に読みにくく、足跡もわかりづらいです。しかも事実列挙的でチューリングの研究背景や心情に関する描写はほとんどありません。
他の評者の方がおっしゃるように、暗号解読に関する説明が本書の特色なのかもしれませんが、やはり説明が言葉足らずです。何人かの評者の方が、理解できなかったとおしゃっていますが、これではほとんどの人は理解できないでしょう。
とは言っても評価できる点もあります。チューリングテストとレーブナーコンテストに関する記述は、今に生きるチューリングの思想の一つとしてきちんと紹介されています。最後の教授と卒業生のやり取りも、教授の「いまこそチューリング」という心意気を感じることができて面白いかもしれません。
私も「今こそチューリング」という意見には賛成です。だからこそ、数少ないチューリングに関する日本語の啓蒙書としてきちんと書いて欲しかったです。ゲーデルに関する類書の様に「わくわく」したかったです。
ただ文系の人にも分かるように書こうという意志、説明量が少ないため、初めて彼の仕事を知る人には、わかったようなわからないような・・・という状態になりそうです。一般向け啓蒙書ではないということか。
あと、暗号解読に使われたアナログマシンであるチューリングボンベについてやや詳しく書いてあることは、本書の特色となっています。多少彼のことを知っている人にとっては、この部分が認識利得となりそうです。ただ僕は読んで仕組みがいま一つ分からず、もっと親切に書いて欲しかったです。