2点感想を述べます。
雑談において、職場の愚痴ほど聞くに堪えないものはありません。なぜなら、聞き手である我々はその職場についての一切の知識を持たないため、話し手に共感または反論する根拠を持たないからです。そのため、多くの場合、話し手の独善を許してしまう結果となります。本書にもそのような腐臭を感じます。著者しか知りえない、職場というきわめて狭い範囲での事象から、”教訓”なる一般論が導かれています。また、それらの一般論が、著者の適正な見識や視座から生み出されたものであるかについては不明です。例えば、著書の登場する優柔不断な上司は、本当に優柔不断なのか、という疑問は許されないのです。その職場に身をおかなければわからない事実に基づいた議論は不毛ともいえます。
次に、著者は社内開発を長らく行っていたようですが、SEの多くは客先常駐形の派遣社員として働いています。従って、SEは自社(派遣社員が所属する会社)の上下関係ばかりか、客先での人間関係にも拘束されています。よって、SEの考慮すべき人間関係は多岐に渡ります。”SEの職場”を論じる場合、上司、部下だけでの人間関係では不十分であると考えます。多重請負や長時間労働といった業界の負の側面を捉えて、それでもこの業界で生きていく希望のようなものを提示されていれば、さらに共感できたかもしれません。
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SEのフシギな職場 ダメ上司とダメ部下の陥りがちな罠28ヶ条 単行本(ソフトカバー) – 2003/11/13
きたみ りゅうじ
(著)
「SEのフシギな生態」の続編.前作で描けなかった「社内事情」という点にフォーカスを当て,良き上司,良き部下となるためには何が必要か,そうした人材教育や組織運営に必要となる要素を「ダメ○○」といった観点から反面教師的に読ませます.真のプロジェクトマネージメント本です.
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社技術評論社
- 発売日2003/11/13
- ISBN-104774118877
- ISBN-13978-4774118871
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
SEのフシギな職場
SEの“生態”を4コマ・マンガと軽妙な文章で描写する。気軽に読み通すことができるが、内容はそれなりにシリアス。28の教訓を引き出すために挙げられているエピソードは、中堅・中小ソフト会社での勤務経験を持つ著者ならではのもの。厳しい労働環境で働かざるを得ない、IT業界の現状をリアルに描いている。登場人物は新人から中間管理職、役員まで幅広い。SEだけでなく、社会人全般に当てはまる教訓も多い。
SEの“生態”を4コマ・マンガと軽妙な文章で描写する。気軽に読み通すことができるが、内容はそれなりにシリアス。28の教訓を引き出すために挙げられているエピソードは、中堅・中小ソフト会社での勤務経験を持つ著者ならではのもの。厳しい労働環境で働かざるを得ない、IT業界の現状をリアルに描いている。登場人物は新人から中間管理職、役員まで幅広い。SEだけでなく、社会人全般に当てはまる教訓も多い。
(日経コンピュータ 2003/12/15 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
内容(「MARC」データベースより)
世にはびこる「ダメ上司」や「ダメ部下」たちへ。人のフリ見て我がフリ直せ! 先輩SEが泣かされた上司・部下のトホホな行動から学ぶ仕事術。プロジェクトを成功させるための職場の法則が満載。
登録情報
- 出版社 : 技術評論社 (2003/11/13)
- 発売日 : 2003/11/13
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4774118877
- ISBN-13 : 978-4774118871
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,873,678位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,329位ビジネスライフ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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もとはコンピュータプログラマ。本職のかたわら自身のWebサイトで4コマまんがの連載などを行い、これをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることに。
のちフリーランスとして活動を開始。現在はフリーのライター兼イラストレーターとして活動中。
著作『フリーランスを代表して申告と節税について教わってきました。』にて、2007年度 SOHO AWARDS 選考委員賞を受賞。
[Blog]
https://oiio.jp
[Twitter]
@kitajirushi
[Facebook]
http://fb.me/ryuji.kitami
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年6月14日に日本でレビュー済み
(私が)客先常駐で開発に携わった経験上。
こちらの著作に出てくるダメ上司もダメ部下のタイプもかなり存在した。
かくいう私もかなりダメ・エンジニアだったかも。
大手SIだろうと一流顧客であろうと
社員がAIでなく人間である限り
こうした大雑把な分類はかなり通用する・・・
むしろ
普遍的な教訓を導き出して良いのでないか?
積極的に導き出すべきでは?
経営学的人間関係の論文発表でもなければ
統計的データを読み取るわけでもないし。
浅く一読するとややも愚痴めいた文章が
職場や職業倫理や自己修養の識見に裏付けられ、
どうすべきか?かくあるべきか?
そうした示唆に繋がるのが興味深い。
こちらの著作に出てくるダメ上司もダメ部下のタイプもかなり存在した。
かくいう私もかなりダメ・エンジニアだったかも。
大手SIだろうと一流顧客であろうと
社員がAIでなく人間である限り
こうした大雑把な分類はかなり通用する・・・
むしろ
普遍的な教訓を導き出して良いのでないか?
積極的に導き出すべきでは?
経営学的人間関係の論文発表でもなければ
統計的データを読み取るわけでもないし。
浅く一読するとややも愚痴めいた文章が
職場や職業倫理や自己修養の識見に裏付けられ、
どうすべきか?かくあるべきか?
そうした示唆に繋がるのが興味深い。
2005年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どの業界でもきっと「この業界ってなんか変じゃない」ということはあるのでしょうが、それにしてもコンピューター業界におけるSEといわれる人たちの生態は不可思議なものはないのではないでしょうか。
面白いんだけれど、笑ってばかりではいられないシチュエーションが満載です。
面白いんだけれど、笑ってばかりではいられないシチュエーションが満載です。
2009年7月17日に日本でレビュー済み
何年か前に技術評論社から出版されたものの文庫化されたもの。
自分には部下はいないけど、さんざん上司については文句を言っていた。そんな自分に反省を促す書物だ。読めば単純に面白い本なのだが、上司の使い方、仕事への姿勢など、とても参考になる。
自分もまだまだだな。本当に仕事ができる男には程遠いなぁ、と改めて思った。
自分の良くないところは、自分の仕事を他の人に任せないところだろうか。もっと人にやらせることを覚えないと。
特に気に入ったのは、己の規範を培い、徹底するノダ!というフレーズだ。自分の仕事への思いもそのようなものだ。
自分には部下はいないけど、さんざん上司については文句を言っていた。そんな自分に反省を促す書物だ。読めば単純に面白い本なのだが、上司の使い方、仕事への姿勢など、とても参考になる。
自分もまだまだだな。本当に仕事ができる男には程遠いなぁ、と改めて思った。
自分の良くないところは、自分の仕事を他の人に任せないところだろうか。もっと人にやらせることを覚えないと。
特に気に入ったのは、己の規範を培い、徹底するノダ!というフレーズだ。自分の仕事への思いもそのようなものだ。
2010年10月3日に日本でレビュー済み
業界人として思わず「あるある」とか「ありそ〜」と共感してしまいました。
教科書的な解説ではないので物凄くリアルで面白いです。
教科書的な解説ではないので物凄くリアルで面白いです。
2003年11月14日に日本でレビュー済み
「自分は完璧でありたい」と思う人は多いけど、
完璧な人にお目にかかることなど、滅多にないものです。
人間には一人ひとり個性が違う以上、長所も短所もあります。
「会社」というのは、凸凹のある人間同士が集まって、
お互いの凸凹を補い合って、何とか完璧な仕事を目指そうとして
試行錯誤する所だと思います。
で、職場の上司や部下の凸凹が、この本を参考にすると、よくわかりました。
そして、自分自身の長所短所も見えてきました。
いろんな個性の人と組織仕事をしている人にとっては、
必ず考えたり悩んだりするはずのポイントばかりなので、
「入社したての時に読んでおけば、〝転ばぬ先の杖〟になって、
よかったろうなぁ」とも思いました。
悪い読み方をすると、上司や部下を裁く気持ちになって、
心が乱れるかも知れません。
しかし、謙虚に自分自身を振り返るような視点で読んでみるとどうなるか。
私の場合、読書後、不思議と、気持ちに余裕が持てて、
軽やかな気持ちで仕事ができました。
完璧な人にお目にかかることなど、滅多にないものです。
人間には一人ひとり個性が違う以上、長所も短所もあります。
「会社」というのは、凸凹のある人間同士が集まって、
お互いの凸凹を補い合って、何とか完璧な仕事を目指そうとして
試行錯誤する所だと思います。
で、職場の上司や部下の凸凹が、この本を参考にすると、よくわかりました。
そして、自分自身の長所短所も見えてきました。
いろんな個性の人と組織仕事をしている人にとっては、
必ず考えたり悩んだりするはずのポイントばかりなので、
「入社したての時に読んでおけば、〝転ばぬ先の杖〟になって、
よかったろうなぁ」とも思いました。
悪い読み方をすると、上司や部下を裁く気持ちになって、
心が乱れるかも知れません。
しかし、謙虚に自分自身を振り返るような視点で読んでみるとどうなるか。
私の場合、読書後、不思議と、気持ちに余裕が持てて、
軽やかな気持ちで仕事ができました。
2003年12月10日に日本でレビュー済み
きたみりゅうじさんの「SEのフシギな生態」は知人に勧められて読みました。マンガと文章が妙な味を出していて、2003年に発売されたSE本のなかでは、トップクラスの面白さでした。
その第2弾なのですが、少しパワーダウンしたのか、それともネタ切れなのか・・、面白さが減った感じがします。
読者も、第2弾ということで、より面白いものを期待していたせいかもしれませんが。。
とはいうものの、他のSE本に比べるとやはり面白い。なによりマンガ付きなのがよい(それもヘタウマ)。
ぜひぜひ、違う切り口の第3弾の発売を期待してしまいます。
その第2弾なのですが、少しパワーダウンしたのか、それともネタ切れなのか・・、面白さが減った感じがします。
読者も、第2弾ということで、より面白いものを期待していたせいかもしれませんが。。
とはいうものの、他のSE本に比べるとやはり面白い。なによりマンガ付きなのがよい(それもヘタウマ)。
ぜひぜひ、違う切り口の第3弾の発売を期待してしまいます。
2007年8月2日に日本でレビュー済み
今現在の新卒社会人SEは必ず数ある職種の中でも特にPCを酷使せねばなりません。
そして新たなプログラムを考案する際にきちんと頭の中を整理してフル稼働させねばなりません。
そんな新卒のSEの一年目の学ぶべき姿勢をといています。
特にいわゆる「仕事のできない人間」を悪例として反面教師にしなさいよとといてくれています。
情報系の専攻以外からこの業界に就職した学生にハードルが高いSEという職種ですが、この本を読んで、SEという職について考えてみてもいいかもしれません。
また、当然ですが、SE以外の触手から見ても仕事のできる人・出来ない人というのはある程度共通している特長を持っていると思います。
その出来ない人の一例集だと考えてよんでみるのも面白いと思います
そして新たなプログラムを考案する際にきちんと頭の中を整理してフル稼働させねばなりません。
そんな新卒のSEの一年目の学ぶべき姿勢をといています。
特にいわゆる「仕事のできない人間」を悪例として反面教師にしなさいよとといてくれています。
情報系の専攻以外からこの業界に就職した学生にハードルが高いSEという職種ですが、この本を読んで、SEという職について考えてみてもいいかもしれません。
また、当然ですが、SE以外の触手から見ても仕事のできる人・出来ない人というのはある程度共通している特長を持っていると思います。
その出来ない人の一例集だと考えてよんでみるのも面白いと思います