どんな作品でも、オープニングとラストがある。
本書は手塚作品のうち「鉄腕アトム」、「ブラック・ジャック」、「ジャングル大帝」、「ワンダー・スリー」、「どろろ」、「リボンの騎士」のラストと、各作品にまつわるエピソードが収載されている。
特に長編作品のラストは、終わりよければ総て良し、といった作品の価値を決める重要なものである。
本書収載の作品のラストは、いずれも余韻を残しつつ、きれいに作品をまとめる、大変良いラストである。
特に{ワンダー〜」の、伏線がきれいに集束されるラストには、初読当時とても感動したものだった。
「最終回」が発表されてから、続編やら番外編やら別エピソードが発表されたものもあるが、それらは別物と考えたい。
本書の作品以外でも、手塚作品には印象的なラストのものがたくさんある。
例えば「キャプテン・ケン」、「バンパイヤ(サンデー版)」、「フライング・ベン」などなど(みんな昭和30〜40年代のものばかりだ)。
医学博士だった手塚は、死と再生にとても関心があった。
だから、それをテーマにした作品のラストには、特に力が入っていたのではないだろうか。
そして、手塚作品が時代を越えて指示されるのは、この最終回に込められた未来への希望というメッセージのためである。
どの作品にも、子ども達が未来に向かって進む気持ちを持てるように、という作者の熱意がある。
よく手塚作品のヒューマニズムは偽善だといわれるが、そんなことは絶対にない。
本書をみれば、手塚が子ども達を優しい目で見ていたことが分かる。
「ブラック〜」や「ジャングル〜」のラストには、特に命に対する手塚の思いが良く表れている。
本書の著者みなもと氏は「作画グループ」出身として有名だが、これほど手塚作品に愛情を持っていたとは思わなかった。
作品のセレクション、コメントともども適切であり、手塚ファンにとっては、またとない一冊である。
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手塚治虫WORLD 少年マンガ編―これがホントの最終回だ! 単行本 – 2008/5/1
- 本の長さ263ページ
- 言語日本語
- 出版社ゴマブックス
- 発売日2008/5/1
- ISBN-104777109488
- ISBN-13978-4777109487
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登録情報
- 出版社 : ゴマブックス (2008/5/1)
- 発売日 : 2008/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 263ページ
- ISBN-10 : 4777109488
- ISBN-13 : 978-4777109487
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,120,158位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 97,716位エンターテイメント (本)
- - 415,169位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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1928年、大阪府豊中市生まれ。本名・治。大阪大学付属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。翌年、ス トーリー漫画の単行本『新宝島』がベストセラーになり、注目される。以後、幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、子どもたちに夢を与えつづけてきた。『ネ オ・ファウスト』など3作連載中の89年2月9日に胃ガンのため死去。無類の昆虫好きとして知られ、「オオムラサキを守る会」の理事や「日本昆虫倶楽部」 の初代会長を務めた(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 手塚治虫の昆虫博覧会 (ISBN-13: 978-4900963474)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
まんが家、まんが研究家。1947年、京都生まれ。67年、「別冊りぼん」でデビュー。70年から「週刊少年マガジン」に連載した『ホモホモ7』で一世を風靡、のちのまんが界に大きな影響を与える。2004年、『風雲児たち』で第八回手塚治虫文化賞特別賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史』(ISBN-10:4046214465)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年8月4日に日本でレビュー済み
面白かったです!!
値段も手ごろ! でも ひとつだけ難点があるとすれば ソフトカバーなこと。
ハードカバーでもっと高級感があれば完璧でした!なので星4つの評価にさせてもらいます
ちなみに青年編も買いました
値段も手ごろ! でも ひとつだけ難点があるとすれば ソフトカバーなこと。
ハードカバーでもっと高級感があれば完璧でした!なので星4つの評価にさせてもらいます
ちなみに青年編も買いました
2008年5月4日に日本でレビュー済み
表紙を飾る6作品、「鉄腕アトム」「ブラックジャック」「リボンの騎士」「どろろ」「ジャングル大帝」「W3」について、複数バージョンのラストを比較、という感じの本。
たとえば「鉄腕アトム」の場合、「少年」での最終回のあと、別冊少年マガジンに載った外伝的な恋人たちのために特攻していく話や、アトム今昔物語、はたまた小学館の学年誌とか、様々なバージョンが存在している。そんなこんなを取り上げて解説している。
「どろろ」の少年サンデー版最終回がどうだったのか忘れてしまってる僕としては、それが入ってないのがちょっと残念。
それはさておき、読みどころはみなもと太郎の解説で、各作品の時代の中の位置づけなどについて書かれている部分が非常におもしろい。
オススメです。
たとえば「鉄腕アトム」の場合、「少年」での最終回のあと、別冊少年マガジンに載った外伝的な恋人たちのために特攻していく話や、アトム今昔物語、はたまた小学館の学年誌とか、様々なバージョンが存在している。そんなこんなを取り上げて解説している。
「どろろ」の少年サンデー版最終回がどうだったのか忘れてしまってる僕としては、それが入ってないのがちょっと残念。
それはさておき、読みどころはみなもと太郎の解説で、各作品の時代の中の位置づけなどについて書かれている部分が非常におもしろい。
オススメです。
2008年7月11日に日本でレビュー済み
是非見たいと思っておいた書き直しの原版がやっと見れてすごく嬉しいです。まず小学校5年生の時に初めて買ってもらったマンガだった「リボンの騎士」のエンディングが、講談社全集のものと当時読んだものとが全く違っていて、以来30年近く、復刻版やら手塚治虫マガジン(雑誌)で探してみたものの、あの感動的なエンディングは見当たらず、悶々としていたところ、やっとこの本に載っていました!アトムの最終話は今でもどれが本当なのか、手塚先生自身も決めていないんじゃないかと思ったくらい、こんなにエピソードがあるんですね。驚きました。W3に関してはエンディングじゃなくてオープニングが2稿あったとは!本書の「これが本当の最終回だ」だけでなく、余すことなく楽しませてくれています。もっと他のものも読みたいので「少年マンガ編2」を作ってくれないかなあ、と期待しています。このあと「青年マンガ編」が出ているのでそちらもどうぞ。