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街場の現代思想 単行本 – 2004/7/1
- 本の長さ241ページ
- 言語日本語
- 出版社エヌティティ出版
- 発売日2004/7/1
- ISBN-104757140754
- ISBN-13978-4757140752
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商品の説明
出版社からのコメント
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : エヌティティ出版 (2004/7/1)
- 発売日 : 2004/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 241ページ
- ISBN-10 : 4757140754
- ISBN-13 : 978-4757140752
- Amazon 売れ筋ランキング: - 807,051位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1950(昭和25)年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想。ブログ「内田樹の研究室」を拠点に武道(合気道六段)、ユダヤ、教育、アメリカ、中国、メディアなど幅広いテーマを縦横無尽に論じて多くの読者を得ている。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞受賞、『日本辺境論』(新潮新書)で第三回新書大賞を受賞。二〇一〇年七月より大阪市特別顧問に就任。近著に『沈む日本を愛せますか?』(高橋源一郎との共著、ロッキング・オン)、『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『武道的思考』(筑摩選書)、『街場のマンガ論』(小学館)、『おせっかい教育論』(鷲田清一他との共著、140B)、『街場のメディア論』(光文社新書)、『若者よ、マルクスを読もう』(石川康宏との共著、かもがわ出版)などがある。
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イメージ付きのレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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「…結婚が約束するのはエンドレスの「不快」である。…「不快な隣人」、すなわち「他者」と共生する能力である。おそらくはそれこそが根源的な意味において人間を人間たらしめている条件なのである。」
「知性というのは「自分の愚かさ」に他人に指摘されるより先に気づく能力のことであって、自分の正しさをいついかなる場合でも言い立てる能力のことではない。」
「手元に「リセットボタン」を握りしめて結婚生活をしている人間は、まさに「リセット可能」であるがゆえに、その可能性を試してみたいという無意識の欲望を自制することができない。」
とたんに、ああ、子どもなんだ、犬なんだ、と気づく。
反論しにくい、というたぐいの正論がある。
例えば「人事評価制度を公明正大にせよ」とか
「がんばって教養を身につけるべき」とか。
まあ、反論出来ないのは自分の論理力の問題なのだが・・
内田樹はそういうこと(対象領域は何でも)に対して、
少し次元を変えた論を起こし、一般的でない結論を提示
しようとする。
その中のいくつかは、「何となく思っていたけれども、自分では
うまく言語化出来なかったこと」という読者のモヤモヤとシンクロする。
そのスッキリ感が、内田樹の本(またはブログ。どちらでも同じだが)
をむさぼり読んでしまう理由だと思われる。
読後は「俺は元々そう思っていたんだよ。内田樹もたまたま同じ
ことを言っているように」と勘違いが残る。
愉悦である。
現代思想というタイトルなので、哲学的な内容かと思っていたが、現代人の考え方について書かれたものだから、お固い内容ではない。もちろん、哲学的要素は出てくるものの、その知識はなくてもきちんと解説してくれているので安心して読める。基本的には、著者が教授を勤める大学の講義をまとめた形式なので、話し言葉で綴られており、とても読みやすい。
また、この現代思想版においては、人生相談形式が新鮮な試みだった。ここに寄せられた質問は、かつて質問してみたかったような、一般的で普遍的な質問であることが少なくない。同時に、こういう質問に著者はどうこたえるのであろうか、というわくわくした気持ちで、ページをめくる手は止まらなかった。
人生相談で回答しているなかに、著者の人間としての幅に触れるのが非常に心地よい。著者の人柄がよくあらわれてると言える。著者の素晴らしい学歴と研究により、そのような学者だ、という先入観で見ていたので、「あ、こんな繊細な機微に触れられるのは、このことを経験知としてしっているんだな」という事が随所に見られる。
離婚についての見解は、下記のようなものだ。
「幸福であれ不幸であれ、未来についてクリアカットな想像を抱くものはそのような未来を招き寄さずにはおれない。これが第一の命題。男女関係においては、相手が示す『理解不能』のふるまいについて私たちは『考え得る限り最悪の解釈』を採用する傾向がある。これが第二の命題。この二つを総合すると、私たちの誰にとっても、愛の終わりは構造的に不可避であるという結論が導かれる。(中略)その生来の『癖』をいつでも勘定に入れて運転すればよろしいのである。」
抜粋すると全く意味が分からないが、本を読めば、著者の経験知にも触れながら、この見解に至る説明が丁寧に記されている。
非常に清々しく、心地よい。こんな先生のもとで勉強できないのは残念だが、このように、本を通してその思想に親近感を持って触れられるというのは、読書のよい所だと、つくづく実感した。
全体的に一般常識を覆す解を提供し、読者を覚醒させる内容である。
しかし何となく「観念界のお遊び的」のような気もして、面白いとは思うのだが、だから何だと思ってしまった。現代思想とタイトルにはうたっているが、どこが思想なのかよく分からなかった。
読んでいくと
・そうそう、そのとおり!
・それ、極端すぎませんか?
・異論あり!
などと内心でつぶやいているうちに読めてしまう。
スラスラと読める理由は、面白いからだ。
知的な香りがするフレーズもけっこうある。
エッセイの見本、エッセイのお手本と言ってもいいと思う。
著者の人気の理由がわかった気がした。
今回の「街場の現代思想」もそんな一冊でした。
前半は文化資本についてと後半はMeetsRegionalに連載されていた人生相談形式で持論を展開するエッセイが印象的でした。
「文化資本」は、経済的なものの見方とはことなった(それでも経済的に豊かな方が持つ可能性の高い)、人間の資質を捉える概念だと思います。氏より育ちとかそんなところにも通じるような感じもしました。しかしながら、今となっては自分にはどうすることもできないので、せいぜい自分の子どもに「文化資本」の一部でも経験させることができればと思っています。
後半のエッセイで印象的なのは、現代でかけているのは「生きるための意欲」ではなく「死への覚悟」であるということ。「生きることの意味」を知らないのは「死の意味」について考える習慣を失ってしまったから。その論の過程ででてくる墓をつくることが他の動物と人間とを分けるものであること、また他の章で語られている「不都合な隣人」を認めて生活することなどがエッセイを立体的なものとして感じさせてくれる。
このような視点の背景には膨大な智の蓄積があるのでしょうけど、このように「街場」のお話に適用できる才能は凄いと思う。
ホントに面白い本でした。