出版業界のお抱え弁護士の弁です。電子書籍に対する日本の出版業界の対応を批判する本を出せない現状では,こういう本が出るのは目に見えてましたが,原発再稼働の必要性を主張する電力業界の議論のほうが,裏表が少ない分,かえって正直に見えます。
はっきり言って,消費者の立場をまったく考慮していません。いい例が,一度買った電子書籍を半永久的に再ダウンロード可能にするアマゾンの方針が,著作権者の権利の侵害になるという奇妙なへりくつです。再ダウンロードが可能なのは,いわゆるクラウド・ストレージの普及と関係があり,消費者が自分の端末に本を保管しておかなくてもすむのは今や常識です。消費者はこれを歓迎してます。
アマゾン方式だと,電子書籍の「落丁や乱丁や,購入後の読者に対する様々なフォローを出版者が行えないのは当然」としてますが,日本の電子書店が落丁や乱丁の申し出に対してまともな応対をしていないのを棚にあげています。実際にあった話ですが,某電子書店は,SONY Reader に対応した書籍だとして売っておきながら,SONY Reader で表示が落丁になると伝えると,それはSONY Reader の問題だといってまともな応対はしてくれませんでした。そこで,国民生活センターに問題を申し立てる可能性を示唆し,印刷本の出版社に電話して担当者と話した結果(大手出版社の圧力?),突然返金に応じました。別の電子書店で同じ本を買ったら,ちゃんと SONY Reader で読めました。電子書籍1冊文だから,大した金額ではないけれど,こういう場面での顧客対応は,米アマゾンののほうがはるかに誠実です。
いずれにしても,消費者としての読者の利益をまったく考慮しない電子書籍に関する議論を,日本の文化を守ってきたと自負する出版業界が行わざるを得なくなっているのは,業界が危機感のためになりふりかまわなくなっていることのあらわれで,アマゾン批判が実は単なる業界の自己防衛の弁にすぎないのだということを暴露してくれます。2000円も払って買う価値があるとすれば,そのことがはっきりわかることだと思います。
一言で言えば,権利がどうのこうと理屈をこねていますが,歯切れがわるいし,議論の方向が後ろ向きなのです。どうしたら,消費者に日本の電子書店から楽しく電子書籍を買ってもらえるか,そこのところから出発する議論でないと,読者=消費者はそっぽを向きます。
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アマゾン契約と電子書籍の課題 単行本(ソフトカバー) – 2012/4/21
北村 行夫
(著)
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購入オプションとあわせ買い
日本の出版はいま大きな分岐点に立っている。
電子書籍販売をめぐってアマゾンが提示した契約案は、日本の出版社の存在意義を揺るがす重要な視点を浮かび上がらせた。
"出版とは何か? 出版「者」であることの要件とは!?"
長年にわたり日本の著作権と出版を見続けてきた著者が、無自覚な出版界に警鐘を鳴らす!
アマゾン契約の検討を通し、日本の出版者と電子書店との契約のあり方を今一度考えるための基礎文献。
対電子書籍販売サイト契約書雛型付き。
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- 本の長さ80ページ
- 言語日本語
- 出版社太田出版
- 発売日2012/4/21
- 寸法0.9 x 14.8 x 21 cm
- ISBN-104778313216
- ISBN-13978-4778313210
商品の説明
著者について
弁護士。虎ノ門総合法律事務所所長。日本ユニ著作権センター取締役著作権相談員室長。著作権法学会員。日本知的財産仲裁センター仲裁員。(財)日本デジタルコンテンツ協会元調査研究委員長。慶應義塾大学大学院講師。著書に『新版 判例から学ぶ著作権』(太田出版)。編著『CD-ROM版著作権判例』(太田出版)。共著『クリエイター・編集者のための引用ハンドブック』(太田出版)。共著『知的財産権辞典』(丸善)。監修『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』(中央経済社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 太田出版 (2012/4/21)
- 発売日 : 2012/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 80ページ
- ISBN-10 : 4778313216
- ISBN-13 : 978-4778313210
- 寸法 : 0.9 x 14.8 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,546,884位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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