１・本体 ２・初期未復刻短編集 ３・人形少女研究 ４・ポストカード3枚が一括して、綺麗な化粧箱に梱包されています。
人形少女は、川上村（吉野の山奥がモデル？）の小さな土産物屋の母と娘（久美子）、自分の命と引き換えに魂の入った人形を作ったおじいさん、そして、子供が欲しい為お百度参りさえ厭わないこの人形を拾った女性を中心に展開し、それに、この人形を強奪しお金をせしめようとする黒眼鏡の男が絡み、最終的に人形自体は死んでしまうが、それと引き換えに子供のいない女性の執念が実り子供を授かり、また、災害で壊れた土産物屋も再建できとハッピーエンドに終わります。・・・楳図さん特有の絵のタッチは認められますが、あの独特の臓器感覚に訴えるようなグロテスクな描写はまだ有りません。解説によると今回で7度目の復刻らしいですが、今回を除いて全て雑誌連載3回分のエピローグが削られていたらしい。確かに導入のこの部分が無ければ、魂をこめられた人形の経緯がわからないし、何としても子供の欲しい女性の願望の強さもわかりません！
初期短編集は、人形少女と同時期に発表された1 赤いハンカチ（裕次郎の歌みたい） ２ 丘の上の少女 ３ 滝 ４ 4年目の奇跡が収録されていて、１ は赤いハンカチが喀血による物と思わせておいて最後にどんでん返しを食らわせます。２ 祭りで浜辺に出ている村人に津波を知らせる為にランプを取ろうとしますが、ランプを倒してしまい火事になり、結果として、村人を救う事になる。３ 田舎と避暑に来た少女の思い違いの物語。４ 娘とその両親の人間万事塞翁が馬的な物語で、ここでも津波がポイントになっています。
また、解説も中々良く出来ていて、貸本の色指定の話、単行本化の際の加筆、訂正の話等短いながら良くまとまっています。他社も完全復刻と謳うならばこの程度の事はして下さいよ！
最後に本来私の世代（団塊の世代）の人間は、小さい頃多分少女マンガは読まなかったと思います。私もご他聞に漏れず、あの特有の目の星、絵のタッチについて行けず・・・という訳で今回が初見です。ですから頓珍漢な事を言っているかも知れませんが、ご容赦お願いします。
しかし、この復刻版、この版元のポリシーかと思いますが、しっかりしていて、短編集も良く、解説も好くまとまり、化粧箱共々綺麗に仕上がっていると思います。
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