後を絶たない冤罪の差し戻し裁判、直近では「障害者郵便制度悪用事件」村木元局長無罪判決など記憶に新しい。
警察や検察庁レベルでの方法的取り調べの矛盾撞着が世間の明るみに出されない日々はない。
ところでこのルポルタージュは、つとに有名なトロツキー裁判の検証記録である。
トロツキーの反ソヴィエト国家転覆活動に係わったとして起訴された関係者の公判記録をジョン・デューイ調査委員会
が事実関係の矛盾の摘発を念頭に、裁判そのものの根拠を鋭い疑いをもって裁断しているのが特徴である。
国家的規模で演出されるこうした政治劇の舞台は洋の東西、時代を超えてスケールの大小こそ違え、新鮮味に乏しく
できの悪い田舎芝居である。
偽善の頬被りをしたお代官さまである検事総長が、これでもかと綻びだらけの勧善懲悪を仕切って見せる。
桟敷の観客であるわれわれにはその白々しさを暴いてくれる正義の使徒、遠山の金さんが、お白州の裾から「ちょいと
待ちねえ」現れるのを今か今かと待っているのだ。
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