デネットの立場は、第1章P27~30にあるとおりで、「自然主義(naturalism)」で、「決定論(determinism)、遺伝子中心主義(gene-centered view of evolution)、還元主義(reductionism)」の生物哲学(philosophy of biology)の研究者。
ダーウィンの進化論(theory of evolution)、ドーキンスの利己的な遺伝子(selfish gene)の系統。ちなみに字面は似ているが「遺伝的決定論(genetic determinism)」とは真逆の立場だ。
非決定論は非科学的になりがちで現代的ではない。神様とか、目的とか、因果とか。
一方、決定論は自由意志(free will)を否定していると思われるので、人間として直観的には選び難い。
そこで、決定論と自由意志が両立することを論証するというのが本書の主題である。
自由は進化してきた。生命自体が自由に生きるための選択をしているし、「ミーム(meme)」は情報ネットワーク通信を進化させ文明を創るし、「利己的な遺伝子」は長期的戦略で利他的行動をとるほど高度に進化している。
科学の進歩はこれからも続くので、「自由」の概念の整理には意義がある。例えば人々が合意のもとで自由を制限する政治・社会に役立つだろう。
訳はかなり読みやすいですが、それでも本書はかなり難しい。その理由は本書が前提知識を要求するからだと思います。完全に理解できている自信はありません。ある程度の理解までで、批判的に読むことはできませんでした。
科学の進歩に期待している人、あるいは逆に心配な人にも、お勧めできます。人工知能でシンギュラリティとか言われる近年だからこそ、本書を読んで思索を巡らせる価値はあります。
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自由は進化する 単行本 – 2005/5/31
ダニエル・C・デネット
(著),
山形 浩生
(翻訳)
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- 本の長さ478ページ
- 言語日本語
- 出版社NTT出版
- 発売日2005/5/31
- ISBN-104757160127
- ISBN-13978-4757160125
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訳者からのコメント
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自由と責任は進化で生まれた――本書はそんな異様な説を平然と唱える。自由は進化を加速するシミュレーションのツールとして自然がくれた。その自然に応える新世紀の倫理を方向づけ、自由に怯える人類の使命すら示す。この僕ですら驚愕の一冊がここにある。 ――山形浩生
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自由と責任は進化で生まれた――本書はそんな異様な説を平然と唱える。自由は進化を加速するシミュレーションのツールとして自然がくれた。その自然に応える新世紀の倫理を方向づけ、自由に怯える人類の使命すら示す。この僕ですら驚愕の一冊がここにある。 ――山形浩生
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出版社からのコメント
哲学上の難問を唯物論・進化論的に説明し、人間を魂の呪縛から解放する、とんでもない本。
内容(「BOOK」データベースより)
哲学上の難問を唯物論・進化論的に説明し、人間を魂の呪縛から解放するとんでもない本。
著者について
1942年生まれ。ハーヴァード大学卒業、オックスフォード大学院にて博士号取得。タフツ大学教授、同認知科学研究センター所長。著書に『ダーウィンの危険な思想』『解明される意識』『心はどこにあるのか』など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
デネット,ダニエル・C.
1942年生まれ。ハーヴァード大学卒業、オックスフォード大学院にて博士号取得。タフツ大学教授、同認知科学研究センター所長
山形/浩生
1964年生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務のかたわら、科学、文化、経済からコンピュータまで広範な分野での翻訳、執筆活動を行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1942年生まれ。ハーヴァード大学卒業、オックスフォード大学院にて博士号取得。タフツ大学教授、同認知科学研究センター所長
山形/浩生
1964年生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務のかたわら、科学、文化、経済からコンピュータまで広範な分野での翻訳、執筆活動を行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : NTT出版 (2005/5/31)
- 発売日 : 2005/5/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 478ページ
- ISBN-10 : 4757160127
- ISBN-13 : 978-4757160125
- Amazon 売れ筋ランキング: - 446,335位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 84位イギリス・アメリカの思想
- - 114位思想誌
- - 778位倫理学
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古今東西の歴史を見ると弱肉強食・優勝劣敗・適者生存の進化論のルールがリアルだと考えます。
フランシス・フクヤマの歴史本を読むと、歴史は人間の自由領域の拡大と自由の内容のベターを目指して歩んでいるようだと思えます。
この本は、そんなことを書いてる歴史本かと思って読みましたが、勘違いでした。
哲学書でした。
人間は、遺伝的、環境的な制約をコミュニケーション、協力で変えて自由を実現しつつある、というのがその主張です。
そのバリアーになる自由意志を否定する様々な議論に挑んでいきます。
ラプルスの悪魔議論、ドーキンスの利己的遺伝子、ミーム論、遺伝・環境要因的なもの、リベットのユーザーイリュージョン説などです。
自然科学と哲学をごちゃまぜにして、しかもかなり詳しくと言うかクドクドと書かれています。
引用する本や論文がやたら多く、あちこちに飛びまくり、まとまりがなく焦点が絞れません。
読んでいる間中、釈然としないモヤモヤ感が残り、読みにくく分かりにくい本です。
著者の本の構成、展開がまずいのか翻訳者の日本語レベルが低いのか、その両方なのか。
この本は450ページもありますが要領よく筋道立てて普通の日本語で書けば100ページに圧縮できるでしょう。
フランシス・フクヤマの歴史本を読むと、歴史は人間の自由領域の拡大と自由の内容のベターを目指して歩んでいるようだと思えます。
この本は、そんなことを書いてる歴史本かと思って読みましたが、勘違いでした。
哲学書でした。
人間は、遺伝的、環境的な制約をコミュニケーション、協力で変えて自由を実現しつつある、というのがその主張です。
そのバリアーになる自由意志を否定する様々な議論に挑んでいきます。
ラプルスの悪魔議論、ドーキンスの利己的遺伝子、ミーム論、遺伝・環境要因的なもの、リベットのユーザーイリュージョン説などです。
自然科学と哲学をごちゃまぜにして、しかもかなり詳しくと言うかクドクドと書かれています。
引用する本や論文がやたら多く、あちこちに飛びまくり、まとまりがなく焦点が絞れません。
読んでいる間中、釈然としないモヤモヤ感が残り、読みにくく分かりにくい本です。
著者の本の構成、展開がまずいのか翻訳者の日本語レベルが低いのか、その両方なのか。
この本は450ページもありますが要領よく筋道立てて普通の日本語で書けば100ページに圧縮できるでしょう。
2019年11月20日に日本でレビュー済み
「機械は、自由意志を持たない!」と考えるならば、ヒトは、機械ですから、自由意志を持ち得ません。自由意志を 行動機能のレベル(適応性)の高さと考えれば、それは、機械の進化によって、獲得されます。
2007年4月21日に日本でレビュー済み
自由意志を否定する各種主張を自然科学的立場から、丁寧に(くどく、しつこく)つぶしてくれている、確かに「とんでもない本」でした。
即ち、(訳者の山形さんが解説でまとめてくれてるのですが)
・物理学的なもの(ラプラスの悪魔理論)
「世界は原子とか素粒子でできている。それらの動きはすべて物理法則で決まっている。
ならば、ぼくが何を感じ、何を考え、何を選ぶかも決まってるんじゃないか」
・生物学的なもの(利己的遺伝子)
・疑似生物学的なもの(ミーム説)
・遺伝・環境要因的なもの(条件付け説)
・脳科学的なもの(ユーザーイリュージョン説)
これらに対して、自然科学的根拠に立って、反論してくれているところがすごいです。
自然科学が新たな発見をし進歩するにつれて、哲学や思想的なものは多くの場合、説明しきれない矛盾が露呈するように思えてビビってしまい、
「伝統を信じて目を閉じ」ようとしてしまうものなのでしょうが、ダニエル・C・デネットは違いますね。
真っ向勝負という感じでしょうか。
「自然科学的立場にたった哲学構築」をやっています。
哲学って、こんなすごいんだ、と思っちゃいますね。
それが真実ならば、科学が進歩して、いろいろなことが解明されるほど、その真実がよりよく説明できてしかるべきはず。だから恐れるに足りない、と私は思います。デネットの態度には共感するのですよね。
一読し終わって、全体の論理展開の見通しは難解なため、「再度、読み込みが必要だな」と思って山形さんの訳者解説を読んだところ、まさにその私のニーズに答えてくれていて、これがまた素晴らしかったです。
極めて簡潔にまとめてくれていて、とても有り難いものでした。(「訳者解説も必読」という帯の言葉にウソはなかった)
訳者解説が本当に(!)本書の内容を解説してくれていて、解説を読んで初めて本書の内容の見通しがよくなりました^^
いやいや、これほど、解説が本当に解説になっているものもないですね。
即ち、(訳者の山形さんが解説でまとめてくれてるのですが)
・物理学的なもの(ラプラスの悪魔理論)
「世界は原子とか素粒子でできている。それらの動きはすべて物理法則で決まっている。
ならば、ぼくが何を感じ、何を考え、何を選ぶかも決まってるんじゃないか」
・生物学的なもの(利己的遺伝子)
・疑似生物学的なもの(ミーム説)
・遺伝・環境要因的なもの(条件付け説)
・脳科学的なもの(ユーザーイリュージョン説)
これらに対して、自然科学的根拠に立って、反論してくれているところがすごいです。
自然科学が新たな発見をし進歩するにつれて、哲学や思想的なものは多くの場合、説明しきれない矛盾が露呈するように思えてビビってしまい、
「伝統を信じて目を閉じ」ようとしてしまうものなのでしょうが、ダニエル・C・デネットは違いますね。
真っ向勝負という感じでしょうか。
「自然科学的立場にたった哲学構築」をやっています。
哲学って、こんなすごいんだ、と思っちゃいますね。
それが真実ならば、科学が進歩して、いろいろなことが解明されるほど、その真実がよりよく説明できてしかるべきはず。だから恐れるに足りない、と私は思います。デネットの態度には共感するのですよね。
一読し終わって、全体の論理展開の見通しは難解なため、「再度、読み込みが必要だな」と思って山形さんの訳者解説を読んだところ、まさにその私のニーズに答えてくれていて、これがまた素晴らしかったです。
極めて簡潔にまとめてくれていて、とても有り難いものでした。(「訳者解説も必読」という帯の言葉にウソはなかった)
訳者解説が本当に(!)本書の内容を解説してくれていて、解説を読んで初めて本書の内容の見通しがよくなりました^^
いやいや、これほど、解説が本当に解説になっているものもないですね。
2007年8月6日に日本でレビュー済み
自由を進化で考える。哲学書としてはかなり独特な切り口である。
「動こう!」と意識するよりも前に筋肉には電位が発生しているという実験(ベンジャミン・リベット「マインド・タイムー脳と意識の時間」に詳しく書かれている)や、「すべて決定された世界」としてのコンピュータシミュレーション世界などを詳しく説明しながら、「自由はあるのか」、「自己とはなにか」などの問題を考察していく。
著者の論は進化論に基いていて、「自由も生物が進化で獲得したもの」「世界が物理法則に従っていても、そこから自由は進化できる」と言うわけである。道徳や倫理も進化の産物、というのであるが、これは既にマット・リドレー「徳の起源」などがあるので、考え自体はそれほど新しいわけではない。それでも哲学が構築してきた「自己意識」や「自由意志」「理性」といったものを最近の科学的なデータと結びつけたらどうなるのかの一つの考え方、自由という視点でとらえたことという点からは一読の価値があるだろう。ただ、やはり実験のデータなどをもとにした決定論や不可知論の話に偏ってしまい、哲学書というよりは「少し哲学よりの(ある種の)進化論、科学書」のように読めてしまう。
しかし、それにしても読みづらい本である。まず長い。8章、9章の「自己とはなにか」とか「自律性」、「道徳の発生」など、核心の話題に到達するまでだけでも本筋を見失いそうになる。その辺の読みづらさについては翻訳者がちゃんと代弁してくれていて、親切な要約解説をつけてくれている。著者とは少し意見が違う部分についても書かれている解説なので、読者にも批判的に読む姿勢を喚起してくれる。親切ついでに、本書で引用される重要な文献のうち、邦訳で読めるようなものの一覧や、索引を用意してくれればよかったと思う。なにしろこんなに長く、話が見えづらい本なのだから。
そして、「〜ってなに?・・・なんだ。すご〜い。」という調子で書かれている文章。軽く滑っていくような文体は好みが分かれるところだろう。訳者解説までこの調子なので、この文体が「合わない」読者には評判が悪い本だと思う。著者の「ダーウィンの危険な思想」が厚すぎて普通の文体では読み通せなかった、と言う方には、逆にこちらの方が読みやすいかもしれない。どちらも基本的に著者の考えは同じである。
「動こう!」と意識するよりも前に筋肉には電位が発生しているという実験(ベンジャミン・リベット「マインド・タイムー脳と意識の時間」に詳しく書かれている)や、「すべて決定された世界」としてのコンピュータシミュレーション世界などを詳しく説明しながら、「自由はあるのか」、「自己とはなにか」などの問題を考察していく。
著者の論は進化論に基いていて、「自由も生物が進化で獲得したもの」「世界が物理法則に従っていても、そこから自由は進化できる」と言うわけである。道徳や倫理も進化の産物、というのであるが、これは既にマット・リドレー「徳の起源」などがあるので、考え自体はそれほど新しいわけではない。それでも哲学が構築してきた「自己意識」や「自由意志」「理性」といったものを最近の科学的なデータと結びつけたらどうなるのかの一つの考え方、自由という視点でとらえたことという点からは一読の価値があるだろう。ただ、やはり実験のデータなどをもとにした決定論や不可知論の話に偏ってしまい、哲学書というよりは「少し哲学よりの(ある種の)進化論、科学書」のように読めてしまう。
しかし、それにしても読みづらい本である。まず長い。8章、9章の「自己とはなにか」とか「自律性」、「道徳の発生」など、核心の話題に到達するまでだけでも本筋を見失いそうになる。その辺の読みづらさについては翻訳者がちゃんと代弁してくれていて、親切な要約解説をつけてくれている。著者とは少し意見が違う部分についても書かれている解説なので、読者にも批判的に読む姿勢を喚起してくれる。親切ついでに、本書で引用される重要な文献のうち、邦訳で読めるようなものの一覧や、索引を用意してくれればよかったと思う。なにしろこんなに長く、話が見えづらい本なのだから。
そして、「〜ってなに?・・・なんだ。すご〜い。」という調子で書かれている文章。軽く滑っていくような文体は好みが分かれるところだろう。訳者解説までこの調子なので、この文体が「合わない」読者には評判が悪い本だと思う。著者の「ダーウィンの危険な思想」が厚すぎて普通の文体では読み通せなかった、と言う方には、逆にこちらの方が読みやすいかもしれない。どちらも基本的に著者の考えは同じである。
2005年7月9日に日本でレビュー済み
私は、デネットの『解明される意識』という本に強い興味を持ちながらも、最後まで読み通せずに挫折した人間です。
それでも、このデネットの最新刊を書店で見たとき、「また挫折するだろう」と思いつつ、しかしやはりこのタイトルに惹かれ、買ってみずにはいられなかった「懲りないヤツ」です。
しかし、なんとありがたいことでしょうか。
翻訳者の山形氏は、呆れるほどに長く、懇切丁寧かつユーモラスで平易な『訳者解説』を最後にドーンと付記してくれています。
おかげで、山形氏の解説を、ところどころで笑い、ところどころで深刻に読んだあと、みごと、デネットの本文を読み切ることが出来ました。
日本語訳においては、この本の価値は間違いなく、翻訳者の方の力量によって高められていると思います。
よって、私は次の方々にこの本をお勧めします。
まず、デネットの思想に興味を感じつつ、拡散していく彼の思考についていくことが出来ず、その含意を読み取れないことにガックリしていた知的好奇心旺盛な方。
次に、「この大豆は遺伝子組み換えを行っていません」という食品表示を初めて見かけたとき、「安心だわ!」ではなくて、「なんじゃそりゃ?」とか「そういうことじゃないんじゃないの?」という感想を持った方。
そして最後に、
「人間に自由意志なんてない」という科学者の説(とされているものを含む)に、疑問、不安、怒り、興味を感じたことのある人をすべてに、私はこの本を推薦します。(人間の自由意志の否定に喜びを感じている方は、この本を素直に読むことは出来ないと思いますので、お勧めしません。)
それでも、このデネットの最新刊を書店で見たとき、「また挫折するだろう」と思いつつ、しかしやはりこのタイトルに惹かれ、買ってみずにはいられなかった「懲りないヤツ」です。
しかし、なんとありがたいことでしょうか。
翻訳者の山形氏は、呆れるほどに長く、懇切丁寧かつユーモラスで平易な『訳者解説』を最後にドーンと付記してくれています。
おかげで、山形氏の解説を、ところどころで笑い、ところどころで深刻に読んだあと、みごと、デネットの本文を読み切ることが出来ました。
日本語訳においては、この本の価値は間違いなく、翻訳者の方の力量によって高められていると思います。
よって、私は次の方々にこの本をお勧めします。
まず、デネットの思想に興味を感じつつ、拡散していく彼の思考についていくことが出来ず、その含意を読み取れないことにガックリしていた知的好奇心旺盛な方。
次に、「この大豆は遺伝子組み換えを行っていません」という食品表示を初めて見かけたとき、「安心だわ!」ではなくて、「なんじゃそりゃ?」とか「そういうことじゃないんじゃないの?」という感想を持った方。
そして最後に、
「人間に自由意志なんてない」という科学者の説(とされているものを含む)に、疑問、不安、怒り、興味を感じたことのある人をすべてに、私はこの本を推薦します。(人間の自由意志の否定に喜びを感じている方は、この本を素直に読むことは出来ないと思いますので、お勧めしません。)
2008年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自由と言う概念の進歩の話かと思って読み始めた。読んでみると、「自由意志はあるか」という問いに対して、「ある」方の立場に、進化論のスパイスをぱらぱらと振りかけたものだった。
自由意志否定の決定論なんて、不確定性原理とカオスで破綻しているんだから、ごちゃごちゃ言う必要もない。それに、自由意志擁護のの立場も、すぐにデカルト劇場が出て来て、めちゃめちゃプリミティブ。
この問題は、結局「自意識とは何ぞや」という問題に集約される。それを解かない限り、デカルト劇場から一歩も出ることはできない。では、このような哲学的な議論で「自意識」が理解されるかというと、2000年出来なかったことが突然出来るわけはない。いつになるか定かではないが、脳科学と計算機ベースの認識科学が明らかにしていくのだろう。
それが明らかになっても、自由意志は絶対にあると「私」は思うし、明らかになるまえなら、いよいよ自分の自由意志を尊重していくことが重要だと「私」は思う。
自由意志否定の決定論なんて、不確定性原理とカオスで破綻しているんだから、ごちゃごちゃ言う必要もない。それに、自由意志擁護のの立場も、すぐにデカルト劇場が出て来て、めちゃめちゃプリミティブ。
この問題は、結局「自意識とは何ぞや」という問題に集約される。それを解かない限り、デカルト劇場から一歩も出ることはできない。では、このような哲学的な議論で「自意識」が理解されるかというと、2000年出来なかったことが突然出来るわけはない。いつになるか定かではないが、脳科学と計算機ベースの認識科学が明らかにしていくのだろう。
それが明らかになっても、自由意志は絶対にあると「私」は思うし、明らかになるまえなら、いよいよ自分の自由意志を尊重していくことが重要だと「私」は思う。
2007年4月30日に日本でレビュー済み
まず訳がすばらしいのですいすい読める。
筆者のスタンスは、決定論ではあるがその中に自由意志(または普段私達がそう考えているもの)はある、というもの。決定論でありかつ可避性もある、ということ。
過去については、決定論だろうが非決定論だろうが、そもそも「回避できた」なるものがいかなる視点からなされているのか批判。決定論では十分条件はわかるが必要条件はわからないので、自由意志の余地はある。
未来については、そもそもいかなる決定がなされているか把握しようがなく、個人から見れば自由意志はあると考えても同じ。そして、危機を回避できたものが生き残るのだから、回避しようとするべき。
って感じかな。訳者解説は賛否両論あるっぽいので、口ははさまないことにする。
ともかく一読の価値はあると思います
筆者のスタンスは、決定論ではあるがその中に自由意志(または普段私達がそう考えているもの)はある、というもの。決定論でありかつ可避性もある、ということ。
過去については、決定論だろうが非決定論だろうが、そもそも「回避できた」なるものがいかなる視点からなされているのか批判。決定論では十分条件はわかるが必要条件はわからないので、自由意志の余地はある。
未来については、そもそもいかなる決定がなされているか把握しようがなく、個人から見れば自由意志はあると考えても同じ。そして、危機を回避できたものが生き残るのだから、回避しようとするべき。
って感じかな。訳者解説は賛否両論あるっぽいので、口ははさまないことにする。
ともかく一読の価値はあると思います