〈文学少女〉シリーズ4作目。
今回、“文学少女”が対するのは、
自らの才能が生む「罪」におののく“穢名の天使”です。
時は12月。
遅ればせながら、受験に専念するため、文芸部を休部すると宣言した遠子。
一方、心葉はななせとともに、失踪したななせの親友で、オペラ歌手志望の
水戸夕歌の行方を追うことになるのですが……。
本巻のモチーフは
『オペラ座の怪人』
。
テーマは“才能への愛憎”といった所でしょうか。
才能豊かな表現者が創り出すものは、時に
当人の予想を超えた影響力を他者に及ぼします。
その重圧に真っ直ぐ向き合えるかどうかが、
今回登場する“天使”という人物のみならず、
過去に「作家」という表現者であった心葉にも
問いかけられることになります。
“天使”との関わりを通じ、心葉は初めて、
自分の作品の受け手である「読者」の存在を
意識し、「真実」という言葉の意味を感得します。
「真実」は人の数だけあり、他者とは共有できないものかもしれません。
しかし、その人にとっての「真実」が唯一無二の価値を持つ、という所に
救いを見出すことができます。
「作家」という過去の自分から逃避していた心葉。
そんな彼にそっと寄り添い、支えていたのは最上の「読者」である遠子です。
彼女との部活動という「リハビリ」を経て、心葉は
今回やっと、過去の自分を肯定できる段階まで来ました。
次巻では、いよいよ「あの人」との対決が待っています。
心葉は、自分の過去にどのような決着をつけるのか。
そして、遠子から自立できる意思や強さを示すことができるのか。
これからの展開がとても楽しみです。
◆付記
前巻同様、本巻もラストにサプライズが用意されています。
「最後の1行」まで、気が抜けませんよ。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫) 単行本 – 2007/4/30
ビター&スイート学園ミステリー、好評シリーズ第4弾!
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2007/4/30
- ISBN-104757735065
- ISBN-13978-4757735064
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
出版社からのコメント
文芸部部長、天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛しているこの" 文学少女"が、何と突然の休部宣言!?
その理由に呆れ返りつつも一抹の寂しさを覚える心葉。一方では、音楽教師の毬 谷の手伝いで、 ななせと一緒に放課後を過ごすことになったりと、平和な日々が過ぎていく が......。
クリスマス間近の街からひとりの少女が姿を消した。必死で行方を追うななせと 心葉の前に、 やがて心葉自身の鏡写しのような、ひとりの"天使"が姿を現す----。大好評シ リーズ第4弾!
その理由に呆れ返りつつも一抹の寂しさを覚える心葉。一方では、音楽教師の毬 谷の手伝いで、 ななせと一緒に放課後を過ごすことになったりと、平和な日々が過ぎていく が......。
クリスマス間近の街からひとりの少女が姿を消した。必死で行方を追うななせと 心葉の前に、 やがて心葉自身の鏡写しのような、ひとりの"天使"が姿を現す----。大好評シ リーズ第4弾!
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2007/4/30)
- 発売日 : 2007/4/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 318ページ
- ISBN-10 : 4757735065
- ISBN-13 : 978-4757735064
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,541,013位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,760位ファミ通文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
福島出身。『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回えんため大賞小説部門最優秀賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 “文学少女”と恋する挿話集3 (ISBN-13: 978-4047264878 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年4月29日に日本でレビュー済み
物語を食べちゃうくらいに愛している“文学少女”の遠子先輩と
元“天才美少女小説家”の名を博した後輩の心葉君。
このお話の魅力はこの2人のやりとりにあるように感じます。
普段は「私は先輩なんだから」と心葉君を振り回す子供のような遠子先輩ですが、
ときに遠子先輩が文学を通して紡ぐ真摯な言葉は心に傷を抱える心葉君に優しく響きます。
その他、遠子さんが度々口にする、料理に喩えた他の文学作品についての批評はとても美味しそうで、
その作品も読みたいなぁと感じさせる、素敵な魅力の一つです。
はられた伏線やそれぞれが抱える思い闇が、どこか甘くどこか切ない読了感を与えます。
今回のメインキャラは心葉君のクラスメイトの琴吹さんです。
芥川君に続き、琴吹さんとも距離を近づけるなか、
未だに心葉君の心を占める美羽さんの存在が徐々に近づいてきます。
次第に絡まりあう沢山の糸がどのように繋がるのか。今後の展開が楽しみな作品です。
元“天才美少女小説家”の名を博した後輩の心葉君。
このお話の魅力はこの2人のやりとりにあるように感じます。
普段は「私は先輩なんだから」と心葉君を振り回す子供のような遠子先輩ですが、
ときに遠子先輩が文学を通して紡ぐ真摯な言葉は心に傷を抱える心葉君に優しく響きます。
その他、遠子さんが度々口にする、料理に喩えた他の文学作品についての批評はとても美味しそうで、
その作品も読みたいなぁと感じさせる、素敵な魅力の一つです。
はられた伏線やそれぞれが抱える思い闇が、どこか甘くどこか切ない読了感を与えます。
今回のメインキャラは心葉君のクラスメイトの琴吹さんです。
芥川君に続き、琴吹さんとも距離を近づけるなか、
未だに心葉君の心を占める美羽さんの存在が徐々に近づいてきます。
次第に絡まりあう沢山の糸がどのように繋がるのか。今後の展開が楽しみな作品です。
2011年2月24日に日本でレビュー済み
文学少女シリーズ、第4弾は「オペラ座の怪人」がテーマ。原作よりミュージカルや映画の方が有名ですね.しかしどれも未読。そのため、ストーリがわかりにくかった.最後には文学少女がしっかり謎解きしてくれるのでいいのですが、今回は天使の設定がちょっと無茶ぶりかと..、いよいよ、次回は美羽登場ということでますます楽しみなシリーズです.余談ですが「オペラ座の怪人」というとQUEENのフレディ・マーキュリーを想像しちゃうんですよね。名作「オペラ座の夜」の「ボヘミアンラプソディー」のイメージなのですが。今度原作を映画で見てみたいと思いました.
2021年6月13日に日本でレビュー済み
話のテンポがとても良く、さらりと読み進められる割にはお話はとても濃厚で非常にビターな味わいに感じました…文章の言い回しは普通の感じなのに、言葉のひとつひとつが突き刺さるようで、とても不思議な読後感でした。シリアスな場面も日常の場面も同じ速さで、すごいスピードで読み進めてしまいました。だからつらいのかもしれません。あと、ちょっとだけグロテスクな描写があるところも人によってはつらいかもしれません。
今回の本でもある「オペラ座の怪人」を読んだりストーリーや登場人物を理解しないと、物語をよりよく理解できなさそうです。わたしはあまりよくわからなかったので、再度読みたいと思いました。心が元気なときに。
心が落ち込んでいるときは読まないでくださいね! 疲れているときは透明感のある口絵イラストを見るのがとても良いと思います。
今回の本でもある「オペラ座の怪人」を読んだりストーリーや登場人物を理解しないと、物語をよりよく理解できなさそうです。わたしはあまりよくわからなかったので、再度読みたいと思いました。心が元気なときに。
心が落ち込んでいるときは読まないでくださいね! 疲れているときは透明感のある口絵イラストを見るのがとても良いと思います。
2009年5月12日に日本でレビュー済み
“謎の美少女作家”だった井上心葉(このは・♂)と、自称“本を食べちゃう程すべての物語を深く愛している「文学少女」”の天野遠子をメインに、文学作品を彷彿とさせる事件を描いた作品の第4巻です。
今回は、琴吹ななせの親友である水戸夕歌が行方不明なった事から 「オペラ座の怪人」 を彷彿とさせる物語が綴られます。
オペラ座の怪人と言えば、 「金田一少年の事件簿」 で有名になった「地獄の業火に身を焼かれながら、それでも天国に憧れる」という台詞がありますが、まさにこの台詞そのままの様な物語です。
プロの道に進まずに教師になった毬谷敬一も「天国に憧れるファントム」の側面を隠し、鏡粧子は「天国に憧れる」あまり「地獄の業火に焼かれ続け」、もう一人の井上ミウだった臣志朗もまた「ファントム」でした。
彼らが隠してきた事実を見聞きし、夕歌の幸せを明らかにする事で、2人の井上ミウは自分が誰かを幸せにする事ができたのだと知り、前を向こうとします。
水底に沈殿するヘドロの様に非常に黒く重く纏わりつく話ですが、幸せや希望が随所に添えられている事で、哀しくとも美しい物語に仕上がっています。
『……悪がどんなに大きかろうと、夜はやはり静かで美しく、この世には同じように静かで美しい真実というものが現在も未来も存在するのだ。 そして地上の一切のものは、月の光が夜と溶け合うように、その真実と溶け合うことをひたすら待ち望んでいるのだ……』
―本文より・チェーホフ『谷間』
今回は、琴吹ななせの親友である水戸夕歌が行方不明なった事から 「オペラ座の怪人」 を彷彿とさせる物語が綴られます。
オペラ座の怪人と言えば、 「金田一少年の事件簿」 で有名になった「地獄の業火に身を焼かれながら、それでも天国に憧れる」という台詞がありますが、まさにこの台詞そのままの様な物語です。
プロの道に進まずに教師になった毬谷敬一も「天国に憧れるファントム」の側面を隠し、鏡粧子は「天国に憧れる」あまり「地獄の業火に焼かれ続け」、もう一人の井上ミウだった臣志朗もまた「ファントム」でした。
彼らが隠してきた事実を見聞きし、夕歌の幸せを明らかにする事で、2人の井上ミウは自分が誰かを幸せにする事ができたのだと知り、前を向こうとします。
水底に沈殿するヘドロの様に非常に黒く重く纏わりつく話ですが、幸せや希望が随所に添えられている事で、哀しくとも美しい物語に仕上がっています。
『……悪がどんなに大きかろうと、夜はやはり静かで美しく、この世には同じように静かで美しい真実というものが現在も未来も存在するのだ。 そして地上の一切のものは、月の光が夜と溶け合うように、その真実と溶け合うことをひたすら待ち望んでいるのだ……』
―本文より・チェーホフ『谷間』
2007年5月4日に日本でレビュー済み
今回はオペラ座の怪人の話が主軸となっています。
前回の終わりで今回は、美羽さんが登場するかと思いきや、
次巻に先延ばしのようです。
また、遠子先輩もちょっと出番が少なめな印象です。
そして琴吹さんと心葉くんとの出会いが明かされています。
むしろこの2人が中心だった気も…
次回にキーキャラクターである美羽さんが登場するようです…
どんな展開になるかとても期待。。。
前回の終わりで今回は、美羽さんが登場するかと思いきや、
次巻に先延ばしのようです。
また、遠子先輩もちょっと出番が少なめな印象です。
そして琴吹さんと心葉くんとの出会いが明かされています。
むしろこの2人が中心だった気も…
次回にキーキャラクターである美羽さんが登場するようです…
どんな展開になるかとても期待。。。
2007年4月30日に日本でレビュー済み
今回は遠子先輩があまりでてきません。
しかし!ようやく琴吹さんが活躍します!ななせ大活躍です!
心葉君と琴吹さんとの初めての出会いもようやく明らかになります。
最大最悪のトラウマの方も少しずつ顔をだしつつあります。
ただそれにつれて、遠子先輩との別れも近づきつつあります。(留年するなら別ですが)
なんとなく、終わりを感じさせる、そんな話でした。
次回の五巻が今から楽しみです!
しかし!ようやく琴吹さんが活躍します!ななせ大活躍です!
心葉君と琴吹さんとの初めての出会いもようやく明らかになります。
最大最悪のトラウマの方も少しずつ顔をだしつつあります。
ただそれにつれて、遠子先輩との別れも近づきつつあります。(留年するなら別ですが)
なんとなく、終わりを感じさせる、そんな話でした。
次回の五巻が今から楽しみです!
2009年11月24日に日本でレビュー済み
文学少女のシリーズには珍しく
誰も救われないエンディングになっています。
琴吹ななせは、この作品で悲しい想いを経験しました。
それが残念に思えます
誰も救われないエンディングになっています。
琴吹ななせは、この作品で悲しい想いを経験しました。
それが残念に思えます