実に面白い。
脳科学の現状の問題点を捉え解決しようとする過程が描かれている。
研究者視点である等身大の「研究」を知る事ができる数少ない本です。
壁を乗り越えようとしている人、壁から逃げようとしている人、壁を避けて通ろうとしている人、壁を壊そうとしている人、一読の価値ありです。
ある意味、実験室での実験を止めた研究とも言える内容は驚くべきもので、人の持つ社会性を脳科学的に実証しつつあります。
悪の構造とも言われるBase of Pyramidと呼ばれる社会構造がどうして存在しているのかも本書から明らかになります。
内容は量子論や行動経済学や社会学、脳科学のいずれかを大雑把にでも追っている人には非常に理解しやすい本です。
敢えて欠点を挙げるのであれば内容を平易にしようとするあまりに一般化しすぎており、一次ソースとしてのデータが明示されない点などがあります。
そこは筆者も冒頭や巻末で述べている通り、これは脳科学の啓蒙書なのです。
好奇心あふれる人にはお勧めの一冊です。
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つながる脳 単行本 – 2009/5/15
藤井 直敬
(著)
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購入オプションとあわせ買い
脳科学の行く手には、大きな壁がある。技術の壁、スケールの壁、こころの壁、社会の壁である。
たちはだかる大きな壁に対して、脳科学者はどのように問題を解決しようとしているのか。
自由意志や社会的適応、ココロの理論、あるいは脳科学の実験環境や、話題のブレイン‐マシン・
インターフェイスなども押さえながら、「脳と社会」の関係性から脳の解明を目指す。
★第63回 毎日出版文化賞 自然科学部門 受賞★
★池谷裕二氏、茂木健一郎氏も絶賛★
閉塞の危機に瀕する脳科学。そこに立ち向かう熱い良心。
未来の脳研究界を着実に見渡したい人には必読の本だろう。
(池谷裕二)
ここには脳科学に関する「本当のこと」がある。
斯界の若きスターから繰り出される直球勝負。
真理探究への燃え上がる情熱。
とてつもない本が誕生した。
(茂木健一郎)
たちはだかる大きな壁に対して、脳科学者はどのように問題を解決しようとしているのか。
自由意志や社会的適応、ココロの理論、あるいは脳科学の実験環境や、話題のブレイン‐マシン・
インターフェイスなども押さえながら、「脳と社会」の関係性から脳の解明を目指す。
★第63回 毎日出版文化賞 自然科学部門 受賞★
★池谷裕二氏、茂木健一郎氏も絶賛★
閉塞の危機に瀕する脳科学。そこに立ち向かう熱い良心。
未来の脳研究界を着実に見渡したい人には必読の本だろう。
(池谷裕二)
ここには脳科学に関する「本当のこと」がある。
斯界の若きスターから繰り出される直球勝負。
真理探究への燃え上がる情熱。
とてつもない本が誕生した。
(茂木健一郎)
- ISBN-104757160429
- ISBN-13978-4757160422
- 出版社NTT出版
- 発売日2009/5/15
- 言語日本語
- 本の長さ288ページ
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商品の説明
著者について
藤井直敬(ふじい・なおたか)
1965年生まれ。理化学研究所 脳科学総合研究センターにて適応知性研究チーム・チームリーダー、BTCC双方向性BMI連携ユニット・ユニットリーダーを務める。
著書に『予想脳』(岩波科学ライブラリー)、『脳研究の最前線』(下巻、講談社ブルーバックス、共著)がある。
1965年生まれ。理化学研究所 脳科学総合研究センターにて適応知性研究チーム・チームリーダー、BTCC双方向性BMI連携ユニット・ユニットリーダーを務める。
著書に『予想脳』(岩波科学ライブラリー)、『脳研究の最前線』(下巻、講談社ブルーバックス、共著)がある。
登録情報
- 出版社 : NTT出版 (2009/5/15)
- 発売日 : 2009/5/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4757160429
- ISBN-13 : 978-4757160422
- Amazon 売れ筋ランキング: - 773,217位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,683位生物・バイオテクノロジー (本)
- - 36,240位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2010年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
近年数多く出版されている脳科学関連の本とは内容がかなり異なっていると感じました。
一般的に信じられている(実は誤って伝わっていることも多いのでしょうが…)情報の信憑性について議論するのではなく、
自身の研究内容をベースとした話の展開に終始されています。
これは、現在進行形で研究を続けられている方だからこそ可能な文章構成ではないかと感じられました。
内容に関しても、今までの本ではあまり紹介されていないような分野の研究の報告など、非常に新鮮に感じられました。
この分野で最先端の研究をされている筆者だからこそ書くことができた内容で、
その一部を垣間見ることができ、非常におもしろかったです。
一般的に信じられている(実は誤って伝わっていることも多いのでしょうが…)情報の信憑性について議論するのではなく、
自身の研究内容をベースとした話の展開に終始されています。
これは、現在進行形で研究を続けられている方だからこそ可能な文章構成ではないかと感じられました。
内容に関しても、今までの本ではあまり紹介されていないような分野の研究の報告など、非常に新鮮に感じられました。
この分野で最先端の研究をされている筆者だからこそ書くことができた内容で、
その一部を垣間見ることができ、非常におもしろかったです。
2018年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今までと今後の実験的考察が殆どである。脳科学実験は、〜だからできない、~だから難しい、〜ではダメだと思う、〜なら可能性がある、〜ならできるはず、今後は〜、と続く。結局、最後まで、こんな感じで、何か凄い実験結果が得られ、その考察が書かれているわけではない。「脳ってこんな凄いんだぞ!」という発見を期待して読むと肩透かしをくらう。ただ、これが脳科学の限界であり現実なんだなという誠実さが伝わる。
2014年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は理化学研究所 脳科学研究センターでチームリーダーとして社会性に関する脳研究を進めている。基本的に一般向けの本なのだと思うが、特に序章と第一章で脳科学そのものや脳科学研究者の現状や問題を赤裸々に語っている部分があって、同じ研究者として非常に興味深かった。なかなかここまでさらけ出すことが出来る研究者も少ないと思うし、見習いたいと思った。第2章以降は社会性に挑戦しようとする研究の現状が書かれていて、確かに大事だということは分かったけど、まだ有効な方法論が見つかっていないのかなという印象を持った。いずれにしても序章と第一章だけでも、脳研究者をはじめこの研究分野に興味のある人には是非読んで欲しいと思う。
2009年6月26日に日本でレビュー済み
著者は、個別の脳ミソについてのネットワークを語るだけではなく、
社会というネットワークのハブ(結節点くらいのいみでつかっています)としての脳の仕組みについての興味を提供します。
脳科学にたいする興味は、自分とはなんぞやというところに、ふつう行き着きます。
目次をみればわかるように、脳研究の壁を示すことで、その目的を果たすことが難しいことを僕たちに教えてくれているようです。
観測するのもされるのも、脳だからです。
さらに、社会においてリンクとしての脳と考えたときにおこる入れ子状態は、そのめんどくささにおいて、かなりのモノがあります。
脳科学の限界をはじめにもってきたことに、著者の誠実さがあります。
目次
第1章 脳科学の四つの壁
脳科学と社会 社会性研究という希望 脳科学の四つの壁 技術の壁
スケールの壁 こころの壁 社会の壁
第2章 社会脳研究で壁をこわす
挑戦開始 研究のフレームを作る 個体内適応機能 スケールに立ち向かう
社会性脳研究の第一歩 抑制こそ社会性の根本である 初めての社会性脳機能測定 社会空間認知と適応機能 抑制から社会を考える 選択的抑制機能と社会的適応知性
第3章 適応知性解明に向けて
脳科学の壁を壊す四つの試み 大規模記録手法開発による汎脳機能理解 習慣的脳機能表現の客観的理解 社会的意思決定のメカニズム解明 脳機能からみた社会の仕組み解明
第4章 仮想空間とヒト
ヒトの社会的脳機能を探ろう “賢い”生き物はヒト以外にもたくさんいる 発達とココロ
仮想空間という実験場 仮想と現実の境界 やってみたいと思っている課題 身体の恒常性と脳機能計測 仮想空間の可能性
第5章 ブレイン-マシン・インターフェイス
生物学と脳科学 情報と操作 ブレイン-マシン・インターフェイス BMI研究の最初の壁
ECoGという選択 初めてのデコーディング 転んでもただでは起きない BMIによる操舵
第6章 脳と社会
ヒトと社会 しあわせなヒト リスペクト経済
社会というネットワークのハブ(結節点くらいのいみでつかっています)としての脳の仕組みについての興味を提供します。
脳科学にたいする興味は、自分とはなんぞやというところに、ふつう行き着きます。
目次をみればわかるように、脳研究の壁を示すことで、その目的を果たすことが難しいことを僕たちに教えてくれているようです。
観測するのもされるのも、脳だからです。
さらに、社会においてリンクとしての脳と考えたときにおこる入れ子状態は、そのめんどくささにおいて、かなりのモノがあります。
脳科学の限界をはじめにもってきたことに、著者の誠実さがあります。
目次
第1章 脳科学の四つの壁
脳科学と社会 社会性研究という希望 脳科学の四つの壁 技術の壁
スケールの壁 こころの壁 社会の壁
第2章 社会脳研究で壁をこわす
挑戦開始 研究のフレームを作る 個体内適応機能 スケールに立ち向かう
社会性脳研究の第一歩 抑制こそ社会性の根本である 初めての社会性脳機能測定 社会空間認知と適応機能 抑制から社会を考える 選択的抑制機能と社会的適応知性
第3章 適応知性解明に向けて
脳科学の壁を壊す四つの試み 大規模記録手法開発による汎脳機能理解 習慣的脳機能表現の客観的理解 社会的意思決定のメカニズム解明 脳機能からみた社会の仕組み解明
第4章 仮想空間とヒト
ヒトの社会的脳機能を探ろう “賢い”生き物はヒト以外にもたくさんいる 発達とココロ
仮想空間という実験場 仮想と現実の境界 やってみたいと思っている課題 身体の恒常性と脳機能計測 仮想空間の可能性
第5章 ブレイン-マシン・インターフェイス
生物学と脳科学 情報と操作 ブレイン-マシン・インターフェイス BMI研究の最初の壁
ECoGという選択 初めてのデコーディング 転んでもただでは起きない BMIによる操舵
第6章 脳と社会
ヒトと社会 しあわせなヒト リスペクト経済
2009年7月17日に日本でレビュー済み
新聞の書評やブログなどで話題になっている本。
今はやたらと脳に関する本がはやっているけれど、この本は
それらとはちょっと(というか、かなり)変わった、脳科学者による
プロジェクトXみたいな感じ。
・現在の脳科学が抱えている大きな壁とはなにか
・それらの壁を、著者はどのようにして乗り越えようとしているのか
・「脳と社会性」という、著者自身が取り組んでいるテーマの最先端の研究内容
・話題のBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)の紹介
などなど。
脳トリビアみたいな本が量産されているなかで、
脳科学が抱える大きな問題に対して真摯に立ち向かう
著者の姿には感動すら覚える。
また、「ミラーニューロン」などがやたらともてはやされるなかで、
それらに対して疑問を呈するところなども好感がもてるし、
ヒトは「我慢するサル」だという見解もなかなかおもしろい。
脳科学リテラシーを身につけるためにも最良の一冊。
今はやたらと脳に関する本がはやっているけれど、この本は
それらとはちょっと(というか、かなり)変わった、脳科学者による
プロジェクトXみたいな感じ。
・現在の脳科学が抱えている大きな壁とはなにか
・それらの壁を、著者はどのようにして乗り越えようとしているのか
・「脳と社会性」という、著者自身が取り組んでいるテーマの最先端の研究内容
・話題のBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)の紹介
などなど。
脳トリビアみたいな本が量産されているなかで、
脳科学が抱える大きな問題に対して真摯に立ち向かう
著者の姿には感動すら覚える。
また、「ミラーニューロン」などがやたらともてはやされるなかで、
それらに対して疑問を呈するところなども好感がもてるし、
ヒトは「我慢するサル」だという見解もなかなかおもしろい。
脳科学リテラシーを身につけるためにも最良の一冊。
2014年7月12日に日本でレビュー済み
2014年7月1日発行
2009年発行の単行本の文庫化
脳科学本は結構当たり外れが多い。
今まで面白かったのはサックス、ラマチャンドラン、ルリア、養老孟司、山鳥重、下條信輔など。
もちろん研究と著作の面白さは関係ないと思っている。
以前から気にはなっていた作者だがBMIに抵抗があり読まなかった。
今回の文庫化で読んでみる事にした。
個人的に冗長な自然科学の本は疲れるだけなので嫌いだ。
本書の前半の脳科学に対するボヤキは面白いトピックなので別本として出して欲しかった。
第二章からのサルの実験。
マカクだと思われるがサルの種が気になった。
またBMIがどのようにサルに装着されているのか気になる。
(5章に解説があるが外科手術で簡単に装着できるものと思われる)
この辺でもう面倒くさくなってきたが後半は結構ザックリと書かれていて読みやすかった。
ボリュームを半分ぐらいに減らしてくれると読む側としてはありがたいけど。
そんな感想しか出てこなかった。評価が難しい。
2009年発行の単行本の文庫化
脳科学本は結構当たり外れが多い。
今まで面白かったのはサックス、ラマチャンドラン、ルリア、養老孟司、山鳥重、下條信輔など。
もちろん研究と著作の面白さは関係ないと思っている。
以前から気にはなっていた作者だがBMIに抵抗があり読まなかった。
今回の文庫化で読んでみる事にした。
個人的に冗長な自然科学の本は疲れるだけなので嫌いだ。
本書の前半の脳科学に対するボヤキは面白いトピックなので別本として出して欲しかった。
第二章からのサルの実験。
マカクだと思われるがサルの種が気になった。
またBMIがどのようにサルに装着されているのか気になる。
(5章に解説があるが外科手術で簡単に装着できるものと思われる)
この辺でもう面倒くさくなってきたが後半は結構ザックリと書かれていて読みやすかった。
ボリュームを半分ぐらいに減らしてくれると読む側としてはありがたいけど。
そんな感想しか出てこなかった。評価が難しい。
2009年7月19日に日本でレビュー済み
一言でいうならば、“誠実な書物”である。その分野のスペシャリストによって書かれた専門書にありがちな、“自らの専門分野の限界を認めない姿勢”を著者はあっさりとかなぐり捨てるところから、議論を始めている。
『脳科学』。この言葉から想起されるイメージとしては
(1)大脳生理学に代表される医学の一分野
(2)対象としての“脳”を見るため、自然科学の一分野
が想起される。
けれども本書はそうしたイメージを物の見事に裏切ってくれる。著者が注目した点は“装置としての脳”が果たす“役割”であり、そこから『脳科学』それ自体の再構築を図ろうとしている部分にある。
“装置としての脳が果たす機能”は『認識』であり、それは常に自らと他者、或いは社会との『関わり』の中で生成される。つまりは『脳科学』は同時に『心理学』或いは『認識としての哲学』である。
かつて文豪ゲーテが『ファウスト』の中で“全てを知り得た筈の学者が実は自らに関して何も知ってはいなかった”として、『科学』が依って立つべき立脚点への原点回帰を説くシーンがあるが、本書はそうした意味で“学問のルネサンス(文芸復興)”的な色彩の強い書物である。
DNAの解析を完全に行うことが出来ても、人間の持つ意識や知性までを“完全に”数値化或いは定式化することは恐らく不可能に近い。ある程度は参考になるかもしれないが全てに該当する型式の下に分別することが可能だろうか。著者の発想の原点にはこうした部分を読み取ることができる。ともすれば不可知論的な部分へと入り込まず、冷静且つ客観的に科学者として対象に向き合っている姿勢には異分野の研究者にとっても参考になるものと思われる。
日本の学問がともすれば『タコツボ化』し袋小路に陥ろうとしている危機の中で、学問本来が持つ原点に立ち帰り、隣接科学からの成果を積極的に採り入れ、更に深化を図ろうとしている著者の姿に好感を持つことが出来る。
学問本来の対象は常に“人間”だったはずだが、いつの間にか“学問”それ自体が“学問”の対象となってしまったかような感がある。その典型は昨年世界中に混乱を招く一因となった“金融工学”であり、金融工学に携わった一部の人間には、未だに“人間の全てを数値化できる”と過信している部分があることも否定できない。学問に携わる全ての者が責任として負っているのは“学問の対象とするところは何であり、それが人間の未来に対してどのような光と影をもたらすのか”と常に自問自答する姿勢である。
この意味で本書は文系・理系の壁を越えて読むことができる数少ない“専門書”でもある。
『脳科学』。この言葉から想起されるイメージとしては
(1)大脳生理学に代表される医学の一分野
(2)対象としての“脳”を見るため、自然科学の一分野
が想起される。
けれども本書はそうしたイメージを物の見事に裏切ってくれる。著者が注目した点は“装置としての脳”が果たす“役割”であり、そこから『脳科学』それ自体の再構築を図ろうとしている部分にある。
“装置としての脳が果たす機能”は『認識』であり、それは常に自らと他者、或いは社会との『関わり』の中で生成される。つまりは『脳科学』は同時に『心理学』或いは『認識としての哲学』である。
かつて文豪ゲーテが『ファウスト』の中で“全てを知り得た筈の学者が実は自らに関して何も知ってはいなかった”として、『科学』が依って立つべき立脚点への原点回帰を説くシーンがあるが、本書はそうした意味で“学問のルネサンス(文芸復興)”的な色彩の強い書物である。
DNAの解析を完全に行うことが出来ても、人間の持つ意識や知性までを“完全に”数値化或いは定式化することは恐らく不可能に近い。ある程度は参考になるかもしれないが全てに該当する型式の下に分別することが可能だろうか。著者の発想の原点にはこうした部分を読み取ることができる。ともすれば不可知論的な部分へと入り込まず、冷静且つ客観的に科学者として対象に向き合っている姿勢には異分野の研究者にとっても参考になるものと思われる。
日本の学問がともすれば『タコツボ化』し袋小路に陥ろうとしている危機の中で、学問本来が持つ原点に立ち帰り、隣接科学からの成果を積極的に採り入れ、更に深化を図ろうとしている著者の姿に好感を持つことが出来る。
学問本来の対象は常に“人間”だったはずだが、いつの間にか“学問”それ自体が“学問”の対象となってしまったかような感がある。その典型は昨年世界中に混乱を招く一因となった“金融工学”であり、金融工学に携わった一部の人間には、未だに“人間の全てを数値化できる”と過信している部分があることも否定できない。学問に携わる全ての者が責任として負っているのは“学問の対象とするところは何であり、それが人間の未来に対してどのような光と影をもたらすのか”と常に自問自答する姿勢である。
この意味で本書は文系・理系の壁を越えて読むことができる数少ない“専門書”でもある。