潜水艦とはどんな物かについて潜水艦長から見て記した良書。
また潜水艦乗りの性質がにじみ出ていて面白い。
1章では潜水艦そのものについて
2章では潜水艦の用法について
3章では日本海軍の潜水艦使用の実態について
4章では3章で述べられた事の分析
5章では海上自衛隊での潜水艦の現状をそれぞれ記している。
各章では非常に詳細に筋の通った分析がなされている上、分かり易く説明されている。
潜水艦乗りとしての粘り強く好機にあっては果断なところが出ているのだろう。
しかし各章を通してみた時に難点も浮かび上がる。
潜水艦乗りとしての粘着質な所、不満点がにじみ出てしまっているようだ。
例えば1章では
・潜水艦を誉めようとするあまりに全く正反対に近い性質を持つ戦略原潜と基本的には戦術単位である通常型の長所を同時に記載していて、
本来相反する部分を兼ね備えている無敵艦のように描かれている。
・潜水輸送のように3章で用いるべきでないと述べているにもかかわらず1章で長所として記される矛盾。
・潜水艦では難しい、正しい海軍には必須の「水上艦による海上阻止、護衛任務」の無視。
・戦略的価値について言っているのに駆逐艦の万能艦としての、安いため数がそろえられることの意義の無視。
・各国海軍事情に基づいて作られた潜水艦の良い所取り。
5章では
・「敵性海域に存在する遍在性」が売りの潜水艦が現在の日本の法制上どうあっても主役になり得ないこと。
・アメリカでの新たな用途、特殊部隊の浸透などには全く使えないこと。
・核アレルギーから原潜の所有が絶望的であること。
・周辺国全てが軍拡している中、日本のみが軍縮していて、そのため装備の更新が遅れている(特に今はMD予算が圧迫している)ため完璧なバランスの取れた一流海軍にはなり得ないこと。
等ダブルスタンダードや誇大表記、嘘ではないが都合の悪いことの隠蔽などが見られる。
普通に読めば潜水艦が、穿って読めば潜水艦乗りがよく判る、有る意味「深い」本と言えるかと。
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本当の潜水艦の戦い方: 優れた用兵者が操る特異な艦種 (光人社ノンフィクション文庫 493) 文庫 – 2006/5/1
中村 秀樹
(著)
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- 本の長さ317ページ
- 言語日本語
- 出版社潮書房光人新社
- 発売日2006/5/1
- ISBN-104769824939
- ISBN-13978-4769824930
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登録情報
- 出版社 : 潮書房光人新社 (2006/5/1)
- 発売日 : 2006/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 317ページ
- ISBN-10 : 4769824939
- ISBN-13 : 978-4769824930
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- - 1,469位軍事入門
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は潜水艦一般の性能や運用思想に通じている非常にありがたい書です。
そもそも潜水艦って水に潜って魚雷を撃つ、程度はほとんどの人が知っていることですが、
最大の強みとその裏返しである弱みは何なのか、どのように運用すれば無敵の威力を発揮し、
反対に運用を誤ればどれほどの脆弱性を持つのか...。
本書が潜水艦一般論に深く通じているためそれらがクリアになり、
また併録されている大日本帝国海軍の潜水艦運用思想の決定的な破綻が示されることにより、
非常な説得力を持って読者へ訴えかけます。
現代戦闘において潜水艦の優位性は第二次大戦時よりはるかに増しており、
海上自衛隊も通常動力艦として最強レベルの潜水艦を保有する現状で、
軍事に関わる潜水艦のプレゼンスは非常に大きいと思われます。
現在の日本の安全保障は潜水艦の知識無しでは読み解けないと、本書を読了して感じた次第です。
そもそも潜水艦って水に潜って魚雷を撃つ、程度はほとんどの人が知っていることですが、
最大の強みとその裏返しである弱みは何なのか、どのように運用すれば無敵の威力を発揮し、
反対に運用を誤ればどれほどの脆弱性を持つのか...。
本書が潜水艦一般論に深く通じているためそれらがクリアになり、
また併録されている大日本帝国海軍の潜水艦運用思想の決定的な破綻が示されることにより、
非常な説得力を持って読者へ訴えかけます。
現代戦闘において潜水艦の優位性は第二次大戦時よりはるかに増しており、
海上自衛隊も通常動力艦として最強レベルの潜水艦を保有する現状で、
軍事に関わる潜水艦のプレゼンスは非常に大きいと思われます。
現在の日本の安全保障は潜水艦の知識無しでは読み解けないと、本書を読了して感じた次第です。
2012年8月27日に日本でレビュー済み
著者は、元・潜水艦艦長である。同著者の「これが潜水艦だ」よりも専門的であるため、その分、読むのに骨が折れる。著者自身、現役軍人の関心にも耐えられる水準で書いた、と述べている。
曰く・・・
潜水艦の最大の特徴(長所)は「隠密性」である。真珠湾攻撃では、ライハナ泊地に敵艦隊がいないことを潜水艦で探知できたので攻撃力を真珠湾に集中できたが、ミッドウェーでは米潜に出撃探知されたせいで大敗北を喫した。
潜水艦は低速走行なので、基本的には「待ちぶせ」作戦・・・というかそれしかできない。対潜部隊は探知しつつ電池切れで潜水艦が浮いてくるのを気長に待つ、という探知方法。ただ、原潜は、長時間潜航ができるので、今日では空母に匹敵する重要艦種である。
潜水艦は、通信能力も低いため、ある程度、自由な作戦行動をさせる必要がある。浮上を強いるような作戦はよくない。補給業務に使うのもよくない。「隠密性」という最大の長所を活かすためには、作戦上の制約をあまり課さない方がいい。旧日本軍は、艦隊決戦主義思想だったため、潜水艦もそのための補完として運用されていた(からダメだった)。太平洋戦争のとき、米軍は真珠湾攻撃で艦船が減少したため空母機動部隊と潜水艦の運用が結果的にうまくいったが、日本海軍はなまじ艦隊兵力があったため潜水艦が(艦隊決戦思想の)補完戦力にとどまった。
日本の軍隊は情報軽視の傾向がある。都合の悪い現実に目をそむける傾向がある、とか、硬直した頭で既定方針を強引に実行する傾向がある、とか、手厳しい。
農耕民族の日本人は、一糸乱れぬ艦隊行動に向いているが(といいつつ、現代戦では意味があるかないかは別だが・・とはまた手厳しい)、潜水艦のようなクリエィティブで臨機応変な作戦には向いていないかもしれない。そもそも、独立行動すべき潜水艦作戦を不必要に統制すらする、という。
自衛隊は米軍と連動しているので、海自には対潜作戦能力はあっても海上侵攻部隊を撃破する能力がない(これは米軍に依存)。要するに、米軍と連携しないとまともな作戦行動がとれない。
潜水艦部隊も、有事に即した訓練をしていない。水上部隊や航空部隊の訓練協力が潜水艦部隊の訓練になっているので、訓練になっているようでなっていない。しかも、潜水艦乗りは出世もできない。潜水艦の運用方法が確立されていないので、研究開発も非効率。
海自は、実戦経験がない(官僚化)、対米依存、訓練麻痺(設定されたルールの中での行動)により、情報感覚が退化している。「自衛隊が戦争することはない」という思い込みがあるため、軍隊というより行政組織に近い。
軍刑法がないため上官に権威がない。「右へならえ」という代わりに「整頓してください」と上官が部下に敬語を使うこともあった(・・・ってさすがにこれはホントかと思うが、筆者は実見したとのこと)。
など。本書は軍人誣告罪に問われるような内容、と著者も述べているくらい終盤は海自批判が多い。たとえ話半分と受け取ったとしても、海自ってこんなにダメなのか・・・と不安に思わないでもない。
曰く・・・
潜水艦の最大の特徴(長所)は「隠密性」である。真珠湾攻撃では、ライハナ泊地に敵艦隊がいないことを潜水艦で探知できたので攻撃力を真珠湾に集中できたが、ミッドウェーでは米潜に出撃探知されたせいで大敗北を喫した。
潜水艦は低速走行なので、基本的には「待ちぶせ」作戦・・・というかそれしかできない。対潜部隊は探知しつつ電池切れで潜水艦が浮いてくるのを気長に待つ、という探知方法。ただ、原潜は、長時間潜航ができるので、今日では空母に匹敵する重要艦種である。
潜水艦は、通信能力も低いため、ある程度、自由な作戦行動をさせる必要がある。浮上を強いるような作戦はよくない。補給業務に使うのもよくない。「隠密性」という最大の長所を活かすためには、作戦上の制約をあまり課さない方がいい。旧日本軍は、艦隊決戦主義思想だったため、潜水艦もそのための補完として運用されていた(からダメだった)。太平洋戦争のとき、米軍は真珠湾攻撃で艦船が減少したため空母機動部隊と潜水艦の運用が結果的にうまくいったが、日本海軍はなまじ艦隊兵力があったため潜水艦が(艦隊決戦思想の)補完戦力にとどまった。
日本の軍隊は情報軽視の傾向がある。都合の悪い現実に目をそむける傾向がある、とか、硬直した頭で既定方針を強引に実行する傾向がある、とか、手厳しい。
農耕民族の日本人は、一糸乱れぬ艦隊行動に向いているが(といいつつ、現代戦では意味があるかないかは別だが・・とはまた手厳しい)、潜水艦のようなクリエィティブで臨機応変な作戦には向いていないかもしれない。そもそも、独立行動すべき潜水艦作戦を不必要に統制すらする、という。
自衛隊は米軍と連動しているので、海自には対潜作戦能力はあっても海上侵攻部隊を撃破する能力がない(これは米軍に依存)。要するに、米軍と連携しないとまともな作戦行動がとれない。
潜水艦部隊も、有事に即した訓練をしていない。水上部隊や航空部隊の訓練協力が潜水艦部隊の訓練になっているので、訓練になっているようでなっていない。しかも、潜水艦乗りは出世もできない。潜水艦の運用方法が確立されていないので、研究開発も非効率。
海自は、実戦経験がない(官僚化)、対米依存、訓練麻痺(設定されたルールの中での行動)により、情報感覚が退化している。「自衛隊が戦争することはない」という思い込みがあるため、軍隊というより行政組織に近い。
軍刑法がないため上官に権威がない。「右へならえ」という代わりに「整頓してください」と上官が部下に敬語を使うこともあった(・・・ってさすがにこれはホントかと思うが、筆者は実見したとのこと)。
など。本書は軍人誣告罪に問われるような内容、と著者も述べているくらい終盤は海自批判が多い。たとえ話半分と受け取ったとしても、海自ってこんなにダメなのか・・・と不安に思わないでもない。
2014年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者が本当の潜水艦乗りだったこともあって面白い本です。
しかし、現在の自衛隊の潜水艦については別の著書「これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実」の方がいろいろ書いています。
しかし、現在の自衛隊の潜水艦については別の著書「これが潜水艦だ―海上自衛隊の最強兵器の本質と現実」の方がいろいろ書いています。
2006年10月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全然軍事オタクじゃなくて、只今勉強中の者ですが・・・いい文章です。この手の本にはめずらしく最後までスイスイ読めました。著者の「作家」としての力量に感謝します。「潜水艦」は「騎兵」と同じく運用に戦術の天才を要するのかも知れませんね。
2016年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
太平洋戦争機からそうりゅう級以前の潜水艦を前提に書かれているような印象で、かつ現状の自衛隊については組織論的視点で批判的な内容。純粋に潜水艦のテクニカルなあり方という面ではちょっと物足りない。そして一番の問題点は内容が古くなってきているのでしょうね。
2013年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
潜水艦が現在では、最強の兵器だということがよくわかりました。
2010年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このレビューを書いてるのは2010年6月なのだが、少し前に北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件があり、潜水艦に興味を持ったので読んでみた。報道によれば、北朝鮮の小型潜水艦が魚雷を発射したためであり、北朝鮮はこのような小型潜水艦を極めて多数持っているという。なぜ北朝鮮がそのように多数の小型潜水艦を有しているのか、どのような意図があるのか、周辺国にとってどういう意味があるのだろうか?
本書は最良の潜水艦作戦は対潜警戒のゆるい海域での商船を目標とした交通破壊戦であると結論付けている。北朝鮮の狙いもそうなのであろうか?
最近偶然見つけたJapan Business Press というインターネット上のメディアで元海将 小林 正男氏の「米国に力を見せつけた中国の最新鋭潜水艦」という記事を読む機会があったが、これを読むと、北朝鮮潜水艦についても別の解釈も生まれてくるはずだ。韓国の哨戒艦は一撃で船体が真っ二つに分かれてし沈没してしまったが、たとえ旧式の小型潜水艦でも大型艦船を一撃で沈没させることが出来るという。
小林氏の記事は今日現在では読むことが出来るが、このような威力を潜水艦の使い方に関しても下記のような具体的事実から各国が何の意図があってどのように潜水艦を使おうとしているのか「なるほど」と理解できるように書かれている。
1.米空母キティーホークの護衛圏内に中国ソン級潜水艦が入り込み浮上した事件
2.かつてドイツやソ連が大量の潜水艦を保有していた事実
3.2005年までの10年間で31隻の潜水艦を中国が建造した事実
4.アジア諸国ではオーストラリアも含めて潜水艦を増強している事実
5.米海軍音響測定艦インペッカブルが中国艦船5隻に取り囲まれ活動を妨害された事件
6.冷戦期に米高官が「戦争が始まれば5分以内にソ連SSBNを撃沈する」と発言した事実
しかし、本書を読んで上記のような事実を目にしても、現在日本周辺の各国が潜水艦によりどのような戦いを考えているのか正しく判断できないであろう。なぜなら、望ましい潜水艦作戦の条件であると著者が結論付けている内容と上記の現実に起きている事件や事実との間には相当の開きがあるからだ。本書の分析は適切ではないように思う。
一方で、第3章の旧日本海軍の潜水艦作戦についてはなかなか良くまとめてあり、労作といった感じだ。「テーマが、日本海軍潜水艦作戦の分析だから、海上自衛隊の潜水艦の話が少ないと言う不満(書評)は、ないものねだりだろう。 」というレビューがあったが、本書のタイトルからも表紙の自衛隊の潜水艦写真からも旧日本海軍潜水艦作戦の分析がテーマの本と主張するのは無理があるのではないか。もしそうなら最初からそういうタイトルと写真にして欲しい。
最後の章は海上自衛隊の問題点についての記述であるが、本人の不満をぶちまけた感があり、素直にそのまま受け取ってよいのかと思う。中にはなるほどという点もあるかもしれないが、多くは、「実戦には弾薬の備蓄量が足りない」とか、「海上自衛隊には軍事専門家がいない」、とか、「幹部自衛官には軍事知識と技能が無い」等々。どちらかというと飲み屋で会社や上司の悪態をつくサラリーマン的発想のように感じる。
ついでながら上記元海将の記事によれば、パッシブソナーや電波探知機では、敵の存在を探知しその方向を知ることが出来たとしても、距離を知ることが出来ないそうだ。言われてみれば確かにそうだと納得したが、お偉いさんである元海将の記事にはちゃんと説明されているのに現場を仕切っていた元潜水艦艦長が書いたこの本にはあたかも敵の位置が探知できるがごとく記されているのもどうかと思う。
本書は最良の潜水艦作戦は対潜警戒のゆるい海域での商船を目標とした交通破壊戦であると結論付けている。北朝鮮の狙いもそうなのであろうか?
最近偶然見つけたJapan Business Press というインターネット上のメディアで元海将 小林 正男氏の「米国に力を見せつけた中国の最新鋭潜水艦」という記事を読む機会があったが、これを読むと、北朝鮮潜水艦についても別の解釈も生まれてくるはずだ。韓国の哨戒艦は一撃で船体が真っ二つに分かれてし沈没してしまったが、たとえ旧式の小型潜水艦でも大型艦船を一撃で沈没させることが出来るという。
小林氏の記事は今日現在では読むことが出来るが、このような威力を潜水艦の使い方に関しても下記のような具体的事実から各国が何の意図があってどのように潜水艦を使おうとしているのか「なるほど」と理解できるように書かれている。
1.米空母キティーホークの護衛圏内に中国ソン級潜水艦が入り込み浮上した事件
2.かつてドイツやソ連が大量の潜水艦を保有していた事実
3.2005年までの10年間で31隻の潜水艦を中国が建造した事実
4.アジア諸国ではオーストラリアも含めて潜水艦を増強している事実
5.米海軍音響測定艦インペッカブルが中国艦船5隻に取り囲まれ活動を妨害された事件
6.冷戦期に米高官が「戦争が始まれば5分以内にソ連SSBNを撃沈する」と発言した事実
しかし、本書を読んで上記のような事実を目にしても、現在日本周辺の各国が潜水艦によりどのような戦いを考えているのか正しく判断できないであろう。なぜなら、望ましい潜水艦作戦の条件であると著者が結論付けている内容と上記の現実に起きている事件や事実との間には相当の開きがあるからだ。本書の分析は適切ではないように思う。
一方で、第3章の旧日本海軍の潜水艦作戦についてはなかなか良くまとめてあり、労作といった感じだ。「テーマが、日本海軍潜水艦作戦の分析だから、海上自衛隊の潜水艦の話が少ないと言う不満(書評)は、ないものねだりだろう。 」というレビューがあったが、本書のタイトルからも表紙の自衛隊の潜水艦写真からも旧日本海軍潜水艦作戦の分析がテーマの本と主張するのは無理があるのではないか。もしそうなら最初からそういうタイトルと写真にして欲しい。
最後の章は海上自衛隊の問題点についての記述であるが、本人の不満をぶちまけた感があり、素直にそのまま受け取ってよいのかと思う。中にはなるほどという点もあるかもしれないが、多くは、「実戦には弾薬の備蓄量が足りない」とか、「海上自衛隊には軍事専門家がいない」、とか、「幹部自衛官には軍事知識と技能が無い」等々。どちらかというと飲み屋で会社や上司の悪態をつくサラリーマン的発想のように感じる。
ついでながら上記元海将の記事によれば、パッシブソナーや電波探知機では、敵の存在を探知しその方向を知ることが出来たとしても、距離を知ることが出来ないそうだ。言われてみれば確かにそうだと納得したが、お偉いさんである元海将の記事にはちゃんと説明されているのに現場を仕切っていた元潜水艦艦長が書いたこの本にはあたかも敵の位置が探知できるがごとく記されているのもどうかと思う。