著者は磯谷の親戚の娘を嫁にもらい、磯谷に仲人をしてもらった縁で、生前何度も磯谷に会って話をしており、機会があれば「磯谷伝」を書こうと秘かに思っていたが、なかなか書くまでには至らなかった。ところが、磯谷自身からは防衛庁に納めたと何度もきかされていた軍関係の資料、日記、書簡類など磯谷資料の大半が99年に出てきて、それを機会に一気に書き終え、2000年には出版にこぎつけた。
今となっては「磯谷廉介」という軍人の存在自体かなり薄くなってしまったが、孫文の軍事顧問的存在で、河本大作とは兄弟同様、永田鉄山を一番の親友とし、辻政信からは敬愛され、石原莞爾とは衝突し、「支那通」の後継者と嘱目していたのが影佐禎昭だといったら、一体どういう人物を思い浮かべるだろうか。極めつけは、策謀から生じたことではあるが、阿部内閣の陸相人事の時、名指しで昭和天皇に拒否されたことである。旧軍人としてかなり面白い存在なのだが、顧みられることが少なく、一冊の本としてまとまったものはこの作品くらいしかない。正直、この本でも磯谷の全体像をつかんでいるとはいい難く、紹介本といっていいだろう。今後の専門家の研究を待ちたい。
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支那通一軍人の光と影: 磯谷廉介中将伝 単行本 – 2000/11/1
小林 一博
(著)
- 本の長さ294ページ
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2000/11/1
- ISBN-104760119957
- ISBN-13978-4760119950
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
昭和を代表する陸軍軍人・磯谷廉介(1883-1967)は、その経歴とは裏腹に派閥色がなく、「支那通」として異色な存在だった。磯谷への聞き取りを含めた本格的伝記。巣鴨・上海両拘置所内での戦犯手記などの資料も掲載。
登録情報
- 出版社 : 柏書房 (2000/11/1)
- 発売日 : 2000/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 294ページ
- ISBN-10 : 4760119957
- ISBN-13 : 978-4760119950
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,389,112位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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