『必読書150』や光文社新訳文庫などが好きだった私にとって、『百年の誤読』の海外篇は「待ってました!」という感じだった。書店で見つけて、即購入。
人は、読書において、それぞれの「交友範囲」を持っている。好きなジャンル、好きな作家・出版社、話に出てきた本、ベストセラーとしてよく聞く本・・・。どの本を手に取るかは、各々の「交友範囲」の質と幅による。
この『百年の誤読』のような本は、そんな「交友範囲」を拡げてくれる一冊である。普通に生きている限りでは、話にも出てこないような名作と、お知り合いになることができる。いわば、思わぬ出逢いに満ちている。評者二人の意見に賛同するかどうかは別として、読み終わると、読んでみたい本が何十冊も増えているのである。読後、自分が今まで持っていた「交友範囲」が、一回り広くなったような気分になれる。
ただ、この本に留まっていてはいけない(自戒を込めて)。名作たちと「ただの知り合い」で終わるか、「生涯の親友」になれるか、それが問題である。時代を超えて、名作と親友になること。それこそが、一番難しく、それでいて読書の醍醐味でもあるのだろう。
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百年の誤読 海外文学編 単行本 – 2008/3/4
チェーホフの『三人姉妹』、プルーストの『失われた時を求めて』、ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』などなど、20世紀に発表された世界の名作文学100タイトルを、希代の本読み2人が徹底分析し、その真価を問い直す!大胆不敵&痛快至極の文学対談エンターテインメント再び!「ダ・ヴィンチ」の人気連載を大幅に加筆し待望の書籍化!
- 本の長さ410ページ
- 出版社アスペクト
- 発売日2008/3/4
- ISBN-104757214561
- ISBN-13978-4757214569
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商品の説明
著者について
【著者プロフィール】
岡野宏文(Okano Hirofumi)クリティカル・エンターテイナー。1955年生まれ。
演劇雑誌の編集長を経て独立。「せりふの時代」「劇の宇宙」「サファリ」「J-COM」「スカイパーフェクトTVガイド」などの雑誌に書評・劇評を連載。著書に、国内外の戯曲20本を詳しく紹介した『高校生のための上演作品ガイド』(白水社)、
20世紀の日本のベストセラーを俎上に載せ豊﨑由美氏と語り尽くした本書の国内篇にあたる『百年の誤読』(ぴあ)などがある。
豊﨑由美(Toyozaki Yumi)ライター。1961年生まれ。
「GINZA」「本の雑誌」「TV Bros.」「文藝」などで書評を多数連載。著書に、書評集『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、日本の文学賞を大森望氏と徹底検証し話題となっている『文学賞メッタ斬り!』シリーズ(PARCO出版)、本書の国内篇で岡野宏文との共著『百年の誤読』(ぴあ)などがある。通称「トヨザキ社長」。
岡野宏文(Okano Hirofumi)クリティカル・エンターテイナー。1955年生まれ。
演劇雑誌の編集長を経て独立。「せりふの時代」「劇の宇宙」「サファリ」「J-COM」「スカイパーフェクトTVガイド」などの雑誌に書評・劇評を連載。著書に、国内外の戯曲20本を詳しく紹介した『高校生のための上演作品ガイド』(白水社)、
20世紀の日本のベストセラーを俎上に載せ豊﨑由美氏と語り尽くした本書の国内篇にあたる『百年の誤読』(ぴあ)などがある。
豊﨑由美(Toyozaki Yumi)ライター。1961年生まれ。
「GINZA」「本の雑誌」「TV Bros.」「文藝」などで書評を多数連載。著書に、書評集『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、日本の文学賞を大森望氏と徹底検証し話題となっている『文学賞メッタ斬り!』シリーズ(PARCO出版)、本書の国内篇で岡野宏文との共著『百年の誤読』(ぴあ)などがある。通称「トヨザキ社長」。
登録情報
- 出版社 : アスペクト (2008/3/4)
- 発売日 : 2008/3/4
- 単行本 : 410ページ
- ISBN-10 : 4757214561
- ISBN-13 : 978-4757214569
- Amazon 売れ筋ランキング: - 816,855位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 206,468位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年4月27日に日本でレビュー済み
丸の内オアゾのMでは、「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)が平積みされています。手にとって買おうか迷いました。読みたい本がまだ、たくさんあったので、今回はやめました。横浜のYに、雑誌を買いに立ち寄り、その際、外国文学の本棚を見ていると、孤独ならず誤読があるではないですか?まったく知らなかったので、手にとってさらっと見て、本棚に戻しましたが、一回りして、やはり、この本をもってレジに並んでいました。
よくも、これだけの本を読んでいますね、という感じですが、二人のやり取りが面白くて、ついつい読んでしまいます。いいのは、それぞれが、いい本、お勧め本に★を(1から5)つけるということです。
五つ星が最高で、二人とも五つ星の中から、読んでいくのもよいかもしれません。1900年〜2000年の外国文学が対象です。果たして、名作は面白いか。
二人とも五つ星(★★★★★×2人)の中で読んでみたいものは、「伝奇集」(ボルヘス)、「アクロイド殺し」(クリスティー)、「燈台へ」(ウルフ)、「ガラスの動物園」(ウィリアム)、「うたかたの日々」(ボリス・ヴィアン)、「遠い声 遠い部屋」(カポーティ)、「ロリータ」(ナボコフ)、「時間割」(ビュトール)、「アメリカの、鱒釣り」(ブローティガン)、「百年の孤独」(マルケス)、「めくるめく世界」(アレナス)、「冬の夜ひとりの旅人が」(カルヴィーノ)、「ぼくが電話をかけてる場所」(カーヴァー)、「悪童日記」(クリストフ)、「日の名残り」(カズオ・イシグロ)。
よくも、これだけの本を読んでいますね、という感じですが、二人のやり取りが面白くて、ついつい読んでしまいます。いいのは、それぞれが、いい本、お勧め本に★を(1から5)つけるということです。
五つ星が最高で、二人とも五つ星の中から、読んでいくのもよいかもしれません。1900年〜2000年の外国文学が対象です。果たして、名作は面白いか。
二人とも五つ星(★★★★★×2人)の中で読んでみたいものは、「伝奇集」(ボルヘス)、「アクロイド殺し」(クリスティー)、「燈台へ」(ウルフ)、「ガラスの動物園」(ウィリアム)、「うたかたの日々」(ボリス・ヴィアン)、「遠い声 遠い部屋」(カポーティ)、「ロリータ」(ナボコフ)、「時間割」(ビュトール)、「アメリカの、鱒釣り」(ブローティガン)、「百年の孤独」(マルケス)、「めくるめく世界」(アレナス)、「冬の夜ひとりの旅人が」(カルヴィーノ)、「ぼくが電話をかけてる場所」(カーヴァー)、「悪童日記」(クリストフ)、「日の名残り」(カズオ・イシグロ)。
2008年3月20日に日本でレビュー済み
先に出ている日本文学の方の『百年の誤読』は読んだ。
その上でこの本の目次に目を走らせると
「あ、この作品は多分こきおろしてるな」と予想が立つ。
そしてその予想はほとんど当たっている。
それだけで十分に星一つ。
その上でこの本の目次に目を走らせると
「あ、この作品は多分こきおろしてるな」と予想が立つ。
そしてその予想はほとんど当たっている。
それだけで十分に星一つ。
2008年6月21日に日本でレビュー済み
名だたる名作に対する二人の毒舌を楽しみつつも、大いなる物足りなさも感じた。
第一に、二人の評価に差がなさ過ぎる。どちらかが褒めればもう一方も褒める。
どちらかがけなせばもう一方もけなす。しかも、たまに評価が違っても、
丁々発止のやりとりには発展しない。たいてい評価しない側が大声で罵倒し、
もう一方が苦笑してそれを受け流すという展開になってしまう。
これでは二人の対談形式にした意味がまったくない。
北上次郎と大森望という稀代の読み手が、相手の評価をリスペクトしつつも
丁々発止のやりとりを繰り広げる『読むのが怖い!』を見習ってほしい。
さらに言えば、大衆受けしてベストセラーになった作品
(たとえば『ダ・ヴィンチ・コード』など)に対して
評価が低いのは二人の見方だからしかたないとして、
それを支持した読者をも見下すような言質には腹が立った。
第一に、二人の評価に差がなさ過ぎる。どちらかが褒めればもう一方も褒める。
どちらかがけなせばもう一方もけなす。しかも、たまに評価が違っても、
丁々発止のやりとりには発展しない。たいてい評価しない側が大声で罵倒し、
もう一方が苦笑してそれを受け流すという展開になってしまう。
これでは二人の対談形式にした意味がまったくない。
北上次郎と大森望という稀代の読み手が、相手の評価をリスペクトしつつも
丁々発止のやりとりを繰り広げる『読むのが怖い!』を見習ってほしい。
さらに言えば、大衆受けしてベストセラーになった作品
(たとえば『ダ・ヴィンチ・コード』など)に対して
評価が低いのは二人の見方だからしかたないとして、
それを支持した読者をも見下すような言質には腹が立った。
2008年5月9日に日本でレビュー済み
20世紀世界文学の「名作」を100冊、岡野宏文と豊崎由美がばっさり評価しなおす、という企画を単行本化したもの。二人とも、稀代の本読みであるが、市井の仕事人であって大学にいるような文学関係の方々とは無縁である。従い、アカデミックな仕方で作品を読む必要がなく、言葉も軽やかである。
たとえば、オーウェル『1984』について。
<豊崎 [・・・]こういう身勝手な男だから、ジュリアのことだって一人の人間としては愛しちゃいないんですよ。生身のダッチワイフですよ。そんな男ですよ、所詮。
岡野 (苦笑)
豊崎 思想統制はいい。けど、食欲、睡眠欲、性欲を満たさせないと、人間はキレるよ、そういう小説なんですね、きっと。
岡野 いや、そうじゃないって。>
と、めちゃくちゃです。『車輪の下』とか、『どん底』はもっとひどい。
賛否両論あるだろうが、こういう言葉で「名作」を語るというのはやはり新鮮である。小説から何を学ぶかというより、小説をどうやって楽しむかという態度が貫かれていて心地よい。だいたい、一般的に言って小学校の課題図書になるような本は教条的すぎてつまらない。「最近の小学生は本を読まなくなった」みたいに嘆く前に、もうちょっとおもしろい課題図書を考えた方がよい。ヴォネガット読ませたっていいじゃないか。
100冊のうち、25冊くらいしか読んでいないが、ぼくもだいたいは6-7割は同じような意見でした。
たとえば、オーウェル『1984』について。
<豊崎 [・・・]こういう身勝手な男だから、ジュリアのことだって一人の人間としては愛しちゃいないんですよ。生身のダッチワイフですよ。そんな男ですよ、所詮。
岡野 (苦笑)
豊崎 思想統制はいい。けど、食欲、睡眠欲、性欲を満たさせないと、人間はキレるよ、そういう小説なんですね、きっと。
岡野 いや、そうじゃないって。>
と、めちゃくちゃです。『車輪の下』とか、『どん底』はもっとひどい。
賛否両論あるだろうが、こういう言葉で「名作」を語るというのはやはり新鮮である。小説から何を学ぶかというより、小説をどうやって楽しむかという態度が貫かれていて心地よい。だいたい、一般的に言って小学校の課題図書になるような本は教条的すぎてつまらない。「最近の小学生は本を読まなくなった」みたいに嘆く前に、もうちょっとおもしろい課題図書を考えた方がよい。ヴォネガット読ませたっていいじゃないか。
100冊のうち、25冊くらいしか読んでいないが、ぼくもだいたいは6-7割は同じような意見でした。
2015年2月24日に日本でレビュー済み
ここのレビューを見て、もっと毒舌とかこき下ろしがひどいのかと思って読んでみたら、
それなりに妥当な評価と思える部分もけっこうあって、思ったよりは面白かった。
欲を言えば、「古典とされている割に、こんなにショボいんですよ〜」と、あえてネタとして
取り上げたっぽい作品が最初からハッキリし過ぎていて、そういうのを入れるぐらいなら、
もっとゴリゴリのベストにして欲しかったような気もする。
20世紀の100年から100冊を選ぶ際、どうしても年による粗密の差があったということか、
年単位ではなく10年区切りで10冊ずつを選んでいるが、たとえば最初の1901〜10年なら、
やたら酷評されているゴーリキー『どん底』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』はあえて外し、
代わりにヘンリー・ジェイムズ『使者たち』『鳩の翼』、コンラッド『密偵』あたりから選んだ方が、
作品の質としては明らかに上のリストができただろうと思う。
それなりに妥当な評価と思える部分もけっこうあって、思ったよりは面白かった。
欲を言えば、「古典とされている割に、こんなにショボいんですよ〜」と、あえてネタとして
取り上げたっぽい作品が最初からハッキリし過ぎていて、そういうのを入れるぐらいなら、
もっとゴリゴリのベストにして欲しかったような気もする。
20世紀の100年から100冊を選ぶ際、どうしても年による粗密の差があったということか、
年単位ではなく10年区切りで10冊ずつを選んでいるが、たとえば最初の1901〜10年なら、
やたら酷評されているゴーリキー『どん底』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』はあえて外し、
代わりにヘンリー・ジェイムズ『使者たち』『鳩の翼』、コンラッド『密偵』あたりから選んだ方が、
作品の質としては明らかに上のリストができただろうと思う。
2010年7月25日に日本でレビュー済み
ご多分に漏れずメッタ斬りシリーズで豊崎の名を覚え、本書の日本文学篇もソコソコ笑えたので、08年3月の刊行直後に海外文学篇も購入した。ただその時は、多分他にも読みたいものがたくさんあったのだろう、36ページまで読み進めたところで放置していた(『青い鳥』のところに栞が挟んであった)。
我が家ではこういう場合、しばらくするとその本は二束三文で売り飛ばされるのが常なのだが、なぜかしら本書はその運命を逃れ、たまたま最近私が細切れの時間しかなくて腰を落ち着けた読書をできないため、気晴らしにでもとつい手に取ったことから今回の通読に至った。
で、あんまり期待せずに読むと、結構楽しめたんですよね。
多分最初に読んだ時には、メッタ斬りや日本文学篇にあるツッコミ芸を本書にも期待していたに違いない。ところが、確かに本書も基本線はツッコミ批評なんだけれど、やっぱり世界文学の100年ともなると石の混淆率はかなり低くて、わりと素直に賞賛している対談が多い。2年前はそれが期待外れだったのだろうが、時を経て眺め直してみると、このくらいの毒の薄さの方が飽きが来なくて良い(ただそうなると、タイトルはミスリーディングかも)。
ところで、「メッタ斬りや日本文学篇を今から再読するのは、ちょっと気が重いなァ……」というところからの思いつきですが、『百年の誤読 批評・書評篇』なんてのはいかがでしょうか。私は買いますよw
我が家ではこういう場合、しばらくするとその本は二束三文で売り飛ばされるのが常なのだが、なぜかしら本書はその運命を逃れ、たまたま最近私が細切れの時間しかなくて腰を落ち着けた読書をできないため、気晴らしにでもとつい手に取ったことから今回の通読に至った。
で、あんまり期待せずに読むと、結構楽しめたんですよね。
多分最初に読んだ時には、メッタ斬りや日本文学篇にあるツッコミ芸を本書にも期待していたに違いない。ところが、確かに本書も基本線はツッコミ批評なんだけれど、やっぱり世界文学の100年ともなると石の混淆率はかなり低くて、わりと素直に賞賛している対談が多い。2年前はそれが期待外れだったのだろうが、時を経て眺め直してみると、このくらいの毒の薄さの方が飽きが来なくて良い(ただそうなると、タイトルはミスリーディングかも)。
ところで、「メッタ斬りや日本文学篇を今から再読するのは、ちょっと気が重いなァ……」というところからの思いつきですが、『百年の誤読 批評・書評篇』なんてのはいかがでしょうか。私は買いますよw
2009年3月16日に日本でレビュー済み
岡野宏文と豊崎由美の、歯に衣着せぬ独断と偏見に満ち満ちた批評に痛快さを感じる一方で、余りの下品な言葉使いに少々辟易し、もうこれ以上読みたくなくなっていた。ところが、「路上」に対する批評を読んで、その内容に妙に納得してしまった。こんなふうにいっている。
「今、現在においては、おバカさんにしか読めない代物、不良の修学旅行みたいなもん(豊崎)」
「知性もない、清原とか、長淵とかと変わらない、その精神性が・・・・・(岡野)」とあるのだ。
前々から私はこの作品が青春小説の重要な位置を占めるなんて言っている批評家センセが多いということに反感を覚えていたので、お二人の痛快な批評に妙に納得してしまった。
この批評を読んでから、結局、最後まで読み進んでしまったが、これ以降の批評は、二人のお目にかかった作品が多く出てきたようで、批評口調も落ち着いてきて、結構よかった。よかった。
名作納得度の採点を最高点を5として、2人がともに5点をつけた作品が全作品100中、なんと32作品もあるのだが、戦後以降の作品がとても多くなっている。この32作品については、読んでみようと思わせる批評内容であった。
「日本語訳が古臭い」という批評が結構多いがそれなら自分で訳せばいいのにと思うのだが、本書では二人は原著を読んでみるということはまったくしていないのが不思議なくらいである。
印度哲学専攻では、英語すら勉強しなかったのかしらん。サガンの「悲しみよ こんにちは」なんて、早稲田の仏文科出てるなら、簡単に訳せると思うんだけどなあ。
「今、現在においては、おバカさんにしか読めない代物、不良の修学旅行みたいなもん(豊崎)」
「知性もない、清原とか、長淵とかと変わらない、その精神性が・・・・・(岡野)」とあるのだ。
前々から私はこの作品が青春小説の重要な位置を占めるなんて言っている批評家センセが多いということに反感を覚えていたので、お二人の痛快な批評に妙に納得してしまった。
この批評を読んでから、結局、最後まで読み進んでしまったが、これ以降の批評は、二人のお目にかかった作品が多く出てきたようで、批評口調も落ち着いてきて、結構よかった。よかった。
名作納得度の採点を最高点を5として、2人がともに5点をつけた作品が全作品100中、なんと32作品もあるのだが、戦後以降の作品がとても多くなっている。この32作品については、読んでみようと思わせる批評内容であった。
「日本語訳が古臭い」という批評が結構多いがそれなら自分で訳せばいいのにと思うのだが、本書では二人は原著を読んでみるということはまったくしていないのが不思議なくらいである。
印度哲学専攻では、英語すら勉強しなかったのかしらん。サガンの「悲しみよ こんにちは」なんて、早稲田の仏文科出てるなら、簡単に訳せると思うんだけどなあ。