なんだかトンデモ本のような表題だが、内容はとても学術的な本。著者のアーマン教授は新約聖書学の世界的権威である。原著の表題はこうなっている。
Misquoting Jesus: The Story Behind Who Changed the Bible and Why
訳すと「イエスの言葉を間違って引用すること:誰がなぜ聖書を改ざんしたのかについての裏話」というところか。このほうが中身を的確に表している。
古代には印刷機もコピー機もなかったので、本は書き写すことによって作成した。もちろん聖書も例外ではない。すると、どうしても写し間違いが発生する。書記がなんらかの意図をもって内容を書き換え、追加や削除を行ったりしたケースは枚挙に暇がない。その結果、なんと新約聖書のギリシア語写本の数は5700以上もある。それらの写本の多くは、内容にかなりの食い違いが見られる。
長年クリスチャンをやっている人なら、ヨハネ8章の『姦通の女』を知らない人はいないだろう。イエスが「汝らのうち罪なき者まずこの女に石を投げよ」と告げると誰もいなくなったという話だ。この美しい箇所は最古かつ最良の写本には入っていない。後世の書記が書き加えたものなのだ。
マルコの最後の12節も同様。復活したイエスがマグダラのマリアのもとに現れ、全世界に福音宣教せよ、洗礼を受けると救われるが信じないと滅ぶなどと言う箇所だ。この箇所も後世の書記による捏造。福音宣教と洗礼の重要性を強調したかったということか。
悪名高い一コリ14章の「女は教会では黙ってろ」も、パウロが書いたものではなさそうだ。というのは、14:33-36の位置は写本によってまちまちだからだ。男尊女卑的な教会観をもつ書記が聖書を改ざんしたということだ。女性たちには不幸なことに、彼の陰謀は大成功を収めたのである。
この本を読むメリットは、「聖書は誤りなき神の言葉である」という主張の嘘がわかるようになることである。わたしたちが手にしている聖書は、聖書学者たちが数多くの写本を比較検討し、良さげな箇所を拾い集めて作成したものだ。新約聖書の原本に何が書いてあったのか、わたしたちはもう知ることはできない。イエスの言葉は永遠に失われたのである。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
捏造された聖書 単行本 – 2006/5/1
- 本の長さ294ページ
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2006/5/1
- ISBN-104760129421
- ISBN-13978-4760129423
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 柏書房 (2006/5/1)
- 発売日 : 2006/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 294ページ
- ISBN-10 : 4760129421
- ISBN-13 : 978-4760129423
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
目からうろこの本です。あまりにおもしろいので、Kindle版の原書も読んでいるところです。
うろこのひとつは、聖書が手書きで書写される時の解説でした。
古代ギリシャ語のテキストは、「句読点が全く使われないばかりか、大文字と小文字の区別もされず、それどころか、単語と単語の間のスペースすら存在しないということだ」
ですから、相当古代ギリシャ語の読める知識人でなければ、正確な写本はできなかったわけです。
godisnowhereをどう書き写すか?
God is now here.
あるいは、God is nowhere.
当然、数々の間違いが生じたでしょう。それに、筆者の時に、意図的に改ざんされた文章も入り込んだことでしょう。
著者は誠実な学者であり、このテーマで素人向けにはじめて本を書きました。
恩恵を受けたのは、私たちです。
キリスト教に関心のあるすべての方に、絶対のお勧めです。
うろこのひとつは、聖書が手書きで書写される時の解説でした。
古代ギリシャ語のテキストは、「句読点が全く使われないばかりか、大文字と小文字の区別もされず、それどころか、単語と単語の間のスペースすら存在しないということだ」
ですから、相当古代ギリシャ語の読める知識人でなければ、正確な写本はできなかったわけです。
godisnowhereをどう書き写すか?
God is now here.
あるいは、God is nowhere.
当然、数々の間違いが生じたでしょう。それに、筆者の時に、意図的に改ざんされた文章も入り込んだことでしょう。
著者は誠実な学者であり、このテーマで素人向けにはじめて本を書きました。
恩恵を受けたのは、私たちです。
キリスト教に関心のあるすべての方に、絶対のお勧めです。
2013年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
聖書の原本が長い中世の歴史の中で改竄されてきたというのは、色々な本でも多少取り上げられているが、
これまでの改竄部分を様々な写本から比較検討して修正し、元々の原文を復元する学問があるというのは知らなかった。
著者はこの分野の専門家らしく、それぞれの改竄部分を神学論争によるもの、女性問題によるもの、ユダヤ人差別によるものなど、
それぞれカテゴライズしながら事例を挙げて読者にわかりやすく元の原文を解明していく。
その結果現れる聖書からは、生身のイエスの姿や女性が大きな役割を果たした初期キリスト教の姿が垣間見られる。
こういう本がなんの偏見もなく読めるのは、一神教ではない日本だからこそ。
フィクションではない、一級のミステリーを読みたい方はぜひ。
これまでの改竄部分を様々な写本から比較検討して修正し、元々の原文を復元する学問があるというのは知らなかった。
著者はこの分野の専門家らしく、それぞれの改竄部分を神学論争によるもの、女性問題によるもの、ユダヤ人差別によるものなど、
それぞれカテゴライズしながら事例を挙げて読者にわかりやすく元の原文を解明していく。
その結果現れる聖書からは、生身のイエスの姿や女性が大きな役割を果たした初期キリスト教の姿が垣間見られる。
こういう本がなんの偏見もなく読めるのは、一神教ではない日本だからこそ。
フィクションではない、一級のミステリーを読みたい方はぜひ。
2023年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「帯」で「ダヴィンチ・コードの続きもの」らしいことを
表示している。 この時点で、読むべき価値が「グレード・ダウン」。
そもそも「ダヴィンチ・コード」自体の価値は薄いので、
それに後付けする・という価値感に?を感じる。
目次から「聖書の構成課程について」を読むことができるが、
旧来の聖書学者の間でさえ、ある種を除けば、異論のつきないことだ。
現代にあっても、元はKJVであった版を、RV、ASV、NKJV、AKJV・・・
と変更して刊行しているし、米語訳は別に十数種もの刊行(それらの改版)が
あるし、更には「個人訳」というものまである。
中世に遡れば「主の祈り」は、後代の欧州王国時代に付加された(元はなし)・
とか、よく耳にする「Jehowah」は、英語聖書学者が、勝手にHebrew の
読んではならない4文字「YHWH」に、これをユダヤ教徒が「Adonai(主)」と
読んでいたものを組合せ「YaHoWaH」と創造した(論説あり)・という
ものまで、普遍化された「捏造」がある。
なら、今更過去の経緯を「エンタメ」風に茶化しても意味がないだろう。
また、間違っていなければ、当該書籍は「書き換えられた聖書」と改題して
ちくまから出版されているかもしれない。
表示している。 この時点で、読むべき価値が「グレード・ダウン」。
そもそも「ダヴィンチ・コード」自体の価値は薄いので、
それに後付けする・という価値感に?を感じる。
目次から「聖書の構成課程について」を読むことができるが、
旧来の聖書学者の間でさえ、ある種を除けば、異論のつきないことだ。
現代にあっても、元はKJVであった版を、RV、ASV、NKJV、AKJV・・・
と変更して刊行しているし、米語訳は別に十数種もの刊行(それらの改版)が
あるし、更には「個人訳」というものまである。
中世に遡れば「主の祈り」は、後代の欧州王国時代に付加された(元はなし)・
とか、よく耳にする「Jehowah」は、英語聖書学者が、勝手にHebrew の
読んではならない4文字「YHWH」に、これをユダヤ教徒が「Adonai(主)」と
読んでいたものを組合せ「YaHoWaH」と創造した(論説あり)・という
ものまで、普遍化された「捏造」がある。
なら、今更過去の経緯を「エンタメ」風に茶化しても意味がないだろう。
また、間違っていなければ、当該書籍は「書き換えられた聖書」と改題して
ちくまから出版されているかもしれない。
2016年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アーマン先生の教えて下さる「捏造」の歴史には、驚嘆させられます。よくぞ、ここまでお調べになりましたね!ここで「捏造」という言葉にはトゲが
感じられますが、他の宗教、どれ一つを取っても「捏造」は常識だということです。問題は、どの時点での「捏造」が教会や宗教法人の土台なのか
ということですね。イエス様は、なに一つ文章を残されておられない。ス・ベ・テ!は後の時代の「聞き語り」つまり伝承、噂、つまりデッチ上げ等が
入り込む隙間はいくらもあったということです。原文、原典に類するものがあったにせよ、それを翻訳すること自体が誤訳、超訳の出発点です。
ミトラ教に染まっていた古代ローマ社会が、当時のユダヤ教、イスラム教に対抗?せんがために「新興勢力」だったキリスト教にチョッカイ?を
かけたとさえ考えられましょう。だからと言って「捏造」されていない宗教を探してみても、無理ということです。仮に白人趣味に脚色されてはいても
行間からイエス様の御言葉を把握する信仰心こそが、本当のキリスト者であるということです。指導母体である教会の責任は重大ですね。(玉眞)
感じられますが、他の宗教、どれ一つを取っても「捏造」は常識だということです。問題は、どの時点での「捏造」が教会や宗教法人の土台なのか
ということですね。イエス様は、なに一つ文章を残されておられない。ス・ベ・テ!は後の時代の「聞き語り」つまり伝承、噂、つまりデッチ上げ等が
入り込む隙間はいくらもあったということです。原文、原典に類するものがあったにせよ、それを翻訳すること自体が誤訳、超訳の出発点です。
ミトラ教に染まっていた古代ローマ社会が、当時のユダヤ教、イスラム教に対抗?せんがために「新興勢力」だったキリスト教にチョッカイ?を
かけたとさえ考えられましょう。だからと言って「捏造」されていない宗教を探してみても、無理ということです。仮に白人趣味に脚色されてはいても
行間からイエス様の御言葉を把握する信仰心こそが、本当のキリスト者であるということです。指導母体である教会の責任は重大ですね。(玉眞)
2012年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
聖書は原本というものがそもそも存在せず、残っている写本もほとんどといってもいいぐらいの写本が誤字脱字や意図的に改竄されたものである。現代と比べると識字率が極端に低いことが写本を繰り返す上で誤字脱字をよりいっそう進めたこと、マルキオン派やグノーシス諸派、正統派それぞれが意図した思想にとって都合のいいように写本の一部を改ざんしたことなどが証拠と共にわかりやすく書かれている。三位一体、女性の立場、イエスの慈悲深い描写、ユダヤ人差別など。
それらの結果集めて一つの本になった聖書はそもそも間違いのオンパレード本なのだ。 さらに重要なのは聖典とされた4つの福音書ですら、それぞれ書かれている事実や思想が違うこと。 つまり非常に人間的な書物なのだ。 翻訳がいいせいか、とても読みやすくエッセイのようでした。
それらの結果集めて一つの本になった聖書はそもそも間違いのオンパレード本なのだ。 さらに重要なのは聖典とされた4つの福音書ですら、それぞれ書かれている事実や思想が違うこと。 つまり非常に人間的な書物なのだ。 翻訳がいいせいか、とても読みやすくエッセイのようでした。
2011年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても興味深く読むことが出来ました。著者の誠実さがとても伝わってきて、この人の他の著作も読みたいと思いました。訳もテンポ良く、文章自体も興味を尽きさせない構造になっています。
「信仰ってのは静的で安定しているものではなく、非常にアクティブで動的なもので、イエスへの絶え間の無いコミットメントが『信じる』ということそのものなんだろうな。」というのが私の感想です。
ただ、あとがきで訳者も指摘していますが、無駄に陰謀論めいたタイトルはなんとなならなかったのかな。こうしないと売れないのだろうか?
「信仰ってのは静的で安定しているものではなく、非常にアクティブで動的なもので、イエスへの絶え間の無いコミットメントが『信じる』ということそのものなんだろうな。」というのが私の感想です。
ただ、あとがきで訳者も指摘していますが、無駄に陰謀論めいたタイトルはなんとなならなかったのかな。こうしないと売れないのだろうか?
2009年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
写本からの改竄問題について、綿密に調査した結果から書かれているので信頼できる内容である。
聖書に対する見方を大きく変える力を持った本であるため、多くの人々に読んでいただきたいと思います。
聖書に対する見方を大きく変える力を持った本であるため、多くの人々に読んでいただきたいと思います。