高橋哲哉と岡野八代の対談。
ときたら、迷うことなく著者買いでいいでしょう。外れなわけがない。
刊行の知らせを聞いて、すぐさま購入、一気に読みました。
第一に、当然のことながら昨今の政治情勢については批判的ですが、それにしてもかなり踏み込んだ強いトーンの批判になっているなぁ、と思いました。自民党の改憲草案に至っては「あれは憲法ではない」とまで言い切ってますから。まぁ、そのとおりなのですけど。それも、言いっぱなしではなく、お二人のそれぞれの観点から、一つひとつ、これでもかこれでもか、と批判の根拠が示されて行き、頭が整理されます。第二に、論争的な主題を果敢に取り上げているところでしょう。個人的に印象に残ったのは、第二部の「戦争と天皇制」、第三部の「人道的介入」のあたりでしょうか。このあたりは左派・リベラル派でも見解が分かれるところですが、こういうことを曖昧にせずきちんと考える必要はあって、とても参考になりました。
この本を読めばすぐさま展望が開ける、なんて本では（もちろん）ありませんが、しかし、これほど厳しい社会情勢の中でも、（トーンは穏やかながら）丁寧に厳しく状況を批判していく二人の姿勢に大いに勇気づけられます。諦めないで頑張ろう、という気持ちにさせてくれる本ですね。
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