次世代ゲノムシーケンサ−と生物情報学の発展によってメタゲノミクスが可能になり、それまで手が付けられないほど複雑だった複合微生物集団(マイクロビオーム)の解析が次々となされるようになってきた。その興隆に伴い、本書のような啓蒙的な書籍が出版されるようになってきた。微生物研究にとって非常に良い事である。本書では、人の健康に対する腸内微生物集団の影響に関する話題だけでなく、広く自然界に存在する微生物との共生を取り上げていてむしろその方が分量が多い。昆虫とかサンゴである。
本書の基本的立場は、多くの研究者への直接取材に基づいていて、すなわち、進化的には多細胞生物は微生物で満ちあふれている世界に後から現れて来たのだから、微生物とどうやって折り合いを付けて生きて行くかは後発組に取って重大な問題であったのは当然の事だ、という物だ。だから、ヒト免疫の機能を病原微生物を如何に攻撃するか、という狭い観点からではなく、腸内微生物集団を如何にうまく宿主であるヒト個体に取って適切な状態に管理するか、という観点を導入して理解しようとする。従ってその興味が、共生に集中して行くのは当然だろう。
ただし、以前では考えられない量のDNAシーケンスデータから集団内の個々の微生物ゲノムを生物情報学的に再構成する際、当然アルゴリズムの違いによって同じデータから異なった結果が出てしまう、という事が現在問題視されている、と言った比較的ネガティブな話題はでて来ない。優秀なサイエンスライターといえども、研究者が外部にあまり語らない事はわからない、というのが難点ではある。しかしこの点は、本書の価値を傷つける物ではない。文章中で紹介されている話題は全て原著論文に基づく物であり、同じページの枠外に書誌情報が紹介され、巻末の文献一覧でタイトルがわかる仕組みである。いちいち原論文にあたる人は多くはないだろうが、タイトルを読むだけでも大いに役に立つだろう。
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世界は細菌にあふれ、人は細菌によって生かされる 単行本 – 2017/5/1
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- 本の長さ442ページ
- 言語日本語
- 出版社柏書房
- 発売日2017/5/1
- ISBN-104760148434
- ISBN-13978-4760148431
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- 出版社 : 柏書房 (2017/5/1)
- 発売日 : 2017/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 442ページ
- ISBN-10 : 4760148434
- ISBN-13 : 978-4760148431
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2017年6月22日に日本でレビュー済み
2020年9月3日に日本でレビュー済み
これまで、食べ物とカラダは大体1vs1の関係だと思っていました。食べ物は同じように消化されて同じように、血や肉になる。
この本は、私の体と思っている部分=DNAが同じ部分は、実は一部で、多種の細菌等で構成されていると説明してくれます。本当はそれは当然で、この自然界の中で、私たちは細菌、菌類等が繁殖している部分に後から来たので、すでにあるものを利用して本当に足りない部分だけを作るようになったに違いありません。
「カラダのバランス」も私たちが思う最高のバランスが、唯一のバランスポイントにはならず、感覚的にはかなり残念なことになる理由もわかった気がします。
じゃ一体何したら健康になれるの?どうしたら細菌。菌類をより利用できるのかには書いてありません残念。
この本は、私の体と思っている部分=DNAが同じ部分は、実は一部で、多種の細菌等で構成されていると説明してくれます。本当はそれは当然で、この自然界の中で、私たちは細菌、菌類等が繁殖している部分に後から来たので、すでにあるものを利用して本当に足りない部分だけを作るようになったに違いありません。
「カラダのバランス」も私たちが思う最高のバランスが、唯一のバランスポイントにはならず、感覚的にはかなり残念なことになる理由もわかった気がします。
じゃ一体何したら健康になれるの?どうしたら細菌。菌類をより利用できるのかには書いてありません残念。
2017年6月6日に日本でレビュー済み
最近微生物についての本が多く出ているが、後発の本書は新鮮味に欠ける
微生物について知りたいと思う人は、この本がオススメだ
・「あなたの体は9割が細菌」、「失われてゆく、我々の内なる細菌」
微生物の基本書。微生物についての既成概念を破壊され、驚きと興奮を感じさせてくれる
・「マイクロバイオームの世界」
分子系統学について書かれており、少し読み解くのに時間がかかる。しかし絵が多く、理解が深まりやすい
・「腸科学」
専門用語が少なく読みやすいため初学者向き
を選ぶと良い
ひとたび、微生物を知ると誰もが、のめり込んでしまうだろう
その時、手にするのは、本書でなくても良い
微生物について知りたいと思う人は、この本がオススメだ
・「あなたの体は9割が細菌」、「失われてゆく、我々の内なる細菌」
微生物の基本書。微生物についての既成概念を破壊され、驚きと興奮を感じさせてくれる
・「マイクロバイオームの世界」
分子系統学について書かれており、少し読み解くのに時間がかかる。しかし絵が多く、理解が深まりやすい
・「腸科学」
専門用語が少なく読みやすいため初学者向き
を選ぶと良い
ひとたび、微生物を知ると誰もが、のめり込んでしまうだろう
その時、手にするのは、本書でなくても良い
2017年9月30日に日本でレビュー済み
いわゆるマイクロバイオームはいま流行なので、一般向けの類書は今たくさん出版されている。その中で、本書は内容的には良く取材された本だと思ったが、いかんせん訳が良くない。文体がいかにも下訳そのままで、文章と文章がうまくつながっておらずボキボキとした感じで読みにくい。また、内容を正確に理解せずに訳していると思われる誤訳があちこちに見られる。訳者の経歴を見ると物理学分野出身のようなので、いたしかたないのかもしれないが、これは編集部で対処すべきだった。生硬な下訳のため文意がとれない例:「炎症性の種を養うような食事についての何かだったのだろうか?」(p.179)「田舎に住む人々の望ましいと思われる多様性は、望ましくない何かの存在を示している」(p.197)訳している間に主語が入れ替わってしまったと思われる例:「彼は穴掘りを注意深く観察したときに、その細菌をペーストから繭の繊維に取り込み、抗生物質を産み出す微生物入りの自作の織物で自分を包み込んだ」(p.219:「彼」はカルテンポスという名の研究者だが、いつの間にか観察対象のハチにすり替わっている)。誤訳と思われる例:「共生昆虫」(p.279:あきらかにここは共生関係ではない)。「植物に浸透する遺伝子」(p.292, 293)。原著は良さそうだけに、残念である。