株式会社は、本質的に短期的利益を実現することを最優先にする性向があり、
加えて会社は共同体的性格を有するため、違法な行為を拒否できない環境を生み出しやすい。
ライブドア事件など、繰り返される株式会社を舞台とした違法行為は、
マスコミ等で批判されるように経営者のモラルハザードが問題の本質であるというのは短慮であり、
この株式会社の基本的な性向(=病)から生み出されるものである。
株式会社にはこういった病がビルトインされており、この病が経済発展を生み出す強力なドライブともなってきたため、
この問題を認識して株式会社と向き合っていくことが必要である。
議論は大要、こういったお話です。
こういった議論は、本書で繰り返し引用された岩井克人氏の著書でもいくつか展開されていた気がしますが、
著者が学問の世界の人間ではなく、株式会社の現場で経営者として生活をしてきたというところから、
学問の人間にはない説得力があるように思いました。
しかしながら、経営者として、課題に対してどう取り組んできたのか、
そういったところを期待して読み始めてしまったため、
〆が学者のように、問題を認識する必要があることを指摘するだけで終わったところに物足りなさを感じました。
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株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント 34) 単行本 – 2007/6/1
平川 克美
(著)
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- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社エヌティティ出版
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104757121989
- ISBN-13978-4757121980
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登録情報
- 出版社 : エヌティティ出版 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 238ページ
- ISBN-10 : 4757121989
- ISBN-13 : 978-4757121980
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上位レビュー、対象国: 日本
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2011年11月20日に日本でレビュー済み
2013年7月31日に日本でレビュー済み
「種(シュ)としては絶対に必要だが、一つ一つは不安定になっているこの会社という組織を、社会はうまく活用できるようになるのだろうか。これこそが、会社の将来に関する議論の核心となるべき問いだ」ジョン・ミクルスウェイト&エイドリアン・ウールドリッジ『 株式会社 』(鈴木泰雄訳,クロノス選書,2006年)
本書は、一度は手に掛けたものの、途中で暫く寝かしてしまっていた平川克美さんの著作であるが、改めて目を通してみると、やはり引き込まれてしまう。私流にこの書物の特長を雑駁に言い表せば、「誰もがなんとなくは感じていたこと」だけど、「誰もが深くは考えてこなかった問題」(p.9)を大上段に振りかぶることなしに点綴したところにあるだろう。「誰もが深くは考えてこなかった問題」…具体的には「株式会社こそは、わたしたちが毎日その内部で活動し、あまりに身近な存在であるがゆえに、深く考えることをしてこなかった社会の写し絵のようなもの」(p.11)なのである。
その「株式会社」が抱える「病」とは何か…。これは当書の肝でもあるので、是非この本を手に取り、熟読玩味していただきたいと願うけれども、「病」の関連で私が判り易かったのは、平川さんが本著で取り上げた「ライブドア(LD)」の“事件”であった。この“事件”自体は「巨大な2ちゃんねる事件」(LD関係者)と言ってもよく、今もって評価が難しく、「国策捜査」説も根強い。それはさておき、この“事件”で「問われるべきは堀江氏個人の道義的な責任ではなく、会社というものにとっての道義とは何かということにあったはずである」(p.167)という平川さんの見立てに異存はない。
LDの“事件”でも、典型的な「株主価値」と「会社価値」の相克=病を見ることが可能なわけだが、こうした視点で論評したメディアは当時少なく、堀江貴文氏の人間的資質等に還元した批判が殆どだったように思われる。ただ言えるのは、堀江氏個人を責め立てたところで、「株式会社という病」を克服したことにはならない、ということであろう。この「病」は「株式会社」という組織が生み出たと同時に常在している宿阿のようなものだ。求められるのは、私たちがこの「病」を、そして会社の価値観と個人の価値観が「倒立した関係」(p.119)にあることを自覚しているかどうかにあろう。
Amazonで購入
「種(シュ)としては絶対に必要だが、一つ一つは不安定になっているこの会社という組織を、社会はうまく活用できるようになるのだろうか。これこそが、会社の将来に関する議論の核心となるべき問いだ」ジョン・ミクルスウェイト&エイドリアン・ウールドリッジ『 株式会社 』(鈴木泰雄訳,クロノス選書,2006年)
本書は、一度は手に掛けたものの、途中で暫く寝かしてしまっていた平川克美さんの著作であるが、改めて目を通してみると、やはり引き込まれてしまう。私流にこの書物の特長を雑駁に言い表せば、「誰もがなんとなくは感じていたこと」だけど、「誰もが深くは考えてこなかった問題」(p.9)を大上段に振りかぶることなしに点綴したところにあるだろう。「誰もが深くは考えてこなかった問題」…具体的には「株式会社こそは、わたしたちが毎日その内部で活動し、あまりに身近な存在であるがゆえに、深く考えることをしてこなかった社会の写し絵のようなもの」(p.11)なのである。
その「株式会社」が抱える「病」とは何か…。これは当書の肝でもあるので、是非この本を手に取り、熟読玩味していただきたいと願うけれども、「病」の関連で私が判り易かったのは、平川さんが本著で取り上げた「ライブドア(LD)」の“事件”であった。この“事件”自体は「巨大な2ちゃんねる事件」(LD関係者)と言ってもよく、今もって評価が難しく、「国策捜査」説も根強い。それはさておき、この“事件”で「問われるべきは堀江氏個人の道義的な責任ではなく、会社というものにとっての道義とは何かということにあったはずである」(p.167)という平川さんの見立てに異存はない。
LDの“事件”でも、典型的な「株主価値」と「会社価値」の相克=病を見ることが可能なわけだが、こうした視点で論評したメディアは当時少なく、堀江貴文氏の人間的資質等に還元した批判が殆どだったように思われる。ただ言えるのは、堀江氏個人を責め立てたところで、「株式会社という病」を克服したことにはならない、ということであろう。この「病」は「株式会社」という組織が生み出たと同時に常在している宿阿のようなものだ。求められるのは、私たちがこの「病」を、そして会社の価値観と個人の価値観が「倒立した関係」(p.119)にあることを自覚しているかどうかにあろう。
2013年3月1日に日本でレビュー済み
冗漫な文章と言う印象を受ける。「泣き言」に過ぎないという感想でもある。企業悪者説を原理主義的にうち立てておいて、それは「宿命」だからだからどうしょうもないと言って嘆くだけ。分析にはまあまあのものがありながら、自説を袋小路に追い込んでいるのだ。平川氏に付き合って、私もその「どうしょうもない」感が倍加された。
平川氏は影響を与えられた人物として、網野善彦と岩井克人を挙げるが、特に本書は岩井克人氏の『会社は誰のものか』(2005)からの着想によるところが多いと読める。私も発刊当時、同書を貪り読んだ記憶があるが、論理の緻密さと問題に向き合う姿勢において、本書の到底及ぶところでない。会社の本質を知りたければ、本書の代わりに岩井書の一読を薦めたい。
それはさておき、本書の骨子は次のようである。
平川氏は、岩井氏が分析する、「モノに対してはヒトとして効果し、ヒトに対してはものとして効果する」という、株式会社システムとしての「二重の所有関係」だけでは、人が意に添わない「会社の命令」に従ってしまう理由を説明するには十分でないとする。なるほど本書は会社の「深層心理」に迫りたいのかと読む。
氏によれば、人と会社の意識は逆立ちしている。会社は自らの経済合理性によって、不正を犯すべく性格づけられている。「会社とはそのような病的機関であり、人や社会にとって…危険な存在である」。会社は生まれつきの病人である。病名「金銭フェチ」。そのことが経済学者を始め、全ての人に認識されていない、となる。
右肩上がりの成長が当然視されるのは、人に欲望があるからだが、そもそも人は欲望を持って生まれてはいない。欲望は他者の欲望から生じ(内田樹からの引用とある)、この部分は「原因と結果」が交錯・循環してしまっている。
欲望に取り憑かれた人は、自ら汗してそれを得る非能率な代償に替えて、株式会社という収益機関を編み出し、そこに資金を投資し、運用をプロの経営者に委ねることで効率的に太らせることを思いついた。ここまでの饒舌は皆が承知するところである。
ここで最初の命題にはいる。では何故「ひと(従業員)は意に添わない「会社の命令」に従ってしまう」のか。氏はこれを「共同体のエートス(最も根底的な組織体の幻想の総合軸)」と名付ける。そこでは世間一般が了解している倫理を越えるロイヤリティーの強度が優先される。会社という共同体は「それが持つ呪縛力によって拡大し…その呪縛によって腐敗して行く」と述べて終いとし、この後は様々な企業スキャンダルの実例に及ぶだけ。
最後は清水哲夫の詩から「光を集める生活は/それだけに深い闇を作り出すであろう」を引用し、だが「世界は変化の途上にある」と詠嘆して終わる。
結局本書の言わんとすることは、「株式会社」は不治の病で、現在のところ治療する処方箋など無いと読める諦観論にすぎないと解るまでに、260頁も付き合う羽目になってしまった。ヤレヤレという以外に言葉はない。
平川氏は影響を与えられた人物として、網野善彦と岩井克人を挙げるが、特に本書は岩井克人氏の『会社は誰のものか』(2005)からの着想によるところが多いと読める。私も発刊当時、同書を貪り読んだ記憶があるが、論理の緻密さと問題に向き合う姿勢において、本書の到底及ぶところでない。会社の本質を知りたければ、本書の代わりに岩井書の一読を薦めたい。
それはさておき、本書の骨子は次のようである。
平川氏は、岩井氏が分析する、「モノに対してはヒトとして効果し、ヒトに対してはものとして効果する」という、株式会社システムとしての「二重の所有関係」だけでは、人が意に添わない「会社の命令」に従ってしまう理由を説明するには十分でないとする。なるほど本書は会社の「深層心理」に迫りたいのかと読む。
氏によれば、人と会社の意識は逆立ちしている。会社は自らの経済合理性によって、不正を犯すべく性格づけられている。「会社とはそのような病的機関であり、人や社会にとって…危険な存在である」。会社は生まれつきの病人である。病名「金銭フェチ」。そのことが経済学者を始め、全ての人に認識されていない、となる。
右肩上がりの成長が当然視されるのは、人に欲望があるからだが、そもそも人は欲望を持って生まれてはいない。欲望は他者の欲望から生じ(内田樹からの引用とある)、この部分は「原因と結果」が交錯・循環してしまっている。
欲望に取り憑かれた人は、自ら汗してそれを得る非能率な代償に替えて、株式会社という収益機関を編み出し、そこに資金を投資し、運用をプロの経営者に委ねることで効率的に太らせることを思いついた。ここまでの饒舌は皆が承知するところである。
ここで最初の命題にはいる。では何故「ひと(従業員)は意に添わない「会社の命令」に従ってしまう」のか。氏はこれを「共同体のエートス(最も根底的な組織体の幻想の総合軸)」と名付ける。そこでは世間一般が了解している倫理を越えるロイヤリティーの強度が優先される。会社という共同体は「それが持つ呪縛力によって拡大し…その呪縛によって腐敗して行く」と述べて終いとし、この後は様々な企業スキャンダルの実例に及ぶだけ。
最後は清水哲夫の詩から「光を集める生活は/それだけに深い闇を作り出すであろう」を引用し、だが「世界は変化の途上にある」と詠嘆して終わる。
結局本書の言わんとすることは、「株式会社」は不治の病で、現在のところ治療する処方箋など無いと読める諦観論にすぎないと解るまでに、260頁も付き合う羽目になってしまった。ヤレヤレという以外に言葉はない。
2007年8月8日に日本でレビュー済み
利益追求のみにそのレーゾンデートルを持つ「会社」という組織は先天的に病んでおり(これは良い/悪いという問題ではない)、自らが作り出した会社に縛られている我々はその「病」に対して常に意識的でなければならない、というお話。
ここから、お金でお金を得るという株式会社の特殊性に話は広がり、宗教観や金融の起源、さらには共同体の倫理観へと、次々に話題が展開していきます。
だいぶん話が発散しており、原理的な問いかけがなされるだけでその解決は一切図られない、という非常にフラストレーションの溜まる状態に陥るわけですが、まあ要するに、そういう「病」の周辺事項に対して自覚を持つということが最も重要なことらしいので、そのつもりで読みましょう。
そんなに目新しいことが書いてあるわけでもありませんでしたが、非常に読みやすくわかりやすい文章で、ポイントをうまく整理し直した本になっているので、自分の頭を整理するのにはちょうどよいかと思います。
ここから、お金でお金を得るという株式会社の特殊性に話は広がり、宗教観や金融の起源、さらには共同体の倫理観へと、次々に話題が展開していきます。
だいぶん話が発散しており、原理的な問いかけがなされるだけでその解決は一切図られない、という非常にフラストレーションの溜まる状態に陥るわけですが、まあ要するに、そういう「病」の周辺事項に対して自覚を持つということが最も重要なことらしいので、そのつもりで読みましょう。
そんなに目新しいことが書いてあるわけでもありませんでしたが、非常に読みやすくわかりやすい文章で、ポイントをうまく整理し直した本になっているので、自分の頭を整理するのにはちょうどよいかと思います。
2013年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容が素晴らしく、多くの人に読んでもらいたい。本の状態は大変良く、新品同様でした。
2007年8月13日に日本でレビュー済み
『ウェブ進化論』というトンデモ本に対するまっとうな批判をしていることだけでも、本書は推薦に値する。
「不特定多数無限大の知が結集する巨大なデータベース」という<発想>そのものが「反知性主義のイデオロギー」であると喝破し、情報は幾ら沢山集めても、沢山の情報に過ぎないという、極当たり前の、しかし今や噛んで含んだように教えてあげないと分からないらしい「ウェブ進化論者」らにとっては難しい議論を真正面から行なっている。
ソクラテスは言った。知とは無知の知であると。立派な大学を出たであろうウェブ進化論の論者やシンパらは、やはり学力が低下しているのだろう。
メタな知の集積が「知」の総合・統合につながる。僕はネットの友達を1万人持っている、これら進化論者のナイーヴ(莫迦)な子どもらしい発想は、オタクのコレクションにも相通じるといってはやはりオタクに失礼になろう。
本書は多くのビジネス書とは立ち位置が違う。それは、以上の議論を見ても分かろう。
「不特定多数無限大の知が結集する巨大なデータベース」という<発想>そのものが「反知性主義のイデオロギー」であると喝破し、情報は幾ら沢山集めても、沢山の情報に過ぎないという、極当たり前の、しかし今や噛んで含んだように教えてあげないと分からないらしい「ウェブ進化論者」らにとっては難しい議論を真正面から行なっている。
ソクラテスは言った。知とは無知の知であると。立派な大学を出たであろうウェブ進化論の論者やシンパらは、やはり学力が低下しているのだろう。
メタな知の集積が「知」の総合・統合につながる。僕はネットの友達を1万人持っている、これら進化論者のナイーヴ(莫迦)な子どもらしい発想は、オタクのコレクションにも相通じるといってはやはりオタクに失礼になろう。
本書は多くのビジネス書とは立ち位置が違う。それは、以上の議論を見ても分かろう。
2007年11月17日に日本でレビュー済み
本書を貫くのは、「会社の「内部」を貫徹しているものの考え方というものが、私たち個人の考え方や、渡世の常識といわれるものと齟齬をきたし、時には倒立したものとなっている」という見立てだ。
昔は「会社」と「社会」がある程度ツーカーだった。「生産」の時代だよね。「消費」の時代になってから「会社」の論理と「社会」の論理は大きくズレはじめて、商品市場から金融市場へって昨今の超市場主義の世の中では「会社」が人格を喪失してしまっている。岩井克人の言う、「会社」の「ヒト」としての側面、「モノ」としての側面で言えば、あまりに「会社」が「モノ」化してしまっている(しかし「法人」って言葉はすごい)。会社に「労働-生産-販売-資本回収といったプロセスとは別の、投資-リターンという投機的な要素が仕込まれたこと」ってのが大きいね。まあ「会社」ってのは作者が言うとおり、元来、「社会」の論理、あるいは神の声に矛盾するような人間の欲望を肯定してくれる“もうひとつの神の声”として人間が発明したものなんだよね。ひとりの人間の中に「社会」に帰属する自分と「会社」に帰属する自分が居てさ。企業不祥事が後を絶たないけど、他人事としては「社会」の論理に立って思考出来ても、もし当事者だったら「会社」の論理に抗する自信が俺にはない。コンプライアンスってのは「会社」の論理(欲望/現実)と「社会」の論理(倫理/理想)の狭間で、「ここまではやってもいい」って基準だと思うけど、「じゃあ、法律だけ遵守すりゃ何やってもいいのかよ?」ってのもあるし。
この本、思考が部分的に岩井克人や内田樹の借り物競争になってて、循環関数のように前に進んでいかないというか、手に文が付いてないところがある。「ビジネスとは何かという問いに対する答えは、ビジネスの現場には埋まってはいない」とは言え、現場からの思考をもうちょい開陳してほしかったな。
昔は「会社」と「社会」がある程度ツーカーだった。「生産」の時代だよね。「消費」の時代になってから「会社」の論理と「社会」の論理は大きくズレはじめて、商品市場から金融市場へって昨今の超市場主義の世の中では「会社」が人格を喪失してしまっている。岩井克人の言う、「会社」の「ヒト」としての側面、「モノ」としての側面で言えば、あまりに「会社」が「モノ」化してしまっている(しかし「法人」って言葉はすごい)。会社に「労働-生産-販売-資本回収といったプロセスとは別の、投資-リターンという投機的な要素が仕込まれたこと」ってのが大きいね。まあ「会社」ってのは作者が言うとおり、元来、「社会」の論理、あるいは神の声に矛盾するような人間の欲望を肯定してくれる“もうひとつの神の声”として人間が発明したものなんだよね。ひとりの人間の中に「社会」に帰属する自分と「会社」に帰属する自分が居てさ。企業不祥事が後を絶たないけど、他人事としては「社会」の論理に立って思考出来ても、もし当事者だったら「会社」の論理に抗する自信が俺にはない。コンプライアンスってのは「会社」の論理(欲望/現実)と「社会」の論理(倫理/理想)の狭間で、「ここまではやってもいい」って基準だと思うけど、「じゃあ、法律だけ遵守すりゃ何やってもいいのかよ?」ってのもあるし。
この本、思考が部分的に岩井克人や内田樹の借り物競争になってて、循環関数のように前に進んでいかないというか、手に文が付いてないところがある。「ビジネスとは何かという問いに対する答えは、ビジネスの現場には埋まってはいない」とは言え、現場からの思考をもうちょい開陳してほしかったな。
2021年1月8日に日本でレビュー済み
株式会社は利益を上げるために存在する。その会社の流儀を会社の外にまで持ち出すな。金で何でも買えると思うな。という真っ当な主張です。ただ、頻発する企業不祥事の原因が経営者ではなく株式会社のシステムにある、というのは違和感があります。会社への忠誠心とか帰属感とか、過大評価では? 「新人類」と言われた世代から見れば、会社なんて食うために嫌々行くだけの所。まあ、それはそれでまた別の病かもしれないですが。なお、本書に何度も出て来る長嶋茂雄選手の引退の言葉は「巨人軍は永遠に不滅です」ではなく「永久に不滅」が正しいようです。