日本海軍の最長飛行距離を誇る機体だけに長距離任務とその航法の難しさが話のハイライトです。
無駄死にさせてしまうかどうかを一身に担った梓特攻隊の誘導は手に汗握る緊迫感があります。最後ヤップ島が見つかり銀河が猛然と後ろから追い抜いていくシーンは目に浮かぶようです。暗くて見えない旨を伝える連絡は涙を誘います。
因みに本作には書かれていない実際の戦果はと言うと、エセックス級正規空母ランドルフを中破させ25名死亡し106名負傷させていますので彼我トントンといったとこでしょうか。特攻隊員の気持ちが成し遂げた戦果でしょう。他の火柱はおそらく地上か海面への激突だと思われます。
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二式大艇空戦記 新装版: 海軍八〇一空搭乗員の死闘 (光人社ノンフィクション文庫 215) 文庫 – 2006/12/1
長峯 五郎
(著)
- 本の長さ365ページ
- 言語日本語
- 出版社潮書房光人新社
- 発売日2006/12/1
- ISBN-104769822154
- ISBN-13978-4769822158
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登録情報
- 出版社 : 潮書房光人新社 (2006/12/1)
- 発売日 : 2006/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 365ページ
- ISBN-10 : 4769822154
- ISBN-13 : 978-4769822158
- Amazon 売れ筋ランキング: - 212,065位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、二式飛行艇の搭乗員の手記で、飛行艇の操縦についてのコメントも多い。
専門用語がたくさん出てくる。特に解説されていないが、雰囲気は伝わってくる。
戦闘機とは異なる、大型機ならではの機内のやりとりや飛行ぶりが描かれている。
大荒れの海上をゲーゲー吐きながら夜間飛行する場面は、本書前半の大きなハイライト。
短い記述ながら、海の描写が、実際に見た人でないと描けない圧巻である。
洋上を航行する敵艦隊を、味方と誤って近づき、猛烈な対空射撃を食らいつつも、人員機材とも無事に切り抜けるシーンも、手に汗握る。
ただ、これらの危機的状況は、天気予報を甘く見たり、確認を怠ったりと、いずれも著者の判断ミスが招いたものとして書かれている。
その極め付けが、夜間の着水失敗の遭難事故で、日本沿岸だったので搭乗員は救助されたが、飛行艇は海没した。
飛行艇には、機長の士官が乗っていたが、本書を読むかぎり、実質的な指揮官は、操縦員であった著者(下士官)だったようだ。
本書で、自己の驕りや失敗が率直に書かれている。
若干二十歳前後で横空に勤務した著者は、自他共に認める操縦技量の持主であり、若さゆえの自信過剰もあったかもしれない。
当時の戦場で、限定された情報をもとに即座に判断を迫られる状況では、仕方がなかったのではないかと思う。
ただ、著者のすぐれた点は、単なる偶然などとして流すことなく、失敗のたびに自己を見つめなおしていたことだ。
それが戦争を生き抜く結果につながった。
戦地において、殺意をむきだしにして迫ってくる敵と渡り合って生き残るには、並外れた向ッ気が必要らしい。
零戦虎徹の岩本、サムライ坂井氏は、徹底した反骨精神の持主として知られている。
著者も相当なもので、一心太助のような上官反抗エピソードも紹介されている。
淡い恋もあったようである。
本書の主題は、梓特攻隊である著者の隊員としての思いである。
梓隊の銀河爆撃機が、1機の二式飛行艇の誘導でウルシー泊地を攻撃したというのは、戦闘経過も含め、他の資料でも確認できる事実である。
著者は、その誘導機に乗り、艱難を乗り越え生還を果たした。
作戦計画では、誘導機は生還することになっていたことを考えれば、厳密には特攻隊員ではなかったともいえそうだが、実質的に誘導機は特攻と同じ任務として当事者や周囲に受け止められていた。
本書で強調されているのは、特攻を命令する側の心理と、命令を受けて飛ぶ心理には、大きなへだたりがあるということである。
他人の目からは、特攻隊員は国を守るために自己犠牲を払ったから崇高だ、という美談になる。
著者は「生きたい」という欲求に、出撃前夜まで眠れずに苦しみぬいていた。
「国を守る」とか「愛する人を守る」とか、耳当たりの良いお題目では到底解消され得ない、生物としての根源的葛藤である。
本書には書いていないが、特攻を繰り返しているにもかかわらず戦局が悪化する一方であったことも、隊員のモチベーションを下げたのではないかと思った。
岩本徹三ではないが、そこまでして戦争を続ける意味があるか、という実務的観点である。
故郷の妻子よお達者でと祈ってみても、戦いをやめない限りいずれ本土が戦場となり、そうなれば妻子も惨死する運命にあることぐらい、当時の将兵には自明だっただろう。
通常攻撃でも生還が期待できない当時、特攻と心理的に何が違うのか、とも思ってしまうが、
搭乗員にとって、必死と決死の違いが、1文字の違いではすまされぬものがあったようだ。
この葛藤は、命令する側(戦後の我々も含めて)には到底共有し得ないものであろう。
しいていうならば、がんの余命宣告を受けた心境なのだろうか。これすら私には想像がつかない。
特攻のような空前絶後の壮挙については、いろいろな思いや受け止め方があるだろうし、あえて議論を一にする必要性もないと思う。
ただ、多くの現代日本人にとって想像の世界でしかない特攻隊員の心情を、本書を読むことで窺い知ることができるだろう。
著者が下宿先で夕食を囲んでいる時に、彼が近いうち特攻出撃することがわかり、家人の子どもが、ショックを受けて泣き出す。
その場は豪快に笑い飛ばした著者も、基地に戻る道すがら、あふれる涙をとめることができなかった。
そして、文庫でいえばp244、梓特別攻撃隊の銀河を誘導して飛行中に著者が目にしたある光景こそが、本書の本質であり、
かつ、著者の、人間としてのあり方を決定付けたのだと思う。
専門用語がたくさん出てくる。特に解説されていないが、雰囲気は伝わってくる。
戦闘機とは異なる、大型機ならではの機内のやりとりや飛行ぶりが描かれている。
大荒れの海上をゲーゲー吐きながら夜間飛行する場面は、本書前半の大きなハイライト。
短い記述ながら、海の描写が、実際に見た人でないと描けない圧巻である。
洋上を航行する敵艦隊を、味方と誤って近づき、猛烈な対空射撃を食らいつつも、人員機材とも無事に切り抜けるシーンも、手に汗握る。
ただ、これらの危機的状況は、天気予報を甘く見たり、確認を怠ったりと、いずれも著者の判断ミスが招いたものとして書かれている。
その極め付けが、夜間の着水失敗の遭難事故で、日本沿岸だったので搭乗員は救助されたが、飛行艇は海没した。
飛行艇には、機長の士官が乗っていたが、本書を読むかぎり、実質的な指揮官は、操縦員であった著者(下士官)だったようだ。
本書で、自己の驕りや失敗が率直に書かれている。
若干二十歳前後で横空に勤務した著者は、自他共に認める操縦技量の持主であり、若さゆえの自信過剰もあったかもしれない。
当時の戦場で、限定された情報をもとに即座に判断を迫られる状況では、仕方がなかったのではないかと思う。
ただ、著者のすぐれた点は、単なる偶然などとして流すことなく、失敗のたびに自己を見つめなおしていたことだ。
それが戦争を生き抜く結果につながった。
戦地において、殺意をむきだしにして迫ってくる敵と渡り合って生き残るには、並外れた向ッ気が必要らしい。
零戦虎徹の岩本、サムライ坂井氏は、徹底した反骨精神の持主として知られている。
著者も相当なもので、一心太助のような上官反抗エピソードも紹介されている。
淡い恋もあったようである。
本書の主題は、梓特攻隊である著者の隊員としての思いである。
梓隊の銀河爆撃機が、1機の二式飛行艇の誘導でウルシー泊地を攻撃したというのは、戦闘経過も含め、他の資料でも確認できる事実である。
著者は、その誘導機に乗り、艱難を乗り越え生還を果たした。
作戦計画では、誘導機は生還することになっていたことを考えれば、厳密には特攻隊員ではなかったともいえそうだが、実質的に誘導機は特攻と同じ任務として当事者や周囲に受け止められていた。
本書で強調されているのは、特攻を命令する側の心理と、命令を受けて飛ぶ心理には、大きなへだたりがあるということである。
他人の目からは、特攻隊員は国を守るために自己犠牲を払ったから崇高だ、という美談になる。
著者は「生きたい」という欲求に、出撃前夜まで眠れずに苦しみぬいていた。
「国を守る」とか「愛する人を守る」とか、耳当たりの良いお題目では到底解消され得ない、生物としての根源的葛藤である。
本書には書いていないが、特攻を繰り返しているにもかかわらず戦局が悪化する一方であったことも、隊員のモチベーションを下げたのではないかと思った。
岩本徹三ではないが、そこまでして戦争を続ける意味があるか、という実務的観点である。
故郷の妻子よお達者でと祈ってみても、戦いをやめない限りいずれ本土が戦場となり、そうなれば妻子も惨死する運命にあることぐらい、当時の将兵には自明だっただろう。
通常攻撃でも生還が期待できない当時、特攻と心理的に何が違うのか、とも思ってしまうが、
搭乗員にとって、必死と決死の違いが、1文字の違いではすまされぬものがあったようだ。
この葛藤は、命令する側(戦後の我々も含めて)には到底共有し得ないものであろう。
しいていうならば、がんの余命宣告を受けた心境なのだろうか。これすら私には想像がつかない。
特攻のような空前絶後の壮挙については、いろいろな思いや受け止め方があるだろうし、あえて議論を一にする必要性もないと思う。
ただ、多くの現代日本人にとって想像の世界でしかない特攻隊員の心情を、本書を読むことで窺い知ることができるだろう。
著者が下宿先で夕食を囲んでいる時に、彼が近いうち特攻出撃することがわかり、家人の子どもが、ショックを受けて泣き出す。
その場は豪快に笑い飛ばした著者も、基地に戻る道すがら、あふれる涙をとめることができなかった。
そして、文庫でいえばp244、梓特別攻撃隊の銀河を誘導して飛行中に著者が目にしたある光景こそが、本書の本質であり、
かつ、著者の、人間としてのあり方を決定付けたのだと思う。
2020年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高性能ゆえに過酷な20時間以上の長距離飛行に従事した二式大挺搭乗員クルーの激闘ぶりが良く分かる内容である。 また高性能を追及したため離水時の操縦特性が敏感になり続発した墜落事故の原因とその対策方が興味深い内容であった。
2014年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個性的な筆者の軍隊内外でのエピソードが数多く記載されており、大変面白かった。
2010年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、二式大艇のパイロットとしてして戦争を戦った元下士官。
自らの体験をありのままに、書き起こした体験談です。新兵のシゴキ、特攻、飢餓の島でのサバイバルから終戦までの、戦争の実態を実によく表しています。武勇伝でもなく、反戦でもなく、仲間たちへの鎮魂のための戦記です。
神風特攻兵が、突撃前に機上で見せた笑顔のシーンは、レビューを書きながらも涙があふれて来ます。特攻賛美ではなく、特攻を命ずる側を非難していますが、特攻を命じられ苦しみながら命令に従って死んでいった側への深い慈愛を感じます。事実を語っているだけですが、死んでいった特攻隊員への鎮魂の意図が自然につたわってきます。
二式大艇の実像についても非常に興味深い記述満載です。傑作飛行艇と言われた二式大艇の離着水の困難さ、特に料満載での超過重量時の離水の難しさ、二式飛行艇に搭載されていた電探(レーダー)の実力、GPSもジャイロもなしでの航法の実態、数十メートルの誤差が出る高度計の飛行中の補正方法、夜間着水の実像とその危険、敵味方識別の発光信号の信頼度、燃料の配置調整による被弾対策など飛行艇のスペックではわからない操縦者ならでは記述も満載です。
奇蹟の飛行艇―大空に生きた勇者の記録 (光人社NF文庫) は97式飛行艇の元パイロットの戦記です。鎮魂の戦記という意味でも、飛行艇の実像をパイロットが記録した戦記としても似ています。二式と九十七式飛行艇の比較の意味でも面白いと思います。
自らの体験をありのままに、書き起こした体験談です。新兵のシゴキ、特攻、飢餓の島でのサバイバルから終戦までの、戦争の実態を実によく表しています。武勇伝でもなく、反戦でもなく、仲間たちへの鎮魂のための戦記です。
神風特攻兵が、突撃前に機上で見せた笑顔のシーンは、レビューを書きながらも涙があふれて来ます。特攻賛美ではなく、特攻を命ずる側を非難していますが、特攻を命じられ苦しみながら命令に従って死んでいった側への深い慈愛を感じます。事実を語っているだけですが、死んでいった特攻隊員への鎮魂の意図が自然につたわってきます。
二式大艇の実像についても非常に興味深い記述満載です。傑作飛行艇と言われた二式大艇の離着水の困難さ、特に料満載での超過重量時の離水の難しさ、二式飛行艇に搭載されていた電探(レーダー)の実力、GPSもジャイロもなしでの航法の実態、数十メートルの誤差が出る高度計の飛行中の補正方法、夜間着水の実像とその危険、敵味方識別の発光信号の信頼度、燃料の配置調整による被弾対策など飛行艇のスペックではわからない操縦者ならでは記述も満載です。
奇蹟の飛行艇―大空に生きた勇者の記録 (光人社NF文庫) は97式飛行艇の元パイロットの戦記です。鎮魂の戦記という意味でも、飛行艇の実像をパイロットが記録した戦記としても似ています。二式と九十七式飛行艇の比較の意味でも面白いと思います。
2009年8月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なかなか飛行艇の話はないので読んでみました。飛行艇にも特攻作戦があったなど知りませんでした。特攻隊員となった心情は現代の我々には計り知れない思いがあったのだと思いました。そして送り出す地域の方々の思いなど。
ただ乗り物なんでやはり失敗して上達していくものなんだなぁと思いました。
色々な経験をされている著者なので、読んでとてもよかったです。
ただ乗り物なんでやはり失敗して上達していくものなんだなぁと思いました。
色々な経験をされている著者なので、読んでとてもよかったです。
2011年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第二次大戦の航空機戦記物といえば、殆ど派手な戦闘機や攻撃機についてばかりを読んできましたが、これまである意味、地味で裏方的という見方をして手をのばそうとしなかった飛行艇に関する手記を初めて読みました。当時世界の最先端にあり、今見ても全く古さを感じさせない、美しさと威厳を備えた二式大艇、当時あれだけの素晴らしい飛行機を造り実戦運用していた事実を現在でも日本は世界に誇れることを、読んでみて改めて認識させてもらいました。書かれている事は、操縦士として、この水艇の色々な特性、特に扱いの難しさ、超長距離飛行能力を持つこと故に、難しく危険度の高い作戦に用いられた故の苦闘、部隊の戦友や後輩、上官、又、内地での寄宿先の人々との人間としての交わり、などなど、手記ものをしては割合ページ数はおおかったですが、先に先にと引かれて、一気に読んでしまいました。読み終わるまでには自分自身がすっかり感情移入していまい、終わって何やら寂しささえ感じました。これを機会に戦記物も幅を広げて読もうと思っております。ところでこの二式大艇(97式もですが)、国外国内を問わずどこか展示されている所があるのでしょうか。ご存じの方お教えください。
2019年9月4日に日本でレビュー済み
太平洋戦争を生き抜いたパイロットの物語。
作品の後半は特攻隊について語っており、著者は特攻隊の誘導隊(誘導隊であっても比較的鈍足な飛行艇の生還率は、
非常に低い)として生還しており、自らも含め特攻隊員の心情が記録されている。
戦後、特攻隊について議論されることがあるが、
純粋に、日本の将来を思い頑張った人達のことを思い涙が出た。
作品の後半は特攻隊について語っており、著者は特攻隊の誘導隊(誘導隊であっても比較的鈍足な飛行艇の生還率は、
非常に低い)として生還しており、自らも含め特攻隊員の心情が記録されている。
戦後、特攻隊について議論されることがあるが、
純粋に、日本の将来を思い頑張った人達のことを思い涙が出た。