いま、多くの人が気付き始めていることがあると思います。
東日本大震災のとき、遠く離れた場所でも、日本以外の人たちも
被災地に思いを馳せ、同じように痛みや悲しみを感じたこと。
人間はどこか心の奥底でみんな繋がっているのじゃないか。
目に見えることしか信じない人は、まだまだ多いです。
歳をとってしまうと、「人間はこうだ、」「世の中はこうだ」と
決めつけてしまいがちですが、本当にその考えは正しいでしょうか。
著者である山元加津子さんは特別支援学校の先生です。
障がいを持った子どもたちは、人間にとって大事なことは何か、
幸せとはどういうことかを、当たり前のように知っていて、
逆に教えられることが多いそうです。
障がいを持った子どもたちを「可哀そう」と思いがちですが、
本当に可哀そうなのは誰でしょう。
学歴、肩書、名誉、財産、そういうものに固執するばかりに
他人を疑ったり、争ったり、傷つけあったり、
人間にとって本当に大事なことをわかっていない
「可哀そう」なのは誰でしょう。
この本にも説明がありますが、地球上のすべての生物は
同じＡとＴとＣとＧの４つの遺伝子暗号でできていて、
それ以外の暗号を持っているものはただの一つもないのだと、
分子生物学者で筑波大学名誉教授の村上和雄先生はおっしゃいます。
それは、すべての生物がただ１点から始まっていることの証だ、と。
一部の人が気付き始めていることが科学でも証明されつつあります。
一人ひとりは違うけれど、みんなどこかで繋がっているから、
そのことを信じられたら、孤独もないし、不安もない、
駆け引きも損得もない、誰かだけが不幸になることもないのです。
誰もが大切な存在で、どんなことも私たちのためにあるのだと、
この本は、それらのことが優しい言葉で綴られています。
山元加津子さんの本は、これまで何冊か読みました。
この「手をつなげば、あたたかい。」は集大成のような内容です。
うまくいかない日があっても、私には重荷だと思う日があっても、
私がいつも心穏やかでいられるのは、すべては、いつかのいい日
のためにあるのだと、山元加津子さんの本を読んで、そう信じる
ことができたからだと思います。
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