この本で初めて、著者"pha（ファ）"氏のことを知った。
ニートの定義はいろいろあると思うが、
仕事にも学校にも行かず、仕事もせず、親などに生活手段全般を依存してような
大半のニートと比べると、著者は別物である。
シェアハウスなどプロデュースもしているし、独学でプログラミングを勉強して
個人的にセンスが良いと感じるサイトも立ち上げている。
京都大学人間総合学部もゲーム感覚で受験勉強をしていたら受かったそうである。
謙遜されてはいるが、（嫌味は文章から感じないが・・・）私から見たら
ドラえもんの『出来杉君』のようなキャラだと思ってしまう。
（肩書きに弱い私は、やっぱり京大卒をこの本を読むべきかどうかの判断材料にしました。）
著者は自分の生き方に微塵の後ろめたさも感じていないし、
ニート界を代表して、多様なライフスタイルで生きる権利の擁護や社会的承認の獲得に
尽力されているようで、
ダラしない生活をしているステレオタイプのニート像とは一線を画している人物だと思います。
これだけのアウトプットや実践的なフィールドワークをされていれば、
在野の社会学者とか、NPO事業の経営者、NGO代表とも言えるような気がします。
単純に、ひきこもりが長引いて、ウツ症状などある方には本書の内容を実践する前に
もう一段階別のステップが必要かもしれません。
しかし、この本の中の提言や具体的なニート実践のための情報はニートにも
会社勤めされている堅気の方（？）にも大変有効だと思いました。
私事で恐縮ですが幸か不幸か、二度の起業失敗の後、今、飲食店の自営業やっていますが、
人の繋がりや、擬似的な家族作りなどをメインテーマにして好きなことをしている点では
pha氏のスタイルと少しにているなと感じました。
傍からはハードワークに見えても当の本人は嬉々として愉しんで仕事をしていたりします。
会社員時代は終業時間までどうやって仕事している振りをするかというのがテーマでしたが・・・
その点も著者も会社員時代に同じような体験をしているようです。
組織に属していないというだけで、著者は立派なクリエイターです。
pha氏はネットリテラシーも高いし、ご自身が自嘲気味に言っているような社会不適合者では
ありませんし、ネットを通じた対人関係やシェアハウスなどでの対人関係の描写を読んでいる
と人嫌いとは到底思えません。
全国にただで泊めてくれる友人を持っている著者に『人間関係が苦手』と言われても
まあ、普通は信じられないでしょうね。
一見矛盾していますが、私個人も10年前にシェアハウスに住んでいた経験から、
会社のような長期的な利害関係の無い人間関係は心地よかったのを思いました。
いずれにせよ、
本書の内容を見る限り、著者は人間関係構築の達人であるとすら思えます。
100％そのまま著者の提言は受け入れられませんが、一度吟味してみると
生活の仕方の幅が広がって、より楽に生活できるようになるのではと思います。
老後や病死についての想像力の欠如がちょっと気になりましたけけど
著者はその点も自覚はされているようです。
この本を読んで、『働くものも働かないものも食べっていいよ』って社会の方が
ハードワーカーにとっても巡り巡って良い影響があるのでは、と
実にふんわりした結論ではありますがそう感じました。
もちろん、働くものはもっと豊かになって欲しいと私は思いますけど。
仕事が苦行になってしまっている方に、特にオススメします。
この本の中から良いヒントが見つかれば良いなと思います。
飲食店の自営業をしている私にも、沢山良いアイデアが頂けました。
"だるい"が口癖の著者だから、肉体面と精神面のスタミナに若干不安があるけれど
ビジネスセンスもかなりある人物だと思いました。
（潜在的なニーズをこうやって第三者にわかるように表現できるって、素直にスゴイと思う。）
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