私は外環道の近隣に長く住む住民であり、この本にも居住地域についての記述がございました。
地域の実情(地理、経済等)を知らぬ者からすれば、自治体からのデータをもとに定量的に考察しているように見えるかと思います。
しかし、長く居住している私からすれば、特に相関のない事象についても無理やり関連づけているように感じられる部分が多くあります。
私としてはどうも信用のできる内容とは言えませんでした。
同時に、このズレが合意形成の難しさを象徴しているような気がしました。
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公共事業と市民参加: 東京外郭環状道路のPIを検証する 単行本 – 2007/6/1
長年凍結されていた東京外郭環状道路の検討再開にあたっ
て、日本で最初の大規模なパブリック・インボルブメント(PI:市民参画)が行
われた。市民と行政が同じ土俵で建設の是非を含めて協議するという目的は果た
しえたのか。賛成・反対を超えて必要性の議論にこだわった市民の記録から、PI
が抱える問題点を浮き彫りにする。
て、日本で最初の大規模なパブリック・インボルブメント(PI:市民参画)が行
われた。市民と行政が同じ土俵で建設の是非を含めて協議するという目的は果た
しえたのか。賛成・反対を超えて必要性の議論にこだわった市民の記録から、PI
が抱える問題点を浮き彫りにする。
- 本の長さ191ページ
- 言語日本語
- 出版社学芸出版社
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104761524065
- ISBN-13978-4761524067
商品の説明
抜粋
「ここに幅40mの高速道路をつくることになりました」
穏やかな日常生活を送っていた閑静な住宅地で、あるいはにぎやかな商店街
で、自然豊かな市民の憩いの場で、突然そう言われたら、あなたはどうするだろ
うか。
私達の目の前に現れた高速道路計画は、広域的な道路計画にパブリック・イン
ボルブメント(Public Involvement:PI)を導入する日本初の試みである。PI
は国によって様々な方法で行なわれているが、日本はその国々とは人々の意識も
市民参加を支える仕組みも制度も異なり、言葉の解釈も人により様々だ。
公共事業は強引に進められるものだと聞いていたので、PI によってこれまで
の進め方よりは良くなるのかもしれないと期待しつつも、行政の進め方にこれま
でとの違いはあまり感じられないし、住民側でPIに対応するような新しい動きは
起こっていない。
この高速道路計画は、過去に都市計画決定された後、当時の建設大臣によって
凍結されたもので、私も参加することになったPI外環沿線協議会の確認書では
「都市計画を棚上げにし昭和41年都市計画決定以前の原点に立ち戻って、計画の
必要性から議論をする」とされている。
計画の必要性から議論をする、いわゆる構想段階では、そもそも何を議論すべ
きなのだろうか。広域が関わる高速道路であれば、自分の住む地域がどういう
意味を持つ場所かという視点だけでなく、広域的な視点から議論する必要があ
る。賛成するにせよ、反対するにせよ、なぜそう考えるかという根拠がなくては
議論にならない。しかし、道路計画をはじめ公共事業には様々な側面があ
り、突然計画を知らされた市民は、一体どこから考えていいのかわからないとい
う人がほとんどではないだろうか。現在はインターネットで多くのことを調べら
れるようになってきたが、大量の情報の中で何が関係する情報なのか、事業者の
主張が正しいのかチェックしたくても、チェックするためのデータは何処に行っ
たら手に入るのか、疑問に思うことがあっても誰に聞いたら良いのかさえわから
ない。
真剣に考えようとすると、仕事や家事に追われる日常生活に加えて、こうした
作業に膨大な時間とエネルギーを割かなければならない。頑張って調べたところ
で、公共事業は政治的な意図によって私達の目に見えないところで決められてし
まうものだとも聞く。だから住民が取る行動は事業内容の分析・検証ではなく、
反対運動をするか、条件闘争をするか、あるいは単なる傍観者や評論家に納まる
かのいずれかになりがちだ。こうした事情のためか、「道路について考えてい
る」と言うだけで「反対運動」「住民エゴ」と偏見を持たれてしまい、このこと
がさらに活動をしづらくする。
様々な側面があり、様々な取り組み方がある中で、何かの専門家でもなく、ボ
ランティアでしかない私達が冷静に道路計画を考えるにはどのような方法がある
のか。限られた人数しか参加できない協議会の協議員は何をすべきなのか。
なお、PI は「市民参画」や「住民参画」と訳されることが多いが、まちづく
りの分野で「参画」という言葉は協働や権限委譲などさらに進んだ段階のことを
意味しており、本書では、広い意味で使われている「市民参加」という表現を用
いている。
本書では、前半に私達なりに考え取り組んだPI への参加方法を、後半はこれ
を発展させた過程や私達なりの分析方法を、そして最後に、私達市民が構想段階
の道路計画に参加する意義と課題をまとめた。今後PI に取り組まれる方々に
とって少しでも役に立つことができれば幸いである。
穏やかな日常生活を送っていた閑静な住宅地で、あるいはにぎやかな商店街
で、自然豊かな市民の憩いの場で、突然そう言われたら、あなたはどうするだろ
うか。
私達の目の前に現れた高速道路計画は、広域的な道路計画にパブリック・イン
ボルブメント(Public Involvement:PI)を導入する日本初の試みである。PI
は国によって様々な方法で行なわれているが、日本はその国々とは人々の意識も
市民参加を支える仕組みも制度も異なり、言葉の解釈も人により様々だ。
公共事業は強引に進められるものだと聞いていたので、PI によってこれまで
の進め方よりは良くなるのかもしれないと期待しつつも、行政の進め方にこれま
でとの違いはあまり感じられないし、住民側でPIに対応するような新しい動きは
起こっていない。
この高速道路計画は、過去に都市計画決定された後、当時の建設大臣によって
凍結されたもので、私も参加することになったPI外環沿線協議会の確認書では
「都市計画を棚上げにし昭和41年都市計画決定以前の原点に立ち戻って、計画の
必要性から議論をする」とされている。
計画の必要性から議論をする、いわゆる構想段階では、そもそも何を議論すべ
きなのだろうか。広域が関わる高速道路であれば、自分の住む地域がどういう
意味を持つ場所かという視点だけでなく、広域的な視点から議論する必要があ
る。賛成するにせよ、反対するにせよ、なぜそう考えるかという根拠がなくては
議論にならない。しかし、道路計画をはじめ公共事業には様々な側面があ
り、突然計画を知らされた市民は、一体どこから考えていいのかわからないとい
う人がほとんどではないだろうか。現在はインターネットで多くのことを調べら
れるようになってきたが、大量の情報の中で何が関係する情報なのか、事業者の
主張が正しいのかチェックしたくても、チェックするためのデータは何処に行っ
たら手に入るのか、疑問に思うことがあっても誰に聞いたら良いのかさえわから
ない。
真剣に考えようとすると、仕事や家事に追われる日常生活に加えて、こうした
作業に膨大な時間とエネルギーを割かなければならない。頑張って調べたところ
で、公共事業は政治的な意図によって私達の目に見えないところで決められてし
まうものだとも聞く。だから住民が取る行動は事業内容の分析・検証ではなく、
反対運動をするか、条件闘争をするか、あるいは単なる傍観者や評論家に納まる
かのいずれかになりがちだ。こうした事情のためか、「道路について考えてい
る」と言うだけで「反対運動」「住民エゴ」と偏見を持たれてしまい、このこと
がさらに活動をしづらくする。
様々な側面があり、様々な取り組み方がある中で、何かの専門家でもなく、ボ
ランティアでしかない私達が冷静に道路計画を考えるにはどのような方法がある
のか。限られた人数しか参加できない協議会の協議員は何をすべきなのか。
なお、PI は「市民参画」や「住民参画」と訳されることが多いが、まちづく
りの分野で「参画」という言葉は協働や権限委譲などさらに進んだ段階のことを
意味しており、本書では、広い意味で使われている「市民参加」という表現を用
いている。
本書では、前半に私達なりに考え取り組んだPI への参加方法を、後半はこれ
を発展させた過程や私達なりの分析方法を、そして最後に、私達市民が構想段階
の道路計画に参加する意義と課題をまとめた。今後PI に取り組まれる方々に
とって少しでも役に立つことができれば幸いである。
著者について
江崎美枝子〔えざき みえこ〕
喜多見ポンポコ会議・代表、PI外環沿線会議・委員
東京生まれ。経済団体や民間企業で組織活性化・教育・広報等に携わった後、現
在、民間の研究所で地方自治体の市民参加型環境監査に携わる。
喜多見ポンポコ会議・代表、PI外環沿線会議・委員
東京生まれ。経済団体や民間企業で組織活性化・教育・広報等に携わった後、現
在、民間の研究所で地方自治体の市民参加型環境監査に携わる。
喜多見ポンポコ会議
喜多見好きや野川好きが集まって2000年4月に発足。喜多見のお宝さがしや野
川の生き物調査(ガサガサ)をしながら、外環やPI について考える活動をして
いる。
編集発行:「喜多見散策案内」2006.3(世田谷区地域コミュニティ活
性化支援事業)
表彰:コカ・コーラ環境教育賞受賞2004.9(コカ・コーラ環境教育財団主催・
読売新聞社協力・環境省後援)
登録情報
- 出版社 : 学芸出版社 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 191ページ
- ISBN-10 : 4761524065
- ISBN-13 : 978-4761524067
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,471,758位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,397位地方自治
- - 10,669位政治入門
- - 96,862位アート・建築・デザイン (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年8月14日に日本でレビュー済み
この本は市民の立場から道路事業(外郭環状道路)の必要性を検証したものであるが、賛成・反対という二元論ではなく、素朴な疑問から真理を追究しようという「科学的」な姿勢が、この本に高い社会的価値をもたらしている。著者は江崎美枝子氏と喜多見ポンポコ会議と愉快であるが、こういう本が世に出る意義は非常に大きいと思う。名著であると同時に、これを出版した学芸出版社の英断に拍手を送りたい。このような本がしっかりと自費出版ではなくて、出版される国が世界にどのくらい果たしてあるだろうか。
この本が提示した数字等に対しては、道路整備側もしっかりと回答する責任があるだろう。無視をして整備を強行するというのは、もはや民主国家ではない。著者達は決して反対しているのではなく、ただ真実を知りたいだけである。本当に外郭環状道路が整備されると、整備側が主張しているような効果が発揮できるのか。それについては、整備側の主張より、この著者達の方が説得力のある回答を用意していると思われる。
道路が新たに整備される地区に住んでいる人達は必読の良書である。爽快な読後感が得られる。
この本が提示した数字等に対しては、道路整備側もしっかりと回答する責任があるだろう。無視をして整備を強行するというのは、もはや民主国家ではない。著者達は決して反対しているのではなく、ただ真実を知りたいだけである。本当に外郭環状道路が整備されると、整備側が主張しているような効果が発揮できるのか。それについては、整備側の主張より、この著者達の方が説得力のある回答を用意していると思われる。
道路が新たに整備される地区に住んでいる人達は必読の良書である。爽快な読後感が得られる。