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血塗られた慈悲、笞打つ帝国。-江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか? 単行本 – 2009/10/1
不朽の名著、M・フーコー『監獄の誕生』の日本版といえる金字塔!
・江戸時代、なぜ残虐な刑罰が日常茶飯事だったのか?
・江戸幕府は「慈悲深い」権力者というイメージ戦略を、いかに成功させたか?
・ペリー来航の重要な任務は、「治外法権」を認めさせることだった。
・明治政府は、なぜ、旧来の刑罰改革を急務の課題としたのか?
・植民地・台湾に、帝国日本が驚くほど壮麗な監獄を作ったのは?
・日本の資本主義の台頭を、囚人労働がいかに支えたか?
ーー江戸から明治へ、刑罰がいかに社会秩序の基盤となり、
権力を形成・変革してきたのかを、解き明かした画期的論考!
ーー『カムイ伝』から『蟹工船』まで、その背景が浮かび上がる!
::目次::
第1章 ■秩序の象徴ーー将軍のお膝元での刑罰と権力
江戸の刑罰は、残虐で遅れていたのか?・・処刑現場を公開しない統治術・・
江戸は刑罰を象徴する印に満ちあふれていた・・親子のような「御仕置」関係
第2章 ■血塗られた慈悲ーー幕府のふたつの顔と被差別民
畏怖される仁君・・融通、手加減、恩赦・・被差別民が守った武士のイメージ
第3章 ■身分の力ーー牢屋敷に投影された江戸時代の社会構造
「容器社会」の組織化戦略・・小伝馬町牢屋敷:身分制の原理が剥き出しになる場
所・・なぜ武士に厳罰が科せられたのか?・・二重権力ではない複雑な政体
第4章 ■混乱と救済ーー人足寄場の歴史的意義
混乱の影:荻生徂徠と太宰春台の改革・・社会の周縁に追いやられた者たちの救
済・・増え続ける浮浪者問題をどう解決するか?・・寛政の改革と暴徒対策・・
人足寄場はプロレタリアを形成したのか?
第5章 ■文明の証しとしての刑罰ーー幕末における治外法権と改革の波
「国民」の形成、刑罰の抜本的転換へ・・魅力的な夢物語:理想化された欧米の獄
制・・欧米列強が恐れた「東洋の野蛮」
第6章 ■規律社会へーー日本における監獄の誕生
王政復古と旧刑罰制度の解体・・小原重哉の植民地視察とパノプティコンの理念
・・一目洞視と「平民」の誕生・・日本初の近代的監獄、そして江藤新平の晒し首
第7章 ■国家・資本・監獄ーー文明開化の深層構造
国内外の力が絡み合う刑罰改革・・拷問と晒し首の廃止・・政治問題の解決道具と
しての監獄・・資本主義の興隆を支えた囚人労働
終章 ■植民地帝国と刑罰ーー最新の監獄に野蛮な刑罰
一八九五年という転換点・・知の生産場所:植民地台湾における監獄の役割・・
笞打たれる台湾・・文明化する力は、どこから来たのか?
■著者
ハーヴァード大学・歴史学部の准教授を経て、現ノースカロライナ大学チャペルヒル
校・准教授。英オックスフォード大学大学院および米プリンストン大学大学院で日
本近代史を研究。プリンストン大学で奨学金を得て、調査研究のため来日する。日本
滞在中は、北海道大学法学部で教鞭も執りつつ、本書の執筆を進める。
【田中優子・小熊英二さん、絶賛推薦!】
★刑罰を通して日本の権力構造の歴史を、きわめて鮮明に指摘した、驚くべき本だ。
裁判員制度の始まった今こそ必要な歴史観が、ここにある。
ーー田中優子(江戸学)
★「人類が築く社会が、歴史の虜であり続ける必要も義務もないこと」を実証するの
が歴史研究の意義だと著者はいう。本書で、著者はその志を達成したと思う。
ーー小熊英二(歴史社会学)
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社インターシフト
- 発売日2009/10/1
- ISBN-104772695176
- ISBN-13978-4772695176
登録情報
- 出版社 : インターシフト (2009/10/1)
- 発売日 : 2009/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4772695176
- ISBN-13 : 978-4772695176
- Amazon 売れ筋ランキング: - 512,917位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 14,782位日本史 (本)
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一方、文明開化に邁進した明治政府はどうか? まさに刑罰改革こそが、西欧列強の仲間入りをする必須条件であったことを、本書は明快に伝えている。そして、日本の植民地において、どのような刑罰を科し、どのような監獄に収容するかが、植民地政策の根幹をなしていたことも。植民地での笞(むち)刑の使用が、いったんは廃止され、復活し、また廃止され・・・という揺れは、そのまま植民地政策の揺れを表しているだろう。
わが国の刑罰-権力については、安丸良夫氏の著作など、さまざま論究が既になされている。しかし、近世・近代を貫く射程の長さ、また世界の中の日本というグローバルな奥行き、先鋭な歴史観ーーなどにおいて、新たな道標となりうる1冊と言って良い。そして、フーコーの諸作がそうであったように、本書はアカデミックではあるが、けっしてアカデミズムの閉域にとどまる内容ではありえない。なぜなら、現代を生きる私たち自身が、本書で示された権力構造の<残虐さ・おぞましさ>の上にあり、いまなおこの社会そのものが、ある種の<監獄>にほかならないからである。
明治になると、「文明国」の仲間入りのため、さすがに刑罰の方法もあまりに残酷な方法は廃止され、先進国並みに「体裁」が整えられ、改善されるようになった。しかし、植民地(台湾や朝鮮)などでは、江戸時代の遺物である笞打ちなどが残されていた。
このように、本書は刑罰の変遷と社会との関係を辿ったものである。つまり、刑罰制度には社会の深層構造が表れるとするものである。本書の視点を現在の死刑制度問題や、未決監に関する日本独自の問題に敷衍して考えることも興味深い。