動物倫理に興味をもったので、この本も読んでみました。
素人感覚で動物倫理の本を読むと、「まぁたしかにそうなんだけど、●●●というのは極論すぎやしないか」と思う事が時々ある。
極論までもっていくという思考実験が、この手の分野にはきっと必要な事なのだとは思う。
でも、だからといって僕は(あるいは僕たちは)、その極論に生活様式を合わせることはできないだろう。
色々と本を読み、その都度それなりに心を痛める。でも、それでも肉を食ったり、悲惨な思いをしている当事者の事なんて忘れてしまう。
そんな僕らの愚かさにも寄り添ってくれる本かなと。その愚かさを肯定できるわけではないけれども。
やはり、中庸から始めるべきかな。
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ぼくらはそれでも肉を食う: 人と動物の奇妙な関係 単行本 – 2011/6/1
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- 本の長さ366ページ
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2011/6/1
- ISBN-104760139621
- ISBN-13978-4760139620
登録情報
- 出版社 : 柏書房 (2011/6/1)
- 発売日 : 2011/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 366ページ
- ISBN-10 : 4760139621
- ISBN-13 : 978-4760139620
- Amazon 売れ筋ランキング: - 602,557位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 100,464位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年1月26日に日本でレビュー済み
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オープニングは、肉を食べるのはかわいそうと言っていた女性が、魚は平気で食べていた、魚と哺乳類になんの違いがあるの?というところから始まる。
そこから話は多岐にわたり、イルカセラピーの是非(人間のマッサージ師と違い自ら希望して人間を癒しているわけでないイルカにとってイルカセラピーは苦痛だが、虐待に当たらないか?)とか、闘鶏用の鶏とブロイラーどちらが幸せと言えるのか?とか。
ペットは大事にするが家畜は食う、害獣は殺す、実験動物は痛めつけられる、その不公平を人間はどう扱っているのか、どう扱うべきなのか、ということの研究を紹介している本だ。
そういった疑問に対する答えが見つけられるかと期待して本書を読んだが、残念ながらその期待に答えるところまではどうやらこの学問は至っていないらしい。ただ、いかに状況や見た目によって人間が動物をどう捉えるか、あるいは無視するかが大きく変わるかを紹介しているだけだ。深い思索が張り巡らされている本ではない。
それでも読む意味がないかというとそんなことはなくて、考える為のヒントとして様々な事例が紹介されており、人間の動物に対する適当で場当たり的な態度がこれでもかというくらい描かれている。
読んで楽しいかはともかく、大いなる刺激を与えてくれる本であることは間違いない。
ちなみにカバーの絵は畑正憲さん。このカバーのためだけでも買う価値がある。
そこから話は多岐にわたり、イルカセラピーの是非(人間のマッサージ師と違い自ら希望して人間を癒しているわけでないイルカにとってイルカセラピーは苦痛だが、虐待に当たらないか?)とか、闘鶏用の鶏とブロイラーどちらが幸せと言えるのか?とか。
ペットは大事にするが家畜は食う、害獣は殺す、実験動物は痛めつけられる、その不公平を人間はどう扱っているのか、どう扱うべきなのか、ということの研究を紹介している本だ。
そういった疑問に対する答えが見つけられるかと期待して本書を読んだが、残念ながらその期待に答えるところまではどうやらこの学問は至っていないらしい。ただ、いかに状況や見た目によって人間が動物をどう捉えるか、あるいは無視するかが大きく変わるかを紹介しているだけだ。深い思索が張り巡らされている本ではない。
それでも読む意味がないかというとそんなことはなくて、考える為のヒントとして様々な事例が紹介されており、人間の動物に対する適当で場当たり的な態度がこれでもかというくらい描かれている。
読んで楽しいかはともかく、大いなる刺激を与えてくれる本であることは間違いない。
ちなみにカバーの絵は畑正憲さん。このカバーのためだけでも買う価値がある。
2011年6月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いろんな議論が出て面白い!前のレビューの人はこの本を読んでないし、初めの章すらきちんと読んでない。anthrozoologyは学会内でも呼称すら定まってないと著者がはっきり書いているのに、いきなり日本語の専門分野がどうだこうだ書いている。そういう学術分野の名前の問題より、中身をいろんな人に知ってほしいという著者の気持ちを大切にしたい。本当に面白くていまさっき全部読み終えたけど、こんなに痛快な「哲学書」はそうないんじゃないか。
2014年12月7日に日本でレビュー済み
動物倫理・愛護について考察した論考。最近のイルカ漁問題、ずっと続く捕鯨論争、それらを理解するヒントがあるかと期待したが、あまり役立たなかった。ただ、人間と動物の関係について面白い、また驚くべきエピソードが盛り沢山で、楽しく読める本ではある。
各章を読み終わったとき、著者が何を言いたかったのかよくわからないことがある。学者が一般向けに本を書くと、慎重になって断定を避け結論を出さない傾向があるが、本書もそれに近い。客観中立的であろうとするあまり、正しいとか誤りとか言い切らない。
しかし著者の見解は、たとえば宗教的ドグマにまでなっているアニマルライトについては明確に批判するなど常識とあまり離れていないので、反発を感じずに読むことはできる。
「20年研究してきて、人は結局、みな偽善者だという見方を私もほとんど受け入れるに至った・・・ それがまさに、わたしたちの人間らしさの証なのだ」という著者の結論に納得するが、それなら、シーシェパードや反捕鯨の偽善性を論理的に暴いてほしかった。
動物倫理に関しては、動物の世界に倫理ヒエラルキーを持ち込もうとする西欧の姿勢に疑問を感じる。動物解放論者、そして著者も、暗黙のうちにそれを認めているのではないか。
これをやってしまうと、動物界の中に人間世界における人種差別のような矛盾と混乱が生じるのではないか(二つが結びつく危険さえある。ナチスが典型例)。これを避けるには「人間/動物」という単純でフラットな二分法しかないと思うのだが。
本書から「へぇー」度の高いトピックスを挙げると・・・
・アメリカの「元ベジタリアン」の数は現役の3倍に達する。ほとんどの菜食主義者は「健康状態の悪化」を理由に肉に戻ってくる。
・ヒトラーは肉を忌み嫌うベジタリアンだった(正確には、乳製品好きのラクタリアンだったと本で読んだ記憶がある)。
1936年、ドイツ政府は、魚を殺す前には麻酔し、レストランでロブスターを殺すときには手際よく行うよう命令した。
・なぜ人間はこんなにも肉の味に惹かれるのか? 答は明らか。肉食の系統をたどって進化してきたからだ。
・チンパンジーも肉の味が大好きである。チンパンジーの雌は肉をもらえば喜んでセックスに応じる。
・動物の権利運動家と宗教原理主義者は、似ているところがある。どちらも道徳問題を程度の問題と考えず、白か黒かの二分法で考えようとする。
各章を読み終わったとき、著者が何を言いたかったのかよくわからないことがある。学者が一般向けに本を書くと、慎重になって断定を避け結論を出さない傾向があるが、本書もそれに近い。客観中立的であろうとするあまり、正しいとか誤りとか言い切らない。
しかし著者の見解は、たとえば宗教的ドグマにまでなっているアニマルライトについては明確に批判するなど常識とあまり離れていないので、反発を感じずに読むことはできる。
「20年研究してきて、人は結局、みな偽善者だという見方を私もほとんど受け入れるに至った・・・ それがまさに、わたしたちの人間らしさの証なのだ」という著者の結論に納得するが、それなら、シーシェパードや反捕鯨の偽善性を論理的に暴いてほしかった。
動物倫理に関しては、動物の世界に倫理ヒエラルキーを持ち込もうとする西欧の姿勢に疑問を感じる。動物解放論者、そして著者も、暗黙のうちにそれを認めているのではないか。
これをやってしまうと、動物界の中に人間世界における人種差別のような矛盾と混乱が生じるのではないか(二つが結びつく危険さえある。ナチスが典型例)。これを避けるには「人間/動物」という単純でフラットな二分法しかないと思うのだが。
本書から「へぇー」度の高いトピックスを挙げると・・・
・アメリカの「元ベジタリアン」の数は現役の3倍に達する。ほとんどの菜食主義者は「健康状態の悪化」を理由に肉に戻ってくる。
・ヒトラーは肉を忌み嫌うベジタリアンだった(正確には、乳製品好きのラクタリアンだったと本で読んだ記憶がある)。
1936年、ドイツ政府は、魚を殺す前には麻酔し、レストランでロブスターを殺すときには手際よく行うよう命令した。
・なぜ人間はこんなにも肉の味に惹かれるのか? 答は明らか。肉食の系統をたどって進化してきたからだ。
・チンパンジーも肉の味が大好きである。チンパンジーの雌は肉をもらえば喜んでセックスに応じる。
・動物の権利運動家と宗教原理主義者は、似ているところがある。どちらも道徳問題を程度の問題と考えず、白か黒かの二分法で考えようとする。
2011年6月4日に日本でレビュー済み
日本ではあまり話題にのぼることがないが、アメリカではイルカセラピーという療法が広まり、ずいぶんと論争を呼んできた。イルカとの交流により、人間の苦痛を軽減することができるというもので、ダウン症、エイズ、自閉症、小児麻痺などが緩和され、腫瘍が小さくなると謳うものまであるそうだ。
論争の争点となってきたのは、実際に症状に改善が見られたかということだけではなく、その倫理問題にもある。複雑な社会生活を営み、洗練されたコミュニケーションシステムと持つ知的な動物を、人間の事情だけで捕まえてきて良いのかと主張する研究者が現れたことに、端発した。
このような例は枚挙にいとまがない。はたして、動物の権利というものを考える時に、「捕獲」「処分」「管理計画」と「殺戮」「大量虐殺」「残虐行為」の線引きは、いったいどこにあるのだろうか。本書は、そんな人間と動物の関係にまつわる道徳的問題を考察する「人類動物学」をテーマにした一冊である。
◆本書の目次
はじめに なぜ動物についてまともに考えるのはむずかしいんだろう?
第一章 人間と動物の相互関係をめぐる新しい科学
第二章 かわいいのが大事 − 人間のように考えてくれない動物についての、人間の考え
第三章 なぜ人間は(なぜ人間だけが)?人とイヌのいろんな関係
第四章 友だち、敵、ファッションアイテム?人とイヌのいろんな関係
第五章 「高校一の美女、初のシカを仕留める!」動物との関係と性差
第六章 見る人しだい − 闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?
第七章 美味しい、危険、グロい、死んでる - 人間と肉の関係
第八章 ネズミの道徳的地位 − 動物事件の現場から
第九章 ソファにはネコ、皿には牛 − 人はみんな偽善者
最も多く議論されてきた問題は、食用犬を巡る論争であるだろう。イヌを食べることに対するタブーはふたつの正反対の感情から生じている。アメリカ人やヨーロッパ人は、イヌを家族の一員と扱っているがゆえにイヌ肉を食べない。一方、インドや中東の大半ではイヌは卑しい動物とみなされ、その不浄さゆえに食べられることはない。そして、今でもイヌ肉が人気なのは、韓国や中国である。ここでも中国では冬の食べ物、韓国では夏の食べ物とされているなどの違いがみられる。そして、韓国において食用犬として人気があるヌロン犬は、ペットにはならないなど、社会的に線引きするような仕組みもあるという。そのあり方に賛否はあれど、考古学的な証拠によって、人間は何千年もイヌを食べ続けてきたことがわかっている。
また、マイケル・サンデルの『ハーバード白熱教室』でおなじみの「トロッコ問題」に派生した思考実験の話も興味深い。
◆トロッコ問題
暴走したトロッコが五人のほうに向かっている。あなたは軌道にかけられた橋の上にいる。となりにはまるまる太った男がひとり。この男を橋から突き落としてトロッコの軌道に放り込んでやれば、五人を救える。さて、これは道徳的に許されるだろうか?
通常のトロッコ問題では、一人の人間と五人の人間を天秤にかけている。これを、男性と五頭のゴリラ、見知らぬ男性とあなたの飼いイヌなどの問題にを置き換えると、回答がどのように変わるのかという考察である。この場合、人間同士を問題にした場合とは異なる結果が導かれるケースが多く、ほとんどすべての被験者が、人間を優先的に選択したという話が紹介されている。人間は自分達の利害をほかの生物種より上に置こうとする道徳的文法を生まれつき持っているということなのだ。
このように動物をめぐるさまざまなジレンマを考察するということは、人間自身をより深く知るということにつながる。そして、そこで明らかにされるのは、人間という存在そのものが矛盾をはらむものであり、動物をめぐる道徳心にも、一貫性を見出すことはできないということである。
人間だけが絶対的な高みに立って、動物たちを線引きをすることなど到底できっこないのである。人間もまた動物界における相対的な存在として、混沌を受け入れていかなければならない。動物を巡る価値観の違いだけで、誰かを非難する資格など、誰もが持ちえないということなのである。
論争の争点となってきたのは、実際に症状に改善が見られたかということだけではなく、その倫理問題にもある。複雑な社会生活を営み、洗練されたコミュニケーションシステムと持つ知的な動物を、人間の事情だけで捕まえてきて良いのかと主張する研究者が現れたことに、端発した。
このような例は枚挙にいとまがない。はたして、動物の権利というものを考える時に、「捕獲」「処分」「管理計画」と「殺戮」「大量虐殺」「残虐行為」の線引きは、いったいどこにあるのだろうか。本書は、そんな人間と動物の関係にまつわる道徳的問題を考察する「人類動物学」をテーマにした一冊である。
◆本書の目次
はじめに なぜ動物についてまともに考えるのはむずかしいんだろう?
第一章 人間と動物の相互関係をめぐる新しい科学
第二章 かわいいのが大事 − 人間のように考えてくれない動物についての、人間の考え
第三章 なぜ人間は(なぜ人間だけが)?人とイヌのいろんな関係
第四章 友だち、敵、ファッションアイテム?人とイヌのいろんな関係
第五章 「高校一の美女、初のシカを仕留める!」動物との関係と性差
第六章 見る人しだい − 闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?
第七章 美味しい、危険、グロい、死んでる - 人間と肉の関係
第八章 ネズミの道徳的地位 − 動物事件の現場から
第九章 ソファにはネコ、皿には牛 − 人はみんな偽善者
最も多く議論されてきた問題は、食用犬を巡る論争であるだろう。イヌを食べることに対するタブーはふたつの正反対の感情から生じている。アメリカ人やヨーロッパ人は、イヌを家族の一員と扱っているがゆえにイヌ肉を食べない。一方、インドや中東の大半ではイヌは卑しい動物とみなされ、その不浄さゆえに食べられることはない。そして、今でもイヌ肉が人気なのは、韓国や中国である。ここでも中国では冬の食べ物、韓国では夏の食べ物とされているなどの違いがみられる。そして、韓国において食用犬として人気があるヌロン犬は、ペットにはならないなど、社会的に線引きするような仕組みもあるという。そのあり方に賛否はあれど、考古学的な証拠によって、人間は何千年もイヌを食べ続けてきたことがわかっている。
また、マイケル・サンデルの『ハーバード白熱教室』でおなじみの「トロッコ問題」に派生した思考実験の話も興味深い。
◆トロッコ問題
暴走したトロッコが五人のほうに向かっている。あなたは軌道にかけられた橋の上にいる。となりにはまるまる太った男がひとり。この男を橋から突き落としてトロッコの軌道に放り込んでやれば、五人を救える。さて、これは道徳的に許されるだろうか?
通常のトロッコ問題では、一人の人間と五人の人間を天秤にかけている。これを、男性と五頭のゴリラ、見知らぬ男性とあなたの飼いイヌなどの問題にを置き換えると、回答がどのように変わるのかという考察である。この場合、人間同士を問題にした場合とは異なる結果が導かれるケースが多く、ほとんどすべての被験者が、人間を優先的に選択したという話が紹介されている。人間は自分達の利害をほかの生物種より上に置こうとする道徳的文法を生まれつき持っているということなのだ。
このように動物をめぐるさまざまなジレンマを考察するということは、人間自身をより深く知るということにつながる。そして、そこで明らかにされるのは、人間という存在そのものが矛盾をはらむものであり、動物をめぐる道徳心にも、一貫性を見出すことはできないということである。
人間だけが絶対的な高みに立って、動物たちを線引きをすることなど到底できっこないのである。人間もまた動物界における相対的な存在として、混沌を受け入れていかなければならない。動物を巡る価値観の違いだけで、誰かを非難する資格など、誰もが持ちえないということなのである。
2013年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
以前から「人間ってワケ分からんな〜」と思うことが多々あり、本書で書かれているモロモロに関しても気になっていたことが、非常に面白く、分かりやすく書かれており、自分としては新たな問題を発見した思いです。
本書を読んでから我が家のペットたち(犬、亀、そしてハムスター!)に対する、見方、接し方が少し変わってしまったような気がする。
※結局、分かり合えない、交わらない、でも・・・
この本をきっかけにこの手の本をもう少し読んでみたくなったヨ。
本書を読んでから我が家のペットたち(犬、亀、そしてハムスター!)に対する、見方、接し方が少し変わってしまったような気がする。
※結局、分かり合えない、交わらない、でも・・・
この本をきっかけにこの手の本をもう少し読んでみたくなったヨ。
2017年12月2日に日本でレビュー済み
動物と人間は、愛し合い、殺し合い、食べあい、憎みあう。
感情も理性も直感も宗教も当てにならない。どこかで矛盾が発生してしまう。
それでいて興味を捨てることができないのは、動物は可愛いのに美味しくて、なにより人間は不完全だからだ。
そんなことを、様々な角度からわかりやすく描いている。
永遠に解決しないであろう矛盾が毎日の食卓にあり、考えを深めるには最適な良書。
感情も理性も直感も宗教も当てにならない。どこかで矛盾が発生してしまう。
それでいて興味を捨てることができないのは、動物は可愛いのに美味しくて、なにより人間は不完全だからだ。
そんなことを、様々な角度からわかりやすく描いている。
永遠に解決しないであろう矛盾が毎日の食卓にあり、考えを深めるには最適な良書。
2014年2月11日に日本でレビュー済み
現代社会では肉食をめぐる問題がたびたび巻き起こる。
クジラ、イルカ漁は元より、最近もコンビニでのフォアグラ弁当の販売を差し止めた団体に対し批判が集まった。
それら個々の問題は難しく、簡単に答えが出るものではない。
それよりも毎回歯がゆく感じるのは、こういう問題が起きたときに寄せられるコメントの思慮の浅さだ。
「じゃあ牛や豚を食べるのは残酷じゃないの?」
「ベジタリアンも植物の命を奪っている」
「他人に自分の価値観を押し付けるな」
元有名IT会社の社長に至っては「馬鹿な奴らばっか」の一言で済ませる始末。
生命倫理についてまともに考えたことがないのがまるわかりだ。
相手の意見に耳を傾けようとせず、ただ批判するばかり。だから議論が一向に前に進まない。
同じような問題が起きるたびに、また同じことを繰り返すのか。いい加減うんざりだ。
頼むからこの本でも読んで、生命倫理について少しは考えてくれ! 読みやすいから!
クジラ、イルカ漁は元より、最近もコンビニでのフォアグラ弁当の販売を差し止めた団体に対し批判が集まった。
それら個々の問題は難しく、簡単に答えが出るものではない。
それよりも毎回歯がゆく感じるのは、こういう問題が起きたときに寄せられるコメントの思慮の浅さだ。
「じゃあ牛や豚を食べるのは残酷じゃないの?」
「ベジタリアンも植物の命を奪っている」
「他人に自分の価値観を押し付けるな」
元有名IT会社の社長に至っては「馬鹿な奴らばっか」の一言で済ませる始末。
生命倫理についてまともに考えたことがないのがまるわかりだ。
相手の意見に耳を傾けようとせず、ただ批判するばかり。だから議論が一向に前に進まない。
同じような問題が起きるたびに、また同じことを繰り返すのか。いい加減うんざりだ。
頼むからこの本でも読んで、生命倫理について少しは考えてくれ! 読みやすいから!