たとえ南極だろうとジャングルだろうと、人間は服を着て食べて住んで暮らす。
海外調査事情を書いた本は数多あるが、ここまでさまざまな地域とジャンルにおける
現地調査中の調査者たちの暮らしぶりや現地の人びとの暮らしぶりが
一冊に入っている類書はないだろう。
なかでも衝撃的なのが砂野唯「酒が主食の農村で」であろう。
海外の暮らしを紹介するテレビや雑誌の情報は山ほどあるが
まさか酒が主食（ほんとうにどぶろくが主食であるらしい）の地域がこの世にあるとは。
その奇想天外な食事事情と過酷な調査経験には驚くほかない。
他にも南極調査中の暮らしやアフリカでチンパンジー調査をしているときの暮らしぶりなど
他ではなかなかお目にかかれない貴重な話が
これでもかと生き生きと魅力的に書かれている。
一般書としては微妙に値は張るが、口絵のカラー写真も楽しく十分値段分の価値はある。
フィールドワークに興味がある人はもちろん、旅好きな普通の人にもお勧め。
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