IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)を主導する「気候工学」研究者の代表的な1人といえる、「L・ブラッドレー」氏の、2009年11月17日、「(ネットに流出した英国イースト・アングリア大学気象研究ユニットのメールや電子文書=おそらく内部告発、によって、彼らの人為的なデータ操作が発覚した)クライメートゲート事件」以来、2年余の沈黙を破った「(彼らの言う)懐疑論者」への反撃の書というところだ。
しかし、もう少し歯ごたえのある反論が出るのかと思ったが、「地球温暖化は人類活動の活発化による二酸化炭素CO2排出量の増大が原因」なる仮説が、こんなお粗末なレベルの学問的裏付けしか持たない理論だったとは知らなかったな。
「20世紀最後の50年間という短い期間の気温上昇が異常なほど急激」というデータ、実はコンクリートジャングル化した大都市ホットスポットの気温上昇を読み違えたものと、すでにIPCCの場でも撤回されているのに、こちらさん、まだ拘るつもりらしい。
たとえば、「東京の気温」は、確かに50年間で2℃近く上がっているが、それは、行政区画としての東京都(雲取山から小笠原諸島まで)の諸観測点で得られたデータを総合平均したものではなく、「気象庁」というお役所の所在する「大手町」の気温上昇だとの批判を浴びて、現在はIPCC自身、「18世紀初頭の産業革命以来200年の気温上昇」と言い換えているくらい未熟なレベルでしかなく、はっきり言ってガッカリ。じっさい、ここのところの気象観測データは、著者らのPCによる予測と、まるで一致しなくなっている(『理科年表』ご参照、1998年以降この15年間、地球の気温上昇は止まっている)ではないか。
とてものこと、「科学」なんて呼べる水準ではないやね。
あの、「2020年には東京やニューヨークが海面上昇に呑込まれて水没する」って大騒ぎ(映画『不都合な真実』)はなんだったのかねぇ。
この仮説、もっとも致命的なチョンボは、こちらさんが、日本の考古学で言う「縄文海進(世界の気象学では「ヒプシサーマル期」)」ってのをご存じないってことだね。
中学か高校で日本史を習った読者諸賢方ならご記憶にあろうと思うが、日本周辺では5〜7千年前の縄文時代、現在よりも2〜6(諸説ある)メートルほど海水面が高く、たとえば関東平野だと、東京湾が埼玉県奥深くまで進入して低地のかなりの部分が海面下に没していたと、とっくに考古学者によって立証されている。5〜7千年前の貝塚遺跡を点から点へと繋いで行くと、およそのところで当時の海岸線が復元できるが、むかしの人は陸地の奥まった場所に貝殻を積みあげた遺跡があるのを見て、巨人「ダイダラボッチ」が遠くの海岸まで手を伸ばして貝を食べ殻を棄てたと想像した。著者が証明してみせるという「地球温暖化=CO2主原因仮説」は、おもに樹木の年輪やら、グリーンランドの氷床をボーリング調査して得たデータやらに依拠しているが、遡っても、せいぜい今から1千年前どまりの範囲で適用できる(それも相当に主観的な)数値でしかなく、考古学上の「縄文海進」という事実を前にしては、何の説得力も持ち得ないというほかはない。まだ、人類が狩猟採集生活にとどまっていた時代に、現在を遥かに上回る「地球温暖化」=「縄文海進」があった事実を、この「地球温暖化=CO2主原因」仮説は、全然、説明できないわけだからねぇ(まさか17〜18世紀、マウンダー小氷期の英国テムズ川凍結のように、日本列島だけの地域的特異海面上昇現象だと強弁するつもりはないと思うが、こちらさん)。
地球大気の温度を上昇下降させている要因は単純なものではなく、大気の大半を占める窒素や酸素も温室効果を持つことは好く知られているごとく、多種多様な変動要素が想定されるのに、とりわけ、なぜか、著者は、単位質量あたりでCO2よりも20倍も温室効果の高い気体「水蒸気H2O」に言及しようとしない(メタンガスCH4は微量なので検討するに価しないと言っている)。
大気中に占める割合はCO2がppmのオーダーなのに対し、水蒸気は「%」のレベル(1%=10,000ppm)だ。
もし、気体の温室効果を問題視するのなら、まずCO2の数十倍、数百倍にも及びそうな水蒸気の影響力を議論の俎上に載せて然るべきではないか。
南極ボストーク基地で採取した氷床コアに閉込められた気泡中のCO2濃度のグラフを掲げ(著者はデータを読み誤って引用している。あるいは御得意のデータ操作?)、過去80万年のCO2濃度と推定気温値が関連する点を仮説を補強する材料の一つに著者はあげるが、もちろん、この場合は、水蒸気はコア中の氷に融け込んで固体化しているため気体の濃度として検出できないのでデータが取れず言及し得ないからだが、著者は、その理論的根拠を示すことなく、水蒸気はつねに定量であるとの仮説(状況証拠があっても、データがないと無視する?)に立って数式化しCPで演算している。
おそらく、水蒸気の温室効果による温暖化では、世間様に訴えるインパクトがない、と、そういうことなんだろう。
ことが水蒸気ともなると、まさか地球表面積の7割を占める海洋をシートで覆って蒸発を止めるなどできるわけもなく、人類文明の叡知では如何とも為難い気候変動である事実が誰にでも明白になるからと違うかな(因果関係は逆で、海水温の上昇こそが大気中のCO2増加の要因だという有力な見解も存在する)。
あげく、著者の言う「懐疑論者」の背後に、米国石油資本の存在を彼は強く臭わせる。
ところが、この「地球温暖化」仮説のほうだって、「原子力ムラ」の住人によって原発建設推進の絶好の「錦の御旗」に使われているのは周知の事実(米英両国でも同様とのこと)ではないか。
他者への糾弾は、自然科学の世界では、自己の仮説を立証し正当化する方法論にはならないという、科学研究者として最低線の常識すら著者は弁えてないということになろうか。
要するに、こちらさんは、職業活動家ないし政治家というところが当りなんだろう。
「気象学」あるいは「気象考古学」の世界に新たに割込んで来た、この「気候工学」なる新規の「科学研究者」たちが称える「地球温暖化=CO2主原因仮説」ってのは、この程度に幼稚で雑駁な水準の研究に由来するものでしかなかったってわけだ。
「正体見たり、枯れ尾花」とでも言っておこうか。
追伸.)以上の筆者見解に疑問や異論のある方は、以下、どうぞコメント欄へ貴ご意見を陳べてください。
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地球温暖化バッシング: 懐疑論を焚きつける正体 単行本 – 2012/8/9
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地球が温暖化していること,その原因が人為的に排出された二酸化炭素であることには,すでに大多数の専門家が合意している.にもかかわらず,世間では今も温暖化懐疑論がまかり通っている.本書では,温暖化懐疑論の本家アメリカで,石油資本とそれに後押しされた政治家やシンクタンクが暗躍していることを,いわれのない個人攻撃を受けてきた気候科学者が,クライメートゲート事件の実態を含め,赤裸々に語る.科学を歪めているのは誰か? 未来を危うくしているのは誰なのか?
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社化学同人
- 発売日2012/8/9
- ISBN-104759815228
- ISBN-13978-4759815221
商品の説明
著者について
Raymond.S.Bradley:マサチューセッツ大学アマースト校地球科学科特別教授 藤倉 良:法政大学人間環境学部教授 桂井 太郎:国際協力機構東南アジア・大洋州部専門嘱託
登録情報
- 出版社 : 化学同人 (2012/8/9)
- 発売日 : 2012/8/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4759815228
- ISBN-13 : 978-4759815221
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,409,007位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,294位科学読み物 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年8月22日に日本でレビュー済み
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2013年1月18日に日本でレビュー済み
正確には『地球温暖化論バッシング』とするべきだろう。地球温暖化を研究する気象学者の著者が、否定論者からの誹謗中傷に怒りの反撃を行った書である。
「CO2による温暖化」という純粋に科学的なテーマに対し、それを快く思わない産業界や政治家、御用メディアから加えられる露骨な圧力。議会での公聴会に否定派が送り込んだ証言者が気象について門外漢のSF作家だった話など象徴的である。さらに、研究機関のサーバーからハッキングによりメールが盗み出され、その中の断片的な発言が歪曲されて、地球温暖化論が組織的な捏造であるかのようなバッシングが大々的に行われたいわゆる「クライムゲート事件」。政府の検討会に参加する気象学者への指紋採取までが行われたブッシュ政権下で温暖化対策が停滞する中、海面上昇や干ばつ、ハリケーンの巨大化、害虫・伝染病の分布域の拡大は確実に進んでいく…。
米国だけの問題ではない。日本でも、主に保守系のメディアやビジネス書、さらにネット上の、「冬が暖かくなっていいだろ」「たった2℃の上昇だろ(実際には年平均気温2℃の上昇は東京と鹿児島の差に匹敵する)」の脳天気から本書にもあるようなCO2原因説への根拠薄弱な批判、果ては「だって今年の冬は寒いだろ」のような無知な議論で実際に観測されている温暖化現象そのものさえ否定し(温暖化に伴う気流や気圧配置の変化で短期的・局地的な気温の低下が起こるのは不思議でも何でもないのだが)、温暖化論やCO2削減への取り組みに罵声・嘲笑を浴びせては大喜びする風潮。気になるのは、それを叫んでいた人間たちが後から間違いを認めて反省の弁を述べているのを全く目にしないことである。それはさらに、原発問題や日本の過去の戦争犯罪を巡る議論に見られる構図とも重なる。
地球温暖化の問題に止まらず、メディアやネット上に溢れるあざとい思惑を含んだ嘘・宣伝を見抜くための手引書としても役立つ1冊だろう。第5、6章の、温暖化の基礎知識やその影響についての解説も参考になる。
「CO2による温暖化」という純粋に科学的なテーマに対し、それを快く思わない産業界や政治家、御用メディアから加えられる露骨な圧力。議会での公聴会に否定派が送り込んだ証言者が気象について門外漢のSF作家だった話など象徴的である。さらに、研究機関のサーバーからハッキングによりメールが盗み出され、その中の断片的な発言が歪曲されて、地球温暖化論が組織的な捏造であるかのようなバッシングが大々的に行われたいわゆる「クライムゲート事件」。政府の検討会に参加する気象学者への指紋採取までが行われたブッシュ政権下で温暖化対策が停滞する中、海面上昇や干ばつ、ハリケーンの巨大化、害虫・伝染病の分布域の拡大は確実に進んでいく…。
米国だけの問題ではない。日本でも、主に保守系のメディアやビジネス書、さらにネット上の、「冬が暖かくなっていいだろ」「たった2℃の上昇だろ(実際には年平均気温2℃の上昇は東京と鹿児島の差に匹敵する)」の脳天気から本書にもあるようなCO2原因説への根拠薄弱な批判、果ては「だって今年の冬は寒いだろ」のような無知な議論で実際に観測されている温暖化現象そのものさえ否定し(温暖化に伴う気流や気圧配置の変化で短期的・局地的な気温の低下が起こるのは不思議でも何でもないのだが)、温暖化論やCO2削減への取り組みに罵声・嘲笑を浴びせては大喜びする風潮。気になるのは、それを叫んでいた人間たちが後から間違いを認めて反省の弁を述べているのを全く目にしないことである。それはさらに、原発問題や日本の過去の戦争犯罪を巡る議論に見られる構図とも重なる。
地球温暖化の問題に止まらず、メディアやネット上に溢れるあざとい思惑を含んだ嘘・宣伝を見抜くための手引書としても役立つ1冊だろう。第5、6章の、温暖化の基礎知識やその影響についての解説も参考になる。
2012年8月19日に日本でレビュー済み
本書の結論は2007年のIPCCの評価報告どおり、『気候システムの温暖化には疑う余地はない。20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高い。・・・温室効果ガスの排出が現在以上の速度で増加し続けた場合、21世紀にはさらなる温暖化がもたらされ、世界の気候システムに多くの変化が引き起こされるであろう。その規模は20世紀に観測されたものより大きくなる可能性が非常に高い。』ということを主張している。
この内容に対して、懐疑論者(特に米国内の石油産業に立脚した派)は反対している訳だが、争点は少なくともCO2の増加カーブではなく、それが温暖化の原因かどうかである。大気中のCO2濃度はかつての280ppmから現在は380ppmに急増し(ここまでは事実で異論はないと思う)、今世紀中には500ppmから600ppmに増加すると予測されているが、これを地球環境にとって正常と見るか異常と見るかの考え方の相違ともいえる。(一方、有名なホッケースティック曲線は、ここ数十年の地球の温度上昇を示したもので、様々な異論あり)
地球の大気は地球全体からみれば極めて薄く、その容量も人間が考える以上に小さい。逆にいうと人間の経済活動がそれまでは十分に大きかった大気をも小さくしてしまうほど拡大してきたという事実を謙虚に認めることがスタートと思う。
一旦、異常気象の引き金が引かれると、もはや人間の力ではどうしようもないという謙虚な懸念を安全サイドで持って、万一に備えた対策(例、温室効果ガスの削減努力、干ばつや風水害に備えた対策、それらの国際協力体制の確立、等々)を早急に始めるべきだと思う。現在価値の最大化ではなく、将来損失の最小化に取り組むべきであり、その活動結果は50年から100年後の人類に極めて大きな影響を及ぼすことだろう。
この内容に対して、懐疑論者(特に米国内の石油産業に立脚した派)は反対している訳だが、争点は少なくともCO2の増加カーブではなく、それが温暖化の原因かどうかである。大気中のCO2濃度はかつての280ppmから現在は380ppmに急増し(ここまでは事実で異論はないと思う)、今世紀中には500ppmから600ppmに増加すると予測されているが、これを地球環境にとって正常と見るか異常と見るかの考え方の相違ともいえる。(一方、有名なホッケースティック曲線は、ここ数十年の地球の温度上昇を示したもので、様々な異論あり)
地球の大気は地球全体からみれば極めて薄く、その容量も人間が考える以上に小さい。逆にいうと人間の経済活動がそれまでは十分に大きかった大気をも小さくしてしまうほど拡大してきたという事実を謙虚に認めることがスタートと思う。
一旦、異常気象の引き金が引かれると、もはや人間の力ではどうしようもないという謙虚な懸念を安全サイドで持って、万一に備えた対策(例、温室効果ガスの削減努力、干ばつや風水害に備えた対策、それらの国際協力体制の確立、等々)を早急に始めるべきだと思う。現在価値の最大化ではなく、将来損失の最小化に取り組むべきであり、その活動結果は50年から100年後の人類に極めて大きな影響を及ぼすことだろう。
2013年1月1日に日本でレビュー済み
有名な、ホッケースティックを掲載した論文の共著者によって書かれた本ということで、期待をしていたのですが、自分達に向けられたバッシングに対して怒りにまかせて溜まりに溜まった鬱憤をはらしているだけで、科学的な根拠に基づいた反論になっておらず、ハッキリ言って期待はずれでした。これを読むのであれば、論文の筆頭著者の Mann 博士が書いた、The Hockey Stick and the Climate Wars: Dispatches from the Front Linesの方がまだましです。(ただし、そっちの本にも色々と言いたいことはあります。)
ホッケースティックの導出論理自体は、色々な仮定を前提として科学的に根拠があるものですが、その仮定によって故意になのか無作為になのか、過去1000年前までは平均気温が比較的フラットに推移し、19世紀以降急激に上昇している(といっても 0.7℃ですが)印象を与えるものになっています。そのため、全く同じデータを使って別の仮定に基いて分析すれば、過去1000年以降、平均気温はデコボコしていて19世紀以降もそのトレンドは変わらず、過去のデコボコの範囲内に収まっているというグラフを描くことも可能です。
問題は、Mann博士たちのおいた仮定に、少々不自然なところがあり、かつ当初の論文ではそれが判りにくいことと、統計学の知識を持たない人にはその仮定がグラフに与える影響が理解できないことにあり、ホッケースティックだけが一人歩きを始めてしまったことにあります。そのため、地球温暖化の懐疑論者や不利益を被る団体からの格好の攻撃対象となってしまい、たったこれだけのために、一時期はIPCC全体の権威が脅かされない状態にまで発展していしまいました。
本書は、自分たちが如何に不当な扱いや攻撃を受けたかについて、汚く罵っているだけで、ホッケースティックの導出論理の肝については触れておらず、最後にはホッケースティックがなくても地球温暖化の議論は成立するのだと言い出す始末であり、これだけ読んだらどっちもどっちだという感想しか持てないでしょう。
過去にも、タバコ製造者業界が、肺がんの発生リスクを高めることが判っていたにも関わらず、それに反対する意見を積極的に潰していったことは周知の事実です。でも、今はそのことによる高いつけを払わされています。地球温暖化についても、そのような利益団体が、結果がハッキリとするまでは潰しにかかろうとするのは、ある意味当たり前のことですし、ホッケースティックはそのような人たちに格好の付け入る隙を与えてしまったので、論争に戦うことに戦力を削がれてしまい、本来、やらなければならなかった議論が大分遅れてしまったという意味で、全体的にはマイナスに働いたと思います。
本書は、Bradleyさんの愚痴に付き合ってあげたい人以外にはお薦めしません。
ホッケースティックの導出論理自体は、色々な仮定を前提として科学的に根拠があるものですが、その仮定によって故意になのか無作為になのか、過去1000年前までは平均気温が比較的フラットに推移し、19世紀以降急激に上昇している(といっても 0.7℃ですが)印象を与えるものになっています。そのため、全く同じデータを使って別の仮定に基いて分析すれば、過去1000年以降、平均気温はデコボコしていて19世紀以降もそのトレンドは変わらず、過去のデコボコの範囲内に収まっているというグラフを描くことも可能です。
問題は、Mann博士たちのおいた仮定に、少々不自然なところがあり、かつ当初の論文ではそれが判りにくいことと、統計学の知識を持たない人にはその仮定がグラフに与える影響が理解できないことにあり、ホッケースティックだけが一人歩きを始めてしまったことにあります。そのため、地球温暖化の懐疑論者や不利益を被る団体からの格好の攻撃対象となってしまい、たったこれだけのために、一時期はIPCC全体の権威が脅かされない状態にまで発展していしまいました。
本書は、自分たちが如何に不当な扱いや攻撃を受けたかについて、汚く罵っているだけで、ホッケースティックの導出論理の肝については触れておらず、最後にはホッケースティックがなくても地球温暖化の議論は成立するのだと言い出す始末であり、これだけ読んだらどっちもどっちだという感想しか持てないでしょう。
過去にも、タバコ製造者業界が、肺がんの発生リスクを高めることが判っていたにも関わらず、それに反対する意見を積極的に潰していったことは周知の事実です。でも、今はそのことによる高いつけを払わされています。地球温暖化についても、そのような利益団体が、結果がハッキリとするまでは潰しにかかろうとするのは、ある意味当たり前のことですし、ホッケースティックはそのような人たちに格好の付け入る隙を与えてしまったので、論争に戦うことに戦力を削がれてしまい、本来、やらなければならなかった議論が大分遅れてしまったという意味で、全体的にはマイナスに働いたと思います。
本書は、Bradleyさんの愚痴に付き合ってあげたい人以外にはお薦めしません。
2013年2月24日に日本でレビュー済み
温暖化の問題でよく出てくるホッケースティック曲線を発見した学者による反批判本。ホッケースティック曲線理論自体は、批判的にみられることが多いが、本著を読んで、温暖化というのは、賛否双方の言い分を公平に聞いてみて、最終的には自分自身の頭で賛否を考える必要がある問題だとつくづく考えさせられた。結構愚痴っぽい内容だけど、テンポよくてあっという間に読破できてしまう訳本だと思います。