自分は経済学を学んでいる訳ではないが、タイトルの通り「意思決定」についての考え方を学びたくて、本書を手に取ってみた。
結論から言うと、この本は非常に参考になった。
本書では、人間が大小様々な意思決定を行う場面において、犯しやすい間違いの傾向を例題を通して示し、それに対する対策を述べている。
人間は、自分では合理的に考えているつもりでも、様々なバイアスのせいで、客観的には必ずしも効果的でない選択をしてしまう事がある。
どの様な時にそんなミスをしてしまうかを知る事は、物事を判断する場面において、自分が本当に納得できる選択をするための助けとなり得る。
しかし著者は、感情や人情を捨てて全てを損得勘定の計算ずくで判断しろと主張している訳ではない。
むしろ、人間誰しもが持っている、そういった数値化出来ないファクターも含めての判断こそが、本当の意味での正しい判断だと考えている。
あくまで個々人の判断を尊重する姿勢を、著者は「民主的」と表現している。
本書は、一人ひとりが「民主的」に物事を考える事を後押しするための本であると言えるだろう。
タイトルに「入門」とあるが、統計学についてのごく初歩的な知識は有していないと、読み進めるのはやや困難かもしれない。
とは言え、本当に「さわり」程度の知識があれば何とかなる。
多少の知識を持っている読者にとっては、一々用語や概念の説明が入らない分、かえって読みやすいかもしれない。
文章は変に読者に媚びた所はなく、淡々と議論を進めていくスタイルである。
しかしながら、所々に著者のささやかなユーモアがちりばめられており、読み進めていく上で心地良いアクセントとなっている。
上品だが堅苦しくはない、非常に読みやすい文章だと思う。
この本を読むだけで全ての問題に明快に答えが出せるようになる訳ではないが、その内容を知っているのと知らないのでは、物事に対する考え方が変わってくるのは間違いない。
万人にお勧めしたい良書だと断言する。
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意思決定理論入門 単行本(ソフトカバー) – 2012/6/29
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意思決定理論の世界的権威ギルボア教授が、最新の基礎理論を問
題集形式で解説。人々がより良い意思決定をするために、意思決定
理論がいかに役立つか検討できるよう構成されている。学生から社
会人まで、何が良い「選択」「判断」なのかを考えたい人、必読!
題集形式で解説。人々がより良い意思決定をするために、意思決定
理論がいかに役立つか検討できるよう構成されている。学生から社
会人まで、何が良い「選択」「判断」なのかを考えたい人、必読!
- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社NTT出版
- 発売日2012/6/29
- 寸法21 x 15 x 2.5 cm
- ISBN-104757122829
- ISBN-13978-4757122826
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商品の説明
著者について
【著者】
イツァーク・ギルボア:意思決定理論の第一人者。HEC Paris(経営大学院)教授、イェール大学経済研究所フェロー、テルアビブ大学教授。
共著書に『決め方の科学』(9784326502592・勁草書房)、近刊に『Rational Choice』(みすず書房)がある。
【訳者】
川越敏司:公立はこだて未来大学准教授。著書に『行動ゲーム理論入門』(NTT出版)などがある。
佐々木俊一郎:近畿大学准教授。共訳書に『ゲーム理論による社会科学の統合』(NTT出版)などがある。
イツァーク・ギルボア:意思決定理論の第一人者。HEC Paris(経営大学院)教授、イェール大学経済研究所フェロー、テルアビブ大学教授。
共著書に『決め方の科学』(9784326502592・勁草書房)、近刊に『Rational Choice』(みすず書房)がある。
【訳者】
川越敏司:公立はこだて未来大学准教授。著書に『行動ゲーム理論入門』(NTT出版)などがある。
佐々木俊一郎:近畿大学准教授。共訳書に『ゲーム理論による社会科学の統合』(NTT出版)などがある。
登録情報
- 出版社 : NTT出版 (2012/6/29)
- 発売日 : 2012/6/29
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 235ページ
- ISBN-10 : 4757122829
- ISBN-13 : 978-4757122826
- 寸法 : 21 x 15 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 51,376位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 488位経済学・経済事情
- カスタマーレビュー:
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2018年1月10日に日本でレビュー済み
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2021年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は大変面白く、切り口も良いと思うが、日本語が翻訳調でわかりにくい。
もう少し日本語としてわかりやすい表現にしてもらえるとさらに良い本に
なると感じた。
もう少し日本語としてわかりやすい表現にしてもらえるとさらに良い本に
なると感じた。
2018年9月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常にわかりやすい教科書です。
行動経済学の基礎的要素(フレーミングやヒューリスティク,アンカリング等)や統計学の基礎的概念(信頼区間,検定,ベイズ統計等),主観的確率などの概念を,例題を通じて具体的な数値例とともに理解していける内容です。
正直,上記分野を聞きかじったくらいの前知識でも十分に読了できるうえに,練習問題なども掲載されており,入門的な教科書としては文句なしの一冊です!
「意思決定理論」として,上記分野の理論的側面をしっかりと抑えつつ,現実世界の意思決定場面を想定した例題が掲載されており,理論と実際の両面をカバーしています。
意識せずに下している,さまざまな意思決定が,いかにバイアスのかかったものなのかを痛感させられます。
ただ,これを読んでそれを改善できるかというとそういうものではないと思います。
人の思考のクセとして,こういう傾向があるということを認識できるかできないか。
事前に認識できなくとも,意思決定を失敗したときに,「なるほど,なぜそう考えてしまったのか」を後から理解し,フィードバックできるかどうかは,このような理論を知っているかいないかで,差がでるのだろうと感じました。
それなりの値段もしますので,読了後も手元に置いておきたい一冊だと思います。
若い社会人の方に特にオススメの一冊です。
行動経済学の基礎的要素(フレーミングやヒューリスティク,アンカリング等)や統計学の基礎的概念(信頼区間,検定,ベイズ統計等),主観的確率などの概念を,例題を通じて具体的な数値例とともに理解していける内容です。
正直,上記分野を聞きかじったくらいの前知識でも十分に読了できるうえに,練習問題なども掲載されており,入門的な教科書としては文句なしの一冊です!
「意思決定理論」として,上記分野の理論的側面をしっかりと抑えつつ,現実世界の意思決定場面を想定した例題が掲載されており,理論と実際の両面をカバーしています。
意識せずに下している,さまざまな意思決定が,いかにバイアスのかかったものなのかを痛感させられます。
ただ,これを読んでそれを改善できるかというとそういうものではないと思います。
人の思考のクセとして,こういう傾向があるということを認識できるかできないか。
事前に認識できなくとも,意思決定を失敗したときに,「なるほど,なぜそう考えてしまったのか」を後から理解し,フィードバックできるかどうかは,このような理論を知っているかいないかで,差がでるのだろうと感じました。
それなりの値段もしますので,読了後も手元に置いておきたい一冊だと思います。
若い社会人の方に特にオススメの一冊です。
2013年5月30日に日本でレビュー済み
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たとえ、統計学を使っても、意思決定は、意思決定者が決めることである。
2020年1月8日に日本でレビュー済み
昨今経営上の意志決定においてはSGDS等多様な要素が絡むが、透明性の高いアプローチができそうで実践に活かしたい。
ただ意志決定における要素の網羅性が不足してる感がある。
ただ意志決定における要素の網羅性が不足してる感がある。
2013年3月2日に日本でレビュー済み
意思決定理論の大家、イツァーク・ギルボアによる3部作のうち、入門用に位置づけられる本書。
専門家による訳なので正確であり、しかも読みやすい。
シンプルな装丁も素敵である。
まず幾つかの例題が提示され、読者はそれを考えながら読み進めるという形式をとっている。
この構成は、意思決定理論の既習者からするとやや冗長に感じられるかもしれないが、それでもギルボアの解説は、彼の理論に関する深い理解と考察によって、平易でありながらも非常に重厚なものとなっている。
本書のスタンスに触れたことにより、意思決定の理論が「合理的」か「非合理的」かというのは、必ずしも本質的な問題ではないと気がつかされた。
また、行動経済学に関する理解も大いに深めることができたように思うし、仕事や日常生活における「合理性」というものに対する向き合い方を改めさせられた。
確率論や統計学について書かれた章においては、通常の統計学とベイズ流のとの比較や、それらのツールを正しく使う上で重要な事柄がとても巧くまとめられている。
この部分を以って、経済学徒でなくても本書をお勧めすることができる。
非常に実用的な理論書である。
専門家による訳なので正確であり、しかも読みやすい。
シンプルな装丁も素敵である。
まず幾つかの例題が提示され、読者はそれを考えながら読み進めるという形式をとっている。
この構成は、意思決定理論の既習者からするとやや冗長に感じられるかもしれないが、それでもギルボアの解説は、彼の理論に関する深い理解と考察によって、平易でありながらも非常に重厚なものとなっている。
本書のスタンスに触れたことにより、意思決定の理論が「合理的」か「非合理的」かというのは、必ずしも本質的な問題ではないと気がつかされた。
また、行動経済学に関する理解も大いに深めることができたように思うし、仕事や日常生活における「合理性」というものに対する向き合い方を改めさせられた。
確率論や統計学について書かれた章においては、通常の統計学とベイズ流のとの比較や、それらのツールを正しく使う上で重要な事柄がとても巧くまとめられている。
この部分を以って、経済学徒でなくても本書をお勧めすることができる。
非常に実用的な理論書である。